第9話「新しい世界」 |
名台詞 |
「そりゃ友達は別れるのは寂しいけど、新しい世界を見られるのは楽しいよ。」
(トム) |
名台詞度
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「知らないところに行くのは嫌じゃないの?」と問うたミーナへのトムの返事。いきなり今回のサブタイトルに秘められたテーマを語っている。子供にとっては友達との別れは何よりも辛いはずで、その寂しさを「新しい世界」を見ることによって紛らわせていると逆説的に考えることも出来る。なんとも強い子だ。娘の友達が一人、父の仕事の都合により異国の地で過ごしているが、そんな彼女を思い出した。
このような言葉を吐く子供の前でポルフィとミーナは今まで見たこともない「新しい世界」を堪能している。「新しい世界」を見ること自体が新鮮なポルフィ・ミーナの兄妹と、「新しい世界」を見ることに慣れてその付き合い方を知っているジョン・トム兄弟の対比を考えさせられる台詞としても、この小さな子供が放った台詞は大きいだろう。 |
(次点)「遅いよ!」(ミーナ・ザイミス)
…いや、良いシーンだ。ポルフィの相変わらずの態度にナイスツッコミ。その後の沈黙も間が良くて良い。 |
名場面 |
冒頭のバーンズ来訪シーン。 |
名場面度
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バーンズの車に轢かれかかって気を失ったポルフィが目を覚ますシーンはありがちでアレだったし、起きあがったところに偶然ミーナが顔を出すというつくりも「世界名作劇場」らしい光景、ミーナの声に両親が上がってきて心配そうに息子を見た後、父か息子が何か企んでいたに違いないと睨んでこんな夜中に何をしていたのか問いただす。母はじっくり話を聞くためと、バーンズを放ったらかしにしておくわけにも行かないと言う理由で下で話をしようと言う。ポルフィはあのバーンズが来ていることに驚く。
ポルフィが轢かれかかったことを謝ると、バーンズがあっさりと釘を出す。オーバーアクションで息子を叱る父の姿が良い、息子がアホな事をやってしまったという失望感がにじみ出ているが、そこにバーンズが割り込んでポルフィが悪いことだと気付いて釘を回収していたという事実を告げる。
ポルフィは告白する、最初は釘をばらまいたが、みんなでドライブへ行ったことを思い出して釘を回収する決意をしたと。もしそうやってパンクしたのが自分が乗る車だったら、それで事故になったら…前回、父が「車か借りられそうだからドライブに行こう」と誘ったシーンがこの伏線であるだろう。しかし父はそのようなことに気付いたことは誉めたが、それでもバーンズに迷惑かけたと息子を咎めるが、そのバーンズが「何もなかったのだから私に免じて許してやってくれ」とクリストフォールに言った上、乗ってきたジープの具合が悪いから見て欲しいと依頼する。迷惑がかかった張本人にそう言われれば引き下がるより他にない。
思うにバーンズというのは少年ポルフィが凄く気に入っているのだろう、妹思いで車好き、さらに無邪気さが好きなのだろう。さらに今回、この父も気に入ったのだろう、無論母も妹も、この家族が気に入ったのだろう。だからポルフィが叱られるのは見ていられなかったのかも知れない、かといってポルフィがやろうとしていたことを黙っているわけにも行かなかった。そこでバーンズは上手く解決させたと思う。
バーンズがどのようにこの家族に絡むかだんだん分かってきた。 |
(次点)クリストフォールが山羊とオリーブ畑を売れば給油機が変えると提案。
…家の財産を切り売りすれば給油機は手に入るとの父の提案に、ポルフィはそれはよくないと断る。ポルフィは自分の夢より家族との楽しみを、妹の思いを選んだのだ。道路に釘をばらまこうとした人間の言うこととは思えないが、これがポルフィの良いところである。 |
感想 |
バーンズって、大尉だったのね。
「ポルフィ、車に轢かれるか?」と思ったらやっぱそういう結末にはならなくて。しかも轢きかかった車があのバーンズのジープだったとは。負傷程度は「ただのタンコブ」ってなんか星野鉄郎みたい。そりゃともかくポルフィがやろうとしたことでちゃんと父がポルフィを叱ったことと、途中で気付いてやめたことを認めた点は評価したい。それだけでなく、息子の暴走(しかかって止まったが)を目の当たりにした父は、その夢がすぐに叶う方法も息子に提案するが、当のポルフィが自分の夢より家族を取るのがこれまたいい話だ。
そして後半、米軍基地へ行って楽しい時間を過ごす。新しい友達、アイスクリーム、ケーキ、レコードに赤ん坊…子供にとって楽しい時間が続く、ポルフィ、給油機の次は冷蔵庫かよ?
そりゃともかく、キャッチボールシーンで「ポルフィの長い旅」の時代設定が分かる貴重な台詞が出てきた。トムがポルフィが投げた球を見て「すごい、サチェル・ペイジみたいだ!」と言うのである。サチェル・ペイジという投手が活躍したのは1930年代のようであるが、ニグロ・リーグの投手だったので記録は定かでない。その後1950年前後にメジャーで活躍、1965年に最高齢登板記録を打ち立てた野球史上最高の投手である…というのが私が調べた結果である。ちょっと、この人投手なのに30年も活躍してるの…と思うが、やはり米軍駐留基地と言うことを考えればこの選手がメジャーで一番活躍していた時代が「ポルフィの長い旅」の舞台と考えて良いだろう、すると1947〜1950年頃と言うことになりそうだ。
あ〜、フルーチェ食いてぇ。 |