・プロローグ
2015年12月17日 富士急行 大月線 上大月〜田野倉
 2015年末のある日、私は最後の165系を追いかけるべく大月の地へ向かった。そして最初の撮影地に立ったのだが…。
 この日は冬らしい寒い朝であった。上大月のカーブはまだ陽が差し込まず、寒さに震えながらターゲットを待つ。
 最初に元京王5000系である1000系の河口湖行きがやってきた。23年前、始めて富士急に乗ったときは、元小田急車で電車の色はこれであった。
 リバイバルで1編成だけ、この懐かしい色を再現している。
 すぐに上記の列車と田野倉で交換した大月行きがやってくる。こちらは日本登山鉄道協会の塗装だ。
 そして、この列車を追いかけるように、本日のターゲットである「フジサン特急」がやってくる。
…ところが

(この写真は「おんぷちゃんねる」に投稿したものです)
え〜〜〜〜っ!?
なんで〜っ!?
 2000系「フジサン特急」がやってくるはずなのに、なぜか来たのは元205系の6000系。行き先表示に「特急 大月」って書いてあるから、時刻や列車は間違っていない。
 思わず手元のスマホで運行時刻を確認したが、間違ってない。富士急行のサイトを見たらトップページに「フジサン特急運休のお知らせ」ってあるから検査入場中の8000系のことかと思ってよく見たら2000系の記事じゃん。
 念のため富士山駅に問い合わせたら「車両故障中で運行再開の目処は立っていない」とのこと。うう〜っ、せっかく大月までやってきたのに…。
 この日は前述したように、元小田急RSEである8000系が検査入場中、「富士登山電車」も検査日で運休、平日だからJRからの乗り入れも最小限…富士急行の一般車が嫌いな訳ではないが、いくら何でも撮影バリエーションが少なすぎると判断して、この日の撮り鉄は中止することにした。
 この日から、毎日のように富士急行のサイトをチェックし、2000系の運行再開を待つことになった。

 ちなみにこの日、撮り鉄を中止した私は中央本線勝沼駅付近にある「日影トンネル遊歩道」を訪れてみた。中央本線の廃トンネルを利用したこの遊歩道を一度歩いてみたいと思ったのだ。1300メートルの鉄道トンネルを堂々と歩ける所なんて、滅多にないと思う。

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