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・「スペースコブラ」エンディング
「シークレット・デザイアー」
 作詞・冬杜花代子 作曲/編曲・大野雄二 歌・前野曜子
 「スペースコブラ」の終わりを彩るエンディングも、他のアニメにはないアダルティにな内容だ。この歌詞を当時小学6年生から中学1年になろうとしていた私に、理解しろと言っても無理な相談であろう。だいたい、曲のタイトルも横文字をそのままカタカナにしただけ。いまどきのアニメだったら間違いなく「Secret Desire」とそのまま英文字のタイトルにしただろうけど、タイトルがカタカナであるところに時代を感じる。それはともかく小学生から中学生になろうとしている少年に、「シークレット・デサイアー」と言っても解らないのは確かだ。もしその意味を知ったら、あまりの大人な雰囲気に見ているこっちが恥ずかしくなったかも知れない。
 まぁ、曲の内容的には「コブラと出逢った女はこんな感じに夢中になってしまう」ってところだろう。こういう大人の甘い雰囲気の曲を平気で持ってくる辺りが、この「スペースコブラ」らしいところでもあるのは否めない。
 背景画像は、「表はダイヤのキングがコブラの絵になっている」「裏はレディの絵」というトランプがぐるぐる回っているだけである。曲が進むとこの映像がだんだん広角になって行くと、まず回転するカードの背景にコブラの愛銃、さらにワイン(?)が入ったグラスがあることが解ってくる。そしてこのグラスのワインが新たに注がれたのか、何度か波を打つのも解ってくるという画像だ。この背景画像の雰囲気も子供が知っている世界とは違い、なんか違う世界を垣間見たように当時は感じてしまった。
 どうでも良いけどこのエンディング、一部で歌詞の字幕と実際に流れる歌詞が合わないので今回の視聴では見る度に違和感を感じていた。子供の頃に全く気付かなかったのは、その歌詞がズレているところが英語の歌詞だっただろうか?

・「スペースコブラ」の総評
・物語について
 本作は数話にまたがってシリーズもののストーリーを展開するパートと、一話完結のストーリーを繰り返すパートを繰り返すことで全体の物語が構成されている。まずその分類から追ってみよう。

 まず最初の2話であるが、ここは「コブラ」の物語設定の植え付けをしている部分である。「コブラ」がどのように登場するかが第1話、コブラを特徴付けるサイコガンについてが第2話、という形で必要な設定をじっくり描くのだ。これでコブラとレディというキャラクターと、その武器のサイコガンというものを設定上でキチンと根付いたものにしてから本題へ進むというゆったりさは、当時のアニメでよく見られる贅沢な作りでもあるだろう(当サイト考察作品の中では「母を訪ねて三千里」と「魔法の天使 クリィミーマミ」は例外であるが)。地に足が付いたこれらの設定はブレることはなく、また序盤では敵が主人公の顔を知らないまま話が進むという点に説得力も与えてくれる。内容的に敵がコブラの顔を知っていると進みにくいという展開が、この先にいくつかあるからだ。

 次は3話から12話まででひとくくり、ここは公式設定では「イレズミの女編」と言われている。ジェーン・キャサリン・ドミニクという三姉妹を軸に、コブラが財宝を探すというまさに「宇宙海賊」らしい展開を見せてくれる。ここではコブラが追う財宝の謎がひとつひとつ解けて行くという展開で視聴者を物語から離さないだけでなく、クリスタルボーイを筆頭に様々な魅力ある敵が物語を強く印象付け、「スペースコブラ」という作品の屋台骨であり見たことある人にとっては最も印象に残っている展開でもあろう。本シリーズの最大の盛り上がりどころは8話のコブラとクリスタルボーイの対決で、ここでは二人の強者による戦いが迫力たっぷりに描かれて見る者を魅了したはずだ。クリスタルボーイが倒された後も消化試合にはならず、サンドラという新しい敵と財宝の秘密であった最終兵器がその後釜としてキチンと役を果たすからこそ、物語の盛り上がりが削がれることなく突き進んだ感があった。

 ここで3話の一話完結ストーリーを挟む。3話のうち1話(13話)は「イレズミの女編」の流れを継いでギルドとの正面対決を描くが、次(14話)はギルドとは無関係との敵との戦いになり、残りの1話(15話)はコブラと旧友の物語というそれぞれパターンの違う話を持ってきた。この一話完結ストーリーのバリエーションの多さこそが本作の「売り」の1つであり、似たような物語を二度見せないという制作者の姿勢がよく見えるところでもあろう。

 続いて16話から19話までは4話構成の「ラグ・ボール編」だ。ここには本来ガンアクションものである「コブラ」という物語に、アクションとは無縁の球技を入れて物語に変化を持たせている。だがその球技も現実に存在するスポーツではなく、独自設定による暴力的なルールを持つスポーツとしたことで物語の雰囲気を壊すことを防止した点は評価したい。ここでは「イレズミの女編」からの流れである「ギルドとの戦い」と、球技を中心とした人間ドラマという2つの物語が同時進行している点が、本作の他の部分にはない特徴的な部分であり、「ラグ・ボール編」の魅力でもあろう。コブラがチームをまとめて這い上がって行く様子は彼を「一人の人間」として完成させたと言っても過言ではない。ここで描かれたコブラの人望やセンスという面は、コブラというキャラクターを「アクションバカ」にしなかったという意味で非常に大きい。またここでは「イレズミの女編」とは違い、コブラに手を貸す側の人間に魅力的なキャラクターが多い。

 次に20話と21話が2話完結の「ソード人編」。ここはギルドと無関係にコブラがある惑星のある種族の勢力戦争に巻き込まれ、これに介入するというこれまた他では見られなかった展開だ。こうしてコブラがギルド以外の勢力と戦うことになるストーリーは、「コブラ」という物語の世界観の深さを見せつけてくれる。

 22話から26話の5話はまた一話完結ストーリーとなる。ここでも1話1話全て違う展開を見せつけられるのは面白い。22話はコブラとタートル号の秘密に迫ると見せかけておいて、いつも通りのギルドとの戦いになるという意表を突いた展開となる。23話はドミニクとコブラが共にギルドの一部隊と戦うだけでなく、二人の甘い世界も一瞬だけ描いてくれた。24話ではギルドと無関係な強大な悪に翻弄されるコブラが描かれるが、「反則技」で切り抜けるというコブラらしくない展開。25話はサブタイトルの通り、コブラがギルトに一度は倒される。26話では事件があってその犯人捜しという推理小説的展開を、ギルド抜きでやってしまう。こんな感じでまさに変幻自在に次から次へと違うタイプの物語を見せつけられる。

 そして最後、27話から31話でコブラとギルドの親玉であるサラマンダーとの戦いだ。私はサラマンダー編と名付けたが、公式には「シドの女神編」と言うらしい。ここではこれまでの「勢いで突き進む」という物語展開を改め、順を追って物語が展開して行くというこれまたここまでとは違う雰囲気で進んでいく。特に最初である27話は「事件の発端」だけで、本編での物語の条件設定だけで1話を費やす形になるのだ。続いてコブラと共に戦うキャラを一人ずつ出すという展開に2話を割き、コブラの旧友3人に設定と印象を植え付けた上で万を侍して本編突入となる。だがこの本編に入るまでがちょっと冗長と見えてしまうのは否めない。なんてったって全31話の最後の5話という段階だから、多くの人が見ていて「そんな事している場合か?」と思うことだろう。だがこれは後で振り返ると、「世界名作劇場」シリーズのように序盤でさんざん拡げた伏線を回収することもないのだから妥当と見る事も出来る。だがその中で、本文でも語ったが28話は4話でやったことの繰り返しになってしまったのが痛い。もうちょっと設定を変えられなかったのかと思うところで、私が「スペースコブラ」全話を通し視聴して最も残念と思ったところでもある。
 サラマンダーとの二度にわたる戦いは、最初はサラマンダーのプロレス観戦という直接対決を避けた形になったが、これはこれでこれまでにないかたちだったから非常に面白かった。二度目はこれまでのコブラの戦いの集成大として描かれ、本文で語った「最終回らしくない最終回」で唯一最終回らしく描かれた点でもあった。

 全体を通してみると、全話を通じて1つの物語が流れるのでなく、短い物語が細切れで進むので見ていて疲れるというひとはあるかも知れない。だが物語にバリエーションがあり世界観も広く、1つのキャラクターで様々な物語を見てみたいという向きには面白いかも知れない。とにかく4話と28話の関係を除いては、二度同じ展開を作らないという方針は徹底されているので、その辺りに注目して多くの人に見てもらいたい作品だと思った。


・登場人物
 数話にまたがってシリーズもののストーリーを展開するパートと、一話完結のストーリーを繰り返すパートを繰り返すことで全体の物語が構成されている。という特徴からこの作品は実に登場するキャラクターの数が多い。物語に絡む台詞を持つキャラ(当サイトの声優さんランキングに載せる基準)だけでも57人のキャラクターが出ているという多さだ(なおうち2人は同じ声優が演じており、一人は演じている声優が解らなかったので声優数は55人、物語に直接絡まないキャラクターを含めるとキャラクター数も声優数ももっとすごいことになる)。この人数の多さは当サイト考察作品(劇場版除く)では「ポルフィの長い旅」の73人に次ぐ多さである。しかも「ポルフィの長い旅」や、キャラクター数52人の「母を訪ねて三千里」は50話以上の話数があるが、「スペースコブラ」ではたった31話でこの人数である。しかも「主人公の家族」に相当するキャラクターが、敷いて言えばのレディ一人である。いかにキャラクターが多いアニメか解るだろう。

 主人公コブラはハードボイルドであるが、そのハードボイルドの中でも「おとぼけ」系のハードボイルドである。敵の攻撃を受けている時は大袈裟に怖がってみせ、その上で決めるときは決める。面白いことも言う反面台詞も決めるときは決め、女性には目が無くて誘惑する台詞もものすごくカッコイイ。さらにその顔が決してカッコ良くないことがこのキャラクターのポイントであろう。成形手術して顔を変えた、という設定を上手く使って「色男」にしなかったことがコブラの格好良さのひとつでもあると思う。
 相棒のレディはコブラの良きパートナーとして物語に君臨した。といっても彼女の活躍は4話以降で美しい女性が出てくると途端に減るのだが…彼女の台詞の節々に、レディのコブラの良き相棒として一途な事と、コブラを知り尽くしているという面がキチンと描かれているのは相棒としての説得力を植え付ける上で秀逸だと思った。

 ギルドの面々を初めとする敵キャラもこれまた魅力的だ。特にコブラとは違い正統派のハードボイルドを演じるクリスタルボーイと、敵の幹部とは思えない程気が弱くて情けないエル・ロデスの2名は強烈に印象に残った。逆にコブラが戦った敵の中で最も強大なサラマンダーはあまり印象に残らなかった。理由は簡単で、彼は君臨しているだけであまり台詞が無かった事が大きいだろう。コブラとの直接対決では完全に無言だったし。

 「コブラ」の物語の条件設定彩る美女達も上手く再現されたと感心している。何よりも彼女たちの露出度の高い服装が再現されたのは、当時のゴールデンタイムのアニメとしては驚きで迎えられた事だろう。今見てもドミニクのスキーシーンは「寒くないのか?」とツッコミをいれたくなるし。シエラ軍曹だって戦場で水着はないだろうと思う。それだけにレディがどう見ても機械という体をしているのはとても可哀想だ。
 その女性達を最後の2話ではやりたい放題に描いちゃっているし。コブラとキスくらいならまだ許せたけど、最終回のドグと女のベッドシーンはやり過ぎ。ドグを殺すためとはいうあそこまで臨場感を持たすこともないだろう。

 演じている声優さん達についても、今話を見直して「この人がコブラに出ていたんだ…」と驚いた人が多かった。その代表格はビビ役の藩恵子さん、エル・ロデス役の村松康雄さん、プロレスのレフリーを演じていた納谷六朗さん、ソフィア大司教を演じていた吉田理保子さんと言った辺りだろう。

 最後に名台詞のランキングである。これは連載開始前に「こうなるんだろうなぁ」と密かに予想していたが、やはりコブラがぶっちぎりのトップ。もう本作考察の名台詞欄は「コブラ名言集」と言っても過言でなかっただろう。この名台詞登場頻度(14/31)は、「母を訪ねて三千里」のマルコ(19/52)を抜いて堂々のトップ。2.2話に一度はコブラが名台詞欄登場という頻度だ。
 以下、2位がレディというのは予想通りではあるが…少なすぎる。3位以下はもう少数だ。それだけこの物語はコブラのキャラクターとしての大きさに支えられているってことだろう。

名台詞登場頻度
順位 名前 回数 コメント
コブラ 14 本考察の名台詞欄は「コブラ名言集」と化していた。それほど名台詞欄へのコブラ登場回数が多かったのは、この主人公がとにかくカッコイイから。子供の頃から乗り物好きの私としては、22話の台詞にしびれた。そうでない人から見りゃなんともない台詞だが。
レディ 主人公コブラの相棒という立場で当欄2位という順当な結果でも、コブラの圧倒的な名台詞の多さには全く及ばなかった。だがレディの名相棒ぶりは物語の中でも光っており、その中で11話の名台詞はその相棒ぶりを象徴するものだろう。
クリスタル
ボーイ
物語ではコブラの前に立ちはだかる最初の強敵。コブラとは別の格好良さを持っていて良い台詞も多かったが、この敵が良いことを言うとコブラがもっと良いことを言ってしまう。4話でコブラを追えるのは自分と訴える台詞は、とにかくカッコイイ。
ドミニク ネルソン三姉妹の中で唯一物語中盤以降の出演もあった彼女、最終回まで物語に付き合わされたから名台詞欄に二度も出られたってところだろう。23話にしっかりとオチを付けてくれた台詞は好印象。10話の決意も良かった。
ゲストキャラ ジェーン ネルソン三姉妹で最初の登場、賞金稼ぎとして派手に印象的に登場、キャサリンとの姉妹愛などは印象的だが、名台詞に恵まれず。その中でも3話のコブラ発見の一言はとても印象深い。
ルシア 13話で登場のバニーちゃん、単なる天然ボケ女を演じるが名台詞欄部分と13話終盤ではそれは仮の姿だということも上手く演じている。単発キャラの女性では最も印象に残った。
ガルタン 今年惜しくも他界した滝口順平さんが、強力な魔王だけではなくその後の「オチ」でネタキャラに転換するまでをうまく演じて物語を盛り上げた。そのネタキャラになって助けを乞う台詞は、面白おかしく強印象であった。
ベガ コブラの恩人であり身体に重大な秘密を持つこの男は、それとは全く無関係のところで名台詞を吐いてくれた。その内容は舞台となった惑星の様子を情緒たっぷりに解説するという、「コブラ」らしくないものでもあった。
ロン ラグ・ボール編に登場したクチバシが特徴の異星人。彼はコブラの才能に嫉妬し、コブラを認めると今度は羨望の眼差しでコブラを見つめる。17話の名台詞には彼のそんな思いがキチンと伝わってくる名演だったと思う。
ベルマ
R78
24話で登場の滑稽なロボットは、その名台詞でそれまでまったりしていた物語の雰囲気を一瞬で凍り付かせたので驚いた。だがやっぱあのオチはないよなー、夢オチと一緒じゃん。
シエラ 26話で登場の女軍曹。犯人は誰かが謎となる推理小説のような展開で、ポロッと尻尾を出す辺り心憎い演出だと思った。24話をよく見ると、後になって彼女の言動が一番怪しかったと解る。
ドグ 28話以降で登場のコブラの親友。この男も面白い台詞を沢山残している。だが28話の名台詞は、「特殊能力を持った最後の生き残り」というのはこうだろうという気持ちをうまく演じている。終盤のコブラの旧友の中では最も目立つ活躍だった。
エル・
ロデス
30話に登場したギルド幹部の一人。敵幹部という役にありながら気弱なだけでなく、その気弱をキチンと演じて名台詞を残したのはすごい。ギルドのキャラでクリスタルボーイの次に印象に残った。


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