・Schnellfahrstrecke Koln-Aachen Route
 ドイツ鉄道:ケルン-アーヘン高速線・Köln Hauptbahnhof(ケルン中央駅)~Aachen Hauptbahnhof(アーヘン中央駅)

 2023年2月12日 プレイ動画追加


ドイツが誇る高速電車でぶっ飛ばす!

・収録車両
 DB BR 406 ICE 3M(高速列車用固定編成電車「ICE 3」)
 DB BR 442 Talent 2(近郊型電車「Talent 2」)

・別売りオプション車両
 DB BR 423 EMU(通勤型電車)

 ドイツ西部ではライン川に沿って都市が連なるが、その中で最大の都市はドイツで4番目に大きな街で名所・旧跡も多いケルンである。
 今回「Train Sim World 3」マップ紹介として、そのケルンからさらに西へ向かい、オランダやベルギーとの国境に近いアーヘンまで約70kmの高速鉄道を紹介しよう。

 ケルンは2000年以上の長い歴史を持つ街で、13世紀から500年も掛けて建てた「ケルン大聖堂」や、西暦50年頃にローマ人が気付いた見張り塔、古い文化を保存する美術館や博物館、チョコレートの博物館などの名所が数多くある古い都だ。古都同士ということで、日本の京都市と姉妹提携を結んでいる。
 そのケルンから西へ向かい、ベルギーのブリュッセルを経てフランスのパリへ向かう高速鉄道路線が形成されている。その最も東の区間が今回紹介する「ケルン-アーヘン高速線」だ。
 この区間はドイツとパリを結ぶ重要ルートの一部でありながら、日本の新幹線やフランスのLGVのような専用の高速線があるわけではなく、既存の路線を改良して最高速度250km/hに対応した「ABS」(再造路線)と呼ばれる路線だ。つまり同じ線路を最高速度250km/hの高速列車と、ローカル列車が一緒に走っているということになる。

 ケルン中央駅を出た列車は、ケルン郊外の住宅街を3線または複々線で西へ向かう。うち2線(複線)が高速線で、残りの1線または2線が「Sバーン」と呼ばれる通勤電車専用線となっている、日本風に言えば「緩行線」だ(この緩行線はホレム駅~デューレン駅間で一部単線区間がある)。
 この区間は最高速度での走行が可能で、ゲームでも列車を走らせるととても楽しい区間である事は確かだ。地形は平坦でカーブなどはほとんどなく、高速線走行の近郊電車の停車駅は待避線もあるため、高速列車は速度制限を受けることがないのだ。
 ケルンから約40kmほどのデューレン駅で「Sバーン」は折り返し、ここから複線となると同時に速度も160km/hに制限される。車窓風景は平坦な台地から丘陵地に変わり、緩勾配と数本のトンネルで丘を越えつつ走る風景に変わる。このデューレン駅を境にした風景の変化はとても印象的だ。
 そして列車はアーヘンの街へ入ってゆく。アーヘンは古代ドイツ語で「水」を意味する語がなまったものといわれ、温泉地として知られている。こちらも古い街で、街には大聖堂も存在する。

 このゲームではこのマップ向けとして、標準で収録される車両が2車種と別売りオプションでさらに1車種の車両が用意されている。
 まずは標準収録の方だが、高速列車として収録されたのがドイツが誇る高速電車「ICE」の三代目車両「ICE3」ことBR406系電車と、高速線の近郊電車として「Talent 2」ことBR442系電車の2車種だ。
 別売りオプションとなるのはケルン中央駅~デューレン駅間で「Sバーン」として走る通勤電車、BR423系電車である。
 車両の詳細は後述のアルバムに回すが、これらの車両の内装はバラエティに富んでいて、フリーモードで乗客として列車に乗るというかたちのプレイでも楽しいものになっている。「ICE3」の展望ラウンジも良いし、コンパートメントやビストロ車に乗るのも良い。また通勤電車の乗客体験も楽しめる車両達だ。

 この路線の印象は、「高速線」というより都市近郊の在来線という感じだ。日本で言えば東京近郊の複々線区間を走っているような感覚に陥る。ただ速度感がまるで違うので、その迫力はものすごい。もちろん「ICE3」で爆走するだけでなく、近郊電車でのんびり走るのも良いし、「Sバーン」の通勤電車でせかせかと走るのも面白いので何度プレイしても飽きない路線のひとつだ。

 こんな路線を本サイトで久々のドイツ路線として取り上げよう。


・車両の紹介
 ドイツが誇る高速電車「ICE」
の三代目車両となる「ICE3」。

 「ICE」はフランス「TGV」と同様、編成両端の電動車(日本の国鉄風に言えば「クモヤ」)で付随車を挟む編成だったが、「ICE3」は4M4Tの8両編成となった。
 これはケルン~フランクフルト間の急勾配に対応するために、電動車比率を上げる必要に迫られた結果だ。
 「ICE3」の中でも本マップに登場するのはBR406系と呼ばれるもので、ベルギーやオランダへの乗り入れに対応した複電圧車だ。
 ケルン中央駅に停車中の「ICE3」、この駅はドーム屋根が特徴的だ。

 「ICE3」は、在来線区間向けの振り子電車である「ICE-T」を基本に高速性能を高めた車両で、2000年に登場した。
 最高速度はドイツ国内では300km/h、フランス乗り入れや英仏海峡トンネル乗り入れに対応した車両は現地で320km/hとされている。
 複電圧対応車両のBR406系は、オランダのアムステルダムを経て、ベルギーのブリュッセルを結ぶルートで、2001年に登場した。
 アーヘン中央駅に到着した「ICE3」、この駅もドーム屋根が特徴だ。

 編成は8両編成、2編成繋いでの仕様も可能だが、このゲームでは併結運転はない。
 8両中5両が日本の普通車に当たる二等車、2両が一等車、残りの1両は「ビストロ」と呼ばれる食堂車…日本の鉄道で言えば「ビュフェ」に相当するものだ。
 では、車内の様子を見てみよう。
 まずは一等車の一般客室、マクラが別体で革張りのゆったりとしたシートが並ぶ。
 ただこれもヨーロッパのおやくそくだが、座席は回転しない。この座席が「集団見合い」の配置で並べられている。
 車内の間接照明の雰囲気がとても良い。
 一等車で中間車は、客室の半分はこのようなコンパートメントになっている。座席は開放室と同じもののようだ。
 高速電車にもコンパートメントというのはドイツならでは、この後もバラエティに富んだ客室の画像が出てくるので、「うらやましい」と思う日本の鉄道ファンが多いことだろう。
 先頭車の運転席背後の区画はこのような「展望ラウンジ」になっている。一等車の場合は定員9名…こういうのが日本の新幹線でもあったらなー…。
 運転席側から一等展望ラウンジを見てみる。映画館のように後ろへ行くほど高くなっている「ひな壇」式なのがわかる。
 でもこれじゃ、運転士さんは「見世物じゃねーぞ!」って感じることだろうなぁ…調べてみたら、運転士が仕切りのガラスにスモークを掛けているケースが多いという。
  最前列のいわゆる「ヲタシート」に座って前を見てみた。見晴らしはあまり良くないんだな…新幹線で前面展望はやっぱり無理があるってことだ。

 この画像でお気づきになった方もあると思うが、この車両は運転席に専用の出入り口がない。だから運転席に乗り込むには客席経由になる。
 編成のほぼ中間に連結されている「ビストロ」車。ゲームではシャッターが閉まっているが、営業列車ではここで軽食を販売しているとのこと。
 車内では調理はしておらず、冷蔵か冷凍した食材を電子レンジでチンして提供しているという。
 まさに日本の鉄道でいう「ビュフェ」だ。

 こういう設備がドイツでも採算が取れているとは思えない。やっぱり鉄道の旅に付加価値を付ける「サービス」が目的なんだろうな、日本の鉄道はそういうことを考えなくなって久しい。
 「ビストロ」車はメインは立ち席での飲食だが、テーブル席も用意されている。
 だけどこのゲームの車両だと、なぜか「ビストロ」のテーブル席にいつも人がいるんだよなー、だから良いスクショが取れてないんです。
 これが二等車、「ICE3」ではそのほとんどがこのような開放座席だ。
 一等車に比べると座席はモケット張りで、横幅が狭い。もちろんヨーロッパのおやくそくで回転はしないが、座席配置が独特でボックス席が増えるよう工夫している。
  二等車になぜか1室だけあるコンパートメント。それも一等車のそれとは趣がかなり違う…それともこれは「多目的室」なのかな?
 初代の「ICE」車両では、二等車にもコンパートメントの設定がある。入り口のドアに指定席番号が書いてあるみたいだ。
 二等車でも先頭車の運転席背後の区画は展望ラウンジになっている。横4列の座席で、こちらは狭苦しく見える。
  運転席側から見るとやはり座席がひな壇になっている。
 この展望ラウンジ席って、指定席なのかな?…と思い調べてみたら、一等・二等とも「VIP席」として別枠になっているとのこと。また携帯電話の使用などが禁じられた「サイレントスペース」に指定されているとのことだ。
 これが「ICE3」のコックピットだ。この運転席、正直言うとデザインは良いんだけど機能的にはどうかと思う。スイッチ類の並びは見栄えが良いけど、何処に何のスイッチがあるか解らなくなることも…ゲームだからかなぁ?
 続いてBR442系「Talent 2」だ。赤い低床構造の4連接で編成長72.3メートルの、日本にはないタイプの近郊型電車。

 2011年から2017年に掛けて製造され、ドイツ各地で活躍しているのは言うまでもない。機器類の多くをを屋根上に装備することで低床化(床面高さ695mm…台車部分除く)を実現、ドイツ独特の低いホームからノンステップで乗り込めるようになり、バリアフリーに対応している。
 ホーム目線で「Talent 2」を眺めてみる。側面部分が見えなければ、普通の電車なんだけどね。

 本マップでは日本で言うところの「近郊型」仕様なので、各車の側扉は1箇所ずつとなっている。中間車が全車2扉車になる通勤仕様も存在するとのこと。
 車内は固定クロスシートが「集団見合い」のかたちで配置されている。この座席配置は地域によって違うとのこと。
 床が低い分天井が高いせいか、車内が狭苦しく見える。また台車部分の床面が高くなるので、車内に凹凸が多いのが特徴。このスクショは編成中で最も凹凸が少ない1扉中間車で撮った。
 中間車にはこのような広い立ち席スペースがある。ここは車椅子利用者のスペースであるとともに、自転車持ち込み可のスペースにもなっているという。
 真ん中に見える出っ張りは、車椅子対応トイレだ。
 「Talent 2」の運転席、基本的な配置は前述の「ICE3」とほぼ同じだが、こちらは右手操作のワンハンドルマスコン。
 ワンハンドルマスコンは日本の電車のようなノッチ刻みはなく、アナログ的な操作ができるようだ。
 別売りオプションとなるのは通勤電車であるBR423系電車だ。
 本マップではケルン中央駅~デューレン駅間の緩行線を走る「Sバーン」に使用されている。
 「Sバーン」とは、ドイツ(およびドイツ語圏の各国)の各都市にある、路面電車や地下鉄以外の都市鉄道を言う。

 このBR423系を導入すると本マップに「Sバーン」のダイヤが追加され、行き交う列車が増えてとても楽しくなる。これがない状態は他列車と出会うことが少なくてとても寂しいほどだ。
 BR423系は1998年から9年間にわたって462編成が製造された「Sバーン」向け通勤電車。ケルンの「Sバーン」では2000年5月から活躍している。
 4連接で編成長67.4メートルであるが、「Talent 2」のような低床構造ではなく機器類も普通の電車と同じく床下に吊られている。

 本マップではケルン-アーヘン高速線からケルン中央駅を経てボンへ向かう「S19」「S12」という路線の一部が再現されている。ちなみに「S19」と「S12」の違いは、始発駅がデューレン駅かホレム駅かの違いと、ケルン中央駅から先の経由地だ。
 BR423系の車内はごく普通のボックスシート、車両の連結部は昔の日本の地下鉄千代田線のような超幅広の貫通路構造になっていて見通しが良い。
 ボックスシートだが座席は細くて立ち席スペースも広い。
 運転席背後の区画はこのようなサロンになっている。日本の通勤電車には見られないものだ。
 「Sバーン」に一等の設定がある路線の場合、この区画は一般的な座席の一等室になるとのことだ。
 上画像の運転席への扉のところに立てば、こんな風に「かぶりつき」も出来る…ゲームなのに。

 そんな乗り方をパソコンのシミュレータゲームで出来るというのは、ある意味凄いと思う。運転席に座っているAIが運転をしてくれるからね。しかも、キャプ画撮影時のAI運転士はおねいさんだった。
 BR423系の運転席、「Talent 2」と似ているがワンハンドルマスコンは左手での操作になる点が違う。
 非貫通スタイルのおかげで運転席は広いが、日本の通勤電車のそれとの違いは運転台が真ん中にあることだ。

…続いて、今回も車窓風景を「プレイ動画」で紹介しよう。

・「世界の車窓から」
 アーヘン中央駅→ケルン中央駅 「ICE3」による全線プレイ動画
(約40分)

「ICE3」でアーヘン中央駅からケルン中央駅まで大爆走!
雪晴れのケルンへ、最高速度250km/hで突っ走る。

 ケルン中央駅→デューレン駅 BR423系による「Sバーン」プレイ動画
(約42分)

BR423系でケルン中央駅からデューレン駅まで各駅停車の旅
各駅停車とは言え最高速度140km/h、「Sバーン」恐るべし。

 日本で言えば在来線に当たる路線の高速運転、こんな運転体験もヨーロッパならではだ。
高速電車から各駅停車まであって飽きないので、多くの人に手に取ってもらいたい。


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