世界名作劇場「小公女セーラ」追加考察3
私にとって強印象の作品を考える
私と「世界名作劇場」について
当コーナーで「世界名作劇場」シリーズを取り上げたのは過去作品の「小公女セーラ」「南の虹のルーシー」の2作品、リアルタイム考察は現在放映中の「ポルフィの長い旅」、さらに「小公女セーラ」の追加が一段落ついたら次は世界名作劇場1987年作品「愛の若草物語」を取り上げる予定である(なぜ次がこれかは後述する)。また今年は「赤毛のアン」100周年の節目と言うこともあり、「赤毛のアン」も気が変わらなければ今年中に取り上げる予定でいる。
別に当コーナーを「世界名作劇場」専用サイトにするつもりはないが(その証拠に「宇宙戦艦ヤマト」を取り上げているし、実は「機動戦士ガンダム」を次に取り上げるつもりだった)、少年時代に強烈に記憶に残ったアニメというのが「世界名作劇場」シリーズなのだからしょうがない。ではなぜ「世界名作劇場」が印象に残っているのかを考えたい。
と言っても結論は分かりきっていて、日曜夜に家族と一緒に毎週見ていたからである。日曜日の夕食後のひととき、少年時代のわが家では「世界名作劇場」と「NHK大河ドラマ」を必ず見ていた。しかもうちの親父が、当時はテレビを見るときは周りを静かにさせてじっくりテレビを見なきゃ気が済まない人だったこともあり、これらの番組を見ているときはテレビの音声以外はしーんとした状態で見ていたのである、だから少年時代に見ていたあらゆるアニメよりもじっくり見られた事もあって印象に残っているのだ。
対して親父のいない平日夕方や夜のアニメは見方が違った。それをじっくり見るというより、その内容を兄妹と語り合いながら見ていた記憶があるのである。さもなくば何か別のことをしながら見ていたり、宿題がまだだと母に途中で消されたり…。腰を据えて見るという見方はしていなかった。
だからこそ「世界名作劇場」シリーズが印象に残っていたのだと考えられる。
「小公女セーラ」の概要部分で、私と「世界名作劇場」シリーズについて簡単に書いたが、やはりこのような見方をしたアニメシリーズでも印象度や好き嫌いがハッキリしていたりする。ここではなぜそこまで印象度に違いが生じたかを考えたい。
その「違い」については思い当たる節があるのだ、これは今になって気付いたことではあるけれど。
私にとって印象深い作品は1981年「家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ」、1982年「南の虹のルーシー」、1983年「アルプス物語
わたしのアンネット」、1985年「小公女セーラ」、1987年「愛の若草物語」であることは「小公女セーラ」概要で言ったとおりだ。この5作品は二十数年を経た今でもストーリーだけでなく、登場人物の声、台詞、場面、オープニングやエンディングテーマ、本放送時の感想を今でも覚えていたりする。またこのような記憶が再放送であるのは、前史に当たる「アルプスの少女ハイジ」「母をたずねて三千里」「赤毛のアン」「トム・ソーヤーの冒険」である。
残念ながら、その他の作品については断片的にしか覚えてなく、一部については全く覚えていないものがある。私にとってその代表例は「あらいぐまラスカル」で、この物語は見た記憶が全く残っていないし(再放送も含めて)、最近になってネットであらすじを見つけるまでどんな話だったかも記憶になっかった(他は見たものであればここに挙がっていないものでも大まかな内容は覚えている)。これはもう個人的な好き嫌いの問題でしかないので、他人に批判されてもしょうがないとしか言いようがない。私は嘘まで言って「世界名作劇場」シリーズは全部好きだと演じるつもりはない(どれも素晴らしい作品なので応援はするが)。
また物語は殆ど覚えていないのに、オープニングテーマだけは空で歌えるほど覚えていた「牧場の少女カトリ」という不思議な存在もある。いずれにしろ、これら私の強印象作品から漏れた作品は、あくまでも私の印象に残らなかっただけの話であり、その作品そのものを否定する気は毛頭無い。また個人の印象に残るには当時の当人の精神状況や生活状況、それに立場や年齢なんかも密接に絡んでくるはずだろう。私も「小公女セーラ」が違う年に放映されていたらこうも強く印象に残らなかったと思うし、「牧場の少女カトリ」がもっと違う時期に放映されていたら強く印象に残ったかも知れないと考えている。
では強く印象に残った5作品について、なぜ私の印象に強く残ったかに入ろう。前述したが、この事実は今年になって初めて気付いた事なのだ。次の表をご覧頂きたい。
作品名・放映年 |
主人公または注目すべき
主要登場人物の年齢 |
放映時の私の年齢
および個人的な出来事 |
世間での出来事 |
1981年
「家族ロビンソン漂流記
ふしぎな島のフローネ」 |
フローネ・ロビンソン(10歳〜) |
10〜11歳・小学4〜5年生
7月、ボーイスカウトのキャンプで伊勢へ。 |
・神戸ポートピア'81(3月〜9月)
・レーガン大統領銃撃事件(3月)
・スペースシャトル「コロンビア」初飛行(4月)
・寺尾聰「ルビーの指輪」ヒット
・深川通り魔事件(6月)
・チャールズ皇太子とダイアナ元妃結婚式(7月)
・フランス高速鉄道TGV開業(9月)
・北炭夕張新炭坑ガス突出事故(10月) |
1982年
「南の虹のルーシー」 |
ベン・ポップル(12歳〜)
ルーシーメイ・ポップル(10歳)…33話以降 |
11〜12歳・小学5〜6年生
5月、学校の移動教室で美ヶ原の近くの武石へ。
7月、ボースカウトのキャンプで小淵沢へ。
8月、軽井沢への家族旅行の往復で、兄と初めて本格的な鉄道旅行を決行する。 |
・ホテルニュージャパン火災(2月)
・日航羽田沖墜落事故(2月)
・500円硬貨発行(4月)
・東北新幹線開業(6月)
・長崎大水害(7月)
・台風10号被害(8月)
・西武ライオンズ初優勝(10月)
・上越新幹線開通(11月)
・中曽根首相就任(11月) |
1983年
「アルプス物語
わたしのアンネット」 |
アンネット・バルニエル(12〜13歳)
ルシエン・モレル(12〜13歳)
※年齢は9話以降 |
12〜13歳・小学6年生〜中学1年生
3月、小学校卒業。
4月、中学校入学。
7月、父方の祖父が死去。
7月、学校の臨海学校で下田へ。
11月、母方の祖母が死去。 |
・青函トンネル先進導坑貫通(1月)
・NHK連続小説「おしん」放映(4月〜)
・東京ディズニーランド開園(4月)
・日本海中部地震(5月)
・阪急ブレーブス福本選手盗塁世界記録達成(6月)
・PL学園KKコンビで甲子園優勝(8月)
・大韓航空機撃墜事件(9月)
・三宅島噴火(10月)
・プロ野球日本シリーズ大激戦(11月)
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1985年
「小公女セーラ」 |
セーラ・クルー(10〜11歳)
アーメンガード・セントジョン(推定10〜11歳)
ベッキー(推定12〜13歳)
ラビニア・ハーバート(推定14〜15歳)
(※セーラ以外は小説版設定や原作設定などから年齢を推定) |
14〜15歳・中学2〜3年生
4月のクラス替えまで学校で問題になるほどいじめられた。
3月、つくば万博「音の出る切符」を買うため徹夜。
4月、修学旅行で初めて京都へ。 |
・両国国技館完成(1月)
・青函トンネル本坑貫通(3月)
・東北新幹線上野駅乗り入れ(3月)
・つくば万博開催(3〜9月)
・電電公社民営化NTT誕生(4月)
・専売公社民営化JT誕生(4月)
・豊田商事会長刺殺事件(6月)
・日航ジャンボ機墜落事故(8月)
・夏目雅子死去(9月)
・阪神タイガース優勝(10月)
・国電同時多発ゲリラ事件(11月) |
1987年
「愛の若草物語」 |
マーガレット・マーチ(16〜18歳)
ジョセフィン・マーチ(15〜17歳)
ローリー・ローレンス(15〜17歳) |
16〜17歳・高校2年生
1月、本格的な鉄道旅行を始める。
6月、修学旅行で北海道初上陸。
8月、初めての北海道ひとり旅。
(青函連絡船にはまる)
12月、東北へひとり旅。 |
・NTT株上場(2月)
・国鉄分割民営JR誕生(4月)
・広島カープ衣笠選手連続出場世界記録達成(6月)
・石原裕次郎死去(7月)
・大韓航空機爆破事件(11月)
・千葉県東方沖地震(12月) |
これを見ただけで私が何を言わんとしているか分かった人も多いのではないかと思う。
そう、「小公女セーラ」以外、主人公やそれに準ずる登場人物と私の年齢が合致しているのである。特にフローネとアンネットとルシエンについては本放送時の私の年齢とピッタリ合致するし、メグとジョオは劇中で本放送時の私の年齢になる期間があるのだ。「南の虹のルーシー」についても最初は主人公の兄ベンが私と同じほぼ年齢で登場し、劇中で話が2年飛ぶと今度はルーシーが私の年齢に迫ってくるのである。完全な例外は「小公女セーラ」だけである。
「世界名作劇場」の主人公は十代前半、特に10歳前後の少年少女となっている場合が多い。ちょうど私がその主人公達の年齢となったときに放映されていたのがこれらの作品なのだ。これらの直前である「トム・ソーヤーの冒険」だと主人公は2歳年上、間に挟まっている「牧場の少女カトリ」や「愛少女ポリアンナ物語」だとカトリでは最小でも2歳、ポリアンナにいたっては6〜7歳も年が違ってしまう。さらにこの後の「小公子セディ」となると、主人公セディと10歳も年が違ってしまうのである。
ただし、「愛の若草物語」の主人公年齢はちょっと例外だろう。4人姉妹全員が主人公とすればメグの終了時18歳が「世界名作劇場」主人公で最も年上のはずだ。物語の構成で見てジョオを主人公としても17歳まで成長している。これは「世界名作劇場」主人公の年齢としてはギリギリの範囲で、ちょうどそのような高齢の主人公が活躍していたときに私もその年齢だったのはなんたる偶然だろう。
結果を言うと、その時の自分の状況で心を鷲掴みにした「小公女セーラ」以外は、自分とほぼ同じ年齢の主人公が物語を作ってきたことが一番の要因であると思う。私はこれらの作品を見て知らず知らずのうちに主人公が同世代であることで親近感を感じ、主人公に感情移入していたのだと思う。
おまけとして放映年の出来事を掲載しておいた。これは Wikipedia の年表から私の記憶に残っているものを拾い上げたものである。これをご覧になった皆さんも放映当時の事を思い出して頂きたい。
てな訳で「はいじまゆきどっとこむ・あにめの記憶」、過去作品の次回は「愛の若草物語」を取り上げることにした。本放送当時の私と同年代の主人公が出てきた最後の「世界名作劇場」作品かつ、最後の強印象作品。さらに主人公が「世界名作劇場」としては異例の年齢層。これにスポットを当ててみようと考えたのである。
強印象の5作品は全て取り上げるつもりではいるけど、今回このテーマで考察文を書かなければ、前述の通り他を先に取り上げただろうな…。
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