・Niddertalbahn:Bad Vilbel-Stockheim Route
 ドイツ鉄道:ニッダータール線・Bad Vilbel(バート・フィルベル駅)~Stockheim(ストックハイム駅)

 2023年5月14日 プレイ動画追加


ドイツのローカル鉄道を愉しもう!

・収録車両
 DBB BR 628.2 DMU(地域輸送用一般形気動車)
 DBB BR 365 diesel shunter(小型ディーゼル機関車)
 その他 関連貨車

 今回の舞台はライン川沿いの大都市、フランクフルトから北東へ約10キロの小さな駅から伸びるローカル線だ。フランクフルト中央駅からカッセルを目指すマイン・ウェザー線の「Sパーン」で約20分のところにある、バート・フィルベル駅で分岐する全長約30キロの「ニッダータール線(Niddertalbahn)」という小さな路線が舞台である。

 この路線は1905年から1907年に掛けて、前述のマイン・ウェザー線とほぼ平行に走るフリートベルク・ハーナウ線、ギーセン・ゲルンハウゼン線とを結ぶ路線として開業した路線だ。ニッダー川に沿った農耕地帯を走り、一部では渓谷風景もあることから「ニッダー渓谷鉄道」という意味の「ニッダータール線」と呼ばれている。
 沿線人口は決して多くなく、1980年代には廃止も検討されていたという。だが様々な改善策の実施で廃止は免れ、2000人あまりだった1日当たりの利用客数も今は6000人程度まで増えているという。

 この路線は広大な平原に拡がる農耕地と、その農耕地へ向かって伸びる丘陵地を超える風景がとても印象的で、そんな牧歌的な風景の中をローカル気動車でのんびりと、あるいは短編成の貨物列車でゴトゴトと揺られながら走ることができる旅情溢れるマップだ。

 車両は2種類用意され、ひとつはこのマップで旅客輸送を一手に引き受けるBR628系気動車。青緑の濃淡塗装が印象的な2両編成で、単独で2両編成または2本繋いで4両編成で登場する。
 もうひとつの車両は小型の入換用ディーゼル機関車であるBR365形機関車だ。こちらはまるで鉄道模型のような凸型の小さな車体で、穀物を満載した無蓋貨車を最大で7両牽引する。

 マップの時代設定は1992年頃とされ、これは前述のBR365形機関車による貨物列車が運行されていた時代の最末期である。鉄道の施設面や駅名、車両、それに周囲の風景がこの時代に合わせられて再現され、特に鉄道施設面では腕木式信号機が稼働する点がみどころである(その動作タイミングについてはツッコミどころはあるが)。列車の動きに合わせて腕木がガシャっと音を立てて動く懐かしい鉄道シーンの割に、車両がその時代の車両より少し新しいというミスマッチ感も素敵なマップだ(腕木式信号機の動きは動画でお送りしたい)。

 そんな少し昔のローカル線の旅を楽しめるマップを紹介していきたい。


・車両の紹介
 本マップでの旅客輸送を一手に担う主役は、BR628系気動車。
 2両編成で、650馬力の最高速度120km/hというスペックを持つ液体式気動車。

 本マップで再現されているのは628.2形と呼ばれるタイプで、車体形状と客室設備が見直されたもの。1986年から1989年にかけて150両が製造された。
 編成写真風に撮ってみた。2両編成であることは前述しているが、その内容は動力車1両と付随車1両の1M1Tである。日本の旧国鉄風に言えば「キハ」と「キクハ」ってところだ。
 2両編成で片側の扉が3枚ずつになる構成で、運転席に向かって右側のみ後位側にも扉を備える。
 動力車を形式写真風に見てみよう。
 動力車では後位側扉の向かいにはトイレが設置されていて、客室は全席2等(普通席)となっている。
 付随車側から編成全体を見る、一見すると外観上変化はないが、1等客室設置を示す「1」の表示が目立つ。
 またこの画像だと、エンジンがなく床下がスカスカであることも見てとれるだろう。
 付随車を形式写真風に見る。デッキ部分の次の窓ふたつ分が1等室、あとは2等だ。
 後位側扉部分はデッキで仕切られているが、扉の向かいにはロングシートが設置されている。
 続いては客室の様子を見てみよう。
 前述のように付随車には1等室が設けられている。定員10名の小さなスペースで、座席はゆったりと配置されている。
 内装が青系でまとめられていて、落ち着いた感じだ。
 これは一般客室である2等で、客席の多くは運転席とは反対方向を向いているが、一部の座席は逆を向いていて4人向かい合わせのボックス席となっている。
 内装は橙色の系統でまとめられている。
  運転席背後区画、デッキ仕切りの外はロングシートだ。ヨーロッパではトラム以外でロングシートは珍しい。
 運転席はデスクタイプでとても広々としている。
 ちなみにルームミラーやサイドミラーが設置されてはいるものの、ゲームでは何も映らない。
 ちなみに本マップをインストールすると、前回紹介した「Linke Rheinstrecke(ライン川左岸線)」のマップにBR628系のダイヤが追加される。これはコブレンツ中央駅で発車を待つBR628系によるビンゲン行き快速列車。

 追加されるのはマインツ周辺の都市近郊列車がほとんどだが、ビンゲン中央駅~コブレンツ中央駅間のライン川渓谷区間に快速列車が1往復用意される。
 この快速列車のうち、コブレンツ→ビンゲンの列車は動画もアップ済みだ。
 続いて本マップで貨物列車を牽引するBR365形ディーゼル機関車。
 640馬力で最高速度60km/hだが、構内入換等では最高速度を30km/hに落として牽引力を上げることができる。

 1955年~1963年に掛けて942両が製造され、ドイツ各地の操車場やローカル線で活躍した。
  キャブが後位側に寄ったスタイルの凸型車体で、日本の国鉄のDE10形やDD16形を思いつく日本の鉄道ファンは多いだろう。
 また興味深いのは、ヨーロッパ標準のリンク式連結器であっても自動的に連結・開放出来る機構を持っていることだ。
 後位側から見てみると、短いボンネットがとても印象的だ。
 個人的にはこっちの方が好きだが、運転席に入ると「こっちが後ろ」と思い知らされる結果になるんだよな…。
 真横から見てみると、独特の凸型スタイルがよく分かる。
 動輪は3軸で、動力伝達機構はロッド式なのが日本のディーゼル機関車では見られない構造だ。

 ホントに模型そのまんまで愛嬌がある。昔の模型屋さんに行ったらNスケールで1両3000円くらいで売ってそうだ。
 その運転室の様子だが、作られた時代が古いせいでとてもメカニカルな感じがある。
 実は右も左も「運転席」で、右側は椅子もあって座って運転出来る「前進」時用の運転台、左は立って運転する「後進」時用の運転台だ。

 もちろん、この画像に写っているのはボンネットが長い方だ。
 ボンネットが短い方を見てみると、運転器機はハンドブレーキだけ。やっぱりこっちが後ろなんだと思い知らされる。

 後述のプレイ動画では、こっちを前にした運転をご覧頂きます。プレイ動画にする見通しの関係で、座って運転する右側の運転台で後ろを向いて運転というかたちにしています。

 前からこのサイトで何度も言っていますが、日本の鉄道運転シミュレータゲームにはこんなローカル線というのはほとんど見当たりません。ましてやこのマップのように「ローカル線で貨物列車を運行する」というのは見たことがないのですが…まぁ、リアルでも日本の鉄道では、ローカル線から貨物列車がなくなってかなり年月が経ってますから。秩父鉄道と、岩手開発鉄道と…あとどこにあったっけ?状態ですから。

 リアルでもこのニッダータール線では、貨物列車の運行はトラック輸送に切り替えられて現存しないというのですが、ゲームなんだから過去に戻ってこういうプレイが出来るというのはとても良いことかと思います。
 旅客列車の方も昔ながらの客車列車でなく、ある程度近代化された気動車で運転されているという時代設定です。腕木式信号機などの今は見られない古い鉄道保安システムに従って、ある程度近代化された車両が走るという微妙な時代設定を持ってきたことはこのマップの隠れた魅力のひとつかと思います。

 なお、現在では近代化により腕木式信号機は廃止されており、穀物輸送の貨物列車もとっくに廃止になっていて(本マップの時代設定である1992年頃に廃止)、走る車両ももっと新しい型式のものに代わっているという。さらに数年後には電化が計画されているということなので、このサイトを見てこの鉄道に興味を持って実際に行ったとしても全く違う鉄道シーンが展開されているという現実は書き記しておこう。

…続いて、車窓風景を「プレイ動画」で紹介しよう。私の動画では初の貨物列車の運転動画だ。

・「世界の車窓から」
 ストックハイム駅→バート・フィルベル駅 365形ディーゼル機関車牽引の貨物列車による全線プレイ動画
(約70分)

365形ディーゼル機関車牽引の貨物列車で全線走ったあと、貨車の切り離しまでのプレイです。
晩春の午後、ローカル線を貨物列車でのんびりと走ってみましょう。
【ナレーター】「VOICEVOX:四国めたん」 

 バート・フィルベル駅→ストックハイム駅 628系気動車4両編成の普通列車による全線プレイ動画
(約66分)

628系気動車を2編成繋いだ普通列車で全線走ったあと、車両を留置線へ移動するまでのプレイです。
晩春の夕方、ローカル線をダイヤに追われながら走ってみた。
【ナレーター】「VOICEVOX:四国めたん」 

 速い列車もいいけど、やはり鉄道の旅の醍醐味はローカル線。
そう思わせてくれる楽しいマップです、このゲームを持っている人には強くオススメします。

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