「あにめの記憶」1

世界名作劇場「小公女セーラ」

・本編に入る前に「世界名作劇場」のこと
 日曜夜の家族の楽しみ、それはフジテレビが19時30分から放送している「世界名作劇場」シリーズである。
 平日は仕事帰りが遅い父も日曜日は一緒に食卓を囲み、夕食後に家族全員で欠かさず見ていたのがこの「世界名作劇場」シリーズである。普段はアニメ番組なんか見ない父が毎週真顔で見るほど質が高いアニメだった、といっても今どきの子供達には分かるまい。世界的に有名な児童文学を毎年1作品選び、これを視聴率なんか気にせずに1年間約50話かけてアニメで放送するという現在では考えられない贅沢なアニメ番組であった。驚くべき事にこのシリーズは一時期中断していたものの、現在も舞台をBSフジに移して続いているという。2008年作品の「ポルフィの長い旅」から私も「世界名作劇場」に復活した。
 「世界名作劇場」で本放送が私の記憶にある一番古い作品は「母をたずねて三千里」である。これは確かに日曜の夜に毎週見ていた記憶がある。これより古い作品はすべて再放送を見た記憶しか残ってない。その「母をたずねて三千里」もストーリーそのものは再放送で知ったのであり、本放送で見た当時はマルコという男の子の番組としか認識がなかった。
 では本放送時に見た内容も記憶にある一番古いもの…つまり最低1話分くらいはエピソードを覚えている最古のもの、というと「赤毛のアン」である。やっぱあの辺の物語を理解するには最低でも3年生位にならないとってトコか。私が家族と毎週欠かさず見た最後の作品は、視聴復活の「ポルフィの長い旅」を例外にすると1988年の「小公子セディ」である。見なくなった理由は色々あるが、代表的な理由を挙げるならばその前の「愛の若草物語」辺りからサブタイトルのセンスが無くなって(特に「!」の多用)、番組冒頭で見る気を喪失することが多かったからである。
 さて、物語を見て当時それが理解できたかどうかと強烈に印象に残っているかどうかは別問題である。当時理解できていれば小説などの別メディアやネット等の紹介ページを見ると話の内容が出てくるだけでなく、本放送当時の思い出も蘇ってくる(それがない「ペリーヌ物語」以前の作品では蘇ってくるのは朝や夕方の再放送の思い出だけなのだ)。でも理解できていただけだとストーリーを「思い出す」のであって「覚えている」のではない。強烈に印象に残ればいつでもストーリーが頭に浮かぶし、名場面は音声付きで頭の中で再生される。それだけでなくオープニングやエンディングのテーマ曲や、テーマ曲時の背景映像まで覚えているものである。そしてそれと同時に当時の記憶も蘇る。
 私にとって「世界名作劇場」でそんな印象に残ってる作品は「ふしぎな島のフローネ」「南の虹のルーシー」「アルプス物語わたしのアンネット」「愛の若草物語」、そして今回紹介する「小公女セーラ」の5作品である。
 この5作品を中心に、私の成長はこの番組とともにあったのである。時には主人公と笑い、時には主人公と泣き、何度もハラハラドキドキをしながら日曜の夜を過ごし、私の成長に少なからず影響を与えたのだ。このコーナーでも「世界名作劇場」から何作かは取り上げるつもりである。

・「小公女セーラ」とは
 「世界名作劇場」の中でも1985年作品である「小公女セーラ」は飛び抜けて印象に残っている。
 この物語は私の人生に色々な影響を与えたからだ。放送開始当時は中学2年生、いじめられっ子だった私がその傷から立ち直るきっかけになったのがこの「小公女セーラ」だったのである。セーラの苦境と自分の苦境を重ね合わせ、時には一緒に涙しながらセーラに感情移入しながら物語を見ていた。まさにあの時期に「小公女セーラ」が放映されていなかったら私の人生はもっと違っていたに違いない。そしてそんな逆境の中でどうすればいいのか、どう気持ちを持てばいいのか、それをセーラに教わったのだ。
 「小公女セーラ」は再放送を一度も見ていない。再会は昨年の11月、某動画投稿サイトで捜し物をしている途中で偶然オープニングテーマの動画を見た事である。オープニングを見ただけで懐かしくなり、同じサイトにあった「完結版」(全話を90分にまとめた総集編)をその日のうちに全部見た。そうするともっと見たくなり全46話を鑑賞することになった…どうせ見るなら自分の考察をどこかに発表しようと思い、当コーナーを作ることにしたきっかけともなるのである。そしてついでに原作本と小説版(アニメを再度小説にしたというややこしいもの)にも目を通した。
 「小公女セーラ」の原作は有名なバーネット著「小公女」、私はこの原作を日本向けにアレンジしたものを「小公女セーラ」と解釈している。物語の骨格は原作とアニメでほぼ同じだが、原作ではあまり重視されていなかったサブキャラを際だたせて話に膨らみを持たせた。同時に主人公の性格をさらにか弱くて優しい性格にし、いじめる側といじめられる側をハッキリさせ、いじめられる主人公の味方を増やしつつも力は増やさないという巧妙なキャラ配置にし、最後に強大な味方が出てくるまで耐えさせるという日本人が大好きな水戸黄門のようなストーリー仕立てにした。耐えるのも一人で耐えるのでなく多くの仲間と耐える構図とし、ベッキーの扱いを大きくし、ピーターというアニメオリジナルキャラを入れ、アーメンガードにもセーラのピンチを救う活躍の場を与えた。いじめる側についてもいじめられる側の強化と比例させて強化するため、ラビニアを単なる皮肉屋からハッキリしたいじめっ子へ昇格させている。さらにミンチン学院の生徒の人数もハッキリさせて一人一人に名前まで付けるといった力の入れようである(原作ではセーラに直接絡まない生徒はその他大勢扱いで名前すらない)。
 小説版は前述したとおり、アニメ「小公女セーラ」を再度小説にしたものである。したがって同じ小説でも原作の「小公女」とはまるで雰囲気が違い、あくまでも「小公女セーラ」の小説であるが、一部の設定や一部展開がよりリアリティに変更されている点は興味深い。
 本コーナーでは「小公女セーラ」の感想と考察を、原作との違いを中心にまとめて行くことにする。

・「小公女セーラ」関連リンク集
 「小公女セーラ」についてもっと知りたい、他の方の視点による考察を見てみたい、とおっしゃる方は下記リンク集をご利用ください。

「小公女セーラ博物館」
らむだす様による「小公女セーラ」の総合サイト。「小公女セーラ」関連サイトといえばまずはここ。
とにかく「小公女セーラ」に関する情報量では他を圧倒しています。また「セーラの誕生日」などの考察にも脱帽しました。
はいじめいさく応援ブログ
「ハイジの寝言☆ミ」
「ハイジの寝言☆ミ」
2007様による「世界名作劇場」各作品の紹介と考察を独自の視点でされているブログです。「小公女セーラ」考察では私のサイトの考察結果も参考にされています。
とにかく、面白いです。「世界名作劇場」各作品のキャラが住み着いて毒のある発言を繰り返す点は必見です。
「せえらの小説ホームページ」
丘田けん様による「小公女セーラ」の自作小説を中心としたサイトです。セーラのその後や、数々のオリジナルストーリーがあなたを待っています。
どれも素晴らしい作品ですが、私は「セーラ」以外の「世界名作劇場」キャラとの絡みがある「宇宙空母」の話が一番好きです。
「KIRIHITOの雑記帖」 「KIRIHITOの雑記帖」
霧人様による「小公女セーラ」を中心としたイラストや考察他のブログです。
氏が描くイラストは「小公女セーラ」関連のサイトでよく見かけますが、雰囲気がよく出ていて私は気に入っています。
「世界名作劇場『小公女セーラ』個人運営研究サイト
”あるセーラファン”さんによる「小公女セーラ」の研究・考察サイト。特にキャラクターの人間関係と言う面から深く本作を研究しています。他の「小公女セーラ」関連サイトにはない切り口ですので、是非ともご覧下さい。

・サブタイトルリスト

第1話 「ミンチン女学院」 第24話 「エミリーの運命」
第2話 「エミリー人形」 第25話 「一日だけのシンデレラ」
第3話 「はじめての授業」 第26話 「年少組の小さな先生」
第4話 「親友アーメンガード」 第27話 「デュファルジュ先生の帰国」
第5話 「泣き虫ロッティ」 第28話 「夏休みの大騒動」
第6話 「灰かぶりベッキー」 第29話 「ベッキーの里帰り」
第7話 「代表生徒」 第30話 「インドから来た紳士」
第8話 「親切なお嬢様」 第31話 「屋根裏に来た怪物」
第9話 「インドからの手紙」 第32話 「壁の向こう側の秘密」
第10話 「二つのプレゼント」 第33話 「新学期のいじわる」
第11話 「プリンセスの誕生日」 第34話 「嵐の中のつぐない」
第12話 「屋根裏の暗い部屋」 第35話 「消えそうないのち」
第13話 「つらい仕事の日」 第36話 「魔法のはじまり」
第14話 「深夜のお客様」 第37話 「屋根裏は大混乱」
第15話 「街の子ピーター」 第38話 「こわされた魔法」
第16話 「ロッティの冒険」 第39話 「馬小屋の寒い夜」
第17話 「小さな友メルの家族」 第40話 「アメリア先生の涙」
第18話 「悲しいメイポール祭」 第41話 「妖精たちのパーティ」
第19話 「インドからの呼び声」 第42話 「雪の日の追放」
第20話 「謎の特別室生徒」 第43話 「幸せの素敵な小包」
第21話 「涙の中の悲しみ」 第44話 「おおこの子だ!」
第22話 「屋根裏のパーティ」 第45話 「ミンチン院長の後悔」
第23話 「親切なパン屋さん」 第46話 「また逢う日まで」

2015年6月21日・「小公女セーラ」30周年企画として
追加考察番外編「ラビニア大特集」を当面の間通常公開

「小公女セーラ」の総評はこちらからどうぞ
はいじまオリジナル小説・追加考察・テレビドラマ版「小公女セイラ」についてもこちら経由でどうぞ

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