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10000系「ニューレッドアロー」
 西武鉄道は1969年の秩父線開通と同時に、特急電車である5000系「レッドアロー」号を走らせていた。当初は休日だけ、しかも池袋線だけの運転であったが、私が上石神井に越してくるまでには池袋線では毎日運行となり、休日のみ新宿線でも運行されていた。
 この週に一回だけ新宿線にやってくる「レッドアロー」を使用した特急「おくちちぶ」号が上石神井駅を通過するのが楽しみで、日曜日は早起きして朝食を済ませると駅まで行って「おくちちぶ」号を見送ったものである。もちろん池袋線へ行けば「レッドアロー」の姿は毎日見られたが、子供心で考えればやはりこう言うのは地元を走るからこそ嬉しいものである。この運行形態は1980年代を通じて続いた。

 1990年代に入ると車齢20年を過ぎた5000系「レッドアロー」は老朽化が問題になる。そこでこの「レッドアロー」を置き換えるべき新型特急電車が製作される事となった。1993年末に10000系「ニューレッドアロー」として登場した西武の新型特急電車の最初の活躍場所は…なんと新宿線であった。新宿線で休日だけ運行されていた「おくちちぶ」号は廃止となり、その間合い運用で西武新宿と本川越を結んでいた「むさし」号が毎日運行の新列車へ発展解消する形で西武新宿線に特急「小江戸」号が誕生したのだ。
 この報せに喜んだ私は、「小江戸」号を処女列車から追いかけ回した。そしてしばらくは西武新宿線の撮影ポイントで、この突如現れた新宿線のクィーンを撮影していたものだ。
 その後、10000系は池袋線にも投入されて5000系「レッドアロー」を置き換えた。廃車になった5000系の一部は現在も富山地方鉄道で元気に活躍しており、最近は映画で主役級に出演するという西武時代より目立った動きもしている。

 このページでは我が家の鉄道模型コレクションの中から、西武鉄道の現在のクイーンである10000系について紹介したい。なお、「レッドアロークラシック」は池袋線所属の車両ではあるが、私は新宿線系で運用された姿を再現しているので新宿線コーナーで合わせての紹介としたい。

 なお、先代の特急5000系「レッドアロー」の模型もかつてトミックスから発売されていて、私もこれを1編成所有しているがもう動力が古くてどうにもならないのが実状だ。現在、動力部の再整備や外見の見栄えを良くするなどの再生計画を検討しており、実現の暁には当サイトの池袋線のページで公開する予定である。
 もちろん、5000系のヘッドマークは週に一度の新宿線特急「おくちちぶ」を入れることにしている。
我が家の「ニューレッドアロー」は2編成
どちらも新宿線系での活躍を再現した

・「小江戸」号
西武新宿線に現れたクィーン
 前述の通り、1993年年末のダイヤ改正で我らが西武新宿線に突如として現れたロマンスカー。これまで休日だけ2往復だった特急は毎日運転でさらに終日運転となり、「小江戸」号という新しい名前も付けられた。

 もちろんこの西武新宿線に突如現れたクイーンを模型で揃えたいと考えていたのは言うまでも無い。長く製品に恵まれなかったが、最近になって破竹の勢いのマイクロエースから発売された。仕様は2種類、ひとつは現在のリニューアル後の姿で4号車の屋根上などが改造された姿である。もうひとつは登場時の姿でこちらが本命なのだが、困ったことに編成番号は池袋線に配置された車両を選ばれてしまい90年代の「小江戸」号を再現出来ないのだ。仕方が無いので登場時セットの方を購入し、車号は見逃して雰囲気であの頃の「小江戸」号を再現するということとした。番号の違いだけで外観は全く同じなんだし。
 購入後、連結器をKATOの密連タイプのカプラーに変えるなどして中間部の連結面を短くし、前述の通りヘッドサインは「小江戸」を入れた。

 個人的には好きなモデルの1つである。車体の「大きさ」や難しい色合いが上手く再現されていると思うのだ。前述した通りこの車両も模型で出てくるのをずっと待っていたので、発売が決まった時は701系の時ほどではないにしても嬉しかった。現在も定期的に「ファインクラフト」に持ち込んでは、他の新宿線の仲間達と一緒に走らせて楽しんでいる。
駅構内を行く
90年代の特急にしては華やかさが無く こういう景色にも似合う
橋梁を行く
赤を基調としつつも落ち着いたデザインで見ていて飽きない

・「レッドアロークラシック」の拝島特急
「ニューレッドアロー」を旧塗装にしてみました
 2011年、10000系で池袋線所属の10005編成が検査入場した際、車体がクリーム一色に塗られて出場してきた。その車両が小手指の車両基地に戻ると、赤いストライプや前面フロントガラス回りの装飾をラッピングされ…かつての5000系「レッドアロー」をイメージした塗色に変更されたのだ。これが「レッドアロークラシック」である。
 「レッドアロークラシック」では車体塗装をかつての5000系に準じたものにしただけでなく、車内には特急「レッドアロー」の歴史を写真で展示するなどして利用者に「あの頃」を懐かしんでもらおうという車両であった。2011年11月27日より池袋線特急で運用を開始し、好評を博している。

 「池袋線の車両なのに、なんで新宿線コーナーで紹介するのだ?」と疑問をお持ちの方もあるかも知れない。実は私にとってこの「レッドアロークラシック」との出会いは、池袋線でも新宿線でもなかったのだ。
 2011年年末、西武鉄道は1週間限定で拝島線に特急列車を試験運行した。西武新宿発拝島ゆきの片道運転、途中停車駅は田無・小平・玉川上水というものであった。私はこの列車に乗ってみたかったが、仕事などもありなかなか叶わずにいた。
 ある日の会社帰り、昭島駅から我が家の最寄りバス停に向かう立川バスが西武立川駅近くの松中通りの踏切に引っかかった。「何が来るのだろう?」と思って見ていたら、「臨時」のヘッドサインを掲げた「レッドアロークラシック」だった。その美しいクリームの車体に赤いラインに心を奪われただけでなく、子供の頃に上石神井の踏切で「おくちちぶ」号を見送ったあの頃を思い出した。短い通過時間だったが、色々な思いを感じた瞬間だった。
 しかし、試験運行の拝島線特急にこの「レッドアロークラシック」が運用されるとは思わなかった。これで拝島線での特急列車運行の定期化が近いと思わされたが、残念ながらこれは実現に至っていない。なお2012年夏にも拝島線特急を再度試験運行したが、この時には一般塗装の10000系が使用された。。

 この体験から「レッドアロークラシック」には少し特別な想いもあった。もちろん模型が出るなら欲しいと思ったのも言うまでも無い。
 模型が出たのは2012年夏に、かつて10000系を製品化したマイクロエースからであった。だが時期が悪く、グリーンマックスの6000系やKATOの101系など、Nゲージでは折からの「西武ラッシュ」が続いていた時期で手が出せなかった。店頭に並んだのを悔しい思いをしながら見ていた。
 今年の夏になって、やっと手が届く額でネットオークションに出ていた新古品を見つけたので慌てて落札した。こうして我が家にも「レッドアロークラシック」が入線することになったのだ。

 「小江戸」号と同じように連結器はKATOの密連タイプのものに変更、だけどヘッドマークシールには私が欲しいものが入っていない。もちろん再現したいのは「出会い」の瞬間である、拝島線特急の姿であるからヘッドサインは「臨時」にしたいのだ。
 仕方が無いのでステッカーは自作、インクジェット用ステッカーフィルムに「臨時」を印刷してこれを貼り付けた。これで我が家の「レッドアロークラシック」は突如現れて消えていった拝島線のクイーンとして再現されたのだ。30000系に続いてこちらも最新の西武電車なのに、いきなり「懐かし」の姿になってしまった…。
 この「レッドアロークラシック」も色合いや雰囲気がとても良くて嬉しい次第だ。だが拝島線特急の運行は日が暮れた後だったので、室内灯とか必要なのかなーと思ったりしている。その辺りは今後のテーマとなるであろう。
カーブを行く
これで拝島線特急らしくなったと思う
橋梁を行く
やっぱ電車は白にストライプと思わせてくれる電車だ

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