宮古側運転再開区間
(宮古駅〜小本駅)

 今回の旅は宮古駅から小本駅まで運転再開している北リアス線乗車から始まった。現在のところこの宮古側の方が再開区間は長いものの、こちら側には車両が1両しかないようで、行き違い設備はあっても運転本数が限られるなど不自由な運行を強いられていた。また信号設備が破壊されたのか、それとも車両が1両だけと理由だからかはわからないが、信号機は使わずに代用閉塞によって運行をしていた。
 お昼の便だったが乗客はことのほか多く、乗車直前に来ていたら座席がないところだった。

宮古で発車を待つ列車。
車両はこちら側にたった1両取り残された「虎の子」である
36−102。
三陸鉄道の車両形式は、「36形」と書いて「さんりくがた」と読む。
こんな可愛いキャラクターのマークを掲げて運行、トミーテックが展開する「鉄道むすめ」の三陸鉄道版キャラで、このキャラのオリジナルグッズも多数発売されている。
運転要員社員の手信号の合図で発車する。信号機は電源が落とされ消灯したままだ。
宮古を出発する、ごく普通の運転台に見えるが右側にはタブレットが掛かっている。
タブレットを拡大して見てみよう。
「指導員」と書かれた腕章がくくりつけられているのがわかる。いずれにしてもこれを携帯しないことには発車してはならないというルールのはずだ。
トンネルをいくつか抜けると、テレビや新聞で何度も見たような風景が広がってくる。この田老の町へは仕事で訪れた際に立ち寄っている(田老駅が現地の人との待ち合わせ場所であった)。あまりの変わりように衝撃を受けた。
田老駅ホームからの光景。
この街には「万里の長城」とあだ名される巨大な防潮堤があった。あの防潮堤を見た時、「これだけのものがあったらどんな津波が来ても大丈夫だろう…」と思ったけど、現実はこの光景だ。どんな堤防も自然には適わない、ここで堤防に頼る日本の水害対策も考え直さなきゃならないのかも知れない。
田老から長い長いトンネルを抜け、終点の小本駅が近付くと列車はこんな印象的な橋を渡る。この鉄道の美しい風景の一つだ。
終点、小本駅から北へ延びる線路を見る。
線路はここで長大なトンネルの闇に吸い込まれて行くが、この長いトンネルの向こうにとんでもない景色が広がっているとはまだ知らなかった。

…ちなみにここから隣の駅まで歩こうと企てたが、このトンネルがあまりにも長いと現地で知って断念したのはここだけの話。
小本駅を発車して、折り返し宮古へ戻る列車。
この小本駅の周囲を見ているだけなら、この鉄道が大震災の影響を受けて折り返して行くなんていうのは信じられないと思うほどだ。
この小本駅は町から外れたちょっと山に入ったところにある。漁港がある町の方へ行けば津波で町が流されており、犠牲者も出ているとのこと。

島越駅付近に進む
前のページに戻る