現地に到着すると2月の冷たい雨が鉄路を濡らしていた。さすがに天下の小田急線とあって電車本数は多く、カメラの準備をしている間にもう踏切が鳴りだした。
 まだカメラを出したばっかりの状態の私の前に姿を現したのは何だ?
 なんか変なところにヘッドライトが付いてるぞ…。
 い、いきなり「VSE」キターーーーーーーーーーーー!
 2005年デビュー、現在の小田急のフラッグシップ。この美しいボディデザインは登場から既に6年を感じさせない斬新さがまだある。まさに現在の関東大手私鉄の女王であるだろう。
 実は通勤電車だけでなくこの娘もカメラに収めたいと思っていた。
 VSEの通過をきっかけに、堰を切ったかのように電車が行き交う。次に現れたのは1983年デビューの通勤電車8000系、今のところ小田急の通勤車では最後の「アイボリーに青い帯」の電車。
 当時はテレビみたいな顔の電車だなぁと思っていたけど…もうすぐ30年戦士か。
 上記の8000系を追うようにやってきたのは、地下鉄直通ロマンスカー「MSE」。千代田線に潜り込んで都心の真ん中や湾岸地域と、小田急線沿線や箱根を結ぶ凄いヤツ。
 地下鉄に乗り入れるための装備(信号装置や非常脱出口)に、地下鉄の小さなトンネルに入るための細身のボディがこの娘の武器だ。
 続いて「いまどきの通勤電車」とでも言おうか、小田急らしくないフラットボディ3000系通勤電車。
 ちょっと暗めになるように露出を調整したら、悪天候の緊張感が漂う写真に仕上がった。
 上り列車の写真ばかり続いたが、下り列車も次々に電車が来ている。近くですれ違いがあるときは上り列車の撮影を優先したから上りの写真の方が多い。
 続いて渋沢から峠道を下ってきたのは8000系、峠越えの緊張感が伝わってくるだろう。
 その8000系を追うようにやってきたのはJR御殿場線乗り入れロマンスカー「RSE」。
 バブル世代のこの娘ももう二十歳、いよいよ年季が入ってきたところだ。同世代のJR253系「成田エクスプレス」や京成電鉄AE100系「スカイライナー」はもう一線を退いているが、この娘はまだまだ元気だ。
 この日は「RSE」の写真だけが上手く撮れなかった、この1枚は唯一公開に耐えるものだ。
 本日の撮影行の本命車両、5000系が新松田から峠道を上ってきた。
 そう、私にとっての小田急通勤電車はやっぱりこの「顔」だ。後輩のステンレス車と仲良く手を繋いで本線で活躍しているのはとても嬉しい。
 上記の5000系が峠へと走り去ると、程なくして峠から下りてくる通勤電車が。先頭は3000系だったが…。
…後ろには5000系がぶら下がっていた。こういう古めかしい電車と、3000系のような新しい電車が連結して走っているのは見ていて面白い。昔の西武新宿線もこんなだったなぁ。

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