・Albula Line:St Moritz-Thusis Route
 レーティッシュ鉄道(スイス) アルブラ線:St. Moritz(サンモリッツ)~Thusis(トゥージス)

巨大なアーチ橋を行く「氷河急行」

・収録車両
 GE 4/4 III Electric Locomotive(電気機関車)
 Glacier Express tourist vehicle consist(「氷河急行」用客車)
 Lb-v container flat wagons(コンテナ二軸貨車)

・購入済みアドオン車両
 RhB Enhancement Pack 01
 RhB Enhancement Pack 04

・経由地
 St. Moritz(サンモリッツ)~Celerina(チェレリーナ)~Samedan(サメダン)~Bever(ベーヴァ)~Spinas(スピナス)~Preda(プレダ)~Muot(ムオート)~Bergün(ベルギューン)~Stugl/Stuls(シュトゥグル/シュトュルス)~Filisur(フィリズール)~Alvaneu(アルヴァンオイ)~Surava(ズラヴァ)~Tiefencastel(ティーフェンカステル)~Solis(ソリス)~Sils i.D.(ジルス・イム ドムレッシュ)~Thusis(トゥージス)



 ヨーロッパの内陸部、アルプス山脈に抱かれたスイスには数多くの登山鉄道があることは日本人の皆さんもご存じであろう。
 その中で、日本でも最も有名な登山鉄道がスイス東部に長大な路線網を持つレーティッシュ鉄道だ。日本の箱根登山鉄道と姉妹提携を結んでいて、レーティシュ鉄道の名は知らなくても「ベルニナ」「サンモリッツ」といった路線名や駅名を知っている日本の鉄道ファンは多い。
 逆にレーティッシュ鉄道には、箱根登山鉄道が寄贈した日本語の駅名標が存在する駅があり、一時期は日本語で「箱根登山鉄道」とレタリングされた電気機関車が走っていた。

 その日本とも縁深いレーティッシュ鉄道のメインラインが、スイス東部の都市クールと南東部の都市サンモリッツを結ぶアルブラ線だ。北海と黒海を隔てるアルブラ峠を中心としたこの路線は、その山岳風景などが国際的に評価されて2008年にユネスコの世界遺産に登録された。
 今回、本シミュレータゲームを通じて紹介するのは、この中のアルブラ峠を越えるトゥージス~サンモリッツ間の約65kmだ。

 クールを出た列車はライン川に沿って遡り、本ゲームではトゥージスからが再現されている。トゥージスはライン川とアルブラ川が分岐する地点に開けた人口約3000の小さな町で、アルブラ線はここでライン川を渡ると、ライン川から分岐したアルブラ川の渓谷に入って行く。
 路線はアルブラ川が作った深い谷間の絶壁に張り付くように、トンネルと橋梁を繰り返して走り、最初に谷間が開けたところがソリス。ここでアルブラ川を渡るが、この橋梁が本路線の最初のハイライトのソリス橋、高さ89m、長さ164mのこの橋はレーティッシュ鉄道で最も高い橋梁だ。
 この橋梁をきっかけにアルブラ川は反対の車窓に移り、しばらくは高原のような穏やかな風景が続く。そして本路線最大の見どころは、世界的にも有名な鉄道橋のひとつであるラントヴァッサー橋だ。高さ65m、長さ136mメートル、橋の両端は切り立った絶壁で、橋そのものが急カーブを描いている石積みアーチ橋だ。この橋についてはインターネットを検索すれば、日本語で説明されているサイトは沢山出てくる。
 ラントヴァッサー橋を渡ってトンネルをくぐると、フィリズール駅に到着する。ここはダヴォスへの支線が分岐するジャンクションで、駅構内も広々としている。
 そしてこのフィリズール駅を出ると路線の雰囲気は大きく変わる。勾配が30パーミルを超える急勾配となり、ループ線やΩカーブを繰り返して峠へ一気に上がる。風景もアルブラ川の深い谷間をみおろすかたちとなり、「深山幽谷」という感じになる。
 ムオート駅とプレダ駅の間には世界的にも珍しい二重ループが存在し、直線距離では短い区間を路線は長い距離をかけて上ってゆく。プレダ駅に着くといよいよ山が屏風のように前方に迫り、そこにトンネルがぽっかりと口を開けている。サミットであるアルブラトンネル、長さき5865mだ。
 アルブラトンネルが貫くアルブラ峠は、北海へ注ぐライン川水系と黒海へ注ぐドナウ川水系の分水嶺である。峠のトンネルを抜けると小さな川が作る谷間を緩やかに下ってゆく。ベーヴァ駅でドナウ川支流に沿ってオーストリア方面へ行く路線と合流、次のサメダン駅ではポントレジーナを経てベルニナ線に短絡する路線を分岐する。穏やかな高原風景の中で再び勾配を上り始めると、列車は終点であり世界有数の山岳リゾート都市であるサンモリッツに到着する。サンモリッツはウィンタースポーツのメッカでもあり、冬期五輪が二度も開催された経験を持つ街だ。夏場も登山やサイクリングといったスポーツが楽しめる、まさに四季を通じて楽しめる都市だ。

 本シミュレータゲームに収録されている車両は、日本でも有名な列車の一つである「氷河急行(Glacier Express)」の車両だ。スイス南西部のツェルマットとサンモリッツを8時間掛けて結ぶ列車の、サンモリッツ側の約90分をこのゲームで体験出来るといったところだろう。またレーティシュ鉄道のコンテナ貨車も用意され、ミキストトレインも再現できる。

 この路線は景色がとても綺麗なので、「氷河急行」以外にも色んな車両を走らせてみたいと思う。他形式の機関車やローカル列車など、アドオンで出てくれないかなーと願う今日この頃だ。
 また、これで本シミュレータゲームで再現された「世界遺産に登録された路線」はゼメリング鉄道に次いで2例目となった。次はアルブラ線とともに世界遺産に登録されているベルニナ線が欲しいなぁ。ダージリンヒマラヤ鉄道は…難しいか。

 では、以下に本マップのスクショをアルバム形式でごらん戴こう。



・世界の車窓から
 
トゥージス駅で発車を待つ「氷河急行」、本マップでは世界的も有名なこの列車の旅を再現できる。
恐らく、日本では高速鉄道以外のヨーロッパの列車では最も有名な列車だと思う。
発車前に客車の外観を見てみよう。車体は日本の車両より一回り小さい。
連結部をまたぐスイス国旗のデザインが良い感じだ。スコットランドのスコットレールも、同じように連結面をまたいだスコットランド国旗のデザインとなっている。
これは二等車だが、一等車も外観は全く同じである。
こちらはバー車、日本で言えばビュフェ車といったところだろう。
一等車や二等車は白を基調にしたデザインだったが、この車両だけは赤基調でアクセントとなっている。
では、列車に乗り込んでみよう。バリアフリーが行き届いている日本の列車と違い、入り口のステップが良い感じ出してる。
これは二等車の車内、ごく普通のボックスシートだが、窓の大きさが印象的だ。
これはバー車、こんな大きな窓から見る景色を見ながらの飲食は、楽しいだろうな。
日本では車内で飲食するヒマがある列車自体が、過去の物になってしまった。
こちらは一等車、シートピッチは二等車と同じだが、シート配置が2-1となっていてゆったりしている。
ヨーロッパの鉄道では、座席が回転しないのは当然のことだ。私は回転しない方が乗り心地の上では理にかなっていると思うのだが…。
列車はトゥージス駅を出発すると、最初にライン川を渡る。この辺りのライン川は水源になる山が近く、細い流れだ。
ここを渡るコンクリートアーチ橋が良い雰囲気だ。
そしてアルブラ川が作った谷間にへばりつくように、列車は勾配を上ってゆく。
この辺りは25‰勾配、列車の傾きをこんな感じに見られる場所がある。
ソリス駅を通過すると、谷間が最も狭まったところでソリス橋(Solis Viaduct)を渡る。
この橋は深く切り込んだアルブラ川本流を一気に渡る。
ただこの橋は、両側ともすぐ近くに道路が迫っていて、なかなか良い角度でスクショがとれない。実物写真も道路橋を避けるのに四苦八苦したことが判る写真が多い。
やっぱり谷間が最も狭まっているところだから、交通が集中するのは致し方ない。日本だったらここにダムが造られているだろうなぁ。
ソリス橋を渡ると、しばらく緩やかなコースとなる。
スラヴァ駅近くの緩いカーブを行く。駅近くではちょっとした集落があり、風光明媚な風景を描き出す。
「アルプスの少女ハイジ」に出てくるような、村の景色だ。
しばらく進むとまた背の高い石積みアーチ橋が目立つようになってくる、いよいよ本路線最大の名所が迫っている。
ここが本路線最大の名所であるラントヴァッサー橋(Landwasser Viaduct)だ。
レーティッシュ鉄道の画像で、こんな風景のものを見た事がある人は多いだろう。
深く切れ込んだアルブラ側の支流を一気に渡る橋だ。
この橋の特徴の一つは、橋そのものがカーブしていることにある。
そしてもうひとつの特徴は、両側とも絶壁であることだ。特にサンモリッツ側はトンネルに直接繋がっている。
カーブと絶壁、双方の特徴がよく分かるカットだ。この写真を見ればこの二つの特徴が絶妙であることがおわかり頂けるだろう。
この橋を渡ると、ダヴォス方面との分岐駅であるフィリズール駅はもうすぐだ。
フィリズール駅を出ると最初のループ線がある。左背景に見えるのがフィリズールの町、最初のループでどれだけ標高を稼いだか解るだろう。
そしてフィリズール駅を出ると、また谷間にへばりつくように路線になる。画像のような片洞門が、山岳路線らしい緊張感を醸し出す。
ベルギューン駅を出ると、のどかな集落風景を背後に急勾配に入る。
右下に見えるアーチ橋が、前画像のキャプ地点だ。ここは豪快なΩカーブで一気に標高を稼ぐ区間。
そしてこの画像では、左下の線路が前画像のキャプ地点となる。つづら折りで標高を稼ぐ路線選定は、日本では道路でよく見られる。
雪覆いに守られたトンネルを行く。周囲はまさに「深山幽谷」という感じだ。
ムオート駅を出るとまたループ線だ。下のアーチ橋を渡った列車が、ループを描いて上へ。
ループに続いてΩカーブ、そしてその先には世界的にも珍しい二重ループがある。
ループ線を走る列車を、合成画像で再現してみた。左下のトンネルを抜けた列車がループを描いて、上のアーチ橋へ。
ここが世界的にも珍しい二重ループ区間だ、と言ってもトンネル区間が長いのでその全容は解りにくいが。
この画像も合成画像だ。
ちなみに、この画像の左下隅が、上画像をキャプした位置だ。
複雑なループ線を上り終えると、プレダ駅に到着する。
そしてプレダ駅から前を見ると、屏風のような山が前に立ちふさがっている。その手前にトンネルがぽっかりと口を開けている。
サミットのアルブラトンネル、全長5865mだ。
峠のトンネルを抜け出る列車、ここを運転してくぐり抜けると、それまでよりスピードを出せることもあってそんなに長く感じない。
トンネルをでたところにあるのが、峠の小駅という言葉がピッタリなスピナス駅だ。
アルブラ峠を越えると路線は穏やかな高原風景になる。同時に他路線との分岐も増える。
サンモリッツ駅へのラストコース、高原風景の中を緩いカーブを繰り返して勾配を上る。
列車は無事、「氷河急行」の終着駅であるサンモリッツ駅に到着。
ベルニナ線はお乗り換え。
本マップだけでも約90分の旅になります。お疲れ様でした。
続きRhB Enhancement Pack 01

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