・岩泉駅
 この日の行動はここからスタート。岩泉駅の開業は比較的新しく、1972年2月である。
 正常運行時の列車本数が信じられないほどの立派な駅舎を持っているが、裏に回ってみればホーム1本だけの寂しい駅である。岩泉町の玄関口として、また龍泉洞という県内有数の観光地の玄関口として、開通時が大きな期待が掛かっていたことが今も読み取れる。
 駅は観光地の入り口らしい堂々としたもの、だが今はこの立派な駅にも列車は来ないのはどことなく寂しい。
 だが、駅というよりバスターミナルとしてはちゃんと機能しており、立派な駅舎は列車が来なくても街の玄関としての機能は果たしている。
 駅前にはこんな碑石があった。街が岩泉線に賭けた思いが伝わってくる。その鉄道は、廃止の瀬戸際に立たされている。
 ホームに上がって見た。これはこれから巡る駅全てに言えることだが、駅のホームも待合室もきれいに清掃されていて、1年以上運休が続いている事を感じさせない。
 ホームの出口にはこんな歓迎看板が掲げられている。だが今、これを見るのはわざわざ駅の様子を見に来る鉄道好きだけだろう。
 ホームから終点方向を見ると、しばらく行ったところに車止めがありレールが途切れている。
 本当はここから海岸沿いの小本(三陸鉄道北リアス線)に伸びるはずだった。もう実現可能性はゼロだろう。
 ホームから茂市方面の線路を見る。レールはさびているがちゃんと整備はされているようだ、待っていれば列車が来そうな光景はこれから何度も見ることになる。
・二升石駅
 岩泉駅から国道455号線を盛岡方向へ、岩泉の市街が途切れて以降最初の集落が二升石と呼ばれる地域で、小学校などが存在する。
 その集落の片隅の斜面にひっそり存在するのが二升石駅だ。
 桜の花に埋もれるように存在する駅、ちょうど満開の時期だが、列車が来ない駅で花見というのもおかしな気分だ。
 岩泉線全ての駅に共通するが、ホームは一本だけ。しかも列車を1編成しか入れないルールになっているので信号機もない。
 その寂しいホームに小さな待合小屋がポツンと建つ。
 駅を外から見る。言い方は悪いけどこの「とってつけた」感がローカル線ぽくて良い。もし運行再開されるなら、この駅に停車する列車を撮り鉄したい。

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