351系は多摩湖線での運転を全て終え、玉川上水駅へ回送、順次解体された。


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351-1314-352の編成。多摩湖線351系最終運用を飾った。

353-1313-354の編成。最終日は昼過ぎまで運用された。

355-1336-356の編成。最終日は朝だけしか運用されなかった。

 今回は今からちょうど10年前、西武鉄道多摩湖線から引退した351系電車の写真を展示しました。当時の西武多摩湖線は国分寺駅のホームが用地の関係で短く、中型の17メートル車両3両編成までしか入線ができませんでした。大型車(20メートル車両)2両ではラッシュ時の輸送力が不足するため、唯一の17メートル車両として昭和29年製造という旧型車を使用せざるを得ない状況だったのです。
 西武鉄道では旧型車によるサービス低下がかねてから問題になっており、空いている昼間やラッシュ時間に3編成運用されるうちの1本を新型車2両(401系)で運用してサービスの維持を図っていましたが、乗客が乗り切れないなどの新たな問題が発生して抜本的な対策を求められていました。
 そこで、多摩湖線の改良工事をすることになりましたが、同時期にJR国分寺駅も大改良することになったため、それに合わせて西武多摩湖線の国分寺駅も大幅に改良されることになりました。当時の国分寺駅ホームから100メートルの本線上に新たなホームを作り、新ホームまで一般道路を乗り越す乗り換え通路を新設して約80メートルのホームを確保し、大型車4両編成の運用を可能とするものでした。
 工事が始まった頃から、私は西武多摩湖線に何度も足を運んで多摩湖線の主、351系の最期の姿と、401系が短い編成で単独運用される姿を追いかけていました。そして1990年6月、工事がほぼ完成して国分寺駅は新ホームに切り替えられることが決定し、351系は1990年6月23日限りで引退となったわけです。
 現在も最期まで残った9両のうち、1両が熱心な西武鉄道のファンの方に買い取られて石神井公園駅近くの民家の庭に保存され、1両が生まれた当時の姿に復元されて西武鉄道が横瀬車両管理所で保存しています。

 351系の赤、私が西武線沿線に引っ越してきた頃は新宿線にはこの色の電車しか走っていませんでした。いつしか黄色い冷房車が数を増やし、赤い電車が一両、また一両と消えてゆく過程をずっと見ていました。最期は支線に追いやられて最期の時を迎えた赤い電車ですが、多摩湖線の351系だけは前述のような事情で奇跡的に平成の時代に入っても生き延びることができました。
 昔は冷房もなくて単にうるさい電車であまり好きじゃなかったけれど、人間って図々しいものでいなくなると言われると懐かしがって追いかけてしまうものなんです。1990年初夏はそんな思いに捕らわれながら、351系とともに過ぎていきました。
 当時の写真を今回改めて眺め、あの頃のことが昨日のことのように思い出されて懐かしかったです。そして、その5年後には引っ越して多摩湖線沿線に住むとは、当時は思ってもいなかっんで、不思議な気分になりました。

 西武鉄道関連は、時期が来たら701系・401系の記録を公開する予定です。


おまけ写真

テールライト。

 


撮影データ

撮影日
1990年6月11日〜23日
撮影場所
西武鉄道多摩湖線
国分寺〜萩山間・武蔵大和駅
西武鉄道拝島線東大和市駅
撮影者
栗原 明(通称・はいじま)

 

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