・Wutachtalbahn:Lauchringen - Immendingen Route
ヴータッハタール鉄道 Lauchringen(ラウッフリンゲン)~Immendingen(インメンディンゲン)
巨大なヘアピンカーブを行く蒸機列車 |
・収録車両
DR BR86 Locomotive(ドイツ鉄道 BR86型蒸気機関車)
Ci-28 Donnerbuchse(Ci-28形二軸客車)
(その他関連貨車)
・購入済みアドオン車両
いまのところなし
・経由地
Lauchringen(ラウッフリンゲン)~Wutöschingen(ヴテシンゲン)~Eggingen(エッギンゲン)~Stühlingen(シュテューリンゲン)~Weizen(ヴァイツェン
)~Lausheim-Blumegg(ラウスハイム-ブルーメック)~Fützen(フュッツェン)~Epfenhofen(エプフェンホーフェン)~Blumberg-Zollhaus(ブルームベルク-ツォルハウス)~Geisingen-Leipferdingen(ガイジンゲン-ライプファーディンゲン)~Geisingen-Aulfingen(ガイジンゲン-アウルフィンゲン)~Geisingen-Kirchen(ガイジンゲン-キルヒェン)~Geisingen-Hausen(ガイジンゲン-ハウゼン)~Immendingen-Zimmern(インメンディンゲン-ツィンマー)~Immendingen(インメンディンゲン)
ドイツ南部のバーデン-ヴュルテンベルク州、そのさらに南部のスイス国境に近い山に今回の舞台となるヴータッハタール鉄道がある。この全長約65キロの路線の南半分は沿線の人口減少で現在は列車運行ないようであるが、その列車運行がない区間も含めて本路線の全線が今回紹介のアドオンに収録されている。
このヴータッハタール鉄道の中間区間、大陸分水嶺を超える約20キロの区間は通称「Sauschwänzlebahn(ザウシュヴェンツレバーン=[豚のしっぽ鉄道])」とも呼ばれる保存鉄道となっている。今回はこの保存鉄道として運行されている区間を中心に、このゲームを通じてヴータッハタール鉄道を紹介しよう。
この付近のドイツとスイスの国境付近に「大陸分水嶺」と呼ばれる稜線がある。以前紹介したレーティシュ鉄道アルブラ線のアルブラ峠もこの稜線に含まれるが、この稜線は北海へ注ぐライン川水系と、黒海に注ぐドナウ川水系の境界線でもあり、ヨーロッパを地形的に隔てている。
この分水嶺を超えるためのルートとして、ライン川沿いにスイスのシャフハウゼンを経由するルートが古くからあったが、このルートでは一度スイス領を経由することになる。ところが19世紀後半にドイツとフランスとの関係が悪化すると、ライン川沿い地域への軍需物資の輸送が必要になった。だがドイツの軍需物資は条約でスイスを経由させることが出来ず、そこでドイツ領内だけでこの分水嶺を超えるルートとして建設されたのが、今回紹介するヴータッハタール鉄道だ。
主に軍需物資を大量輸送するルートとして設計されたため、最急勾配は10‰に抑えられている。このため峠越えとなるヴァイツェン~ブルームベルク-ツォルハウス間は直線距離10キロに対し標高差230メートルで平均勾配が23‰となってしまうため、ループ線やヘアピンカーブを多用して倍以上の距離を稼ぎ出して勾配を10‰以下に抑えている。このループ線が後の通称「豚のしっぽ鉄道」の由来となっている。
路線は1890年に開業、その後の二度の大戦では他国領を通らずに大陸分水嶺を超えられるルートとして軍需物資輸送に重宝したが、沿線は人口が少ない地域でもあり旅客列車は殆ど走っていなかったとされている。第二次大戦終結後に軍需物資輸送が激減すると、この路線は衰退の一途を辿り、レールバス投入などの合理化策も取られたが1950年代半ばには一部区間で旅客列車の運行が休止になった。1960年代には東西冷戦の影響で路線整備がされたが、これも活用されないままに1970年初頭には旅客列車全面運行休止。1976年には峠越えの区間Weizen(ヴァイツェン
)~Blumberg-Zollhaus(ブルームベルク-ツォルハウス)間が廃止となった。
ところがその翌年に、峠越え区間は廃止となった翌年の1977年に保存鉄道として息を吹き返した。ループ線やヘアピンカーブなどの線形が技術遺産として認められただけでなく、これらの線形が織りなす景色が観光地として認められたのだ。ここを蒸気機関車牽引の列車が週末を中心に運行されるようになると、その観光列車の収益だけでこの路線の維持が出来るほど稼いでいるという。1988年には国が産業遺産に認定、公費の投入で老朽化した施設の更新が図られた。なおその後、2004年に北側区間のImmendingen(インメンディンゲン)~Geisingen-Leipferdingen(ガイジンゲン-ライプファーディンゲン)間で気動車による旅客絵運行が復活、保存鉄道が運行する週末はBlumberg-Zollhaus(ブルームベルク-ツォルハウス)まで延長運行している。
車両はドイツ鉄道のBR-86形蒸気機関車、1D1配置のタンク形だ。1928年から15年間に774両製造されたドイツのベストセラー機で、主に山岳路線向けに作られた機関車だ。戦後は東西ドイツに分かれても活躍していたようで、1970年代まで活躍を続けた。
以下に紹介するスクショで路線風景の紹介をするが、ここでは保存鉄道として運行されているWeizen(ヴァイツェン )~Blumberg-Zollhaus(ブルームベルク-ツォルハウス)間を中心に紹介していこう。 |
・世界の車窓から
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まずは車両紹介、これが今回の主役車両であるBR-86形機関車だ。タンク形蒸気機関車というと小型のイメージがあるがこいつはでかい。 |
それが従えるのはCi-28形客車。二軸の可愛い客車で、座席数は48。
だが実物の本鉄道は、小型の二軸客車だけでなく、大型ボギー車も存在するようだ。 |
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ラウッフリンゲンを出た列車は、ヴータッハ川の谷間をのんびり走る。この区間は現在は列車が走っていないようだ。 |
ヴァイツェン駅を発車する蒸気機関車、ここから峠を越える保存鉄道区間の始まりだ。 |
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しばらくはヴータッハ川の本谷に沿ってそのまま進む。川沿いの集落をすり抜けて緩い勾配を上る。 |
この谷間を少し登るとトンネルに入り最初のヘアピンカーブ。その奥でヴータッハ川を渡る美しいトラス橋を渡る。 |
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ヴータッハ川を渡ると完全に向きが逆になっている。川を挟んだ対岸には、さっき走ったばかりの線路がある。 |
峠道の途中の信号場、保存鉄道では途中すれ違いの無いダイヤだから必要性に疑問を感じるが…でもこの光景いいでしょ? |
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上記信号場を過ぎると「豚のしっぽ」の由来となるループ線を行く、左側の線路を通った列車が、ループをぐるりと回って右側の線路に…合成画像でお楽しみください。 |
ループを過ぎると今度は背の高い上路トラス橋を行く。。 |
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フュッツェン駅に到着、ここは保存鉄道の中心で、機関庫などがある。 |
フュッツェン駅を出ると緩いカーブだが、ここはもう次のヘアピンカーブに差し掛かっている。 |
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フュッツェン駅付近を空撮してみた。手前側に列車が走っている線路があるが、そこから視線を奥へ移すと、フュッツェン駅がある。日本の狩勝峠の新得駅付近を思い出した。 |
ヘアピンカーブをふたつクリアしたところが、エプフェンホーフェン駅だ。ここはもう後方にこれから渡る橋が見える |
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エプフェンホーフェン駅から最後の一駅間がこの保存鉄道のクライマックスだ。まずはエプフェンホーフェン橋を渡る。直線的な上路トラス橋は、本路線の象徴でもある。
そして後方にはもう一つ、長い上路トラス橋が見えている。 |
エプフェンホーフェン橋を角度を変えて見てみよう。背後にはエプフェンホーフェンの集落が広がる。 |
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エプフェンホーフェンの集落を取り囲むように線路は巨大なヘアピンカーブを描く、車窓には常にエプフェンホーフェン橋が見える。 |
10‰という緩い勾配でも、ループとヘアピンで距離を稼いでいるので終点近くではかなり見通しが良くなっている。
こうなるとHSTなどの高速列車で飛ばしてみたいなぁ。 |
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そして先程から何度も背景に見えていた、この保存鉄道で最後に渡る橋がビーゼンバッハ橋だ。曲線が美しい上路トラス橋だ。 |
ビーゼンバッハ橋を渡る列車、後ろには先ほど渡ってきたエプフェンホーフェン橋がまだ見えるし、エプフェンホーフェン駅の交換設備も見える。
この橋を渡るとサミットのブーフベルクトンネル(805メートル)をくぐる。 |
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列車は標高702メートルのブルームベルク-ツォルハウス駅に到着、この鉄道にはターンテーブルがないので、折り返し列車は逆行牽引に…。 |
ブルームベルク-ツォルハウス駅で折り返して、逆行牽引でビーゼンバッハ橋を渡る。 |
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この橋は峠を下る列車の方が絵になる。 |
エプフェンホーフェン橋を行く折り返し列車。 |
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こちらはブルームベルク-ツォルハウス駅で折り返さず、そのままインメンディンゲン駅方面へ走らせてみた。
こちらは緩い丘陵を緩勾配で下ってゆく穏やかなコースだ。 |
良い雰囲気のトラス橋でドナウ川の支流のひとつを渡る。
こうなると、この区間で遊べるローカル気動車が欲しいなぁ。 |
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インメンディンゲン駅へのラストコースは、電化複線の主要路線に乗り入れて、ドナウ川の支流に沿う。
全線走ると90分以上、保存鉄道区間だけでも約1時間の旅だ。 |
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