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・「小公女セーラ」のオープニング
「花のささやき」 作詞・なかにし礼 作曲・森田公一 編曲・服部克久 歌・下成佐登子

 この物語の始まりを告げる曲も忘れてなかった。「世界名作劇場」の始まりとは思えない暗いオープニングには当時も驚いた記憶がある。特に「セーラ」の前の「牧場の少女カトリ」のオープニング曲が明るくてポップス調でもあったために、その暗さが余計に際だった感もある。ちなみに私、「牧場の少女カトリ」についてはオープニング曲の明るさしか覚えてない、ストーリーも劇中のエピソードも印象に残っていない。「牧場の少女カトリ」は「世界名作劇場」中期作品で本放送当時は一番人気が無かったと言われ、視聴率も低迷してシリーズの存在自体を危うくしたという…って事はやっぱりその程度だったのだろう。大人になった現在の感性で見直せば面白いと思うかも知れないが、そうして見て面白いと感じても当時を思い出したり出来るとはとうてい思えない、従って「カトリ」は見る気が起きないのである。
 話は逸れたが、この暗いオープニング曲「花のささやき」そのものに私は当時から違和感を感じてはいなかった。その理由は最近になって「セーラ」を見直したとき、オープニング曲について調べて分かったのである。
 「セーラ」放送直前から当時中学生の私がはまりはじめていたものがひとつある。それは「さだまさし」であった。「さだまさし」と「花のささやき」は直接の関係は無いが全く無関係とも言い切れない点がある。それは「花のささやき」編曲者が服部克久である点で、「さだまさし」も一部楽曲に服部克久編曲のものがあるのだ。そしてこの「花のささやき」のストリングスアレンジは服部克久が「さだまさし」の曲を編曲する際によく用いたメロディラインを奏でているのである。
 特にさだまさしの「黄昏迄」という曲のアレンジと「花のささやき」のアレンジは共通点が多い、伴奏に広がるようなストリングスの音を豪華に入れている手法は全く同じである。そんなところで当時「さだまさし」の曲にはまりつつあった私は「セーラ」の暗くて重いオープニングに違和感を感じるのでなく、逆に親しみを感じていた。
 曲そのものも「小公女」という物語にはぴったり合っていると思う。セーラの気持ちをうまく歌い上げていると私は思う。
 賛否両論なのが曲の背景に流れる映像だ。ロンドンの空撮を背景に走ったり踊ったりするセーラ、セーラがエミリーを抱きしめるとエミリーが動いてセーラの頬にキスをし、後半ではセーラとエミリーは揺り椅子に乗って宇宙へ飛んで行くという映像は物語と全く関連がない。しかし「セーラというキャラのイメージビデオ」としては良くできていると思う。思うに他の「世界名作劇場」のオープニングのように物語に合わせた内容の映像を作りたかったのだが、それでかつ曲の内容に合わせるとオープニングからいじめられるシーンが連発させるしかなくなって視聴者の見る気が失せる可能性を考えたのだろう。かといってあの曲にロンドンの風景とかをかぶせても絶対に合わないと思うし…そこで服部克久の重厚なアレンジに合わせて宇宙飛行させたのだろうと私は推察している。
 ところで、「世界名作劇場」のオープニングには「乗ってみたい」と思う物が出てくる事が多い、厳密には「世界名作劇場」の前番組であるハイジのブランコは有名であるが、「ふしぎな島のフローネ」のカモメのブランコも印象に残っている人は多かろう。私は「セーラ」の宇宙まで飛んで行く揺り椅子も乗りたいと思ったなぁ。
 それともうひとつ、この曲に合わせて流れる映像では、メイドになったセーラの姿は一度も出てこない。これとメイドになって辛い思いをするセーラのギャップを視聴者に見せる意図もあったと思う。つまり作り手側はオープニングにメイドのセーラの姿を出したくなかったのだ、するとやっぱああなるしかない訳だ。
 個人的にはこの曲もエンディングも好きで、元々小説版を購入したのはこの2曲が入っているおまけCDが欲しかったからである(同じ理由で「南の虹のルーシー」小説版も購入した)。

・「小公女セーラ」の主要な登場人物

セーラの家族
セーラ・クルー 主人公、大富豪の娘で何不自由なく育ってきたが、父の死をきっかけに寄宿していたミンチン女子学院のメイドとなり初めて苦労を味わう。
 …世界名作劇場史上、一番の金持ちと一番の貧乏の両方を味わう。ある意味悲惨である意味幸運なヒロイン。高価なドレスを着ているよりメイド時代のボロ服の方が似合っていたような…。
ラルフ・クルー セーラの父、様々な事業に手を出して莫大な富を得ているがインドのダイヤモンド鉱山の事業で生命を落とす。
 …娘を遠い街へ一人で住まわせるなら、自分に何が起きても良いような対策くらい立てておけよ…。
エミリー セーラが大事にしている人形、由緒正しい高価な人形だそうだ。
 …誰も見ていないときは生きて動いていそうだ、いや、マジで。
ボナパルト 富豪時代のセーラが飼っていたオウム。「セーラ」としかしゃべらない。
 …最終回で再登場したとき、私はこいつがいたことをすっかり忘れていた。
ジャンプ セーラ専用の馬車を牽いていたポニー。
 …ラビニアに針を刺される可哀想な子馬。鳴き声が子馬とは思えない。
ミンチン女学院
マリア・ミンチン ミンチン女子学院の院長、セーラとは性格的に合わず事あるごとにセーラと敵対する。そのため父を亡くしたセーラをメイドにして辛く当たる。
 …世界名作劇場でこれほど怖かったキャラはかつていない。画面一杯に顔が出たときの迫力は文章に出来ないほど。
アメリア・ミンチン 院長の妹でミンチン学院の教師。気が弱く姉に逆らえない。
 …物語が悲惨になって行く理由の一つに、こいつの姉に逆らえない性格もあると思う。最後のキレ方は凄かった。
デュファルジュ ミンチン女子学院でフランス語を教えるフランス人、セーラの味方をしたためラビニアの陰謀で解雇される。
 …セーラがフランス語の優等生じゃなかったら、この人はセーラの味方になっただろうか?
アーメンガード・セントジョン ミンチン女子学院に来たセーラの最初の友達。気が弱く何をやってもダメな少女だが、いざって時にセーラのために立ち上がる。
 …本放送時に私が一番萌えだったキャラ。アーミィたん可愛いよ、ハァハ(ry
ロッティ・レイ ミンチン女子学院の最年少生徒でセーラを母親の代わりとしている。泣き虫で我が儘。
 …原作では影が薄く、アニメでも「セーラママァ!」と泣き叫ぶだけの幼児。でもその泣き声は耳につくと離れない。
ラビニア・ハーバート セーラがミンチン女子学院に来たときの代表生徒。その代表生徒の座を奪われたことを根に持つ。
 …代表生徒の地位を利用して他の生徒を威嚇してクラスを束ね、特別室に入ってからはその特別待遇をフルに活用して果ては学院を思い通りに動かすまで行った世界名作劇場最強のワル。でもゲームで真剣になる辺り可愛い。
ジェシー ラビニアと腰巾着で、他人のモノマネが得意のようだ。
 …こいつ嫌い。ラビニアと一緒でないとセーラいじめが出来ない気弱な奴のくせに威張ってる。
ガートルード 同じくラビニアの腰巾着で、鼻から抜ける声で話をする。
 …こいつも嫌い。よくアーメンガードを太っていると罵るが他人のことは言えない。
ベッキー ミンチン女子学院の少女メイド、セーラがお嬢様の時もメイドになった時も変わらずに慕い続ける健気な少女で、セーラと密接な関係となる。
 …セーラの立場が変わっても、一貫してセーラを慕い続け、助けた健気な態度に萌えた人も多いだろう。嫁にしたいタイプ(セーラは娘にしたい、アーメンガードは恋人にしたい)。
マリエット セーラの父が死去する前のセーラ専属メイド。セーラの父の死とともに解雇。
 …台詞は少ないが、美人だったせいで登場回数の割に印象の強くなった強運な人。
ジェームス ミンチン女子学院の料理番。
 …口は悪いが、実力重視な考えもあってセーラの働きを正当に評価することもあるから、根っからの悪人でない人の良いはずのオッサン。
モーリー ミンチン女子学院のメイド頭。
 …セーラのような妄想癖のある少女が、大人になって悪い方へ行くとこういう人間になっちまうんだろうな…。
シーザー ミンチン姉妹が飼うネコで、1話に一度は出ないと気が済まない目立ちたがり屋のおっちょこちょい。
 …壁にぶつかるネコなんて見たことも聞いたこともないぞ。中にラビニアが入っているらしいw
街の人々
ピーター セーラの御者である少年。セーラの父が死後は解雇され、市場で使い走りの仕事をする。
 …男の子が全く出てこないこの物語で、セーラを救って大活躍。ああ、ピーターになりたい!
洋服屋の主人 エミリーがいた洋服屋の主人。頑固で優しくて商売上手でさらに子供好きのようだ。
 …出てくるたびに良いことを言うので、登場回数の割に印象に残るおいしい役。声がいい。
バロー ラルフの代理人でありながらラルフの死について調べようともせず、保護者代理人としてセーラを保護する役を怠った極悪弁護士。
 …てーか、ちょっと調べればクリスフォードが探している事に気付きそうなもんだが…。
ワイルド 医者だが酒好きで、セーラの病気について誤診する。
 …実はこの人の本当の名はデイトンといい、かつてはオーストラリアの移民船で船医をしていたが帰りの船に乗り遅れたためにアデレードで診察所を開いていた経歴がある(嘘)。
クリスフォード関連
トム・クリスフォード ラルフ・クルーの親友でインドのダイヤモンド鉱山の共同経営者。ラルフの死に責任を感じ、セーラの行方を捜している。
 …セーラの娘の名前と寄宿している学校位、ラルフの遺品を調べればすぐわかりそうなもんだが…。
ラム・ダス クリスフォードの召使いでインド人。セーラの部屋を覗きに来る危ない人だが、カコイイ。
 …迷惑防止条例違反、住居不法侵入、ストーカー防止法違反…探せばまだ出てきそう。
カーマイケル クリスフォードの顧問弁護士、クリスフォードの勘違いでパリまで行かされてもクリスフォードに尽くすバローと対照的な弁護士。
 …紳士とはこの人のことを言う、何かを説明するときのこの人のしゃべり方にはマジで引き込まれる。ミンチンですら負けていた。
ドナルド カーマイケル弁護士の息子で、無神経。
 …「小公女セーラ」の次の作品では、なんと主人公になって「よかった探し」に励みます。
ジャネット カーマイケル弁護士の娘。しっかりしたお嬢さん。
 …可愛い少女の割には存在感が薄かった。この子にはもっと目立って欲しかった。
スーリャ クリスフォードが飼っている猿。
 …こいつがいなかったら、あのハッピーエンドは違った形になったわけだ。

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