・Hidaka Main Line:Tomakomai - Hidaka-Mombetsu Route
 北海道旅客鉄道(JR北海道)日高本線:苫小牧~日高門別

海岸に近い川を渡る列車

・収録車両
 キハ130系気動車

・購入済みアドオン車両
 今のところなし

・経由地
 苫小牧~勇払~浜厚真~浜田浦~鵡川~汐見~富川~日高門別



 「Train Simulator」シリーズの再現路線は欧米の路線が中心で、日本を含むアジアの路線は限られている。これまでリリースされた日本の実在路線は以前にも紹介した「JR西日本・桜井線/和歌山線」の1路線だけであったが、このたび日本の実在路線の2路線目が発売されたのでここでファーストインプレッションとして紹介しよう。

 本ゲームで2番目の日本路線として加わったのは、日本列島を北上して北海道の太平洋岸を走るJR北海道の日高本線である。日高本線の全146.5kmのうち、起点方の苫小牧~日高門別間の51.3kmが再現された。
 起点は北海道中央部の太平洋岸の港町で都市である苫小牧。この地名の由来はアイヌ語で「沼」を意味する「ト」と、「山奥から流れる川」を意味する「マコマイ」の合成だと言われている。苫小牧で内陸へと進路を取る室蘭本線と分かれて太平洋岸へ真っ直ぐ進むと、まずは広大な勇払原野に行き当たる。最初の停車駅の勇払駅までは13km、この間はこの原野を一気に突き進む。勇払駅を過ぎると右車窓に太平洋が見え始めるが、周囲は原野風景が続く。苫小牧を後にして最初のまとまった町の中に入ると、列車は鵡川駅に到着する。本マップでは唯一の交換可能な中間駅だ。
 鵡川駅を出るとトラス橋とガーター橋の組合せが美しい鵡川橋梁を渡る。すると今度は列車は原野風景と海岸線風景の繰り返しとなる。原野風景区間では牧場なども散見され、海岸風景では殆ど波打ち際とも言える区間を走るところもあり、この区間は本ゲームでのハイライトだ。日高本線自体はこの区間のような風景が、この先100km近く先の様似駅まで延々と続く。
 このような景色のうちに富川駅を過ぎて、本マップ上での終着駅である日高門別駅に到着する。日高門別駅は人口1万2千の日高町の役場所在地、この日高町は境を接していない日高町と門別町が合併して出来た町で、現在も町は平取町を間に挟んでふたつに分割されている。ゲーム上ではここが終点とは言え、駅名標には次の駅が表示されていて、線路もずっと南へと延びている。ここから先の区間がアドオンか何かで出ないかと、つい期待してしまうつくりだ。。

 なお日高本線の鵡川駅から先について、2015年1月に発生した高潮災害により不通になったままだ。残念ながら地元とはこの区間の廃止を前提とした交渉が行われている状況であり、ことによるともう二度とこの区間の列車に乗ることは出来ないかも知れない。不通区間の一部とは言え、ゲームで再現されたのは嬉しくもありかなしくもあるところだ。

 本マップに付属の車両は、JR北海道のキハ130系気動車だ。国鉄のローカル用気動車は車体が大きく日高本線のような閑散路線には向いていないため、民営化直後の1988年に登場した軽量気動車で、各地のローカル私鉄向けの標準気動車の設計を元に国鉄形気動車との連結運転機能などを追加したものだ。これによってJRはローカル線のコスト低減を図ろうとしたが、北海道の厳しい自然の太平洋岸を走る本路線の環境と軽量気動車が合致するはずもなく、登場から僅か14年の2002年までに全車廃車となった。ちなみにキハ130系はJR化後に製造された新形式車両として最初に全車廃車を迎えた形式である。。

 以下、本ゲームのスクリーンショットをアルバム形式で見ていこう。


・世界の車窓から
 
今回は車両の紹介を先にしよう。これが本マップ収録のキハ130系気動車。
JR最初の軽量気動車だ。
我が家にはキハ130系の模型がある。こんな感じで見比べることも可能だ。残念ながら、もう実物のキハ130系と比較できない。
ゲームのキハ130系の車内。独特の紫色の座席が上手く再現されている。ついでに言うと、軽量気動車独特の「軽量感」もうまく再現できている。
客室から運転席方向を見る、運賃箱や整理券発行機などの「日本のローカル線の旅情」をうまく再現。
キハ130系の屋根、ゲームのキハ130系を初めて見たとき、「屋根上がなんか物足りない」と感じた。
なら模型と比較だ。ゲームのキハ130系の屋根にないもの…それは列車無線アンテナと、エンジンの排気口だ。
では、苫小牧からキハ130系ら乗って日高本線の旅を愉しんでみよう。
苫小牧駅ホームで発車を待つ列車。この苫小牧駅、実物の雰囲気をふまく再現している。
苫小牧駅の全景、駅施設だけでなく、周囲の建物も雰囲気がふまく出ている。
苫小牧駅を出発、ポイントをいくつか渡って最も右側の日高本線の線路へと進路を取る。
確かに、苫小牧駅の近くにあんなビルがあったなぁ。
苫小牧駅を出発した列車は、しばらくは電化された室蘭本線に沿って走る。日高本線の線路を挟んで設置されている苫小牧貨物駅も再現されている。
室蘭本線から離れると、緩いカーブを描いて勇払原野へと進む。
勇払駅を過ぎると安平川橋梁を渡る。ここから左車窓に海が見え始める。
原野に伸びる線路を一直線に進む。これが日高本線苫小牧口の旅情だ。
車内から海を見る。沖には貨物船が浮かぶ。
続いて渡るのは厚真川橋梁だ。長いデッキガーターの上を、トコトコとキハ130系が突き進む。
浜厚真駅の光景、国鉄分割民営の頃に青春期を過ごして来た私たちの世代にとっての「典型的なローカル線駅の光景」、涙が出そうだった。
その中心に据えられているのは、1980年代後半に北海道各地で見られた車掌車改造の駅舎だ。こんな駅舎はもうかなり数を減らしているはずだ。
次の浜田浦駅までの間で小さな川を渡る。その水面に列車の姿が映る。
そして苫小牧を出て始めてのまとまった町並みが見えると、列車は鵡川駅に到着。かつては富内線が分岐するジャンクションだったが、富内線は1986年に廃止された。
鵡川駅を出るとすぐに鵡川橋梁を渡る。トラス橋とガーター橋の組合せが美しい橋だが、残念ながら現在、ここを列車は走っていない。
大平原の真ん中にポツンと存在するのが汐見駅、こんな北海道の旅情も再現できる。
再びまとまった町に入ると今度は富川駅だ。1986年に交換設備を廃止して棒線駅となったが、駅前後の線路の屈曲に交換駅だった名残がある。
富川駅を出てすぐに渡るのは沙流川橋梁、これも長いデッキガーター橋だ。
そして富川駅の前後からは、このように太平洋岸を走る区間もある。
波打ち際を走っていると言っていいほど海が近い。こんなだから2015年1月の高潮災害で、線路を分断されてしまったんだ…。
ラストコースでは海岸と原野の繰り返し、原野では牧場の中を走る区間も。
次にまとまった町に入ると、列車は本ゲーム上での終着駅である日高門別駅に着く。だいたい1時間程度の旅だ。
ここからはオマケ。試しに日高本線を「森鐵物語」のキハ750系(国鉄キハ07系)を走らせてみた。
苫小牧駅ホームで発車を待つキハ750系。苫小牧駅の様子が上手く再現されているからこその、違和感だらけの光景だ。
鵡川橋梁を渡るキハ750系。昔はローカル線でこんな光景が見られたんだろうな。
富川駅近くの海岸線を行く。モデルとなった国鉄07系って、こんな海辺を走っていたのかな?
鵡川駅に到着した光景。
ちなみに「森鐵物語」のあの急勾配を軽々登ってしまう性能だけあって、平坦線の日高本線を走らせるとある速度域では鬼加速を見せてくれる。


厚真川橋梁を行くキハ750系。
ここをキハ40系やキハ22系で走ってみたいなぁ。
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