アポロ11号月面着陸50周年記念記事

「Apollo11 VR HD」で月旅行!

月面着陸したアポロ11号月着陸船「イーグル」

 今年、2019年はあの「人類の偉大な飛躍」からちょうど50年。
 あの「人類の偉大な飛躍」とは言うまでもない、1969年7月20日の人類初の月面着陸のことである。
 この月面着陸50周年の記事として、当サイトではアポロ11号の月面着陸を再現できるソフトの紹介を通じて、私なりにアポロ11号ミッションを取り上げてみたいと思う。

 今回紹介するソフトの名は「Apollo11 VR HD」。精細なコンピュータグラフィックと、最近デジタル化の上で公表されたアポロ11号ミッションの実際の音声データを組み合わせ、パソコン上でアポロ11号の軌跡を再現できるようにしたソフトだ。ソフト名からVRゴーグルなどを使用するソフトであることは言うまでもないが、私はVRゴーグルを所有していないので、普通の平面ディスプレイでこのソフトを愉しんでいる。
 もちろん、VRゴーグルを使用すれば画面は3D表示され、その場にいるような臨場感でアポロ11号を体験できるという優れものだ。
 このソフトはゲームではなく、あくまでもアポロ11号を視聴覚的に再現しているものだが、ドッキングや月面着陸など一部はプレイヤーが操作することも可能なゲーム要素もある。

 ゲームの流れは以下のキャプ画紹介時に解説するが、プロローグ(ケネディ大統領の演説)から始まり、打ち上げ、地球周回軌道から月軌道への遷移、司令船つ時着陸船のドッキング、月面着陸と月面での活動、帰還時の大気圏突入の各シーンが再現されるかたちだ。ドッキングや月面着陸などはプレイヤーによる操作が可能というゲーム要素も見られ、プレイヤー自らがその困難さを体験することもできる。

 早速、本ソフトのプレイ動画とともに、私なりの解説を入れていこう。


・アポロの機窓から
 
ゲームが始まると、最初に再生されるのはケネディ大統領の演説だ。
「1960年代に月へ人間を送り込む」の演説か?

いずれにしても、この当時のアメリカには「有人月着陸」という困難な計画を、短期間で実現せねばならない事情があった。

このソフトに日本語字幕入りが欲しい…
ケネディ大統領の演説が終わると、アポロ8号による人類初の有人月周回飛行の様子が再生される。

このミッションは年の瀬、クリスマスシーズンに行われた。
月の裏側に「サンタクロースがいた」から、無事帰ってこられたと言われる。
これを曲解して陰謀論に繋げている人もいるが…。

月面からの「地球の出」を背景に飛行するアポロ8号。
この風景の再現以上のものを目指して、1969年7月16日、アポロ11号は旅に出る。

では、月行きアポロ11号に乗り込んでみよう。
アポロ11号は、この巨大なサターンVロケットの先端についている。

では、アポロ11号司令船「コロンビア」に乗り込んでみよう。

司令船「コロンビア」の中央座席から前を見ると、
一面に並ぶ機械的スイッチの列が目に付く。
だが、その一角にはコンピュータパネルがあり、
「デジタルとアナログの融合」というかたちだ。

中央座席から左側を見る。
こちらにも機械的スイッチがズラリと並ぶだけでなく、
宇宙船らしくスティック型の操縦桿も設置されている。
こちら側に操縦者が座ることになっていて、飛行計器も備わっているが
飛行高度はコンピュータディスプレイに表示されるようだ。

中央座席から右側を見る。
こちらにはひたすら機械的スイッチとアナログメーターが並んでいる。
スイッチひとつひとつの役割は、このソフトでは説明されていない。
発射台で発射を待つ。
「コロンビア」の機内はとても狭く、3人の飛行士が並んで座ればもう一杯だ。
発射台の「コロンビア」は上を向いているので、着座すると上を向く形になる。
その様子は窓から外を見れば、水平線が横になっているので分かる。

左座席にいるってことは、私はコリンズ飛行士になったのか?
打ち上げ12秒前からカウントダウンが始まる。
そして打ち上げられると、ものすごい振動でアームストロング船長らの身体がすごい勢いで揺れる。
窓の外の空の色が徐々に変わり、すぐに雲を見下ろすほどの高空に達する。飛行機の感覚にはないほど、あっという間の出来事だ。

打ち上げが無事に済むと、地球周回軌道に達したところまで話が飛ぶ。
宇宙から見る夜明けの美しさよ。
この夜明けの光景を見下ろしながら飛行するアポロ11号。
既に下の何段かを切り離したサターンVロケットと、その先端につけられた司令船の様子だ。
そしてこのシーンでは、地球を周回する軌道から月へ飛行する軌道に移るためのロケット噴射を行う。
この加速で地球の重力を振り切って、いよいよ月へ向かうのだ。

月への軌道に乗ってエンジン噴射を停止。
出発地の地球と、目的地の月、それを見守る太陽。
アポロの旅は始まったばかりで、すぐに困難な次の作業が待っている。
アポロ司令船「コロンビア」をサターンVから切り離すのだが、同時にサターンVに収納されている月着陸船を引っ張り出さねばならない。

このドッキング技術がアポロ11号で最も困難な技術開発だった。
サターンVから切り離された「コロンビア」は、すぐに回れ右して、切り離したサターンVに最接近。
その中に収納されている月着陸船「イーグル」とドッキングだ。

このドッキングは、プレーヤーの手動操縦でプレイすることも可。
無事に「イーグル」とドッキングした「コロンビア」。
この後、「イーグル」をサターンVから引っ張り出し、サターンVはここで役割を終え廃棄される。
サターンVから見た、「コロンビア」が「イーグル」を引っ張り出す様子。

まだ向こうに見える月まで遠い。

この間の4日に及ぶ航海はスキップされ、唐突に月周回軌道まで話が飛ぶ。
月の地平線から朝日が昇る。

その朝日に照らされた月近くの宇宙空間を、アポロ宇宙船が行く。
こんな光景を一度生で見てみたかったが、私が生きている間は無理だと覚悟を決めた。
「宇宙飛行士だけが宇宙へ行ける時代」がいつ終わるのか、まだ見えない。
月の周回軌道を飛行するアポロ宇宙船「コロンビア」+「イーグル」。
ここで「イーグル」に乗り換えていよいよ月面を目指す。

「イーグル」に乗り込んだ。
センターパネルはやっぱり機械的スイッチがズラリ。
(アラームランプが点灯しているのは気にしないで)
そして縦に長いので、下方向は次の画像に続く。

そのセンターパネルの下に、コンピュータパネルとスティック型の操縦桿がある。
このコンピュータは「ファミコン並みの性能」と言われているが、当時はこんな小さな
コンピュータ自体がなかったはずで、現在のパソコンやスマホなどの基礎になっている。

また徹底的な「フェールセーフ」の思想によりプログラミングされ、
月面着陸シーンではデータオーバーフローによるフリーズを起こしても
問題なく機体を月面へ誘導していたことが分かっている。

左側はオルドリン飛行士が搭乗した。

右側はアームストロング船長の搭乗位置で、外へ出るハッチが近い。
司令船「コロンビア」から切り離され、月面へ向け降下する「イーグル」の様子。

世紀の瞬間が近付く。
「イーグル」での降下中に、左側の窓から月面を見る。
降下用のエンジンが火を噴き、減速しながら慎重に降りて行く。
当初の着地予定地点は、クレーターや大きな岩石が多く、着地は危険と判断。
アームストロング船長自らの操縦で着地に適したところを探す。
この予定外の飛行で、残燃料が尽きる危機に…。

この緊迫の着陸操縦も、プレイヤーによる操縦が可能だ。
「着陸灯、点灯」
「エンジン停止」

地球へ通信…
「ヒューストン、こちら『静かの基地』、イーグルは舞い降りた」
右側で月面着陸を成功させたアームストロング船長が、少しだけホッとした表情を見せる。

実際はどうだったんだろう?


そして…

「That's one small step for man, one giant leap for mankind.」
(これは人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な跳躍だ)
※ 英文は原文ママ
月の大地の様子だが、この再現度は実物を見たわけではないので分からない。

でもこの画面を見たら、このソフトのためだけにVRゴーグルが欲しいと、真剣に感じた。
月面で活動するアームストロング船長。

実際にはアームストロング船長が月面で活動する写真は残っていない。
なぜなら、彼は船長であると同時に、月面での写真撮影を担当していたからだ。
当時は月面でなくても「自撮り」は無理だ。
「イーグル」改め「静かの基地」付近で活動する、アームストロング船長とオルドリン飛行士。
星条旗を立てただけでなく、観測用機材をいくつか設置した。

実際でもそうだったし、このソフトでも、ニクソン大統領からの通信が入る。
昼下がりの月面「静かの基地」。
月面活動は終わり、これからは地球へ無事に帰るという使命が待っている。

「家に帰るまでが月旅行です」。
「イーグル」は帰還時には、下半分を発射台として切り離し、上半分だけ「コロンビア」が待つ月周回軌道へ戻る。

その発射瞬間の様子だ。
この発射台として残された「靜かの基地」は、その後のアメリカ以外の月探査でも存在が確認されている。

これで「アポロの月面着陸はウソ」という陰謀論にとどめを刺すはずだったが…。

月面から見た地球。
アポロ11号のミッションでは「無事帰還」も大事な目標だったが、
このソフトではその大半がカットされる。

そしてこのカットされている間に、月周回軌道に戻った「イーグル」は「コロンビア」と再度ドッキング。
その後、地球帰還に必要のない「イーグル」は切り離されて、宇宙空間へ消える。

そして「コロンビア」は、無事に地球周回軌道まで帰ってきた。

そして帰還直前、最後に最も困難な難関が待っている。
「大気圏突入」だ。
地球の大気圏が近付いたところで、「コロンビア」は機械船を切り離して、司令船本体であるコックピット部分だけになる。

明治製菓のチョコレート菓子「アポロ」は、アポロ宇宙船のこの最終形態が名前の由来だ。

機械船は、司令船を追うように飛行して、大気圏で燃え尽きて果てる。
「コロンビア」は180度回転し、「底」を下にしてさらに高度を下げる。
やがて大気圏突入の高熱で赤い炎に包まれる。

アポロ11号の飛行から34年後、同じ「コロンビア」という名のスペースシャトルが、大気圏突入時に事故を起こし、7人の宇宙飛行士が宇宙に散った。
大気圏突入の炎で機内も赤い光が入る。
ものすごい機体の揺れと回転、絶叫マシーンどころの騒ぎではないだろう。
窓から外を見ると、赤い炎の向こうに地球の地平が見える。
無事帰還までもう少し。
そして炎が消えると、窓の外の空の色が変わる。
前方の窓越しにパラシュートが開かれているのが見える。
無事帰還に、アームストロング船長の表情も和らぐ。
着水地点付近の海上では、海軍の艦艇が飛行士たちを回収するために待機しているはずだ。

以上がこのソフトによる「アポロ11号」の月旅行だ。
このようなすごいプロジェクトが50年も昔にあったなんて、改めて驚く限りだ。

そして、このアポロ計画をもって東西の「宇宙開発競争」に決着がついたかたちとなり、
以後はアメリカとソ連は宇宙開発において「競争」するのでなく「共存」することになり、
アポロ計画のような有人飛行における大きなチャレンジはなくなってゆく。

そして東西冷戦という時代が遙か過去のものになろうとしている現在、
アメリカはやっと重い腰を上げて、月への再挑戦を計画するようになった。
その新しいチャレンジは、月だけではなく、人類が始めて地球-月系を脱して
火星へ飛ぶことも視野に入れている。

そう遠くない将来に、人類で始めて地球-月系を脱することになる人、
人類で始めて火星に降り立つことになる人。
その人は今、地球上のどこかで宇宙飛行士を目指していることだろう

それとは別に、日本も含めて様々な国が月へ無人探査機を飛ばし、
月に関する新たな知見が数多く生まれているのは周知の事実だ。

いま、宇宙が新たな「夢」のステージになろうとしているのだ。

そんな時代だからこそ、アポロ計画の足跡を改めて知る必要があると思うし、
このソフトはこれに応える、最大のツールになると思い、このたび紹介した。

このソフトにより、多くの人がアポロ計画に興味を持つことを祈って、この記事を終わりたい。


私がこのソフトで「アポロが最も乗り物らしい」と感じたシーンは、
月面着陸を前に「イーグル」が「コロンビア」から切り離され、徐々に離れるこのシーン。

用途によって連結や切り離しを繰り返しながら目的地を目指す、
これが「アポロ」が持つ「乗り物」としての魅力だ。


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