第7話「ジェーンの仇!」 |
名台詞 |
「あいにく、今夜の俺はまともじゃなくってね。クリスタルボーイの首を、食いちぎりたくてたまらないのさ。」
(コブラ) |
名台詞度
★★★★ |
キャサリンの死に衝撃を受けたジェーンが、暴走してクリスタルボーイと決闘をしてしまい生命を落とす。コブラとレディはキャサリンの墓の隣にジェーンの墓を作り弔うが、そこでコブラは美しい姉妹の生命を奪ったクリスタルボーイに対する怒りに震える。そしてバイクを繰って、クリスタルボーイがコブラ探索のために親衛隊を100人出撃させた街へ出かけるのだ。その際「気を付けて」と見送るレディに呼応するように、コブラは力強くこう呟く。
一言で言うと、コブラかっこいいぜってところか。いや、演じている野沢那智さんの演技が見事なのに違いない。コブラの怒りに震える声を見事再現し、本人は「性に合わない」としている敵討ちに繰り出す男の決意と覚悟が見事に表現されたと思う。
そして街へ向かってバイクを走らせるコブラの姿とその怒りの表情、街の方からコブラに襲いかかるように現れるクリスタルボーイ親衛隊の探索機を示す光の点、さらに緊迫感溢れるBGMが今話の最後を盛り上げ、視聴者を強烈に次回へと引き込むが、この台詞はその効果を強くする効果が逢ったはずだ。 |
(次点)「当たり前だ、お前は女共に種を植え付け、その女共に襲わせているだけだからな。」(クリスタルボーイ)
…今話冒頭、またしてもコブラ抹殺に失敗したターページに、「雇ったのは間違いだった」としてリンチを加えるクリスタルボーイ。それに対してターページが「自分は無傷だから今度こそ…」と訴えると、クリスタルボーイが冷酷なほど冷静な声でこう言い切る。この台詞にはターページが「実は何もしていない」という、前回の構図が上手く語られている。多くの視聴者は「なんだ、こいつ戦ってないじゃん」と思っていたところにこれだ。この瞬間にターページは恐ろしいさし当たっての敵から、滑稽な存在になって「負けフラグ」が立てられてしまったのだ。 |
名場面 |
ターページの最期 |
名場面度
★★★ |
乾燥した砂漠で一暴れしてしまったことで、水分が不足して高温に力を失ってしまったターページはリフレッシュセンターを訪れる。だがここではそれを見越したコブラがダッグと共に先回りしていて、罠を張っていた。最初にコブラがターページをサイコガンで狙撃するも失敗、しかも光線は「反射衛星」に跳ね返されてコブラの隣にいたダッグに直撃し、ダッグが生命を落とす。この星で片腕として動いていたダッグを失ったことにコブラはショックを受け、何とかターページを仕留めようと考える。「反射衛星」の防御を避けるためにはターページの2メートル以内に近付かねばならぬ…エレベータで上階へ向かうターページを見て、コブラにひらめきがやってくる。
そしてリフレッシュを終えたターページがエレベータで下りてきた。コブラはエレベータと壁の隙間に潜んでいて、自分の前をエレベータが通過したときに一気にサイコガンを放つ。ターページの胴体を真っ二つに割るように光線が直撃するが、その時はターページが声を上げるだけで結果は出ない。そしてエレベータが下階に到着し、ターページが2歩歩いたところで彼は突然倒れ、身体が真っ二つに割れる。その光景を背にしてコブラが「んたきうちは俺の趣味じゃないが、ダッグ、あんたの仇も討っておいたぜ」と呟いて立ち去る。
前々話から前話まで、コブラが対峙すべき強力な敵として描かれたターページの最期だ。彼は今話冒頭でクリスタルボーイに「負けフラグ」を立てられてしまい(名台詞次点欄参照)、それでも起死回生に直接撃って出たが、自らが持ち弱点を忘れて自分が持つ特異技に力を過信して、結局はこのような形で倒されてしまう。
それだけでなく、このシーンにダッグの死を描いてその敵討ちという要素を加味した。そこにターページが「自分を守るためには他者の死を厭わない」という姿勢への怒りが見て取れ、コブラのこの射殺劇に説得力を持たせる。だからこそシーン最後ののコブラの呟きが活きてくる。同時にコブラに性別問わず友の死を悼むという、根っからの悪人でない人間性を持ったキャラクターであるという印象が付くことだろう。
しかし、「反射衛星」ってどっかで聞いたような防御兵器だなぁ。そうそう、ガミラスの仕組みは素晴らしいけど設置場所がアホで冥王星基地を自滅に追い込んだ防御兵器だ。同じ「反射衛星」というふたつの架空の兵器は、見る者に「防御兵器への過信」という怖さを突き付けてくるという共通点が。偶然の一致とは思えん。 |
感想 |
今回は前話でキャサリンの死去という物語の転換点を経て、ここからコブラとクリスタルボーイの直接対決に向けて登場人物も視聴者も気持ちを盛り上げるところだ。その過程でコブラサイドではジェーンとダッグが生命を落としてコブラの怒りの気持ちが高まり、クリスタルボーイサイドではターページが生命を落としてコブラに対する「自分が殺してやる」という気持ちが高まる。それを見ている視聴者も「早く続きを!」と気がはやるところだろう。
しかし、前話まで絶対的な強者として君臨していたターページが、今回はボロボロだったなぁ。名台詞次点欄に書いたクリスタルボーイのあの一言で、ターページは「強い敵キャラ」から「情けない敵キャラ」へ瞬時に変えられてしまったからなぁ。クリスタルボーイ恐るべし。そしてツッコミどころ満載のターページとレディとの戦い。ターページは上司のクリスタルボーイに「コブラの抹殺」を命じられていたのだから、レディなんか気にせずにコブラにとどめを刺せばよかったはずだ。レディとの戦いの間に彼はレディを深追いしてしまったシーンが複数存在する。こうして彼は墓穴を掘り、最後はリフレッシュセンターなる場所で殺されてしまう。最大の理由は、高温と乾燥が苦手な身体なのに砂漠で戦ってしまうと言う、自分の弱点を無視した行為にあるんだけど。
ターページとの戦いが済んでホッとすると、今度はジェーンとクリスタルボーイの決闘だ。ジェーンはキャサリンによって生命が助けられたが、今話でキャサリンの仇を討とうとコブラの元を飛び出そうとして止められたシーンで死亡フラグが立ったと言って良かったろう。二人の決闘はあっけなかったが…あの姉妹が裸になって出てくる妄想シーンは見ていて恥ずかしいぞ。
こうして物語は視聴者と登場人物双方の気持ちを派手に盛り上げて、コブラとクリスタルボーイの直接対決という序盤最大のヤマ場へ向かう。う〜ん、次が楽しみだぞ。 |
研究 |
・ターページ2 今回もターページだ。今話で彼について、新たに解った事があるのでこの部分を考察しながらさらに彼の正体に迫ってみたい。
まず今話では、彼が綿毛のような種子でコブラたちを攻撃したことだ。この種子は彼の全身から出ていて、「強力な麻酔薬」が含まれていてそれに当たった人は眠ってしまうというものだ。ハッキリと突っ込もう、これは種子ではないだろう。植物の棘のようなものが進化したと考えるべきだ。その棘を自らの意志で飛ばせるようになり、さらに飛ばしたら風に乗って飛ぶようになった上に毒まで付くようになったのだ。勿論その毒は同族に効かない、効いたら種として自滅してしまうはずだ。
これも「品種改良」によって生まれたものではなく、ターページの惑星での進化によるものだろう。恐らくターページの祖先が狩猟をするのに発達させた機能だろう。彼らの原始時代ではこの種子によって食糧となるべき獣を倒し、新鮮なまま数時間保存してから食べるなんて事が出来たのだろう。前話で考察した種子と共に、本来は文明発達と共に退化しそうな機能だが、何らかの事情で退化せずに生き残ったと考えるべきだ。
そして今回明らかになったのは彼の弱点だ。砂漠にアジトを設けていたコブラたちを攻撃した際、彼は太陽からの高温と水分の不足によって危機に陥る。つまり高温環境と乾燥環境が彼の弱点という訳だ。植物人間で光合成を行っているという設定だから、太陽光の下で素っ裸になれば逆に元気になりそうだが、高温と乾燥はそれ以上に彼の力を奪うのかも知れない。
ただし、彼が光合成できるのは故郷の惑星か、それに近い光に制御された環境下だと考えられる。恐らく赤外線か紫外線か、どちらかが強すぎてこの惑星の光がターページにとって有害なのかも知れない。するとコブラたちにとっても有害では?という疑問もあるかも知れないが、それは置いておこう。
少なくとも言えることは、この星がターページの故郷の星よりも高温環境にあることだ。ターページはこの星では耐熱幅を着用していないと長時間過ごせないという。絶対的な換気用の違いで彼は脱水症状に陥りやすくなるのだろう。
その上に乾燥状態となれば、水分を失いやすいと言うことだ。彼は光合成によって自力で養分を作っていると考えられるが、この光合成には水が絶対に必要である。つまり水の枯渇は彼に取って普通の人間以上にキツいはずだ。なるほど、植物だ。
彼の星ではなぜ光合成をする生物が「動物」となり、知的生命体にまで進化したのか? これは何億年にもわたる生命進化のドラマが想像できる。地球では光合成をする植物の祖先が生まれたときに、光合成をしない動物の祖先となる生き物の多くが焼かれて死んだという(僅かな耐性をもった者が生き残って人間を含め動物の祖先となる)。だがターページの星ではこの時に光合成をしない生物が多数生き残ったのだろう。これらの生物との生存競争の中で、光合成生物も地球の植物のようにひとつの場所に固定されているわけにはいかず動き回って天敵から逃げる必要が生じたに違いない。だから彼らの星では光合成する地球では植物になるはずの生物も動物として進化したに違いない。その進化という生存競争の中で光合成生物が常に優位に立ち、何億年も掛けて文明を持つまでに進化したのだろう。
こうなると、同じ星のターページ以外の人も見てみたいなぁ。だが高温乾燥環境に弱い彼らは、なかなか星の外に出てこれないんだろうな。 |