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・「山賊の娘ローニャ」エンディング
「Player」作詞/作曲・斉藤和義 編曲・武部 聡志 歌・夏木マリ
 実は未だに内容がよくわかっていない曲だ。歌詞にある通り、答えがないのかな?
 背景画像は色鉛筆で着色された原画っぽいキャラクターのイラストだ。これがとても味があって良い感じだ。しかし、最後に劇中の年齢よりも成長したローニャとビルクが出てきたので、そんな年齢までの物語なのかなと思ったけど、最終回まで見て違ったのねと納得してしまった。。

・総評
 私は「山賊の娘ローニャ」の原作本を読んでいないので、本作が原作に対してどの程度忠実なのかをはかることはできない。よって今回はこのアニメとしての総評としてまとめて行くことにする。

・物語
 物語は短く区切ることが出来るのがこの作品の特徴だ。
 まず第1話〜4話までで一区切り。ここの展開はローニャの誕生と成長を通じて、本作の物語の世界観や設定を視聴者に印象付ける展開である。その中でも最初の2話は「ローニャの誕生」と「マッティス山賊の設定付け」が主題であり、後の2話は物語の舞台である森の設定付けが主となっている。その合間でマッティス山賊と敵対関係にあるボルカ山賊の存在を明確にしておく。このようにして時間を掛けて順番に本作の世界観を視聴者に示して行くことで、視聴者を物語に引き込むという展開になっている。だがちょっと冗長に感じるのもここの展開で、世界観の構築だけで展開のない物語が全26話の物語で4話も掛けて大丈夫かと思うところでもある。だがここで時間を掛けて世界観を構築したため、森の中に生息する鳥女や灰色小人が視聴者から見ても脅威と映るし、森というのは決して楽園ではないという前提が視聴者にも植え付けられる。このような世界観を構築したところで満を持してもう一人の主人公、ビルクが初登場したところで第二幕へと話が流れて行く。
 続いては第2話〜13話でひとつの流れになっている。ここはビルクとの出会いから二人が信頼し合うまでの経過をテンポ良く描いている。ここの二人の関係はとても面白く、正直言うと私はこの展開に入って初めてアニメが「面白い」と感じるようになった。スタートの二人の関係がローニャは「相手は嫌わねばならない存在」と決めつけており、ビルクは「既に森でローニャを何度か見かけていて近付きたいと」と考えていると言う点も面白い。これはローニャも相手と仲良くなりたいと思っていたらありきたりの話で面白くないし、ビルクもローニャを嫌うようなら話が進まないので、話を盛り上げつつテンポ良く話を進めるのにとてもよく考えられた関係だと思う。そして城居住を巡るマッティスとボルカの対立や、ローニャが森の中でピンチに陥り、これをビルクが助けるという展開を通じて二人の関係が少しずつ改善され、第10話ではついに「きょうだいの誓い」を交わすに至る。一度ここで話が切れると言う見方も出来るが、そのまま二人の信頼感がさらに強くなる展開が描かれ、今度はローニャがビルクを助けることで二人がなくてはならない展開であることを明確にする。そして一度主題歌にあるような「春の叫び」を演じたところで、第三幕だ。
 続いて迎える第三幕は、第14話〜23話だ。ここは第二幕で関係が強化された二人が、親の対立や「山賊」というものに嫌気が差して家出をして二人で生活をするという派手な展開だ。この前に山賊間の対立という設定をうまく印象付けていたが、それだけでなくこの対立をさらに強めることで「事件」を起こすという展開はこれまでの物語と様相を異にする。そして起きる事件によってビルクがマッティスに拉致され、その捕虜交換でローニャがボルカに寝返るという重大事件へと発展する。そうしてマッティスは娘を娘と認めなくなったことでローニャに家出する理由が生じ、ビルクはマッティスに拉致されたことで「山賊」という親の仕事やマッティスとの対立に嫌気が差したことで家出する理由が生じる。こうして二人だけの生活が始まるという展開に説得力を植え付け、楽しい楽しい森での二人の生活が描かれる。この中でビルクがこれまで味わっていた孤独や、ローニャの親への思いというものが描かれ、同時にロヴィスが子への思いを演じる。そしてローニャとビルクの関係を切っても切れない関係にしたところで、万を侍してのマッティスの再登場で二人の生活が終わるまでが、ここでの展開だ。
 そして最後は第24話からの3話、ここで前段を受けていよいよ物語を完結に誘う展開だ。もちろんその完結とはマッティスとボルカの対立が解決し、ローニャとビルクの付き合いが万人に認められることだ。そのために代官の兵隊の活動が活発化したことで山賊活動が困難になった設定は既に前段から示唆されていて、マッティスの意見番としての地位を明確にしていたペールが「マッティス山賊とボルカ山賊の統合」を意見し、これに向かって物語が突き進んでいく。そこから生じるマッティスとボルカの決闘は本作ハイライトシーンであるが、このハイライトを主人公抜きで演じるという冒険的な作りは見逃せない。そして当然のことながらマッティスが勝利して双方の山賊の対立関係が解け、ローニャとビルクの幸せが約束される。
 そして最終回で二人がまた森での生活を再開することを示唆したことで、二人の未来を視聴者の想像に委ねて物語は終わりを告げる。

 このような物語から、本作の訴えどころはローニャとビルクの二人の物語を通じた「変わらぬ友情」と言う点であろう。特にこの二人の物語はローニャの側が相手を嫌わねばならない存在だと決めつけているところから始まっていることは、人を見た目や立場だけで判断してはいけないということや、どんなに嫌いな人とでもわかり合えるということをも伝えていると考えられるだろう。
 個人的に好きだった1話はちょっと深刻な話だが第16話、ビルクが開放される過程や二人の関係がそれぞれの両親に明らかになる過程が緩急をつけつつ上手く描かれていると感心する。面白くて笑った話は13話だ。

・登場人物
 本作は登場人物が完全に固定化されており、ゲストキャラがいないという点は最大の特徴かも知れない。登場人物の関係もマッティス山賊、ボルカ山賊、代官の兵隊や街道の商人などと言ったもので、これらの3組が全部対立構造にあるという解りやすい三角関係を構築しているだけだ。このうちマッティス山賊は主人公が汲みする勢力であるために末端の山賊まで名前が付けられていて設定がハッキリしている(ただし出番の少ない者は担当声優が使い回しとされているが)。続いてボルカ山賊はその頭領の一家だけが設定がハッキリしている。そして代官の兵隊や街道の商人などは名前もなく、登場回数も最小限という関係だ。
 主人公ローニャは山賊の娘らしい野性的な性格付けがされている。そして頑固で向こう見ず、だから何をしでかすか解らない性格であり、森で何度も失敗するというものだ。だからこそビルクが惹かれるだし、ビルクが助ける隙まであるというものだ。同時に親が大好きで基本的な反抗などしないが、頑固だからこそ父親の仕事を知ればそれに対しては反抗する性格に描かれた。だからこそこの物語が上手く回るのである。
 もう一人の主人公であるビルクは、現実的で慎重派だが、ちょっと嫌味な部分もあるという性格だ。だからこそローニャがその性格の良さを知るまでは警戒することが不思議でないと見ている方も納得するだろう。同時に自分にはない物を多く持つローニャに惹かれるのも無理はない。同時に自分でどうにもならない事からは逃げる性格もあり、その面を7話で少しだけ見せるからこそ森での生活で「冬の訪れ」という現実から逃避するという性格にも説得力がつく。とにかく本作で最も面白いキャラであったことは確かだ。
 マッティスは頑固な性格もあるが、山賊の頭領と言うことで何でも自分の思い通りになるという性格を付加されている。だからこそ様々な問題を起こすし、娘に裏切られるとどうして良いか解らなくなるという点にも説得力がある。同時に様々な面で「強さ」もことあるごとに描かれているので、ボルカとの決闘で勝つことも説得力がある。
 ロヴィスは豪胆な肝っ玉母ちゃんを最初の1話だけで印象付けられた人は多いだろう。その豪胆さから夫と山賊達を上手く操縦し、娘も含めて城の中の人を大きな愛で包んでおり、これによって城の中の全てが上手く回っているという描かれ方をしている。だからこそ森へ家出したローニャを最初に迎えに行くのでなく、最初にクリッペンが来てからというのも頷ける。
 山賊達は適材適所の性格が与えられているのは確かだ。ペール以外はローニャの信頼が大きいのは若い順になっているのも自然で良いだろう。また長老のペールは何処まで本気でどこからボケているのか解らないように描いた上で、肝心な所で登場人物達を正しい方向へ導くように上手く描かれている。ただ最終回でペールが死ぬのに何の意味があったのかよくわからない。悲しみも時が経てば解決されると言うことを言いたかったのだろうか?
 ボルカはマッティスと対峙すべき山賊としてうまく性格づけられている。それは息子が性格を受け継いでいる点でもあるが、慎重ではないが現実的なものの見方をするところだ。同時にボルカの強さは余り描かれなかったが、体格をどっしりと描いたことでマッティスとの戦いが互角であるよう上手く描かれる。ウンディスはこの手の話に出てくる嫌味なおばはん的に描かれている。

 最後に名台詞欄登場回数であるが、これも連載を書きながら気付いたがローニャの登場回数が突出している点が特徴だ。ローニャは半数近い26話中12話と名台詞欄を独占している。続いてはビルク、ローニャの両親と続く。

名台詞登場頻度
順位 名前 回数 コメント
ローニャ 12 主人公のローニャが堂々の1位、この娘はいちいち言うことが面白かったのは大きい。当サイトにおける名台詞欄登場頻度も堂々トップ(12/26回、これまでは「母をたずねて三千里」のマルコによる19/52回がトップだった)。
ローニャの台詞で一番好きなのは「春の叫び声」だが(笑)…11話の名台詞の真面目さと砕け具合のバランスは大好き。
ビルク 2位につけたのはやはりもう一人の主人公。だがローニャに大きく差を開けられての2位、それだけローニャの台詞が印象的ってことだ。
彼の台詞で最も印象的なのは23話のローニャへの「愛の告白」。喧嘩の後にああいう台詞を胸を張って言えるのは凄い。
ロヴィス 3位につけたのは主人公の母、娘にも夫にも最大の理解者でだがその豪胆な性格が印象に残った方は多いだろう。子守歌の歌声も印象的だった。
彼女の台詞で一番印象的なのは、22話のローニャを向かえに来たときの台詞。ローニャを理解し夫がすべき事を語る台詞だ。
マッティス そして同じく3位にマッティス、夫婦揃っての登場だ。粗暴だが印象的な台詞が多く、なぜこの男が山賊の頭領なのかよくわかる。
彼の台詞で最も印象的なのは、25話のボルカとの決闘の勝利宣言だ。この男の大きさだけでなく、正調も描かれている。
ペール 名台詞欄に唯一出てきた山賊、年の功で印象的な台詞が最も多いキャラだが、その都度ローニャにもっと良い台詞を言われてる。
「ありのままで死にたい」と訴える13話の名台詞はとても印象的だ。私もあんな風に行きたいけど、無理だ。
ナレーター 本作の名解説も名台詞欄に登場、この解りやすい解説がこの物語を盛り上げたのは確かだ。
18話に名台詞として挙げた解説がとても印象的、どんなに離れても繋がっているという思いを上手く語りあげた。


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