・Tōhoku High Speed & Main Line Route
 東日本旅客鉄道(JR東日本)東北本線:北上~盛岡/東北新幹線:仙台~盛岡

春の東北本線を行く

・収録車両
 JR E5系新幹線電車
 JR 701系気動車

・購入済みアドオン車両
 今のところなし

・経由地
 ・新幹線
 仙台~古川~くりこま高原~一ノ関~水沢江刺~北上~新花巻~盛岡
 ・在来線
 北上~村崎野~花巻~花巻空港~石鳥谷~日詰~紫波中央~古館~矢幅~岩手飯岡~仙北町~盛岡



 「Train Simulator」シリーズにまた日本の路線が加わった。今年の3月に日本の実在路線の4路線目のマップが発売されたので紹介したい。

 今回「Train Simulator」に加わった日本の路線は、日本の大動脈の一つである東北本線と東北新幹線、しかも新幹線と並行在来線の双方を運転体験出来るという驚きの内容だ。
 再現されたのは岩手県の中央部を中心とした区間で、新幹線は仙台~盛岡間、在来線は北上~盛岡間となる。そして車両は、新幹線は日本の最速列車である新幹線「はやぶさ」号にも運用されるE5系新幹線電車が、在来線は東北地方の電化区間の主力といえる701系電車を同梱している。

 時に今回のマップでの注目は、なんと言っても東北新幹線だろう。これまで「Train Simulator」シリーズには、ドイツのICE、フランスのTGV、中国高速鉄道といった300km/h超の路線と車両がラインナップされ続けてきたが、日本の新幹線の登場はなく(※)日本の本ゲームのファンとしては寂しい思いをしていたところだ。とりあえず中国高速鉄道のマップでJR東日本E2系新幹線電車とほぼ同じ日本製のCRH2系電車を走らせて、新幹線の雰囲気を無理矢理味わうしかなかったのが正直なところだった。
 それが東北新幹線でも「はやぶさ」が最高速度でかっ飛ばす区間でかつ、国鉄時代に開業した新幹線ではもっとも風光明媚といえる区間が再現されたのだから嬉しいというほかないだろう。
(※)サードパーティーによる非公式なものも含めば山陽新幹線のマップがあったが、日本語環境では動作不能と言われていた。

 在来線も岩手県中央部の盛岡・花巻・北上という都市を貫く区間を再現していて、全区間が平坦な盆地で地形に変化がないがゆえに直線区間が多い主要幹線のイメージをよく再現している。

 では早速、本ゲームのスクリーンショットをアルバム形式で見ていこう。


・世界の車窓から
 

まず在来線の方から紹介しよう。
今回収録の在来線車両は、東北地方の電化ローカル列車の主力である701系電車だ。

この701系は盛岡所属のものが再現されている。
なお、本ゲームには仙台所属の緑色のラインを巻いたものも用意されている。
 701系の車内はこんな感じに再現されている。紫色のシートがこの区間の旅情だ。
 では運転席を覗いてみる。ワンマン運転対応のオープンスタイルの電車だ。
 運転台は日本の「今時の電車」の雰囲気がうまく出ている。
 このゲームのこの車両は、マスコンハンドルが重いんだよなぁ。

では、マップ付属のシナリオに沿って北上駅を早朝に出発する快速列車で盛岡まで行ってみよう。
このシナリオでは未明の雰囲気がとても良いです。
 この快速列車は2両編成を2本繋げた4両編成。車内灯の灯りが眩しい走行シーンが展開される。
 未明の花巻駅に到着。
 花巻駅は東北本線の起点である東京駅からちょうど500kmの地点にあり、駅構内には500kmポストもある。
 このゲームでそのキロポストを探したけど、なかった…。
 夜明け前の車窓風景に、並行する新幹線の高架橋が見える。
 矢幅駅と岩手飯岡駅の間で、下り線は一度高架線になる。
 盛岡貨物ターミナル駅への線路を乗り越えるためだ。
 やがて列車は北上川のほとりに拡がる盛岡の街へと入ってゆく。
 橋梁で渡るのは、この地点で北上川と合流する雫石川だ。
 東北本線の在来線は、かなり上流まで北上川を渡ることはない。
 夜明けの盛岡駅に到着。
 この盛岡駅在来線ホームの雰囲気は、実際の駅の雰囲気が良く出ています。

 では続いて、新幹線に乗り換えて折り返し仙台へ向かいます。

東北新幹線の方は、日本最速「はやぶさ」号のE5です。
朝に盛岡駅を出る上り「はやぶさ」号のシナリオに沿って、仙台を目指します。
 盛岡駅の新幹線ホームの様子です。東北新幹線が盛岡までだった時代はよく利用しました。
 雰囲気は良いけど、次列車案内が真っ黒なのは…これは仕方がないか。
 E5系の客室の様子。車内視点は普通車だけですが、良い感じです。
 座席は常に東京方向を向いていますので、下り電車をプレイすると後ろ向きになっちゃいます。
 E5系の運転席、液晶モニタ3面のグラスコックピット。
 このモニタの画面は、列車の動きに合わせて完全ではないけど動いています。
 D-ATCもツッコミどころはあるものの、ゲームとしては問題ないでしょう。「はやぶさ」運転の雰囲気満点です。
 では出発です。盛岡駅は新幹線が開業してから、すっかりビルに囲まれてしまいました。

盛岡駅を出るとすぐに雫石川を渡ります。
こんな空撮カットはゲームならではですね。
 保線区員視点で高架橋を行くE5系は、そのボンネットの長さもあって大迫力です。
 新花巻駅通過。
 1986年11月に追加された駅なので、待避線の設備はありません。
 ですが豪雪地帯なので、駅は線路部分も含めて完全に屋根に覆われています。
 第三北上川橋梁を行く。もっとも盛岡寄りの第四北上川橋梁は、この時のプレイでは見落としていました。
 在来線は北上川の西側の都市を貫きますが、新幹線は北上川の東側にある山の麓を突っ走ります。
 そのため、北上川を4回渡るのです。
 第三北上川橋梁を渡ってしばらく行くと市街地に入り、北上駅を通過します。
 ここも豪雪地帯ですので、線路も含めて屋根に覆われています。
 駅構内で線路がカーブしているので、「駅撮り」でも迫力のある通過シーンが撮影できます。
 このような上りホームから上り通過列車を撮影した写真もよく見かける駅です。

北上駅を通過すると、すぐに第二北上川橋梁(1029メートル)を渡ります。
全体が半径4000メートルのカーブになる、長いトラス橋梁です。
 第二北上川橋梁を行く列車を、保線区員視点で見る。カーブしたトラス橋の特徴がおわかりいただけると思う。
 長さ4キロに及ぶ長いカーブの途中に、この橋梁があるのだ。
 北上川の東側に出て、平坦な農耕地帯をしばらく行くと水沢江刺駅を通過。
 ここも1986年11月に追加された駅で、待避線はありません。
 水沢江刺駅を通過すると、北上川の東に連なる山岳をトンネルで一気にぶち抜く。
 このうち最も仙台寄りにあるのが、本マップ区間で最も長いトンネルとなる、一ノ関トンネル(9730メートル)だ。

 そしてその長いトンネルを抜けると…。

本マップ再現区間で最大の名所、第一北上川橋梁(3868メートル)だ。
日本で三番目に長い橋で、もちろん鉄道橋では日本最長である。

この橋梁は長いだけではなく、周囲の風景の美しさがとても良い。
これより長い橋は、国内では東京湾アクアラインと明石海峡大橋だけと言われれば驚くだろう。
 川の本流部分(トラス橋部分)だけでなく、この広大な遊水池を渡る部分も第一北上川橋梁なのだ。

 橋梁の長さの定義(参考サイト)に照らし合わせると、この橋梁は一ノ関の市街地から、一ノ関トンネル入り口までの3868メートルになるのです。
 その一ノ関駅に近い側は、単なる高架橋にしか見えないかもしれないが…。
 長い第一北上川橋梁を渡り終えると、列車はすぐに一ノ関駅を通過します。
 待避線設置のの直線的な駅で、やはり豪雪に備えて完全に屋根に覆われています。
 一ノ関駅を通過すると、列車は上り勾配へと突っ込みます。
 いよいよ北上川沿いの盆地に別れを告げ、仙台平野とを隔てる峠道に挑むのです。

 この一ノ関駅前後は、見所が多くて乗っていて楽しい区間です。

ものすごいスピードであっという間に峠を超えました。
仙台平野は東北地方最大の平坦地で、その中心都市が東北地方最大の都市 仙台です。
 峠を越えるとすぐにくりこま高原を通過。駅名標が「くりこま高原駅」になっているのはなぜ?

 ここは豪雪地帯ではないので、線路の上まで覆う屋根はありません。駅が明るくていいな。

 ここは1990年3月に追加された駅なので、待避線等はありません。
 景色に変化のない平原を突っ走ると、続けて古川駅を通過。
 ここも線路を覆う屋根はありません。
 古川の市街地を行く。ここは東北本線の在来線からは逸れていますが、古くから国道や高速道路の経由地だったために都市化が進んでいます。

古川と仙台の間は松島付近の丘陵地を越えるトンネルが続きます。
そのトンネルの合間で、一瞬のすれ違いです。
 丘陵地を越えると、東北新幹線車両の「家」ともいえる仙台総合車両所への回送線が合流します。
 仙台まであと少しです。
 160km/h信号を受けると、仙台の市街地に入ってゆきます。
 パターンに当てないように速度を落としてゆきます…って、D-ATCってそういう運転でいいのかな?
 ♪(オルゴール音)…まもなく仙台です。東北本線、仙山線、仙石線はお乗り換えです。

…80km/h信号を受けてさらに減速してゆきます。
 そして仙台駅手前の印象的なカーブです。このカーブを曲がりきると、仙台駅ホームに飛び込みます。
 無事仙台駅に到着。ホームはもっと賑やかでもいいと思うけど、そしたら重くなるのか…。
 ご乗車ありがとうございました。

 さすがにこの先も再現してくれっていうのは贅沢ですね。
 でも連結相手のE6系「こまち」とか出してくれないかな。CRH2系を改造してE2系とか…。

ジョークのひとつとして、東北新幹線にTGVを走らせてみました。
「TGV Duplex」による「MAXやまびこ」です(笑)。
 走ることが出来たには出来たけど、やっぱりD-ATCは動作しません。

 ちなみにCRH2系をこのマップで走らせようとしたら、「無信号」と表示され走ることは出来ませんでした。
 北上駅に停車する「TGV Duplex」…って、なんかビミョー。
 でも一つ解ったことは、やっぱりTGVって思ったより小さいんだなってことです。
 在来線の方でも、只見線マップのキハ40系を走らせてみました。こっちは「あってもいいかな」って思ったけど。
 キハ40系の自作シナリオでも作ってみようかしら?

(この画像はSteamで共有しています)

本マップに限らず、このゲームの日本の路線が外国人の手で作られているのはちょっと悲しいです。
日本産の鉄道シミュレータゲームは通勤路線ばかりで、
このような高速列車や地方の主要幹線、それにローカル線などはほとんどありません。
正直言って、海外の人の方が日本の鉄道の面白さが解っているんじゃないかと疑いたくなります。
確かに日本人でないと解らないツッコミどころはありますが、
それを補って余るほど雰囲気は出ていて、面白いゲームと思います。

一人でも多くの日本の鉄道ファンがこのゲームを、このマップを手にすることを願って、
今回は終わりにしたいと思います。
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