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8.1000系(U)
南海本線の主力
・実車について
 1990年代初頭、南海電鉄は1994年の関西空港開港を控えており輸送力の増強が求められていた。これに対応した新型通勤電車として1992年にデビューしたのがこの1000系(U)で、本サイトでも紹介済みの17メートル車で当時最新鋭だった2000系の基にした大型通勤電車だ(以降2代目を示すU表記は省略する)。登場から現在まで主に南海本線で活躍しているが、南海本線と高野線に共通に使える汎用車として設計されており、実際に高野線に配属された経験を持つ車両も多い(現在も6両編成・4両編成・2両編成のそれぞれ1本ずつが高野線に所属)。そのため90年代後半以降の南海通勤電車の主力といえる存在だ。
 車両の特徴としてまず挙げられるのは、それまでの南海電鉄通勤電車のイメージを大きく変えたその塗装にある。明るいグレーを基本にブルーとオレンジのラインを大胆に入れたその塗装に、当時は「南海電車らしくない」と驚いたものだ。関西空港開港を控えて世界に通用する鉄道のイメージとしての南海電鉄の大胆なイメージ戦略で、この1000系登場を皮切りに南海電鉄の通勤電車と特急「サザン」の10000系がこの塗装に塗り替えられることとなる。
 もうひとつの特徴は車体そのものだ。1000系の登場はJR東日本209系が試作形式の901系として登場したばかりの頃、ステンレス車体と言えば側面に補強の凹凸が入っているのが当然だった時代だ。そこに突然、補強の凹凸がない平滑な車体のステンレス車として登場したのだ。しかも前述したように塗装がされており、「ステンレス車=未塗装」という当時の鉄道車体の常識を打ち破った。
 車内は当時の通勤電車としてありふれたロングシートだけではなく、車端部はボックスシートになっている。南海本線は大阪から和歌山まで乗り通せばかなりの乗車時間になるので、そこに配慮したのだろう。

 私はこの南海電鉄1000系登場のニュースを聞いていろんな意味で驚いた。前述したようにまずその塗装にビックリし、凹凸のないステンレス車体と聞いてビックリし、ステンレス車体でありながら塗装されていると知ってまたビックリした。最初は「ステンレス車体というのは誤りで実はアルミ車体なんだろうか?」とも思ったが、確かに車体各部をよく見ると当時のステンレス車独特の構造が見られた。JR901系以降に見られた最新のステンレス車体とも違い、新と旧が入り交じった車体なんだと当時は理解していた。

 この南海電鉄1000系に興味を持ち「一度じっくり見てみたい」と思っていたものの、次に南海電鉄から出てきた車両があの50000系「ラピート」だったからそんな思いはぶっ飛んでしまった。1994年〜1995年に関西空港開港がらみで頻繁に南海電鉄の客となっていたが、この時にはこの1000系には乗っていない。
 私がこの1000系に乗ったのは、2005年に当時の仕事で堺市へ出張したときだ。なんば駅のホームで車体をじっくり見て、「なるほど、塗装されているけど確かにステンレス車体だ」と改めて感心したものだ。その後も数年にわたり南海本線沿線への出張が続き、その際に最も乗った回数が多いのがこの1000系だ。出張仕事の合間に意味もなく和歌山まで1往復したときも、その往路は1000系のボックスシートで和歌山市〜なんばまで乗り通した。特に「かぶりつき」すると前面貫通扉の窓が大きいことがあって気持ちよい電車であり、私の「お気に入り」の電車のひとつになったのは言うまでも無い…1000系か7000系が来ると本当に嬉しかったもんなぁ。

 その後転職したことで南海電車に乗る機会は失われた、1000系は2016年以降順次リニューアル工事がされ、現在は私が良く乗っていた頃と同じ姿の車両は1編成しか残っていないという。とはいえ、外観は殆ど変化がないらしいが。


・模型について
 この南海1000系は長い間模型に恵まれなかった。このサイトでも7000系を紹介した際に「1000系が出たら欲しくなるぞー」と製品化実現の願いを込めて一筆入れたほど、「こうや」号を皮切りに南海電車コレクションを始めた私としても欲しい車両のひとつだった。
 マイクロエースやグリーンマックスが南海電車を続々と製品化していた2010年代前半に「いつか来る」と期待していたが不発してガックリ、2010年代後半にはトミーテック「鉄道コレクション」シリーズで南海電車が続々と出てくると今度はこっちに期待するようになる。
 やっと実現したのは2020年、「鉄道コレクション」で関西大手私鉄の短編成車両がテーマとなった通常販売の第29弾にラインナップされたのだ。待望の南海1000系であったが私はこれを見送る、私が欲しい1000系は2両編成ではなく6両編成だからだ。2両編成という形で型が起こされたなら、事業者限定などの形で6両編成が出るのではないか?と期待して待つことにした。まぁどうしても6両編成が出ないようなら、2両編成を2本か3本繋いで南海本線の列車を再現するのもいいかと思ってはいたが…。
 その期待の答えはすぐに出た、第29弾を追うようにすぐに6両編成セットの発売がアナウンスされたのだ。2020年の夏に発売されて私もこれを購入、予算の都合で走行化は年を越してしまったが、やっとこのたび走れるように整備が終わったところだ。

 以下アルバム形式で、模型の写真を紹介する。やっと手にした南海電鉄の現役通勤電車で最も好きな電車、もちろん「ファインクラフト」での試運転ではいろんな車両とも並べてみた。

 「ファインクラフト」のいつものカーブを行く姿を見て、「これだ、これを待ってたんだ!」と独りニヤニヤしてしまった。
 車号は製品のままで1005編成、行き先は替えたかったが適当なステッカーがないので「区間急行」「関西空港」と製品のまま。本当は「急行」「和歌山市」とかにしたいのよ。
 駅に停めて編成写真を撮る。7000系もそうだが、なんば方先頭車の「前パン」がいいね。難波駅の改札口をくぐって、頭端式ホームに前パンの電車が並んでいるのを見ると「南海電車カッコイイー!」と感じる。
 こっちは和歌山市方からの編成写真、「前パン」でなくても窓が大きい前面デザインは印象的です。
 ちなみに走行化に際して、今回も7000系の時と同様に中間のカプラーはアーノルトカプラーで対処、走行化パーツの組み合わせで連結面間隔も実感的にしています。
 橋梁でサイドビューを見てみる、この塗装は最初に見た時は「派手」と感じたが、慣れてくると「悪くはないな」と感じる。実は京阪電鉄の新塗装にも同じことが言えると思っている。
 凹凸無しのステンレスボディとは言え、いわゆる「走ルンです」以降とはまた違う独特の雰囲気がある。塗装されているせいもあるだろうけど。
 同じ橋梁で編成の反対から見ると、「でもやっぱり前パンだね♪」と思う無骨な表情に変わる。
 ステンレスボディに塗装をしたのは、南海1000系の前は国鉄のEF81-300の常磐線転属車が最後だと思う。そしてこの1000系の次は、京急1000形(U)の2017年度までない。
 この南海1000系でも、2001年増備の最終編成はステンレスボディで無塗装だ。
 ここからは我が家の南海本線の仲間達と並べた写真だ。まずは引退して久しい7000系とすれ違いを演じさせてみよう。
 7000系をこの1000系と同じ塗装にしたときは、本当に驚いたなぁ。
 橋梁ですれ違う、なかなか良い雰囲気だぞ。
 7000系も「前パン」だとより無骨でカッコイイ、これが南海電車なんですよ♪
 街中ですれ違う、南海電鉄で私が大好きな通勤電車コンビだ。
 この「ファインクラフト」のレイアウトで、関西大手私鉄の電車を走らせる人ってあまり見かけないなぁ…いや、全くいないって訳ではないのだけど。
 並んでの駅停車シーンを再現してみた、こういうシーンもよく見たなぁ。
 1000系は前面貫通扉の窓が大きくて「かぶりつき」が気持ちよい電車だけど、7000系は「展望席(ヲタシート)」があるのが嬉しかった。
 続いては1000系の基となった17メートル通勤電車2000系だ。高野線の山岳区間乗り入れに対応した通勤電車で、これを平坦線線用の大型車体にしたのが1000系と言って良い。
 確かに顔も似ているが、2000系は普通のステンレス無塗装車体、登場当時は緑色の帯を巻いていた。
 我が家では2000系は南海本線転属後としている、購入から月日が経っているが「2扉車」のステッカーをフロントガラス内側に貼る方法をまだ解決できていない。分解の仕方は解るんだけど…。
 50000系「ラピート」とすれ違う、関西空港開港当時の南海本線の主役はこの2形式と言って良いだろう。
 2011年、仕事の合間に乗った空港線を1000系の「かぶりつき」でかっ飛ばしたのは気持ちよかったなぁ。もちろんその帰りは「ラピート」でなんばへ。
 1000系と50000系は外観と接客設備は大きく違うが、足回りなどの機器類は驚くほど似ている。それもそのはず、機器類は1000系を基本としているからだ。
 つまり姿形は大きく違っても、この2形式は間違いなく「血を分けた兄妹」なのだ。
 最後は10000系「サザン」だ。残念ながら連結器や電気システムが違うので、1000系は自由席車として「サザン」との併結はできない。
 ちなみに「サザン」の新車である12000系とはシステム的に併結可能で、実際に併結試運転もされたと言うが、1000系と12000系の併結による営業運転されたことはないという。
…以上がこのたび我が家に入線した南海1000系だ。
 南海電車で最も欲しかった車両がこのたび模型化されたことは本当に嬉しく、今回の試運転では色々な車両と並べながら時間いっぱいまでずっと走らせ続けたほどだ。
 こうなると今度はやっぱり、2両編成も欲しくなるなぁ。もちろんやるなら私が良く乗った運用のひとつである、2連×2の4両編成の普通車だ。でも今度は8000系(U)とかもっと最近の通勤電車が欲しくなっちゃうぞ。
 でもこれで、南海電鉄で欲しい物はだいたい揃った…あ、30000系「こうや」号も欲しいぞ、でも金が…。

ファインクラフトで1000系購入記念の南海本線まつり!
「こうや」号はないけど、時代が極端に違うのがひとつだけ混じってる…。

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