2014年11月29日 JR東海御殿場線 谷峨〜駿河小山間

 古くは昭和30年代から半世紀以上の歴史がある小田急の御殿場乗り入れ特急。世がバブルで盛り上がっていた1991年春からは小田急とJR東海の相互乗り入れの形となり、双方が同じ規格ながらも独自の車両を投入して話題となった。
 そのまさに「異母兄妹」といえる車両が、小田急電鉄20000系RSE車と、JR東海371系であった。双方とも7両編成で中間に2両のダブルデッカー車を連結するという、「バブル」という時代を象徴するような豪華な車両だった。小田急は普通車をオールハイデッキとし、JR東海は大きな側面窓を設置、双方とも先頭客席から前方の展望も重視していた。だが外見上大きく違ったのは、華やかなパステルカラーに身をまとった小田急RSE車と対照的に、JR371系は白い車体に窓周りの青と同じ色のピンストライプが1本と、新幹線100系を思わせる「見覚えのあるデザイン」であった。
 その2形式による「あさぎり」での活躍は21年にわたり続いたが、様々な情勢の変化により2012年春をもって両形式とも「あさぎり」運用から撤退。「あさぎり」は小田急車のみの運行となり、地下鉄乗り入れロマンスカーであるMSE車が今度は御殿場乗り入れと獅子奮迅の活躍をするようになった。
 そして引退した小田急RSE車は早々に車両が処分され、その一部は富士急行に売却されて彼の地で二代目「フジサン特急」として活躍している。だがJR371系については車両自体は残り、静岡を中心に臨時列車や団体列車としてささやかな「隠居生活」を送っていた。
 だがこの秋、JR東海からついに371系の「隠居生活」に終止符が打たれることが発表された。そしてそのラストランの路線に、371系にとって通い慣れた御殿場線が選ばれた。
 私はこの報せを受けて、最終日の1日前に御殿場線沿線に愛車を走らせ、371系最期の姿をカメラに納めておくことにした。季節的にも御殿場線沿線が紅葉の見頃を迎えているはずで、紅葉を背景に走る最期の371系が見られるはずだ。
 そして同時に、「あさぎり」として御殿場線を行く小田急MSE車も記録しようと考えた。新旧「あさぎり」の共演が見られるのもこれが最後、そんな思いを抱えて私は開通したばかりの圏央道を南下したのであった。

本日のターゲット 
「ホームライナー沼津」として富士川橋梁を渡る371系、これは2009年3月の「富士・はやぶさ」撮影時に撮ったもの。
現役時代は「あさぎり」だけでなく、静岡の車両基地への入出庫で「ホームライナー」として活躍していた。
小田急電鉄 渋沢〜新松田間を行く371系。「あさぎり」として小田急電鉄に乗り入れ、JR東海の列車として唯一新宿駅に乗り入れていた記憶はまだ古くなってはいない。  
  そして、今回のもうひとつのターゲットは現在の「あさぎり」号である小田急電鉄60000系MSE車。この青いロマンスカーが御殿場線を行く姿を初めてカメラに納める。


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