第9話「インドからの手紙」 |
名台詞 |
「それはお父様の事業が成功してくださるのは嬉しいけど、それで私が変わるはずないと思うわ。私は今まで通りの私、セーラのつもりよ。」
(セーラ) |
名台詞度
★★★★ |
「わたくしはほかのものにはなるまいと思っていた」…これは原作「小公女」のテーマであり、原作セーラが辛いメイド時代を過ごすときのキーワードでもある。このテーマはアニメにも受け継がれており、アニメのセーラは辛い思いをする前からこんな台詞を吐いているのだ。
この台詞はベッキーから父がダイヤモンド鉱山主になったことを祝う言葉の返答として出てくる。セーラは父親がダイヤモンド鉱山主になったことを他の人が夢中になるほど喜んでいるわけではないのは、ここまでのセーラの表情を見ていればわかるだろう。その胸の内をベッキーにだけ語ったのである。そのベッキーからの答えは、まだ出てくるのは先だ。 |
(次点というかそりゃないよ…)「ウスノロめ…」(ジェームス)
…台所でジェームスとベッキーが衝突したときの言葉、「このトンマ」から始まってモーリーの「夕食抜き」宣言まで辛い時間が続くが、中でもベッキーの心をズタズタに切り裂く一言はこれだろう。 |
名場面 |
物語の冒頭、ロッティを叩いたラビニアとセーラの対決シーン。 |
名場面度
★★★ |
セーラお得意の「何かになったつもり」をラビニアが批判し、それを弁護したロッティはラビニアの怒りを買って突き飛ばされる。そのロッティを突き飛ばしたラビニアを睨み「私、今あなたにどれだけ怒りを…」と語るセーラは、全46話中もっとも怖い顔のセーラになっているのが見物だ。てーか、セーラが怒りに燃えて怖い顔をしたのは全話通してもここだけだったと思う。
「何よ、私をぶつ気?」ラビニアも負けていないが、「本気であなたを叩きたいくらい」と切り返すセーラ。そして13秒間も沈黙の睨み合いが続く、セーラがマジでラビニアを叩くのかと思うと「たった私、今あなたを心の中で…」とセーラが言う。するとラビニアは呆れ顔で立ち去る。
みどころはセーラがマジで怒っている事だ。アニメのセーラが怒りを露わにするシーンは本当になく、このセーラの怒りのシーンはあの少女が怒るとこうなるという貴重なサンプルを提供してくれる。
原作ではこの二人が争うきっかけは違うものの、似たようなシーンはある。しかもアニメの10話に組み込まれたシーンの間に挟まっているからややこしいったらありゃしない。セーラが読書をしている横でラビニアがロッティを泣かせため、読書を邪魔されたのが原因でセーラはラビニアに対し怒る。そしてラビニアに「あなたも私もものごとが分かる年だから叩かないであげる」と言う。そしてアニメと同様「プリンセスらしくすればこんな事にならなかった」という結論となるのだ。小説版ではこのエピソードは簡潔にされている。
さて、叩かれなかったラビニアはどうかというと、生徒の多数がこのやりとりでセーラの側にたった事が気に入らない。でも今回だけはラビニアは言いたいことも言えずセーラのテンポで後半の話が進んでしまう。
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(次点)ジェシーとガートルードがセーラに寝返る。
…こいつら性格悪い、私は正直言って「小公女セーラ」で一番嫌いなキャラ。この時の会話、扉のすぐ外にいるラビニアに聞こえたのだろうか? |
今回の
アーメンガード |
セーラの父がダイヤモンド王になると聞いて喜ぶ彼女。ここまでの笑顔を見せられると言うことは彼女にとってセーラがどれだけ大事な存在かわかるってもんだ。ここまでの笑顔を見せる機会はあまりなかったんじゃないかと思う。
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アーメンガー度
★★★ |
感想 |
いやー、頭来たね。何に頭来たかというとジェシーとガートルードが簡単に寝返ったこと。結局この二人は自分の行動を自分で決めたのはこの時と最終回だけで、あとは何があってもラビニアのいいなりだったんだよね。セーラをいじめるのだって自分の意志ではない、だからそれによって自分に責任が降りかからないこともよく分かっているタイプで、つまりいじめっ子としてはラビニアより頭が良いんだよね、こいつら。一番頭来るタイプだ。
あとこの回で見られるセーラの怒り顔はやっぱり必見だと思う。アニメシーンを集めてセーラの全表情を集めようとしたらこの回を避けて通れないわけだ。セーラがメイドになった後も何度か怒りはあるけれど、どちらかという怒り顔でなく悲しげな表情になっちゃうんだよね。セーラのマジキレは本当にここだけのようだわ。
実はベッキーの怒り顔も後に出てくる回があるが、それはその時に。 |
研究 |
・セーラとベッキー
この話は「名場面」で紹介したラビニアとセーラの対決と、ベッキーがセーラの部屋を訪れるシーン以外はアニメオリジナルである。
そのベッキーの深夜の訪問だが、原作では夜ではなく午後か夕方にベッキーが寝室の掃除を大急ぎで終わらせて余った時間に来ているという設定になっている。時には掃除に時間がかかりすぎてほんの数分しか居られないこともあるが(そんな日はベッキーのポケットにセーラが食べ物を押し込んでから別れる)、それでも毎日ベッキーはセーラの部屋へ通い、一緒にお菓子やサンドイッチを食べたり(特に肉が入っている物を喜んだ)、お話ししたり遊んだりしていたそうだ。そしてベッキーは屋根裏に戻るとその楽しい時間を思い出しながら幸せに寝るのである。ベッキーはセーラに出会うまで笑うことを知らなかったというのだ。
小説版ではアニメと同じく訪問は深夜になるが、やはりベッキーは毎日セーラの部屋に通っている設定で、そこでお話をしたり文字を習ったりしているというのだ。その成果もあって今まで読み書きが出来なかったベッキーは自分の名前を書けるようになった事も書かれている。
さてアニメのベッキーであるが、どうも毎晩セーラの部屋へ通っているわけではなさそうだ。屋根裏へ帰るベッキーに声を掛けるのは必ずセーラの方で、ベッキーは声を掛けられると驚きの笑顔を作る。つまり毎日声を掛けられているわけではなく、声を掛けられる日とそうでない日があるのだろう。
この日の昼、セーラは生徒全員分のお菓子を用意してお茶会を開くが、お茶会に参加できないベッキーの分のミートパイを用意してベッキーを呼び寄せたと言うことだろう。ちなみにここでの会話の中で、肉が入っている食べ物はおなかに溜まって嬉しいと言うことや、屋根裏にはネズミが出るという話、貧しく育った者は何にでも慣れなきゃならないという話は原作にもある。
アニメのベッキーも毎日ではないがセーラの部屋に頻繁に行っていただろう事は事実で、前回の居眠り事件から少しずつセーラとベッキーの距離は縮まったのだろう。ベッキーはこれに非常に感謝しているようだが、当のセーラは友達と好きなことをやっているだけでベッキーのためにと思っているわけではないということだろうか(原作にはそんなことが書かれている)。いずれにしろこの部屋での二人の時間が、今後この二人の関係を決定づけることになったのだろう。。 |