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5.100系「スペーシア」
100系の顔のアップ
独特のとぼけた表情がいい

 東武100系はバブル真っ盛りの頃に出た東武鉄道の超豪華特急、私が東武鉄道関連の仕事をしていたのはまさにこの車両が登場した頃で、そういう意味でも思い入れが深かったせいもあったかなり早い段階で模型を購入している。
 100系「スペーシア」の模型は実車が登場して間もない頃にグリーンマックスから未塗装の板キットとして発売された。複雑な塗装をデカールやステッカーで再現できるよう工夫し、初心者でも組めるように組み合わせも良いキットだったのを覚えている。私もこれを購入したが完成の日の目を見ることはなかった、ボンネットのカーブに合わせてデカールを貼るのに難儀し、失敗を繰り返してそのままになってしまった。同じように失敗した人が多かったと見え、スペーシアの板キットは再販されることはなかったようだ。
 1994年だったかにグリーンマックスから二代目のキットが出た。これは一体成形車体に塗装済みというキットで発売され、車号やロゴなどを自分で入れるという仕様であった。複雑な塗装の再現にウンザリしていた私はこっちに飛びつき、僅か1日でキットを完成させた。
 その後トミックスから完成品が発売されるが、こちらには見向きもしなかった。グリーンマックスのキットで揃えたのが最大の理由だが、それ以上の理由としてトミックスには妻部に塗装が回っていないことがあった。妻部も塗装を回すのは東武鉄道のこだわりでもあり、この実物でのこだわりが再現されていないのは模型として失格と思ったのである。しかし、皮肉なことに東武鉄道は90年代後半から妻面の塗装を省略して真っ白となってしまい、実物の方がトミックスの模型と同じになってしまった。模型のエラーに実物の方が揃ってしまった数少ない恒例として語られることになる。
 さて、私としては「登場時のスペーシア」を再現したかったから勿論グリーンマックスが再現している妻面への塗装の回し込みは必至条件となる、最初は「SPACIA」ロゴや個室シンボルマークのない試運転時の仕様にすることも考えたが、結局は営業時のロゴ入りの姿とした。ナンバーはトップナンバーの101-1以下の6両編成とし、ビュフェのある4号車に動力を組み込んだ。中間車のカプラーは全てKATOカプラーである。
 仕上がりは悪くないのだが、窓周りに白い塗装が残っているのが目立ってしまうのはいただけない。まぁこの程度の色差しは簡単だからしてしまえばいいのだが、やってしまうと窓がスモークなので目立たなくなる。このジレンマから抜け出さずに手つかずである。
 あとは動力車の下回りがVVVF制御でなく抵抗制御車の下回りになってしまうこと。走らせるとそこだけ床下機器が違うのが目立ってしまう。このサイト用の写真撮影には余剰パーツで造った非走行用の床板を動力を外した4号車に入れている。これは当時のグリーンマックス動力の構造を考えれば仕方なく、その後床下機器を交換できる動力ユニットが発売されたので今となっては文句言えない。
 他の仕上がりは悪くないだろう。特にスペーシア独特の「限界一杯感」はうまく出ていると思う。帯の色なども悪くない。こいつの成功がその後のグリーンマックスによる塗装済みキット乱発のきっかけになったんだろうな…。
先頭車を側面から
限界一杯感がよく出でいる、スペーシアの車体は大きいのだ。
ビュフェの4号車
窓の無い車体もうまく表現
帯塗装が回り込んだ妻面
実物ではもう見られない当時の東武鉄道のこたわわり

6.おまけ、6050系
快速電車6050系が5700系と並ぶ

 特急車両ではないが、今回は6050系も紹介しよう。この車両は1964年に登場した快速用電車6000系を野岩鉄道乗り入れに際して長大トンネル対策・耐寒耐雪構造化・冷房化のために1985年に更新したものである。のちに完全新造による後期車も登場している。
 模型は6050系登場から間もない頃にグリーンマックスから板キットが発売されていた。これは欲しかったが他の当時は模型として出ていない形式まで欲しくなってしまうので諦めていた経緯がある。この板キットはいつしか製造中止となり、数年前に一体成形車体による塗装済みキットが発売された。私は例によって1720系発売決定を聞いてからこのキットを買ってきた。
 無論、私が東武鉄道を追い回った1990年代前半の姿にしたいので、連結器はキット付属の密着連結器を模したダミーカプラーを使わず、密着自動連結器にしたかったので車体マウント式のTNカプラーとした。屋根上では近年撤去された通風器を取り付けて1990年代前半の姿とした。車号はモハ6151号以下の2連、モハ6164号以下の2連、モハ6179号以下の2連の3編成で、モハ6151号を動力とした。無論後期車の6179編成は台車を替えてある。
 前面の行き先表示はステッカーだとうまく表現できないのでフロントガラス部品の裏側から白塗装とした。
 仕上がりは文句無し、マイクロエースが美味く表現できなかった乗務員室用冷房装置のカバーもいい形に仕上がってる。難を言うならば上側の赤帯の前面及び妻面への回り込み方、前面は変なところで帯が止まっている、これは回り込んだ所で止まるのが正解だったはずでフロントガラス方向への折り返しは無いはず。妻面は貫通路部分で帯が切れているのがおかしくて、本来は貫通扉の上で繋がってる。これは模型塗装の都合だと思われる。実物の6050系は100系と同じく、いつからか帯が妻に回り込まなくなった。
 最近になって更新前の6000系がクロスポイントから未塗装キットとして発売された。これも造って6050系との混結を楽しみたいなーなんて思ったりしている。

6050系と5700系
5700系の末期は臨時快速だったんだよなー
妻面を見る
帯が辺に途切れてるけど、連結しちまえば分からない。

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