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20000系
西武電車最後の3扉通勤電車
・実車について
 西武鉄道は1992年から地下鉄乗り入れをを主目的にした6000系を投入、地下鉄乗り入れ用の車両でありながら乗り入れとは無関係の新宿線にも投入され、またステンレス車体からアルミ車体へとモデルチェンジをされつつ1990年代後半に入ると西武鉄道のメインルートを新たな主役になりつつあった。
 そして新世紀を控えた1999年度、将来の地下鉄乗り入れ拡大を考慮しても地下鉄乗り入れ車としての6000系はその数が十分に揃ったこともあり、いよいよ6000系の次の通勤電車が投入されることになった。また新宿線で最後の活躍をしていた701系の淘汰が終わり、次の置き換え対象である旧101系に代わる車両も必要であった。
 これが地下鉄乗り入れを考慮しない西武鉄道の汎用車として2000年2月から投入が始まった20000系である。

 6000系が数を増やすと新宿線や池袋線では10両編成や8両編成での固定編成で通勤電車が運行されるようになり、運用途中で編成を分割する運用は新宿線の分割急行を除いて姿を消していた。よって20000系も10両固定編成や8両固定編成で作られ、増結車をつなぐことは全く考慮されていなかった。
 スタイル的には6000系を基本にしつつも地下鉄乗り入れを考慮しないので前面の非常扉は姿を消し、大きなフロントガラスを配したシンプルなデザインとしてきた。車体は6000系後期のアルミ車体を基本にしつつ、車両メーカー推奨の標準設計の思想を取り入れたことでアルミ無塗装の車体となった。帯色は6000系と同じブルーのラインとして、車内の座席なども青を強調したデザインにしている。

 私が20000系投入で嬉しかったことは、なんと言っても新宿線でデビューしたことだ。池袋線にはアルミ車体の6000系後期車が大量投入され、新宿線には9000系が投入されているとはいえ車体は新2000系と同じだったこともあって新鮮味が少なかったのは確かだ。6000系が一部いたが、その多くは池袋線で溢れて転属してきた車両で生粋の新宿線生まれの6000系は本当に数が少なかった。そんな時期が1990年代後半に続いていたからこそ、次の新車が新宿線に投入されたのが嬉しかったのだ。
 そんなわけで、2000年2月の20000系デビュー時にこの車両を追いかけることになる。当時の西武鉄道は20000系を「箱入り娘」と宣伝し、その運用開始初日は西武新宿から西武球場前への臨時急行電車としてイベント運行でスタートした。東京では珍しい雪の朝だったこの日にそのイベント列車を撮り鉄していたのは、当時本サイトでもその記録を公開している。野方のカーブで撮影しようとしたらすれ違い列車にかぶられて泣いたのだ。

 それから20000系は数を増やし、すぐに池袋線にも投入された。最終的には10両編成と8両編成が8編成ずつ製造され、新宿線と池袋線で活躍している。現在は特に新宿線の方が20000系の数が多く、16編成中10編成が新宿線所属である(ただし新宿線所属車の池袋線への貸し出しは恒常化しているとのこと)。登場から20年と少し、いよいよ中堅車両として脂がのってきた頃だ。


・模型について
 西武20000系は鉄道模型には恵まれていなかった。金属車体のガレージキットが出たことがある程度で、Nゲージのプラ完成品としては長い間製品化されていなかった。今や西武鉄道の近年の通勤電車の多くが各社から製品化され、この20000系が最後の穴となったいた。
 そして2020年、やっとのことで西武鉄道20000系のNゲージ鉄道模型製品化が発表された。私が驚いたのはこれまでずっと待たせておいたのに、いざ製品化となれば2社から競作という結果となったこと。なんと予想通りのグリーンマックスだけでなく、Nゲージ完成品市場では新参のポポンデッタからも発売予定がアナウンスされたのだ。
 私としては西武鉄道で見慣れた電車の一つである20000系は是非とも我が家のラインナップに加えたかったので、この模型を手にすることになる。やはり「6000系登場時」などの件でグリーンマックスに対する信用が低い私としては、競合他社品があるならグリーンマックスは自動的に回避となる。こうして2021年9月に我が家にやってきた待ちに待った西武20000系は、我が家で初めてのポポンデッタ製の車両となった。

 以下アルバム形式で、模型の写真を紹介する。変わった内容もそこで紹介しよう。

 まずは「ファインクラフト」のいつものカーブを行く20000系から。西武鉄道の近年の通勤電車で、Nゲージ鉄道模型の完成品最後の穴だった20000系、私もその登場を心待ちにしていた一人だ。
 しかもこれまで待たされた反動か、ほぼ同時に2社から製品化という信じられない状況を迎えた。
 私はポポンデッタの方を選んだが、これがとても印象が良い。アルミ車体の質感なんかは本当にうまく再現されているし、屋根上機器の再現も良い。
 ただ前照灯の光り方や、台車の質感の悪さなど欠点も目立つ。どちらも致命傷ではないけど。
 編成で見てみよう、これまでポポンデッタの製品は手にしたことがないので、編成で並べたときに高さのバラつきなどが出ないかと不安だったが、これなら全く問題はない。
 中間の連結器は製品のままのアーノルトカプラーではやはり連結距離が長すぎたので、トミックスのボディマウントタイプのTNカプラーに変更した。
 ただ動力車だけはボディマウントタイプのTNカプラーがどうしても着かず、ここだけは台車マウントタイプのものを入れている。
 先頭車をクローズアップする。行き先表示は「急行 本川越」で他に変更することはできないが、10両固定編成なので各駅停車にすることはできない(「普通 上石神井」があり得ない)のでこれでいい。
 この行き先表示がきれいなのは良いが、幕表示の文字みたいで「LEDの電光掲示板」みたいな質感でないのがちょっと残念。特に光ったときが…。
 屋根上のペンチレータの形状もとても良いし、足下のスカート周りの再現も良い。前面の特徴もよく捉えている。
 いつもの橋梁を渡る。屋根上の再現は良いが、パンタグラフのスリ板がどうしても水平にならないのがもどかしい。
 先頭車をズームアップする。日立設計の通勤電車標準車体の基礎になった車両と言われる。確かにこの電車から、私鉄電車はこのような車体の電車が増えていったように思う。
 運転台後方に西武鉄道の新社章が着く、これを消さないでそのまま使うつもりの模型は、我が家では初めてだ…つまりこの20000系は特別手を掛けず、2020年前後の姿で使ってゆくつもりだ。
 編成の反対側から見る、パンタグラフがない部分が続くので、なんかサッパリした印象だ。
 この模型のもう一つ好きなところは、車内の座席が塗ってあることだ。それが解るような写真は今回は撮っていないが、これによって実物の雰囲気にかなり近づいているのは確かだ。
 こちら側も先頭車をズームアップしてみよう。車椅子対応のマークなどの表記類も決まってる。
 台車の質感こそはプラスチックっぽい感じが拭えないが、その「つくり」は悪くないと思う。最近の通勤電車の台車の「簡素さ」がうまく表現されている。
 ここからは他形式と並べてみよう。まずは新2000系の初期車と並べてみた。20000系の方が大きく見えるのだが…。
 この新2000系では、我が家での導入時に西武鉄道の新社章はマスクしている。どうしても昔の姿にしたかったんでね。
 両者ともいまなお新宿線の主役と言っていいだろう。だが新2000系も11月に入ると、8両編成が1本(2063F)が廃車になったという。2000系の淘汰は旧2000系だけでなく、新2000系にも確実に及んでいるのだ。
 いつものカーブで新2000系と並べてみた。同じ「2」で始まる形式、どっちも新宿線でデビューし、新宿線で一時代を作った車両だ。
 その西武新宿線の主役が、Nゲージ鉄道模型の完成品で製品化されている…本当に良い時代になったものだ。
 次は6000系と並べてみた。20000系はこの6000系の進化形とみて良いだろう。違いは20000系が地下鉄乗り入れを考慮しない汎用車であること。
 デザイン的に似通っている部分も多く、同じ鉄道の車両なんだなと納得する。
 直線区間での6000系との並びだ。「急行 本川越」と「急行 西武新宿」のすれ違いは良いが、どっちも向きが逆であることに気づいた人はかなり西武電車に毒されている人だ(笑)。
 こうやって見ると、6000系の屋根上機器の作りの荒さが目立つなー。ペンチレーターがあまりにも違いすぎてガックリ来る…出来のよい20000系の方が、6000系より安いのよ…。
 30000系「スマイルトレイン」と並べてみる、30000系は20000系の進化させた物だが、その見た目は大きく違う。
 だが共通点も多い。例えば大きな1枚もののフロントガラスを中心に据えたデザインと、そのフロントガラスの中に組み込まれた行き先表示などは共通している。
 駅に並んで停車させてみた。この光景は2010年代の西武鉄道の新しいシーンであったことは誰もが認めるところだろう。

 20000系も新しいと思っていたが、もう20年戦士。リニューアルの話が出てきてもおかしくない車齢に達しているのに、まだそんな噂話すら出てこない。20000系がリニューアルされるなら、なんか30000系のデザインを引き継ぎそうで怖い。
…以上が今回我が家に入線した、ポポンデッタ製の西武20000系だ。
 今まで購入したことがなかったメーカーなのでいろいろ不安はあっが、出来だけでなく走りも悪くなかったのでまずは一安心。決して安い買い物ではなかったが満足できる結果であった。
 ただやっぱり、行き先表示の変更ができないのが最大の不満であるのは確か。本当は8両編成がほしかったのに、結果的に10両編成を購入したのは「行き先が変更できないから」というのが最大の理由だった。つまり「普通 上石神井」の表示ができないのならその必要がない車両を選んだ、というわけだ。
 またこのところ西武鉄道の模型に動きが出ている。この20000系の競作に続いて、鉄道コレクションシリーズで701系後期車と新501系などが発売されている。701系の後期車はなんとか購入して6連に改造したいし、新501系も自作改造ではなくちゃんとしたのがほしいと考えているが…西武鉄道限定版の発売日が登山を計画している日と重なって涙目なのだ。ネットオークションで足下を見られるしかないのかな…。

ファインクラフトで西武新宿線4扉車まつり!
今回は20000系入線記念で、4扉車だけで走らせてみました。

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