・Southeastern Highspeed: London St Pancras – Ashford Intl & Faversham Route
 サウスイースタン鉄道:London St Pancras(ロンドン セントパンクラス駅)~Ashford Intl(アシュフォード国際駅)/Faversham(フェイビシャム駅)

 2023年1月29日 プレイ動画追加


日本で生まれた高速電車の旅を楽しもう!

・収録車両
 BR Class 395 EMU(高速列車用固定編成電車)
 BR Class 375/9 EMU(一般型電車)
 BR Class 465/9 EMU(一般型電車)
 BR Class 66 Diesel Locomotive(貨物用ディーゼル機関車)
 その他 関連貨車

 イギリスの首都はロンドン、ここからドーバー海峡を英仏海底トンネルで渡ってパリへ行く「ユーロスター」が運行されたのは1994年のことだ。当時はドーバー海峡からグレードブリテン島に上陸した「ユーロスター」は、イギリスの在来線を走行してロンドンを目指していたが、第三軌条集電である事や電源電圧が低いこともあって速度が制限され到達時間短縮の足かせとなり、せっかくの英仏海峡トンネルの能力もフルには発揮できなかった。
 それは1997年にフランスとベルギーによってパリ~英仏海峡トンネル間の高速新線が開業すると、特に顕著になった。

 そこでロンドンから英仏海峡トンネルまで高速新線…日本風に言えば新幹線の線路が作られることになった。第一期工事として英仏海峡トンネル側から工事を開始し、ロンドンの東約40キロほどのところであるサウスストンまで2003年に開業。続けてロンドン市街や郊外の宅地などを通過して市街のターヘミナル駅に至る第二期工事が始まり、これが2007年に開通し、「ユーロスター」はグレードブリテン島でも高速新線の線路を走り、ロンドン市街のターミナル駅への到達時間を大幅に短縮した。

 このそしてこの高速新線を使った国内の中短距離輸送が企図される。2012年のロンドンオリンピックを控え、そのメインスタジアムがこの高速新線の駅近くに作られたこともあり、ロンドン市街から高速新線を経由してケント県方面への通勤輸送を中心とした輸送を行うものだった。

 この計画において高速新線におれる高速走行と、在来線でのローカル運行の双方に対応した車両が必要となった。これに使う車両の受注に世界中の鉄道車両メーカーが手を上げたが、その中で受注を射止めたのが日本の日立製作所だった。
 こうして生まれたのが今回紹介する日本生まれのClass395系電車だ。2007年から山口県にある日立製作所の工場で製造が始まり、試運転を重ねた上で2009年から営業運転を開始した。2012年にはオリンピック輸送を担う「オリンピックジャベリン」号としても運行されている。

 路線はロンドンから高速新線と、ケント県方面の在来線が再現されている。
 高速新線はロンドン・セントパンクラス駅から、オリンピックメインスタジアムの最寄り駅であるストラトフォード駅を経由して、テムズ川河底トンネルをくぐってアシュフォード国際駅までの約90キロが再現されている。
 在来線はロンドンの南東にあるダートフォードから、ロチェスターを経由してフェイビシャムまでが再現されている。途中のグレーブセンド駅付近からエブスフリート国際駅で高速新線と合流する短絡線を分岐し、Class395系による「新在直通」列車をロンドン・セントパンクラス駅からフェイビシャムまで運転する体験ができる。
 高速新線ではClass395系のみで一緒に走っているはずの「ユーロスター」等が出てこないのは残念だが、在来線区間では通勤電車2形式とディーゼル機関車1形式も運転体験することが可能というパッケージだ。

 この路線のマップは旧作の「Train Simulator」でも再現されており、私もこれを早い段階に購入していた。本サイトで「Train Simulator」を取り上げて間もない頃に紹介する予定だったが、他の路線の紹介を優先させて後回しにしている間に時が流れてしまったものだ。
 旧作では高速新線はロンドン・セントパンクラス駅からエブスフリート駅まで、在来線はエブスフリートへの短絡線分岐からフェイビシャム駅までが再現されていた。これに別売りオプションでシッティングボーン駅からクィーンズバラ駅までへの支線が追加できるようになっていた。
 旧作の車両はClass395系と通勤電車2形式が当時の姿で再現、これに支線用の短編成の通勤電車が別売りオプションで加わる形だった。

 この路線は高速新線と在来線を行ったり来たりする運転が面白いし、この切り替えもまた操作が色々あって面白い路線だ。在来線も草原や市街地、長大トンネルや丘陵越えなど変化に富んでいて、通勤電車のプレイも楽しくて一度ハマるとやめられない路線マップのひとつである事は確かだ。

 このマップが、昨年秋に「Train Sim World 2」からバージョンアップした「Train Sim World 3」では標準装備路線のひとつに加わった(購入時にイギリス方面のパッケージングを選択した場合)。「Train Sim World 2」のDLCマップとしては以前からあったが、この標準装備化と同時に運転可能区間が前述の区間に延ばされてリニューアルされた。
 もちろんこのマップでも列車の運転を楽しむだけでなく、フリーモードではダイヤに沿って走っている車両に客として乗り込み、景色を楽しむ等の遊び方も出来る。

 そんな路線を私の「Train Sim World 3」マップ紹介最初の路線として取り上げよう。


・車両の紹介
 今回のマップでは、ジリンガム駅付近とアシュフォード国際駅付近の2箇所に車両基地がある。フリーモードでアシュフォードの車両基地へ行き、このマップの登場車両をじっくり見てみた。
 これが日本で造られたClass395系電車だ。2007年から日立製作所の山口県にある工場で製作された。
 その後試運転を重ね、2009年12月から営業運転を開始した。

 このスクショは、車両基地構内を洗車のために移動している車両を撮ったもの。こういう風にフリーモードでは、車両基地構内でも車両が細かいダイヤに従って走っている。
 もちろん、この構内運行も運転席に乗り込めば運転体験出来る。
 最高速度は高速新線で225km/hと、他の高速鉄道よりちょっと控えめになっている。
 というのも在来線区間での加減速面も考慮した性能になっているからだ。
 編成は6両編成、ラッシュ時等はこれを2本繋いで12両編成という使い方もされる。

 このショットは車両基地ではなく、フリーモードで車両を眺めている時に撮ったもの。次の画も含め、グレーブセンド駅でののものだ。
 その連結部をアップで見てみる…東北新幹線でよく見る光景だ、「つばさ」とか「こまち」とか…。
 でもヨーロッパの高速列車はこういう連結が多いと思う。TGVなんかもこういうかたちで2編成繋げますね。
 車内を見てみるとデッキはなく、固定クロスシートが「集団見合い」のかたちで配置されている。
 高速列車でありながら長距離輸送主体ではなく、中近距離輸送を目的としていることがよく分かる。
そしてこれが運転時に乗り込むコックピットだ。
 左手操作のワンハンドルマスコン、高速運行の割に加速のノッチ刻みは4段、ブレーキは「3」~「10」で8段。広くて見晴らしが良くて良いですね。
 続いて本ゲームでは通勤電車として登場するClass375系電車。
 前面貫通スタイルで側扉が片側2枚というのは、イギリスの通勤電車の基本的な構造だ。

 この電車は交直両用で、直流750V第三軌条集電と、交流25000V架線集電の双方に対処しているが、ゲームに出てくる車両はパンタグラフがないので直流区間しか走れない。
 また側面の窓周りが黄色く塗られているところは一等室、紫で塗られているところはバリアフリー設備設置箇所を示している。
  ちょっと角度を変えて見てみると、角張ったスタイルの中にも優しさがあるデザイン。
 Class375系は2001年から2004年に掛け、ボンバルディアトランスポーテーションで製造された。2015年からは塗色変更を含むリニューアルが行われ、本ゲームではこのリニューアル後の姿が再現されている。
 旧作の「Train Simulator」ではリニューアル前の姿で再現されていた。
 車内の様子を見てみよう。
 運転席背後の区画は一等客室に指定されていて、シートカバーが掛かり横幅とシートピッチが拡げられたシートが並ぶ。
 客室が狭く独特の雰囲気がある。
 こちらは一般客室となる二等客室。こちらも固定クロスシートが「集団見合い」のかたちで並んでいるが…。
 この狭いシートを見て正直乗りたいとは思えなかったな。通路が狭い分、日本のロングシート電車と同程度の着席スペースは確保されているのだろうけど。
 前面貫通スタイルなので、他編成と連結した際は貫通路を作って通り抜けが出来るようになる。
 このゲーム上の車体でも、貫通路を作ることが出来る。扉を開いたり閉めたりしていると通路が出来上がるのは面白い。
 ちなみに貫通路が組み上がると、一等客室と貫通路の間は透明な自動ドアで仕切られるようになっている。
  Class375系の運転席は「狭い!」のひと言に尽きる。
 イギリスのこの手の通勤車両は、年々装備が増えていってどんどん狭くなっているという。かといって貫通構造もやめられないようだ…。
 その狭さの中に、様々な機器類を並べるのに苦労したんだろうな…。
 ゲームに付属の車体の塗装を変えるツールを使って、Class375系を塗り替えてみた。
 作ってみたのは日本の東武鉄道風の塗装。東武8000系の塗装が似合うのでは?と思ってやってみたら…悪くないじゃん。

 この塗装の車両、後で出てくるプレイ動画で運転します。
  次はClass465系だ。
 イギリスの国鉄時代最末期となる1991年から数年間にわたり作られた通勤電車で、イギリスに数多くいた「他扉電車」という旧型電車を民営化前に置き換えた車両だ。
 登場から30年、そのくたびれ具合もこのゲームでは再現されているのが面白い。

 このスクショは、アシュフォードの車両基地の検車庫にあるピット線で撮った。車両整備員視点だと迫力がある。
 検車庫から日当たりの良い場所に引っ張り出してみた
 非貫通の正面二枚窓、連結器の横の膨らみ、そして床下器機を覆うカバーが特徴的だ。
 このゲームでは主に途中駅折り返しのローカル列車で登場する。

 こんな感じで、車両基地に停まっている車両は乗り込めば、信号を守る範囲で動かすことも出来ます。もちろんスクショ撮影の後は元に戻しました。
 車内はClass375系と同様の配置だが、内装の色使いで雰囲気を変えている。
 こちらは運転室背後の区画に設置された一等室。
 二等室もClass375系と同じ室内構成だ。
 ちなみに2010年から内装や機器類のリニューアル工事が行われており、このゲームではリニューアル後の姿で再現されている(旧作も同様だった記憶が…)。
 運転席はClass375系と基本構成は同じだが、非貫通スタイルのためあの狭さはなく、見晴らしも良くて運転しやすい。
 この車両でのローカル列車運転のプレイはとても楽しい。
 最後に紹介するのは、このゲームで貨物列車を運転する際に登場するディーゼル機関車、Class66形機関車だ。
 この機関車はアシュフォードの車両基地にいないので、ホージャンクション貨物駅でスクショを撮った。

 赤い塗装と角張った車体が印象的で、在来線区間で重たい貨物を牽く。
 こちらは「1エンド側」だ。
 反対側の「2エンド側」から見てみる。機内の機器類の配置の都合で前後があり、こっち側と向こう側ではフィルターの形状などが違う。
 また扉から運転室に至る経路が前後で違うから面白い。
 Class66形の運転席は、大型ディーゼル機関にしては質素な印象がある。
 ちなみにこの記事を書いているこの時点で、この機関車はまだ運転していません。旅客列車だけで存分に楽しめるマップなんでね。

…というかたちで車両を紹介した後は、車窓風景を「プレイ動画」で紹介しよう。全編で70分もの長い動画になるがご覧あれ。

・「世界の車窓から」
 フェイビシャム→ロンドン・セントパンクラス間 全線プレイ動画
(約70分)

Class395系電車をフェイビシャム駅からロンドン・セントパンクラス駅まで運転してみた。
雪晴れのケント県から首都ロンドンまでの旅をどうぞ。

 ロチェスター→フェイビシャム間 各駅停車のプレイ動画
(約41分)
 
Class375系電車でロチェスター駅からフェイビシャム駅まで運転してみた。
天候設定は猛吹雪、悪天候下のプレイをご覧あれ。

 日本で言えば在来線と新幹線を直通する運転で、こんな運転体験はヨーロッパならではだ。
楽しい路線で飽きないので、多くの人に手に取ってもらいたいマップだ。

今後も「Train Sim World 3」の路線を取り上げていきたいと考えている。


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