・West Highland Line (South) Route
 ウェストハイランド線:Helensburgh Upper(ヘリンズバラ)~Fort William(フォート ウィリアム)

イギリス鉄道の標高最高地点へアタックする気動車

・収録車両
 BR Class 37 diesel locomotive
 (その他関連の客車および貨車)

・購入済みアドオン車両
 (いまのところなし)
 ※なお、本サイトでは路線の紹介に別売の「Class 156 Loco Add-On」に収録の車両を使用しています。

・経由地
 Helensburgh Upper(ヘリンズバラ)~Garelochhead(ゲアロック ヘッド)~Arrochar & Tarbet(アローチャー&ターベット)~Ardlui(アードルイ)~Crianlarich(クリアンラリッチ)~Tyndrum(タインドラム)~Bridge of Orchy(ブリッジ・オブ オーチー)~Rannoch(ラノッホ)~Corrour(クロウ)~Tulloch(タロック)~Roy Bridge(ロイブリッヂ)~Spean Bridge(スピアンブリッヂ)~Fort William(フォート ウィリアム)




 スコットランドのハイランド地方は、人口が少なく、荒涼とした大地や山地が続くところ…観光紹介サイトでは「ヨーロッパ最後の本物の荒れ地を一望する絶景」が見られる場所として売りに出されているほどの地域だ。
 スコットランド最大の都市グラスゴーと、このハイランド地方第二の都市フォートウイリアムを結ぶ路線が今回紹介する路線で、以前紹介した「West Highland Line Extension Route」とは、グラスゴーから見て手前側の区間となる。このマップはとても長く(収録区間は100マイル=約160km)、全線紹介するとまとめるのが大変なので、本マップの終点側の3分の2程度(約65マイル)に当たるクリアンラリッチ(Crianlarich)から終点フォートウイリアムまでの紹介とさせて頂きたい。またキャプ画の車両は最近の実路線の運行状況に合わせて、ゲームでは別売となるClass156形気動車を使用する。

 今回紹介する区間の起点、クリアンラリッチは内陸にある小さな町の駅だが、大西洋に直接面したオーバン(Oban)へ向かう支線と分岐するため、本路線の運行上の拠点となっている。実物の本路線を紹介するサイトを参照してみると、グラスゴーから来た列車はここでフォートウィリアム行きとオーバン行きに分割するようだ。
 クリアンラリッチを出発した列車はフィラン川の橋梁を渡って左にに大きくカーブする。そして左車窓にフィラン川の谷間を見下ろしながら勾配を上るルートとなる、左車窓の谷間には先ほど分岐したオーバンへの路線が見えていて、シナリオによってはそこを列車が走っているのが見えるなんてものがあるのが楽しい。
 最初の停車駅はタインドラム駅。タインドラムの町は左側の谷間の方にあるので駅付近には建物等がない再現となっている。谷間にあるタインドラムの町にはオーバンへの支線の駅があり、本ゲームでも支線がそこまで再現されている。タインドラム駅を出ると今度は右に大きくカーブしてフィラン川の谷間と別れを告げ、ほどなく列車は最初の峠(標高1024フィート=312m)を超える。するとこれまでの山岳路線的な森林風景は一変して、どこまでも荒野が拡がる高原地帯の風景となる。その風景の中を下っていくと、アストキングラス川の橋梁を渡る。荒野に流れる川を緩いカーブで渡る橋梁だ。
 景色に大きな変化が無いままだが、日本の鉄道にはない雄大な景色なのでゲームをプレイしていても飽きない。劇的な風景の変化は無く、散発的に湖や川や湿地が出てきて、これらを渡ったりする橋梁もあるので景色に緩急もあるのだ。
 ブリッジ・オブ オーチーで下り勾配が上りに転じても風景に大きな変化は無い、ラノッホ駅手前では一時的に下り勾配に転じる区間もあるが、総じて標高を上げて行くかたちだ。そして荒野の中にポツンと現れる小さな交換駅がクロウ駅、ここはイギリスの鉄道で最も標高が高い駅である。クロウ駅を出て少し行くと勾配が下りに転じるが、そこに木製の標識が立っていて「Corrour Summit 1350 Feet Above Sea Level」と書かれている。ここがイギリスの鉄道における標高最高地点のクロウ峠で、標高は1350フィート(=411.5m)だ。日本の鉄道の標高最高地点が1000メートルを超えていることを考えると物足りないかも知れないが、周囲の高原的な荒野を見れば厳しい場所に鉄路が敷かれている緊張感を感じることが出来る。
 峠を越えると急な下り勾配で今まで登った来た分を一気に下る。やがて左車窓にトレイグ湖という湖が見えてきて、勾配を下りきるとこの湖畔を走るかたちになる。トレイグ湖はやがてトレイグ川という細い流れに変化して、ここからはひたすらこの川に沿って走ることになる。沿線風景も先程までの荒野とはうって変わって、渓谷沿いの森林風景に変化している。タロック駅を過ぎると列車はトレイグ川の渓谷を眺めながら走るようになり、日本の山岳路線に似た様相を見せる。
 そしてトレイグ川が作る谷間が少しずつ開けて行くとロイブリッヂ、スピアンブリッヂという橋の名前の駅がふたつ続く、やがて谷間が完全に開ききらないうちに右側からマレーグへ続く線路と合流し、急に付近が市街になったと思ったら終点フォートウイリアム駅だ。

 車両はClass37形という1960年代に作られた機関車を中心に、これに合わせた客車や貨車がセットされている。というのも本マップは1980年代を当路線を再現しているようで、この時代は機関車牽引列車が中心だったようだ。現在、本路線はローカル気動車で運行されていて、今回の紹介に使うClass156形気動車などで運用されているようだ。

 本路線はとても長く、全線通しでプレイすると3時間以上掛かってしまう。本サイトのようにクリアンラリッチ駅でプレイを切っても2時間たっぷり掛かる路線なので、時間がある休日などでないとプレイ出来ない敷居の高い路線である。だがその時間を掛けて良かったと思える広大な景色がPC画面に拡がるのは確かで、これは「是非とも本物に乗ってみたい」と思わせてくれる内容だ。そんな訳で本ゲームをお持ちの日本人には是非ともプレーして欲しい路線だ。

 ちなみに、この鉄道の実物の方の説明は下記へ。
欧州ローカル列車の旅:グラスゴー~マレーグ
以前にも紹介しましたが、2013年に本路線を含むグラスゴーからマレーグまで鉄道旅行した方の記録です。このページのフォートウィリアムまでの区間が、本ページで紹介した区間となります。


・世界の車窓から

クリアンラリッチ駅構内、ここはグラスゴーとフォートウイリアムを結ぶ路線のほぼ中間で、大西洋沿いのオーバンへ向かう路線と分岐する小さなジャンクションだ。
車両はClass156形一般型気動車、日本でいえばキハ58みたいなものか。1987年から228両が製造され、イギリス各地のローカル線で使用されているが、中でもスコットランドでその数が多いとのこと。
車内は集団見合いのクロスシート。
この列車に乗ってフォートウイリアムを目指そう。
クリアンラリッチ駅を出ると、列車はまずフィラン川を渡る。
フィラン川を渡ると左に大きくカーブして、フィラン川の谷間を見下ろしつつ急勾配を登る。
その途中で何度かフィラン川の支流を渡る。
ここで標準の車両を紹介しよう。このマップに標準で入っているのは、Class37形ディーゼル機関車だ。
そしてこの機関車とこの路線に見合う貨車と客車が同梱されている。貨車は日本のホキ800にソックリなバラストホッパ車が入っているので、工臨ごっこができる。客車はMk1クラスの一般客車や荷物車、それに寝台車もセットされているが、寝台車の車内が再現されていないのが残念。
最初の停車駅、タインドラム駅を過ぎると最初の峠を越え、列車は勾配を下りはじめる。
同時にこれまでの森林風景は一変して、荒涼とした大地を行くようになる。
大地風景になってしばらく行くと、こんなカーブした鉄橋を渡る。アストキングラス川橋梁だ。
こちらの画像は、時刻設定を夕刻にしてみたもの。ローカル線の雰囲気を盛り上げてくれる橋梁だ。
ブリッジ・オブ オーチー駅。この路線の特徴は何もない荒野に突然駅が出てくること。油断すると駅前後の分岐器制限をオーバーしそうになる。駅間距離が長いから、忘れた頃に駅が出てくるんだよね。
ブリッジ・オブ オーチー駅を出てしばらく行くと、こんな感じで湖の畔を走る。トゥラ湖というらしい。
湖を背にして線路を見ると、すぐ背後に高い山が迫っている。ここはイギリスでも有数の山岳地帯だ。
湖を過ぎると今度は湿地帯だ。こんな感じて川とも沼ともつかない水場を、小さな橋梁で越して行く。
湿地帯の中を流れる川を渡る。水がきれいなところなんだろうな。
ラノッホ駅を出たところに、こんな印象的な橋梁がある。特定の川を渡るのでなく、湿地を流れるいくつもの小河川をまとめて渡っているようだ。
本路線の沿線の荒野の様子が、最も分かりやすいキャプはこれかも知れない。本当に沿線に何もないんだわ。
これも本路線沿線の何もなさを伝える1枚だ。
大平原に見えるけど、この辺りは結構な勾配だ。実はこの路線の峠が近い。
上画像から少し進んだところ、湿地にできた池に車体を映す。
クロウ駅に到着、ここはイギリスの鉄道駅の中で最も標高が高い。付近には登山道があり、ハイカーの利用が多い駅だとのこと。
それにしても何もない、この駅は最も近い道路から15キロ以上離れているという…今の日本なら「秘境駅だ」って大騒ぎになりそうだ。
クロウ駅を出て少し行くと、線路の両側にこんな看板が建っている。
ここがイギリス鉄道の標高最高地点。標高1350フィート(=411.5m)だ。
完全に観光地化されている日本のそれとは、かなり雰囲気が違う。

ちなみに、現在は違うデザインのものに建て代わっているようだ。
最高所を行く列車、しかし標高400メートルあまりだから日本に比べれば大したことはない、なんて言ってはいけない。
日本でもこの標高まで登ってくる鉄道は、意外に少ないものだ。
サミットの周囲の様子を見てみる。本当に何もない、木の1本も生えていない寂しくて厳しいところだ。
クロウ峠を越えると急勾配で今まで登ってきた分を一気に下る。速度制限もあるので運転に気をつけないと、すぐ速度オーバーになってしまう。
勾配を下りきると、トレイグ湖という湖が車窓に広がる。
湖畔に行く列車、久しぶりの湖の景色は、これまでの荒涼とした景色から解放された安堵感を感じる。
やがてトレイグ湖はトレイグ川という流れに変わり、終点までほぼこの川に沿って走ることになる。
そしてタロック駅を過ぎると、こんな渓谷風景が現れる。
この渓谷沿いはカーブがきつくて制限速度も低い。だけどこのような渓谷に沿って走る景色こそ、日本人が頭に描く山岳路線ではないだろうか。
終点のひとつ手前のスピアンブリッヂ駅、シナリオを自作すればこんな交換風景も再現可能だ。
そして終点のフォートウイリアム駅、ここまで通しで運転すると「はるばるやってきた」と感じますね。
それにしても長い路線、駆け足で沿線風景を紹介したので実感は掴みにくいが、今回紹介した区間だけで2時間たっぷりと掛かる。本マップを全線プレイすれば3時間以上だ。


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