前のページに戻る


新2000系 初期車4連
やっと「正調 新2000系」が模型に登場
 この春、2018年4月は西武鉄道の主力にまで成長した新2000系電車が登場して、ちょうど30周年となる。メーカー側がこれを意識したわけではないだろうけど、この新2000系30周年を飾るに相応しい模型がグリーンマックスから発売されたので紹介しよう。
 それは製品名でいうと「西武新2000系前期形」、こう言われると新2000系を登場時から追いかけている私にとってはピンとこないが、要は新2000系初期車がラインナップされたのである。1988年から1992年にわたって大量増備された新2000系は、その途中で細かなモデルチェンジを繰り返しているが、その中でも1987年度予算で作られた初期グループ(4連×10編成、6連×1編成、2連×1編成)はその後の車両と前面が違い、結果的に新2000系の中では少数派の顔となっていた。今回この前面が違う1987年度予算車(投入は1988年度)がグリーンマックスの西武新2000系完成品シリーズに加わったのだ。
 これまで新2000系の模型は、グリーンマックスの板キットと、同じくグリーンマックスによる完成品があった。しかしどちらも新2000系で多数派を占める標準的な前面で再現されており、グリーンマックスの板キットは1988年度車、完成品はさらに後期で最終形態の1990年度以降車がプロトタイプとなっている。バリエーション豊富な西武新2000系の中でも、それぞれ再現できる限定されているのだ。特に新宿線では新2000系の投入が早かったこともあって、改造しない限り模型で再現できない新2000系の方が圧倒多数を占める。また完成品についてはは比較的最近の姿で再現されていて、1990年代前半の状況を再現することも難しい。
 つまり、新宿線ファンにとっては、グリーンマックスの新2000系完成品は満足のいくラインナップではなかったということだ。私としては新2000系はキット製作で最低限揃えたことも手伝い、これら完成品は手を出していなかった。

 そこにこのたびのグリーンマックスの初期車製品化の発表だ。再現されるのはいずれも新宿線の4連が二種類、ひとつは前述した顔が違う最初期車4連(2507編成・2509編成)と2連(2451編成)、これにキット組み立てでも再現可能な1988年度車4連(2527編成・2529編成)という顔ぶれだった。もちろん私がこの中で欲しかったのは、顔が違う最初期車の2507編成と2509編成の方である。顔が違う最初期の新2000系は以前から「何とかして模型で揃えたい」と考えていたものであって、若い頃(二十代)は板キットの前面を改造して作ることを真剣に考えたほどだ。これが今回ラインナップに加わり、まさに待望の製品化であった。

 ただ問題点はあった。グリーンマックスから今回発売された新2000系最初期車は、その現在の姿を再現しているという内容であった。4連クモハのパンタグラフは撤去された姿であることはもちろん、西武鉄道のCIマークが描かれ、クハ車のスカートは音声警報装置のスピーカー設置後、屋根上は最も最近の変化であるベンチレータ撤去後の姿とされたのだ。これでは私が欲しい「1990年代の新2000系」とは違ってしまう。かといって顔が違う新2000系でどうしても25年位前の私の青春だった西武新宿線を再現したい…いろいろ葛藤はあったが、結局は発売決定数日後には某ネットショップの予約ボタンを「ポチッとな」するのである。購入数は、4×2の8連を再現するため基本セット(2507編成)と増結セット(2509編成)の8連とした。2連の2451編成と前面が後期タイプの2527編成と2529編成は購入を見送った。

 そしてこの3月も下旬に差し掛かった頃、我が家にこの新2000系最初期車の模型が届いた。届いて箱から出すなり、いきなり改造の始まりです。その改造内容は下表にまとめた。

先頭車運転台側カプラーの交換 付属のダミーカプラーからボディマウントタイプのTNカプラー(トミックス・JC25)に交換。この際、クモハ車は製品説明書通りの作業としたが、クハ車のスカートはスピーカー無しタイプからダミーカプラーを切除したものを使用した。
中間部カプラーの交換 中間部については、標準装備のアーノルトカプラーを外して、KATOカプラー(KATO・11-702)に変更し、連結面間隔を狭めた。
ベンチレータの設置 全車両に対して屋根上のベンチレータを復元改造した。ベンチレータはトミックスの分売パーツ(PB-103)とし、取付位置にφ1.4mmの取付穴をあけて設置した。穴開け位置をいちいち罫書きをするのは大変なので、取付位置(新2000系板キット準拠)を明示した型紙を作成、これを屋根板に貼り付けて穴開け位置を決定する工法とした。型紙は本ページの最後に公表する。
西武鉄道CIマークの消去 先頭車の運転席背後に西武鉄道CIマークがあるが、これを車体色と同じ色のシールを作成してマスクするかたちで消去した。試行錯誤の末、作成したシールの色はRGB値で「255:220:0」とした。これについてはもっとスマートに消去する方法を検討する。
前面行き先表示の変更 本製品の先頭部には、行き先が「急行 西武新宿」(現行のローマ字併記タイプ)が印刷済みであるが、これをかつてのローマ字無併記のものに変更した。ステッカーはグリーンマックス板キットと同じもの(S439)を使用した。行き先は「普通 上石神井」「急行 本川越」を編成順序を変えることで表示できるようにし、側面行き先は貼り付けないこととした。

 これらの改造を8両分行うのに、だいたい1日半程度の作業であった。最も困ったのは、パンタグラフ配管のある車両については、板キット製品準拠でベンチレータを取り付けようとすると、ベンチレータ位置と屋根上配管の位置が重なる箇所があったことだ。やむを得ずそこだけはベンチレータを2.0mmずらして設置している。

 製品そのものはとてもよく出来ていて、新2000系が持つ雰囲気をうまく再現できていると思う。その点も含めて、以下アルバム形式でこの今回発売の新2000系初期車を紹介しよう。
新2000系の前面比較、左が最初期車で右がその他多数派の車両。
新2000系は誕生当初は左側の顔で誕生したが、すぐに右側の顔にマイナーチェンジされた。
違いは前面扉窓の大きさだ。 
今回購入したグリーンマックスの新2000系と、既発売で我が家にある旧2000系。この新旧2000系はグリーンマックスの独占が続いていたが、この春には鉄道コレクションからも旧2000系発売が予告されている。私が最も愛する電車の模型が、どんどん増えていく…。

 この写真ではクモハのパンタ撤去跡が上手く再現されているのがお分かり頂けるだろう。我が家で最初の新2000系グリーンマックス完成品がこの顔になるとは…嬉しい限りだ。
引き込み線に入れてクハ側から編成写真を撮ってみた。行き先はもちろん「普通 上石神井」だが、基本セットと増結セットの順序を入れ換えて編成を組むと「急行 本川越」となるようにした。
種別ステッカーが、印刷済みの種別を隠し切れてないのは写真を撮ってみて解った…。
少しズームアップ、屋根上に目をやるとベンチレータが並んでいるのがお分かり頂けるだろう。このベンチレータを付けると本当に雰囲気が良くなった。この独特の「平面だけどちょっと出っ張っているようにも見える」顔を上手く再現している。行き先や種別表示の窓も、後付けステッカー使用の割には上手く再現できている。
先頭車のズームアップ、運転席背後のCIマーク消去跡が痛いなぁ。なんとかしてもっともスマートに消せないものだろうか?
TNカプラーをセットして連結部はこんな感じに。これで我が家の他の2000系とも併結運転出来るぞ。
実はこの新2000系では、台車も新規金型になっている。このFS372は、これまで何度も製作された本台車の中で最も上手く出来ていると思う。
このFS372は、台車取付構造が最近のKATO製品と同じである…ってことは、KATOの701系にこの台車をつけられるのでは…台車だけ手に入ったら、真剣に検討する。
早速我が家で既存の旧2000系を連結してみた。ただ増結するのでなく、90年代の新宿線名物運用だった2000系の4+2+4の10両編成を再現してみた。今まで4連は板キットを組んだ1編成しか持ってなかったから、こういう遊び方が出来るようになったのは嬉しい。
いつもの橋梁を行く、私にとってお気に入りの模型がひとつ増えたってところだ。さぁて、次は鉄道コレクションの2000系がどんなもんか、楽しみであり不安だってところだ。

・おまけ

 私がこの新2000系にベンチレータを取り付けるために自作した、ベンチレータ取付穴設置用型紙です。上画像をダウンロードして、型紙を切り出して外した屋根板の裏側に貼って使ってください。
 なおこの型紙は、4連だけでなく6連や8連のモデルにも使えるはずです。

前のページに戻る
検索サイトなど、外部サイトから来た方はこちらをクリックしてください。