2015年4月27日 津軽海峡渡航(1)

 まずは北海道へ渡るには津軽海峡を越えねばならない。今回の旅行では様々な渡航ルートを考えたが、目的地が函館を中心とした道南ということもあって往復共に青函航路の利用とすることにした。そして同時に現在の青函航路の船達を「撮り船」して記録しようと考えた。
 下記に示すのは現在の青函航路のフェリーのダイヤである。実線は経営破綻した東日本フェリーを引き継いだ旅客航路としては一般的な「津軽海峡フェリー」、破線は貨物専用フェリーを起源とする共栄運輸・北日本海運の共同運行による「青函フェリー」を示している。現在の青函航路はこの2ブランドによるダブルトラックである。ちなみに色の違いは使用船舶を示している。
 そしてこのダイヤにマウスを合わせると、往路での私の行程が出てくる。昼過ぎに青森に到着、「津軽海峡フェリー」と「青函フェリー」を1便ずつ見送って夕方の便を取ることで、双方の船の写真を記録しようと考えたわけだ。ただ残念なのは、このダイヤ表で緑色の破線で表示の便はドック入りのためこの翌日まで運休になっていたので、往路で撮影予定だった「青函フェリー」の1隻(「3号はやぶさ」)は撮影できないこととなった。そして往路の乗船便は「3号はやぶさ」欠航もあって、17時05分出港の津軽海峡フェリーの「びなす」となった。



 4月26日夜に自宅を出発した私は、途中のPAで車中泊しながら仙台まで常磐道経由で東北道を北上、盛岡から国道4号線に降りて13時30分頃に青森港フェリーターミナルに到着した。この日は天気は良かったが、もやが掛かっていて空は若干くすんでいた。
 青森港フェリーターミナルに到着すると、先行便の津軽海峡フェリー「ブルードルフィン」が私を出迎えてくれた。この船は昨年6月に津軽海峡を渡航した際に乗った。
 「ブルードルフィン」は東日本フェリー時代は「ほるす」と名乗っていて、同型フェリーのネームシップでもある。その後韓国の船会社に一時売却されて名前も変わり、「津軽海峡フェリー」が青函航路を引き継いだ際に買い戻された経歴を持つ。
 私は「ほるす」時代の1996年末に青森・室蘭航路で彼女に乗っている。
 これが同じ場所で撮影した「ほるす」時代の彼女の姿。私は「ほるす」時代の写真はこれしか持ってない。
 撮影は1996年末、当時彼女は青森・室蘭航路に就航していて、私はこれに乗って室蘭へ渡った。
 14時20分、先行便の「ブルードルフィン」が津軽海峡へと乗り出して行く。船尾側を岸壁に着けていたので、撮影も船尾方向からだけだ。この船は前から見るのがカッコイイのに…。
 あっという間に速度を増して港外へと出て行く後ろ姿。連休中とだけあってデッキにまばらながらも人影が見える。
 青森郊外で大きなS字を描くようにして函館への進路を取ると、再びこちらにポートサイドを見せる。そしてその姿がどんどん小さくなる。船旅の風情が伝わってきた、早く乗りたい!
 続いて20分後には、「ブルードルフィン」の隣に着岸していた青函フェリー「あさかぜ21」が出港だ。去年6月の渡航で「ブルードルフィン」に乗ったとき、霧が晴れると後方をずっとこの「あさかぜ21」が追いかけてくるのが解った。
 「あさかぜ21」は船首側を岸壁に着けていたので、目の前でその場旋回だ。望遠でこんな大迫力の写真を撮れた。
 旋回を終えて港口へと進路を取る「あさかぜ21」、青函フェリーの船はよく言えば手頃なサイズで、青函連絡船より僅かに小さい程度のものだ。船影はかつての青函連絡船「空知丸」を思い出させてくれる
 今回は復路で青函フェリーを初利用する予定だ。
 港外へと進路を取った「あさかぜ21」の後ろ姿、水色と黄色のストライプが海の青とよく似合うデザインで秀逸と思う。
 「あさかぜ21」が姿を消してしばらくすると、沖に津軽海峡フェリー「びなす」の姿が見える。本当はこの間に青函フェリー「3号はやぶさ」の着岸があるはずなんだけど、ドックダイヤで欠航。
 そしてこの「びなす」が、今回私を津軽海峡の向こうの北海道へ連れて行ってくれることになる。
 「びなす」が少しずつではあるが近付いてくる、いよいよ私のカメラの最望遠でもこれだけのサイズで捉えられるようになった。
 船首部のデザインが流線型的でとても美しい。これは同型船「ブルードルフィン」も同じつくりである。
 青森フェリーターミナル4番バースへ進路を取るため、彼女は左に旋回、私にそのポートサイドを見せてきた。「ほるす」形の美しい船体がファインダー一杯に写る。
 速度を落として4番バースに着岸直前の「びなす」、船首部に係留のための乗組員がいるのが見える。船という乗り物は多くの人で動かしている点が、人間的で好きだ。
 舫いも繋がれて、着岸完了。船首部のバイザーが開くシーンはいつ見ても圧巻だ。
 いかんなぁ、この光景を見ていたら「ヤッターマン」のワンシーンを思って出した。
 「今週のびっくりドッキリメカ、発進!」「あ〜ん」…
…クルマ、クルマ、クルマ、クルマ…。
 船首バイザーが開くと、最初に出てきたのは大型トラック、これに一般乗用車が続いてから最後にトレーラーヘッドが船に乗り込んでゆき、トレーラーが出てくるという順序だ。
 トラックやトレーラーが沢山積まれているのを見ると、この航路が今も物流を担っていることが解る。青函トンネルとともに大事な海を越える動脈だ。
 こうして青森港での「撮り船」活動は終わり、私は「びなす」の客となった。
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