・West Cornwall Local:Penzance-St Austell & St Ives
 コーニッシュ本線:Penzance(ペンザンス駅)~St Austell(セント・オーステル駅)/St Erth(セント・アス駅)~St Ives(セント・アイヴス駅)

・2024年4月21日 プレイ動画追加


海辺のローカル線を行く

・収録車両
 BR Class 150/2 in Regional Railways livery(一般形気動車 国鉄・地方鉄道塗装)
 Class 37/5 in Railfreight Grey livery(ディーゼル機関車 国鉄・貨物鉄道塗装)
 その他 関連する貨車

・オプション車両(別売)
 LMS Jubilee Class locomotive(旅客用蒸気機関車)
  ※ 要「West Cornwall Steam Railtour Add-On」
 (その他 他のマップDLC導入により運転可能となる車両あり)


 今回紹介する路線はイギリス南西部、グレードブリテン島の南西端に位置するコーンウォール地方の幹線であるコーニッシュ本線だ。
 首都ロンドンとイギリス南西部を結ぶ幹線の末端に当たる区間、セント・オーステル駅からペンザンス駅までの約40マイル(64km)の本線と、この途中にあるセント・エス駅から分岐するセント・アイヴス支線(4マイル=約6.4km)が再現されている。マップの時代設定は1990年代初頭(イギリスの国鉄民営化直前)とされている。

 セント・オーステル駅からペンザンス駅を結ぶ本線は、幹線といっても大都市間を結ぶ主要幹線から少し格が低い路線で、国土の末端を結ぶいわゆる「亜幹線」と呼ばれる路線と考えれば良い。高速・大量輸送よりコスト面が考慮された路線で、さらにこの路線が最も衰退していた時代と設定され、一部が単線区間だったり廃駅をいくつか通過したりという寂しい光景だ。
 だが幹線らしく駅間距離は長く、各駅停車でも10km以上停車しないところもある。そこを一時代前のローカル気動車ですっ飛ばして行くという、一時代前の亜幹線の旅を楽しめるとても楽しいマップだ。緑豊かな丘陵をいくつも越えて海を目指す…本当に風情がある路線で、1時間弱のプレイ時間が短く感じる。

 セント・アイヴスへの支線はこれとは打って変わり、典型的なローカル線の光景が再現される。全線単線で駅は全部棒線構造なので、すれ違いも出来ない小さな路線だ。そして車窓に広がる海岸線の風景はゲームながらにして風情と旅情を感じるマップで、短い路線だけどつい時間を忘れてプレイしてしまう。そんなローカル線を、やはり一時代前の気動車でトコトコと走るこのマップは、日本の鉄道運転ゲームにはないのんびりしたものでとても面白い。

 旅客列車用の車両として、イギリスの非電化路線で一時代を築いたとも言える「スプリンター」という気動車群の基本形式となるClass150系気動車。車両の詳細は後述のアルバムで紹介しよう。
 これとは別に貨物列車も運転可能で、これにはClass37形ディーゼル機関車と関連貨車が用意されている。
 その他、今回は紹介しないが別売りオプションで保存運行用の蒸気機関車(ジュビリー級)が用意され、これを導入すれば蒸気機関車牽引の臨時列車を運行できる。
 さらに他のマップDLCとの組み合わせで、Class150系よりさらに旧式の気動車や、レールバスの運行を楽しむことも出来る。

 ひとつのマップで様々な楽しみ方が出来るので、古いマップ(「Train Sim World 2」時代のもの)ではあるが安心して他人に勧められるマップだ。

 では、まずは車両の紹介をしていこう。


・車両の紹介
 本マップに付属の旅客車両は、現代から見れば一時代前の気動車となるClass150系。
 イギリス国鉄の非電化路線で一時代を築いた「スプリンター」と呼ばれる気動車群の基本形式だ。

 「スプリンター」は路線や地方によって様々な仕様がある。両運転台で単行運転可能なものや、客扉を車端に寄せてデッキ仕切りがある長距離仕様など。

 日本の気動車に当てはめればキハ40系列みたいなものだと考えればいいだろう。
 Class150系気動車は、国鉄時代の1984年から3年掛けて、137編成が製造されイギリス各地で使用された。
 このマップに付録されているものは、その国鉄時代の「Regional Railways」(地方鉄道)の統一塗装だ。もちろん、これに合わせてマップの世界も国鉄時代の設定とされている。

 Class150系は、民営化後もその多くが各地の旅客列車運行会社に分配され、現役だという。
 「スプリンター」の基本形式であるClass150系の特徴は、車体中央に両開き扉を持っていること。これにより都市部のラッシュにも対応している。日本でいえばキハ47ってところか?

 今回登場するのは正面貫通型だが、地域によっては非貫通タイプの前面を
持つ車両もある。
 形式写真風に撮ってみた。両開き扉が2箇所、それに乗務員室扉を兼ねた片引き扉(自動扉)が設置されている。
 この片開き扉部分は運転室とも客室とも仕切られていて、実際にはどのように使われているのだろう?と思う。

 この片開き扉は、「スプリンター」でデッキ仕切り付きタイプの型式だと、そのまま前位側の客扉となる。
 もう1両も形式写真風に撮ってみた。こちらの車両にはトイレ設備が設置されている。
 両車両ともに走行用のエンジンを有しており、日本でいうところの「キクハ」はない。

 台車はボルスタレスのようだけど…その辺りの詳しいことが日本語で説明されているサイトがないんだよなぁ。
 車内の様子を見てみよう。地方都市のラッシュに対応するということで、イギリスの通勤電車に見られる狭いシートがズラリと並ぶ。
 座席は固定クロスシート、中央部では車端を見る「集団離反」の配置とされている。

 これは中央のドア間の様子で、車体後位側の扉付近から運転席方向を見た様子。前側のドアの向こう、運転席背後の区画が扉で仕切られているのが見える。
 これは後位側の車端部客室。同じ固定クロスシートが、中央部とは逆に車両中央を見る「集団見合い」の配置になっている。
 つまり座席は最寄りの扉の方向を向いているということ。

 しかし、狭そうな座席だよな…さすがに最近はこの形式の車両が都市部で使われることは少なくなったせいで、シートそのものとシートピッチの拡大といった改良がされているとのこと。
 これはトイレ付き車両の車端部の様子。シートが小さく密集していることで狭く見えた車内が、さらに狭く見える。

 ちなみに、バリアフリー化が叫ばれる前の時代設定なので、車椅子対応の大型トイレなんてものはローカル列車にはない。
 これは、仕切り扉で区切られた運転席背後の客室。
 ボックスシートと折り畳みシートという構成の、とても狭い客室だ。

 この区画をわざわざ仕切り扉で区切っているのは、都市部で一等客室として使うことを想定したのだと考えられる。
 運転席に入ってみると、典型的な貫通型運転室であることがわかる。
 客室との仕切りには窓がなく、また貫通扉にも窓がないかバーが掛かっているため、「かぶりつき」は不可能。

 日本ではこういう運転室を持った車両は減ったな…ローカル用の気動車は、ワンマン運転対応でオープンタイプが主流だし。
 運転台は、貫通扉より左に全ての機器類を設置しているために狭苦しいが、機器類は機能的に配置されている。
 古いながらもデスクタイプの運転台になっている点は、1980年代中頃に作られた車両の特徴を示している。
 順を追って扉を開いたり閉めたりすると、このように貫通路を設定することができる。

 このマップでは全ての列車が2両編成なので、この貫通扉を使うことはないのだけど。
 続いて、このゲームでは貨物列車牽引用として収録されているClass37形ディーゼル機関車だ
 独特の短いボンネット、前照灯の配置や前面窓の形…どことなくユーモラスな外見をしている。

 ゲームでもそうだが、農業用トラクターみたいなエンジン音から「トラクター」というニックネームが付いているのだとか。
 1960年から5年掛けて309両が製造された旅客用の電気式ディーゼル機関車だが、客車列車の減少で貨物列車にも使われるようになったという。
 かなりの車両が引退したようだが、一部は現役というから驚き。

 このゲームでも貨物列車を牽引するが、内容的には貨物輸送ではなく保線用の業務輸送だ。バラストホッパやバラスト用無蓋車を数両牽くだけで、重たい貨物列車を期待している人にとっては期待外れかも。

 「West Cornwall Steam Railtour Add-On」を導入すると、時刻表モードに客車牽引の運用(回送列車)が現れる。
 運転室の印象は明るいこと。前面ガラスが微妙に傾斜しているからだと考えられるが、これでは夏なんかは暑くてたまらないのでは?と思う。
 ヨーロッパの気候なら問題ないのかな?
 昔の機関車らしく、ハンドルとメーターが沢山あるのがいい。左手は上側が単弁で下側が自弁、右手は上側がマスコンで下側が逆転レバー。

 このマップに出てくる貨物列車はみんな荷が軽く、編成も短いのでブレーキ操作で苦労することはありません。ゲームで貨物列車運転をしたことない人は、まずこのマップで試してみると良いでしょう。

…続いては車窓風景を「プレイ動画」で紹介しよう。まずは本線を全線踏破した動画だ。

・「世界の車窓から」
 セント・オーステル駅→ペンザンス駅間 コーニッシュ本線プレイ動画
(約59分)

Class150系気動車でセント・オーステル駅からペンザンス駅まで全線走行しました。途中、快速運転になります。
緑豊かな丘陵地を駆け抜け、終着駅の港町を目指す「最果ての鉄道」の旅情がある路線です。

 セント・アス駅~セント・アイヴス駅間往復 セント・アイヴス支線プレイ動画
(約39分)

Class142系気動車(他マップDLCに収録)でセント・アス駅から分岐するセント・アイヴス支線を往復しました。
レールバスでのんびりと海辺のローカル線を走るこの雰囲気は、ゲームとはいえ旅情があってサイコーです。


コーニッシュ本線の終着駅 ペンザンス駅は
ヨーロッパの終着駅にふさわしく ドーム屋根を持った立派な駅だ

 最果てを目指す亜幹線と そこから分岐するローカル線の風情が上手く再現されたこのマップは
このゲームを始めて手に取る人にお勧めしたいマップです
私なんか「こういう路線を待っていたんだ!」って思いましたからね
古いマップですが 是非とも多くの皆さんに手に取ってほしいと思います


前のページに戻る