開成駅での「駅撮り」を終えた私は、全駅停車の急行で小田原駅へ移動した。すぐに新幹線ホームへ上がらず、しばらく待っていたのには理由があった。そろそろ、新宿へ向かった5000形が返ってくる頃だと踏んでいたのだ。
 私が乗ってきた列車の継ぎの急行、先頭車の番号が「3476」であるのに見覚えがあった。そう、この後に繋がっているはずだ。
 記憶に間違いはなかった。後に繋がれていたのは確かに5000形。ロマンスカー目当てで駅撮りをしていた人が、一気にここに集まってきた。
 小田急線に乗る度にこんな景色を見てきたが、それも今回が見納めだろう。8000形は運転室背後に窓がない。
 この顔、この色が私にとっての「小田急」だ。私が小田急線に乗れば、いつもこの顔がどこかにあった。
 それももうすぐ、過去のこととなる。

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