300系メモリアル

 ここでは私が撮影し、まだ未公開だった300系の写真を公表しながらその思い出を振り返ってみたい。まだまだ他にも写真はあるのだが、残念ながらその多くは、クラッシュしたハードディスクの中だ。それらの写真も一度助け出してやらねばならないのだけど、なにせ予算が…。
 これらの写真から元気だった頃の300系を思い出しつつ、今回の「リニア・鉄道館」での展示終了による別れを惜しみたい。
 ある夏の日、大阪への出張帰り。新大阪駅で帰りの新幹線を待つひととき、向かいのホームに先行の300系「のぞみ」が佇む。
 このような自然な光景は、N700系が登場するまでは当たり前だったんだけどなぁ。
 ここからフィルムで撮ったちょっと古めの写真が続く。
 都心のビル街をバックに東京駅に進入する300系。この頃はまだパンタグラフが改造される前、巨大なパンタカバーが目立つ。
 上写真に続く光景、長旅を終えた300系が東京駅にいよいよ入線という瞬間を捕らえた。
 上の写真もこの写真も、適度な逆光が流線型に影を作りその曲線美を伝えてくる。
 上の2枚とほぼ同時期、名古屋駅で撮影した300系、しかも初期車のプラグドア装備編成。
 ドアが外板と平滑であり、高速列車として完成されたスタイルと言って良いだろう。
 前の写真と同じく名古屋駅での300系、こちらも初期車でプラグドア。
 300系量産車のプラグドア編成は、JR西日本のF編成が最終時まで残っていた。実は私が最後に乗った300系も、プラグドア装備のF3編成だった。
 ここからはデジタル写真に戻る。小田原駅に進入する300系「こだま」。末期はこだま運用に回ることが多く、途中駅では待避線に入ることが多かった。
 乗客の目線だとこういう光景で見ることが多かっただろう。運転席の上にアンテナが乗っかっているのは、東海道・山陽では300系が最後だった。
 「こだま」の300系が駅から出て行く、駅構内のカーブを使ってこの「顔」を真っ正面から見てみた。
 カプラーカバーが縦型となり、光前頭が消えたことに抵抗感を持った人も多かったが、私としてはこの顔の美しさはこれを補ってあまりあると感じている。
 先頭車のクローズアップ。
 客扉の窓と、客室窓の高さの「差」が300系の側面の特徴を演じる要素だ。この客室側窓の低さこそが300系量産車の最大の特徴、この特徴が無いJ1編成を保存されても、全く雰囲気が違って困るのだ。
 小田原駅の待避線に長編成をくねらせて入線する300系、このような光景が「新幹線」らしいだろう。
 この写真は2010年、この頃から300系は急激に数を減らしてしまった。

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