前ページ「あにめの記憶」トップへ次ページ

第1話「インターナショナル・レスキュー出動!(前編)」英名:Ring of Fire Part 1
名台詞 「何のために起こすんだ? 今は2060年だぞ。そんなこと何の得にもならない。」
(バージル)
名台詞度
★★
 ミネルバ環礁の地震で深海調査ステーションの救助活動を終えたサンダーバード隊員は、4号のゴードンが海底から拾ってきた装置を前にその正体について語り合う。この中で頻発している海底地震が自然のものではないことが分かり、ゴードンがこの装置が地震発生装置ではないかと疑う。すると2号のバージルが反論する台詞がこれだ。
 この台詞が印象に残った理由は2点、ひとつは劇中の時代設定が「西暦2060年」と決定すること。つまり今から45年後の世界を描いていることになり、もし私が生きていれば90歳になっているという近未来を描いていることがハッキリする点だ。これだけなら驚かないが、この事実は本作を視聴する上で重要だ。
 そしてもう一つ、この台詞から見える劇中世界は、「大地震が脅威ではない」という羨ましい世界だ。つまり45年後には大地震が発生してもたいした被害が出ない世の中になっているからこそ、例えそれが「悪党が世界を脅すため」だとしても「何の得にもならない」と断言しているのだ。地震が脅威でないというのは、どんな世の中だろう?
 だが今話の最後でフッドが「地震の規模がどんどん大きくなり、環太平洋地域の都市は壊滅状態になる」と宣言する。津波が発生している様子もないことから、この時の地震の方が大したことがないのかも知れないけど。
名場面 フッドの登場 名場面度
★★★
 今話の最後、装置へ送る電波発信元を探ったペネロープによって、地震発生装置の作り主で世界を脅そうとしている人物が立体映像で登場する。彼はインターナショナルレスキューを恨み、この活動を妨害すべく画策しているのだ。彼のメッセージを聞いたバージルは「これほどまでにインターナショナルレスキューを恨んでいる人間は一人しかいない」と根拠のないことを言うとアランが「あいつのことだね」と相づちを打つと、スコットが「パパが事故を起こした原因はあいつにある…そう、フッドだ。奴が戻ってきた」と結論を出す。
 実はこの第一話を見て、「なかなか主要キャラが全員揃わないなー」と思っていた。サンダーバードを組織する兄弟達に、サンダーバードを支援する技術者のブレインズや、エージェントのペネロープやその運転士のパーカーまで出てきている。そして悪役のフッドまで存在が示唆されているのに肝心な人が出てこない…そう、「パパ」ことジェフである。
 そしてそのジェフだが、どうもこの世の人でないのか行方不明なのかは分からないが、いずれにしても「事故」の結果でこの場にいない事実だけはハッキリする。つまり物語はサンダーバードの活躍とフッドとの戦いという旧作の展開の他に、ジェフの事故の謎という面が加わる展開になることが明確になったのだ。
感想  サンダーバード復活!と高らかに宣言されても、10年前に実写版がアメリカで製作されて日本でも上映された記憶は新しい。だが本作を見て「おおっ、これがサンダーバード」と強く感じたのは事実。
 まず冒頭シーンがいいね。熱気球で遭難した親子を救助するシーンなのだが、ここに旧作のテイストを沢山盛り込んでいるのがとても印象が良い。その遭難者に子供が含まれていて、子供が助けられるシーンが子供の目線で見られるようにすることで子供達を物語に引き込むという「つくり」がそのまんまなのは良かった。そしてその旧作のノリで進めつつも、本作で新たに加わったアイテムやメカの性能をちゃんと描く辺りは、新作と旧作の融合が感じられ面白かった。
 そして地震発生→次の救難現場へと話がテンポ良く流れ、物語はいきなり本題に突入している。今回はフッドに繋がる人工地震の発生装置に話が繋がればそれで良いのだが、ここに至るまでに4号を遭難させたり1号と2号の共同作業を描くなど旧作のノリを忘れずに入れるのは楽しい。
 しかし、キャラクターの動きが「サンダーバード」らしくて良いなぁ。恐らく特撮とCGの組み合わせなんだろうけど、キャラクターに50年前の人形劇っぽい動きをさせているのは見ていて感心。サンダーバードへの乗り込みのシーンは、さすがに「滑り台」は非現実的だからやめたようだ。だが1号がプールから出てきて、2号が可動するヤシの木で偽装した滑走路から現れて、柳田理科雄に「あれでは即墜落する」と指摘された傾斜台から離陸するセオリーを貫いたのも嬉しかった。
研究 ・物語の世界
 名台詞欄に示した通り、劇中の時代設定は近未来である西暦2060年だ。この時代の背景が劇中に余り描かれないのは残念だが、第2話で少なくとも台湾が現在の台湾と見た目で変わっていないことだけは分かる。
 旧作の「サンダーバード」では当初、時代設定は西暦2026年とされていたが、後に西暦2065年に改められた経緯がある。つまり旧作とはパラレルワールドであるのは確かだろう。そういえば旧作では「サンダーバード」は正体がバレないようにこっそりと活動していたが、本作ではそういう風には見えない。これも第2話で解る事だが「世界防衛軍GDF」という組織の下部組織であると考えられる。「世界防衛軍」は「世界評議会」という組織のもとで活動していると考えられる。
 これをまとめるとこうであると考えられる。この時代の世界では世界各国の独立自治の他に、地球全体的な統治機構があるのだろう。それが「世界評議会」だ。「世界評議会」は地球全体を統治し、その治安維持のための軍事組織が「世界防衛軍」、サンダーバードはその中で救助活動を専門とする特殊部隊という位置づけなのだろう。

第2話「インターナショナル・レスキュー出動!(後編)」英名:Ring of Fire Part 2
名台詞 「ハハ、支配者になる気は無い。手には入れたいが表舞台には出たくない。」
(フッド)
名台詞度
★★★
 サンダーバードのニューファミリー、ケーヨがやっと見つけたフッドのアジトに乗り込む。そしてフッドと直接対峙し、フッドが人工地震で世界を脅した訳を知る。その理由に対し「世界を支配したいの?」と問うたケーヨへのフッドの返答がこれだ。
 この台詞を聞いて「うっわー、悪役」と感じた。なんてったって「世界征服」を目的としているが、それよにって発生する責任まで手に入れる気はないという事なのだから。つまり彼が言う「世界を手に入れる」という事は、世界の何処へでも無責任に口出しでき、皆がその口出しに応じる世界を作るということだ。力は欲しいが責任はいらんという、自分勝手さがこの悪役を盛り立てていると感じ、今話ではとても印象に残った。
名場面 ケーヨと「おばあちゃん」 名場面度
★★★
 今話のラストで、フッドのアジトに乗り込むという作戦を実行したケーヨにサンダーバードメカを渡される。ケーヨの乗る「サンダーバードS号」のお披露目の席で、ブレインズがフッドとの対決の際に音信不通になった通信機をチェックする旨を申し出るが、ケーヨは「うっかりしてスイッチを切った」と誤魔化して「おばあちゃん」の所へ行く。「上手く誤魔化せたみたいね」と告げる「おばあちゃん」は、「大丈夫、ジェフはあんたの秘密を守った。私も守るよ。いつかはあの子達にも言わないととね」とそっと告げる。ケーヨは深刻な表情で「わかってる」とだけ返す。
 本作で加わった新たなサンダーバードファミリーは、他のメカ操縦者とは違いジェフの子供達ということではないようだ。彼女がフッドの姪である事は、劇中で既にフッドが明かしているし本人も認めている。これが秘密かと思ったらどうやらさらなる秘密があるらしい、フッドとジェフの関係、ジェフの事故…そしてこのケーヨが何者であり、サンダーバードファミリーに加えられた経緯だ。
 「おばあちゃん」がボケキャラを「演じている」のは、そんな重い秘密の一端を知っているから何だろうなぁ。いずれにしてもこの作品のストーリーが気になるよう、さりげなく作ったのは感心した。
感想  本作ではみんな無茶するなぁ、1号と2号が超近接飛行をするのは演出上やむを得ないにしても、まさかあのペネロープ号がいきなり空を飛ぶとはなぁ。3号のアランがスケートボードみたいなので宇宙遊泳したかと思ったら、ケーヨに至っては…期間途中のサンダーバード3号から飛び降りた!…最後の方ではスコットが1号に馬乗りになったまま飛んでいるし…サンダーバードってこんな無茶な話だったっけ?
 また国際色豊かなのも見ていて面白い。今回の救助活動の舞台は台湾で、台北が灰燼と化す危機を描いている。中国語の看板が「サンダーバード」とはまたちょっと違う雰囲気だったなぁ。
 物語の事については、名場面欄に書いたことしか進んでない…でもケーヨって何者なんだ? フッドの親類である事があっけなく明かされたのは驚きだったけど。
研究 ・地震発生装置
 さて、前話から今話にかけてフッドが世界を脅すために使用したのは人工的に地震を発生させる装置である。ここではこれがどんなものか考えてみよう。
 装置はとても小さい、まだ若い4号のゴードンが軽く持ち上げられる重さと大きさだ。大きさは高さと幅30センチ、長さが60センチと言ったところだろう。重さはせいぜい2キロと言ったところか、軽い軽い。
 こんな軽いもので地震が起こせるのだから、内部にはとても大きいエネルギーをため込んでいるはずで解体するのは危険なはずだか…ブレインズは何の警戒もなくこれを分解して内部構造を調べている。そして「地震を起こす本体部分」として手のひらに収まる大きさ・重さのバイブレーターを出す…あんなちっちゃい装置で地震が起きるのかよ…。
 この使用手順も分かっている。地球上にいるフッドから人工衛星を介して、海底に配置された装置に信号を送り地震を発生させるというものだ。全人類に脅しが掛けられるほどの地震でなければならないことを考えると、マグニチュード7レベルの地震が発生すると考えられる。だが時代は西暦2060年、地震で人々が困っている様子はない。台湾では「ソーラーコレクター」(星一つ分の水素融合エネルギーを何に使うかよく分からない)が倒壊しただけで、一般の家屋には被害が出ていないし人々は普通の生活をしている。つまりこの時代はマグニチュード7程度の地震では、巨大構造物の被害は避けられないがそれさえなければ人々の生活に影響がない程頑丈な家に人々が住んでいるのだ。
 この地震発生装置だが、サンダーバード5号のモニター画面によると太平洋を囲う海溝に沿って配置されていることが分かる。フッドも「(要求が聞き入れられなければ)地震の規模がどんどん大きくなり、環太平洋地域の都市は壊滅状態になる」と宣言しているから、装置が配備されているのは太平洋だけなのだろう。なんで地震への備えが最も進んでいる地域に地震発生装置を設置するかな…大西洋に設置した方が効果があったはずだぞ。
 この地震発生装置はサンダーバード5号のモニター表示によると、環太平洋地域に次のように配置してある。ニュージーランドからパプアニューギニア、フィリピン、台湾、日本列島、カムチャッカ半島、アラスカの各沖合を経てメキシコまで列をなして配備されているのだ。その距離22830キロ、この装置は大きさと軽さから言って飛行機から投下すれば海面衝突の衝撃で壊れるだろう、つまり船で設置するしかない。
 船で設置すると言っても、ケーブルの類いはないから設置地点でドボンと沈めるだけだ。だが時間が掛かりすぎる、フッドがこの装置の設置に使った船が高速のコンテナ船並の25ノットで進むとしても、20日半も掛かってしまう。船の回航や途中での食糧補給のための寄港を考えれば、この地震発生装置の設置だけで一ヶ月はかかることになる。フッドってヒマ人なんだなー。

第3話「スペース・レース」英名:Space Race
名台詞 「シルバー忍者参上。中央保管室にたどり着きました。」
(パーカー)
名台詞度
★★
 機雷の解除コードを調べるために、「総合ファイルアーカイブ・ロンドン支部」に潜り込んだペネロープとパーカー。責任者へ報告すると席を外した窓口の女性が立ち去ると、パーカーは早速潜入活動を開始する。そして活動を開始したパーカーがサンダーバード5号へ送ったメッセージがこれ。つまり彼の今回のコードネームは「シルバー忍者」だ。
 これはやっぱり、製作国のイギリスが日本の「Ninja」を意識したと考えて良いんだろうなぁ。確かにパーカーの活躍は忍者的だが、何処もシルバーなんかじゃない。それはともかくこの「シルバー忍者」というネーミングセンスに脱力したことで、といも印象に残ってしまった台詞だ。
名場面 コード解除 名場面度
★★★★
 いよいよ機雷の時限爆破時刻が迫る。その土壇場に来て機雷はサンダーバード3号をロストし、近くにいた民間宇宙船にロックオンしてしまう。アランは時間がなく直接機雷を停止する必要があると認め、船外活動に移った。機雷の停止コードはペネロープ達の潜入活動によって調査中だが、その結果はまだ出ていない。何とか機雷にたどり着いたアランは、ジョンからの指示によって8桁機雷停止コードのうち判明している7ヶためまで入力する。「あとはラストの1個だ」と告げるアランに、「なるべくラッキーな数字が良い」とジョンが答え、アランは「7はラッキーだよね?」と提案すると「そう願おう」とジョンが返す。あと10秒、最後の数値を打ち込むべくアランの手がテンキーの「7」に迫る。そこでジョンの元にペネロープからの着信音、ギリギリのところで停止コード最後の1桁が判明し、機雷の停止に成功する。機雷が停止するとBGMが止まり、民間宇宙船に激突した乾いた音だけがこだまする。
 この問題解決のシーンが迫力があって良かった。なんてったってアランの船外活動が様々なデブリを避けての大迫力シーンで、以前のサンダーバードだったらこんな風に出来なかった凄いシーンだ。これはCGの勝利かも知れない。そしてギリギリまで停止コートの最後の一桁を分からないままにしておく演出は、「おやくそく」とはいえ非常に盛り上がるところだ。ギリギリのところでペネロープから連絡が入るとわかり切っているのに、ここはとても盛り上がる。
 そしてギリギリで機雷を停止させた後の静けさ。機雷の停止を機雷の動きだけでなく、「BGMが止まる」という表現で示したのも「緊張からの解放」というアランの気持ちが上手く表れていて良い。機雷が宇宙船にぶつかる音はそこが宇宙空間である事を考えれば非現実的だが、この演出は「機雷がタダの鉄の塊になった」という事を上手く示している。
 「こういう迫力シーンを待っていた」というシーンが、ここでやっと出てきたと言っても過言ではない。続きの放映は1ヶ月位先になるみたいだけど、期待しちゃうぞーと思ったシーンだ。
感想  すげー、すげー話だ。「サンダーバード」の固定観念を一瞬で突き崩したすげー話だ。
 だって、子供の頃にオリジナルの「サンダーバード」を見てきた我々にとって、彼らの活動はまず1号が出てきて状況確認し、続いて2号が救助活動に使うメカを持ってくる。そして状況に応じて3号が活躍したり、4号やジェットモグラってかたちなのに…。
 今回は1号も2号も4号もジェットモグラも一切登場無し、話は日常任務に就く3号のアランと、5号から指示を出すジョンを中心に進んで行く。そこに物語の設定を解説するブレインズ、暗躍するペネロープという布陣であり、スコットやバージルなんか無線通信にしか出てこない。
 そしてメカの登場が3号と5号だけで作った話は…延々と続く3号と宇宙機雷の「鬼ごっこ」だ。これだけで放映時間持たせちゃうんだから凄い…いや、これはアランとジョンのキャラクター性よりも、トレーシー一家以外のキャラ、特にペネロープとパーカーのキャラクター性に寄るところが大きいのも事実だ。この二人がいなければ間違いなく今話は持たなかっただろう。
 そしてその集大成が、名場面欄シーンと言っていい。アランとジョンの緊張に、結果を持って割り込むペネロープが事件を解決させるという展開は、やはり「サンダーバードここにあり」というつくりだ。そのシーンに至る迫力の宇宙遊泳は、本作で新しく付加された要素だ。
 ペネロープって、オリジナルの日本語版ではあの黒柳徹子さんが演じていたんだよね。
研究 ・宇宙機雷
 今回、研究しておきたいのはアランがずっと追いかけていた宇宙機雷だ。この機雷がどれだけの脅威なのか、ブレインズの台詞から判明する。まずそのブレインズの台詞を引用してみよう。

「ステルス性の機雷だ、2040年の地球戦争の置き土産だよ。中型程度のフネなら軌道から吹っ飛ばせる位の威力を持っているんだ。」
「自爆シーケンスだ、停止するにはコマンドネットワークに繋ぐしかないけど、そのネットワークは2043年に廃止されてしまっている。コマンドネットワークに繋がっていない状態だと、近付くフネを全て敵として認識するんだよ。」
「その機雷には重力起爆装置が組み込まれている。地球の軌道を離れると爆発する仕組みだ。」
「でも機雷のスキャンは危険だ、IDは胴体部分のタグに書いてあるからそれを直接見に行くしかないんだよ。」
「いや、チャンスは1回しかないんだ、ナンバーを間違えて入力するとハッキングだと見なされて即自爆する仕組みになっている。」

 機雷の性能についてはブレインズが全部語ってしまっているので、私が改めて説明するまでもないだろう。だがこの台詞から掃海はかなり困難である事も解る。こんな難解な機雷ならば、終戦後も回収できずに20年も放置されていたことは頷ける。恐らく劇中世界ではこんな機雷が地球近辺の宇宙空間に無数に残されているのだろう。
 問題はこんな機雷がなぜあるのかという問題である。ブレインズの台詞から劇中設定年月より20年前に「地球戦争」という戦争があり、この際に設置されたであろう事が推測できる。この「地球戦争」とは何だろう?
 劇中設定年の西暦2060年では、人類が宇宙に本格進出していることは確かだ。本話の劇中では宇宙空間に複数の民間によると思われる船団の姿が描かれている。これは当時の地球人が宇宙空間と地球との間で何かを運んでいると考えられる。すると考えられるのは「宇宙で見つけた資源を地球に運んでいる」か、「何らかの形で地球人の一部が宇宙に移住したため、生活物資を運んでいる」かのどちらかであることは間違いない。
 私はこの船団の目的は前者だとすると話が全部繋がると考えている。つまり当時の地球人は宇宙のどこか(だが地球の近く)で何らかの資源を見つけたというものだ。その資源の利用価値はわざわざ宇宙まで回収しに行く費用やリスクを考えても、人類に多大な利益を与えるものなのだろう。恐らく石油に替わる新たなエネルギー資源と考えられる。
 その資源が何かは置いておいて、該当資源が発見されてその採掘や地球への運搬が確立したところで、地球上の国々がこの利権を巡って争ったと考えるのは想像に難くない。多くの国が資源や利益の分配などを話し合いで決着しようとしたが、どこかにこれに応じず武力行使をして無理矢理資源を確保しようとしたのだろう。こうして発生したのが「地球戦争」と考えれば、これが宇宙空間での戦いになる事についても辻褄が合う。
 恐らくこの武力行使国は複数国が連携しており、その資源運搬船を襲うなどの形を取ったのだろう。話し合いをしている連合国側はまず資源運搬船に護衛艦隊をつけたが、時期にこれだけで手が回らなくなったので、資源運搬船の航路に沿ってこのような機雷を敷設したと考えるべきだ。もちろん、最終的にこの戦争に連合国側が勝ったからこそ、終戦後に機雷のIDや解除番号が公開されたのだろう。
 恐らく、この機雷にはブレインズの説明の他に、敵味方判別装置も判別していたと考えられる。資源運搬船や連合国側の艦体などが発する特定の信号を受信すると、電波発信船を見方と判別する機能だ。この識別信号は重大な機密事項であり、劇中に出てきたライブラリにも公開されていないのだろう。だったらこの戦争に勝利した連合軍側に掃海を依頼すれば良かったはずだが…そうすると物語が成立しないのでダメか。

第4話「危険な鉱山を閉鎖せよ」英名:Crosscut
名台詞 「私や家族には良くないわ。そうやって頭ごなしに否定されたら、私たちはどうやって生きていけばいいわけ?」
(マリオン)
名台詞度
★★★
 スコットが突如稼働したウラン鉱山へ入ると、そこには鉱山の持ち主でマリオンと名乗る女性がいた。彼女はウランを採掘して誰かに売るらしい。そんなマリオンにスコットが鉱山が不要である事や、過去の使い方が間違っていたことを説くと、彼女が返した台詞がこれだ。
 SFで正義のチームが持つ正義、時と場合によってはそれが「悪」であるという構図をこの一言で示した。劇中設定では既に原子力の時代は終わっており、核を平和利用しないということはウラン鉱山は核兵器のためにあると断言できるだろう。スコットはその事をして「ウラン鉱山の利用法は間違い」としているのに、我々平和大国ニッポンの民が見れば不自然ではない。
 だがその「正義」で生活を失った者が、今話のゲストキャラであるマリオンなのだ。彼女の一族はこのウラン鉱山を所有し、これに依存することで生計を立てていたに違いない。だがそこから産出される鉱物が「悪」の刻印を押され、出荷することが出来なくなってしまったに違いないのだ。こうやって彼女は核絶対否定の世の中で辛酸をなめていたに違いない。
 そしてそれを糧にしていたからこそ、スコットも含めて「核否定」が当たり前だと思っている人達の事を理解できない。いや、スコットが正義であり当然のことを行っていると思っているから理由など語る必要は無いと無意識に考えてしまっている。だがそれではダメなんだ、という重いテーマをこの台詞がぶつけてきているのは確かで、とても印象に残った。
名場面 間一髪 名場面度
★★★
 マリオンに案内されて「裏口」から脱出を図ろうとしたが、「裏口」へ続く階段が崩れていて脱出不可能だ。そこでスコットはサンダーバード1号をリモート操縦し、ワイヤーロープで自分たちを引き上げようとする。だが悪天候でサンダーバード1号が揺れてワイヤーロープが岩場に引っかかり、引き揚げは不可能とにり自分たちで這い上がるしかなくなる。スコットは5号のトレーシーに、5分で這い上がれなかったら穴を埋めるよう言い残してマリオンと共に必死に登る。だがマリオンはウランが詰まったリュックを背負っているため遅れ始める。スコットが捨てるように提案しても彼女は頑なに捨てようとしない。だがマリオンの手が滑って少し落ちる、何とか荷物を落とさずに済むがもう片手でロープを取るのが精一杯、助かるには荷物を捨ててスコットの手を取るしかない。されでも手を離さないでいるとマリオンの手がまた滑り荷物は穴の中へ、スコットが間一髪でマリオンの手を取り彼女は救われる。再び二人はワイヤーロープを上り始めるが、今度はそのワイヤが切れて転落…と思ったところに、バージルがジェットモグラで二人を助けるというシーンだ。
 このシーンのマリオンがなかなか良い、自分が悪人に手を貸そうとしていると解っていながら、ウランを売ることで自分たちの生活を立て直そうという欲求。これを上手く演じてくれるのだ。そしてスコットはあくまでも「悪人なんかに手を貸すな」という「正義」を貫く、だが結局はマリオンも生命が掛かれば仕方が無いという描かれ方がされている。彼女を簡単に正義の考えに引き込むのでなく、こういうシーンを通じてやむなくという描き方にしたのはとても印象的だ。
 そしてマリオンにも最後に「救い」が用意されているラストがあるからこそ、このシーンがスコットの偽善で終わらずに好印象で振り返ることが出来るようになっているのは心憎い演出。やっぱり日本発の物語とは少し違うなーと思った。
感想  ジェットモグラ、キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 「鉱山の話」って解った瞬間、「来るゾ来るゾ…」と思っていたけど、本当に来た。懐かしかった、嬉しかった。でもこのジェットモグラ、サンダーバード2号のコンテナ内で組み立てられるんだな。なんか今回のサンダーバード、凄いぞ。
 しかも今回の話、「正義は一つだけでない」という事を上手く訴えていると思う。これは名台詞欄、名場面欄に書いたスコットとマリオンの関係もそうだが、何よりも旧作では「夢のエネルギー」として描かれていた原子力が、本作ではすっかり悪役だ。これは旧作を知っている人には驚くこともあるし、原子力や核というものについて色々と考えさせられる内容だ。何よりも日本では原子力事故を経験してまだ数年、今回の話は制作者の意図とは違う意味で重いと感じたのも確か。この数年で日本は「原子力」が「夢」から「悪」に変わるのを体感したわけだから。
 しかし、原子力発電所もないなんて凄い世の中になるんだな。きっとすごい代替エネルギーが見つかっているに違いない。サンダーバードのメカ達もその凄いエネルギーで飛んでいるに違いない。確か旧作でみんな原子力の力で動いていたからね、旧作のエネルギー源を否定するなんて凄い物語だと思った。
研究 ・ 
 

第5話「消えたファイアーフラッシュ」英名:Fireflash
名台詞 「これだけは言える。もう民間機には乗らない。」
(ケーヨ)
名台詞度
★★
 名場面欄を受けてサンダーバードのメンバーはそれぞれ乗機から降り、ケーヨもファイアーフラッシュから降りる。そして一同は滑走路で作戦無事終了後の歓談となるのだ。その中でケーヨが吐いたこの言葉が、本話のケーヨの活躍を一言でまとめていて面白かった。
 変な客と隣り合わせになってナンパされるわ、ハイジャックされるわ、眠らされそうになるわ、悪人との戦いを強いられるわ、旅客機を操縦させられるわ…旅客機に客として乗ったら嫌な事のオンパレードだ。これで墜落が着いたら満点だったぞ。
 だがこの出来事の末に、彼女はハイジャックされた航空機を無事帰還させたわけである。どうでも良いけど、このオリジナルキャラはサンダーバードのメンバーの中で最も目立ってないか?
名場面 着陸成功 名場面度
★★★
 サンダーバード2号が運んできた「高速エレベーターカー」を使っての二度目のランディングに失敗、燃料が殆ど空の状態で再度上昇したファイアーフラッシュ。スコットとジョンが次なる手を考えるが、成り行きでファイアーフラッシュを操縦しているケーヨが砂漠への胴体着陸を決断すればサンダーバードのメンバーを巻き込まないと提案する。だがそれはタンク外にある燃料を爆発させる危険がある手法だった。ケーヨはサンダーバードの仲間達に別れの言葉を言いかけるが、サンダーバードの兄弟達はそれを制止する。特にバージルが強くケーヨの言葉を止め、2号を操作しながら「何かにしっかり捕まってろ」と告げる。バージルが操る2号は上方からファイアーフラッシュに接近し、ファイアーフラッシュの機体にワイヤーを掛けて軽く上昇をする。そして垂直飛行機能をフルに使ってファイアーフラッシュを見事に滑走路上に制止させるのだ。
 昔のサンダーバードを知っている人なら、高速エレベーターカーが出てきたところでこの事件は一件落着と思うところであったが、本作はそうさせなかったところに大変驚いた。だってどう考えても、もう手は尽きているのだから…だがそれでも諦めないサンーバード兄弟の底力をこのシーンでは見せられた気がする。ケーヨが完全に諦めモードだったのに、バージルの荒技とも言えるサンダーバード2号の操縦で窮地を脱するのである。こうしてゲストメカに花を持たせるのでなく、メインメカに花を持たせるつくりは悪くないと思った。
感想  高速エレベーターカー、キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 サブタイトルで「ファイアーフラッシュ号」と聞いた瞬間から「来るゾ来るゾ…」と思っていたけど、本当に来た。懐かしかった、嬉しかった。でもこの高速エレベーターカー、サンダーバード2号のコンテナ内で組み立てられるんだな。なんか今回のサンダーバード、凄いぞ…って、ありゃ、前回と同じ書き出しになってる。
 この旅客機は、旧作ではごくありふれた旅客機として登場し、ペネロープが移動の際にも利用していた記憶が。今回のファイアーフラッシュ号はありふれたものではなく、裕福な人達だけが乗れる機体なんだろーなー。
 そのファイアーフラッシュ号、塗装や航空会社の名前まで旧作と同じなのは驚いた。そしてあっけなくフッドに乗っ取られて、ケーヨと機内で立ち回りという本作の設定を上手く使った展開にしてのもとても面白かった。そして名場面欄に書いたように、高速エレベーターカーで問題解決させなかった点は、本話を盛り上げる最高のスパイスだったと思う。
 しかし、ファイアーフラッシュにまつわる話では、旧作のフッドの方が悪人らしかったけどなー。
研究 ・ファイアーフラッシュ号
 私のような公共交通機関としての乗り物が好きな人間が「サンダーバード」を視聴すると、最も「萌え〜」なゲストメカは誰がなんと言っても超音速旅客機のファイアーフラッシュ号だ。この旅客機は旧作第一話ではサンダーバードに救助されるメカとして登場、その後も劇中ではありふれた交通機関として登場して子供の頃の私をうならせた。
 巡航高度は7万5千フィート、巡航速度はマッハ5、実はこの性能は旧作のもの(高度5万メートル・マッハ6)よりもダウングレードしている。旧作では原子力エンジンを搭載している設定だったが、前話をみればその設定が消えていることはあきらかで、石油燃料に変わる何らかのエネルギーで飛行しているとみるべきだ。
 この機体の変わっているところは、コックピットが機体最後部の全周形の尾翼の上部に着いていることだ(着陸の時に高度を目視するのか難しそうだなぁ)。そしてコックピットが無駄に広い(燃費悪そう…)な上、外観上は客室とコックピットを結ぶ通路が何処にも見当たらない。さて、ケーヨやフッドは客室とコックピットをどう行き来したんだろう…?
 何よりも驚くのは、その定員の少なさだ。外観を見ると確認できる客席窓は片側10個、内装を見ると1−1の配置で窓1つごとに座席が1列、つまり座席の数は窓の数と同じと言うことだ。窓が左右で20個だから定員はそのまま20人。ロンドンからシドニーまで1便20人ではとてもじゃないが運びきれないだろう。劇中の空港にはボーイング747にソックリな2階建ての機材が映り込んでいたことを考えると、あの他機は全てビジネスクラスとエコノミークラスで、ファイアーフラッシュはファーストクラスだけが別便仕立てだと言うことだろう。この航空会社のファーストクラスは快適性よりスピードを売りにしているに違いない。
 航空管制の無線会話を聞いていると、ファイアーフラッシュという機材名がそのままコールサインになっているのは驚きだ。普通コールサインは航空会社と便名だと思うんだけどなー…ひょっとして、ファイアーフラッシュは量産されてなくて1機しかないとか…なんて非効率な旅客機なんだ。

第6話「ロンドン大停電」英名:Unplugged
名台詞 「いや、大勢いるのは上で困っている人達だよ。私らがここでグズグスしていたら、何が起きるか解らない。さ、いいかい? じゃあいつもの掛け声は? Thunderbirds Are Go! だよ。」
(おばあちゃん)
名台詞度
★★★★
 ロンドンを襲った大停電はテロリスト「ラダイト」の仕業である事を掴み、そのテロリストが仕掛けた電磁波による停電発生装置の在処をバージルは「おばあちゃん」とともに突き止める。停電発生装置を機能を停止させる作戦は出来ていたが、バージルは「ラダイトの人数が多すぎる」として作戦決行を躊躇う。これに対して「おばあちゃん」がバージルに作戦決行を促す台詞がこれだ。
 前話まで完全に「料理が下手」というネタキャラを徹していた「おばあちゃん」であったが、今話では主役を完全にもぎ取って印象的な台詞を各所で吐いている。中でもこの台詞は、作戦続行が困難で足が止まっているバージルに対して「本当に困っているのは誰か」「そのために自分はどうあるべきか」というのをとても印象的に伝えている。台詞の前半はその主題だが、それだけならこの台詞は印象に残らないごくありふれた台詞で終わっていただろうけど、後半に本作のタイトル「Thunderbirds Are Go!」を登場人物共通の掛け声として上手く使っている。ここでこの台詞があるからこそ、今話冒頭でもバージルが演じたサンダーバードマシン発進時の「Thunderbirds Are Go!」という掛け声が、やっと活きるようになったと言っても言いすぎではないはずだ。
 そしてその掛け声には、バージルだけでなくサンダーバードファミリーが持つ「自分の使命」というものを上手く載せているという背景が、ここで上手く示唆されたと思う。正直言って、第1話からここまでの間で最も印象に残った台詞である事は間違いない。
 しかし、前話まで「料理が下手」がネタでそれ以外は何もなかったおばあちゃんが、本当に印象に残ったなぁ。この人の活躍も楽しみになってきたぞ。
名場面 陽動作戦 名場面度
★★★★
 名台詞欄シーンを受けて、テロリスト「ラダイト」のメンバーが侵入者がいるのに気が付く。そこで「おばあちゃん」が地図を見ながらテロリスト達に近付き「すみません、誰かピカデリーサーカスって何処にあるのか教えてくれない? 私、ゾウさんが見たいの」ととぼけた質問をする。テロリストの一人が「そのサーカスと違うだろ!」と反論、すると「おばあちゃん」はすかさず逃亡を開始。テロリスト達がその姿を追うことになる。だがテロリストの足が速く、「おばあちゃん」はテロリスト達の挟み撃ちに遭い逃げ道を失う。「あんた誰だ? 何しに来た?」と問い詰めるテロリストに「バージルにあんた達を引きつけておくように言われたんだよ、怪我をさせたくないからね」と真顔で返すと、バージルはその隙を見て停電発生装置の破壊工作を始めている。
 ここは「おばあちゃん」が最も活躍したシーンだ。もちろん停電発生装置の破壊工作はバージルの仕事だし、テロリストを影で操って自分の陰謀を成就させようとしているフッドを止めるのはペネロープ達の仕事であり、この「おやくそく」は本作では動かすことは出来ないのは確かだ。その上で「おばあちゃん」の活躍がとても印象に残るからこのシーンは強烈だ。
 まずは最初の彼女のとぼけ具合が良い味を出している。本人が何処まで本気でどこからとぼけなのか解らないように台詞も選ばれているし、その口調も上手く演じられている。これは日本語翻訳版を演じた役者さんの力もあるが、オリジナルが上手く出来ているからこそという面もあるはずだ。そして彼女はとぼけるだけとぼけたらすぐ自分の役割である「敵を引きつける」という行動に出るが、それも含めた作戦である事は実際に敵に囲まれるまで解らず、視聴者に少しだけ「このばーさん大丈夫か?」と不安を与える作りになっているのも面白い。さらに「おばあちゃん」の足がテロリスト達よりも明確に遅く描いている点も、リアルであると同時にこの後でそれも作戦だったと思わせるようにも作ってあって面白い。
 そしていざ彼女が敵に囲まれたときに、自分の目的を正直に話すのがこのシーン最大のポイントだ。これでこれまでのとぼけや、挟み撃ちされて囲まれるような場所に逃げ込んだ点も、全て計算通りであると無言で視聴者に示唆するようになっている。これで「おばあちゃん」の計算高さが上手く演じられ、彼女の頭の良さ等も上手く印象に残るように出来ているのだ。
 このシーンがもっと違う演じ方がされたら、「おばあちゃん」についてもっと悪い形で印象に残ってしまった可能性が高い。いつもはとぼけているけど本当は頭が良く、サンダーバードファミリーの精神的支柱であろうことも上手く印象付いたと言って良いだろう。
感想  最初はどんな方向へ話が進むかと不安だったが、中盤のバージルと「おばあちゃん」が地下鉄の線路を歩く辺りからとても面白くなってきたと思った。なんかこう、徐々に盛り上がって最後は目が離せなくなる、そんな感じで盛り上げ方が上手いなーと感じたのが今話の第一印象だ。
 今話はバージルと「おばあちゃん」中心に話が進むが、主人公は「おばあちゃん」の方であったことは誰も否定しないと思う。最初はバージルの足を引っ張りそうだった彼女は、いつしか気が付くとバージルより頼りになる存在として物語に君臨するようになる。その合間でフッドに近付くペネロープ達のシーンが挟まり、物語は二元中継で進んでいく。だが今回、面白いことに主要登場人物はこれだけ、他のサンダーバードファミリーは出てこないし、1号も5号も出てこないまま話が進むのだから恐れ入った。
 「おばあちゃん」の最も印象的な所は名台詞欄と名場面欄に書いた通りだ。そしてこの二人が問題を全部解決したら、合間に出てくるペネロープ達のシーンが無駄になることもよく分かる。そこでバージルと「おばあちゃん」はサンダーバードらしく、フッドという悪人を追うことより救助活動を優先するという展開にし、その裏でペネロープ側でフッドの確保には失敗するがその野望の阻止に成功するという形で、上手く話を落とした。やっぱりこういう時のパーカーだな。
 しかし、西暦2060年のロンドンって怖いなぁ。工事現場のクレーンは過積載が横行していたり、そのクレーンにぶら下げられている荷物がキチンと固定されていなかったり…他にもツッコミどころ満載だぞ。まぁリアルに書いていたら話が進まないところもあるんだけど。
 しかし、次の放映が一ヶ月後とは…トホホ。
研究 ・「おばあちゃん」について
 今話の主人公はなんといっても「おばあちゃん」だ。このサンダーバード兄弟の祖母はオリジナルにも登場しており、すっかり現役をリタイヤして孫を見守る老女として描かれた。ちなみにオリジナルの「おばあちゃん」は、料理が得意とされている。
 これに対して本作では、「料理が下手」という設定に180度転換。立場的には本作では不在となったジェフ・トレーシー(兄弟の父)の位置に立つといって良いだろう。ケーヨの正体を知っていることなどがこれまで示唆されているが、ここまでは基本的に「料理が下手」なネタキャラだったと言って良い。
 舞台は西暦2060年であること、本作ではサンダーバード兄弟が14〜23歳の兄弟であることを考えると、最も若く見積もって1990年生まれで劇中年齢70歳と言うことになろう。おおっ、実在すれば現在25歳の若い女性だ。これで彼女がどのように育ってきたか、現代を生きる我々にも解りやすくなったぞ。
 それは彼女も、電気で動く機会に囲まれて生きてきた事実だ。現在の25歳の人を考えると、間違いなくスマートフォンを使いこなしていることだろう。彼女だって電気無しでは生きていけないと思うんだけどなー…最も年上に見積もっても、1970年代の生まれにはならないと思うので、その点では大差はないと思う。コンパスを持ち歩くなんて、現在の70歳の人の世界だろうに…。
 あーあ、ヤボなこと考えちゃった。

第7話「高速トレイン大暴走」英名:Runaway
名台詞 「いや、他にもあるよ。ただ少しだけ信じてくれればいいんだ。僕をね。」
(ブレインズ)
名台詞度
★★★
 高速列車を止められないまま、いよいよ眼前に迫るラッシュアワーのターミナル駅と車止め。列車の復旧方法は作戦が交錯し、もう止める術は残されていない。スコットが最終手段として送電停止ボタンに手を掛けた瞬間、ブレインズがスコットの手を止めてこう語る。
 こういう危機的に場合、結局役に立つのは作業を行う人間の「絶対に出来る」という信念と、見守る人間が作業車を見守ることだ。そして今回、初めての現場で緊張して最初は上手く行かなかったブレインズが、現場での作業で自分の思い通りに事が進んでいることを自覚することで自信を付ける。スコットが最終手段で列車を止めようとするが、その必要は無いという自信が彼に芽生えたのだ。
 今話はこのブレインズの現場での成長劇がとても面白いのが特徴だ。最初はサンダーバード1号に酔ったり、怖い目に遭って錯乱して無関係な数学の公式を唱え続けたりと頼りなかったブレインズが、この現場でどのように変わるのかというのはブレインズがサンダーバード1号に乗り込んだ瞬間からの最大の注目点だったと言って良いだろう。その答えをこの一言で済ませてしまったのは解りやすい。
名場面 おばあちゃんの料理 名場面度
 「足みたいな臭いがするクッキー」って、どんなんだ?
感想  本話について声を大にして言いたい。
 日本人の鉄道ファンは、本話の視聴を禁ずる!
 もうツッコミどころ以前の問題、それは研究欄に回すとして、あまりにも鉄道のシステムが滅茶苦茶すぎる。いや、これは日本の鉄道を描いた結果でおかしくなったのではない、あの暴走列車が出てきた鉄道が何処の国のものであってもおかしいと言わざるを得ない。
 その上で日本人に対する不快な誤解…ラストの方で駅の中を走る乗客にスコットが声を掛けるが、日本人が時間に正確な理由は決して娯楽のためだけではない。これは日本人の間に根ざした文化であり、礼儀やマナーであり、そこから生まれた日本人の繊細さやきめ細かさという特性なのだ。つまり民族の持つ文化として日本人は時間に正確なのだが、これを否定されたみたいで不快だ。
 話そのものも名台詞欄に書いたブレインズの成長という論点以外は、面白い所がまるで無し。盛り上がりどころが分散してしまって「ここで一番盛り上げたい」というところがハッキリしていないのが今話はとても痛い。一番の失敗は故障して暴走した列車に乗客がいなかったことである。乗客がいれば名台詞欄の直後に乗客の恐怖シーンを差し込むことで、事件解決時の盛り上がりがかなり変わったはずだ。確かに先行列車に追突の恐れという緊急事態はあるにはあったが、その先行列車に「人間の気配」を感じさせない作りになっていたのは頂けない。ここで先行列車の乗務員が恐怖しているシーンを出すだけで、かなり盛り上がったはずなのだ。
 さらに言えば、暴走列車側のスタッフ…つまり鉄道会社の職員が誰も出てこないのも、「盛り上がりどころのなさ」に拍車を掛けている。サンダーバードファミリーが全てを牛耳って、提案も否定も全てファミリーの中で完結してしまっているのは物語を平坦にしてしまったマイナス要因の一つだ。たとえば3話みたいな展開にしても良いし、せめて5話のように管制塔との通信が出てきたり、「鉄道職員との連絡が不通になっている設定」を置くだけでも、だいぶ印象度は変わったはずだ。
 そしてこのような平坦で盛り上がりに欠けていることに制作側も気付いていたのか、物語に緩急を付けようとしたと思われる要素がある。それは勉強を怠けているアランが何かというと口を挟んでくることだ。正直、あれは視聴者から見れば逆効果、「何処で盛り上がるんだろう?」と待っている視聴者の集中力を削ぎ、盛り上がりどころが本当にあったならそれを見過ごしてしまう悪効果をもたらせた可能性が高い。
 正直言って、今話はクオリティが酷すぎて見ていられなかったと言うのが正解だ。日本の鉄道が救助活動の舞台ということで期待半分不安半分で視聴に臨んだが…研究欄に示すツッコミどころの多さは覚悟の上だったとは言え、肝心な物語の出来の悪さで本当にがっかりした。そんな1話だった。
研究 ・暴走列車
 今話の内容は、日本で発生した列車暴走事故をサンダーバードファミリーが食い止めるという内容であった。事故の概要は282km/hで加速中の試験走行列車の制御装置に不具合があり、加速制御のコントールと減速が出来なくなったという内容である。282km/hからの加速中に発生した故障であることを考えると、282km/h走行時に運転指令から「最高速度の半分」までの加速許可しか得ていないと考慮し、列車最高速度まで加速したと考えるべきだ。許可されていた「最高速度の半分」が282km/hより少し高い速度と考えて300km/h、従って列車はこの倍である600km/hまで加速して後は定速走行をしたと考えられる。
 先にこの事故が何処で発生したかを考えねばならない、事故発生地点は日本では珍しく見渡す限り人家などが全く見られない箇所であり、かつ平坦地なので日本国内でこれに合致する場所は北海道など一部に限られる。だが事故発生視点には寺社仏閣があり、青函トンネルをくぐったような描写もない。従ってここは本州内と考えるべきで、本州内であれほど人家がない平坦な場所と言えば津軽半島の日本海側くらいのものだ。そして故障発生は朝の描写で、ラストの停止シーンは夕方シーンとして描かれている。これを冬場の日が最も短い時期だとしても、列車はたっぷり7時間走ったことになる。前述の速度なら4200キロ走行したことになり…ダメだ、どっちへ向かっても日本列島からはみ出す。
 速度の解釈を変えよう、「最高速度の半分」は列車指令の速度ではなく、信号指示速度でもあるという前提に立とう。信号指示を故障した制御装置が素直に受け入れるかどうかは解らないが、原因は人工知能の悪意のないイタズラである事も解っているため、ここは信号指示を受け入れたことにして300km/hでの走行と仮定する。それで7時間走れば約2000キロ、最後の車止めが鹿児島中央駅と考えればなんとか日本列島に収まる。列車は見えないところで首都圏の大都会を通過し、関門海峡も渡って九州まで行っていたのだ。つまり試験列車は北海道から青函トンネルを出てきた直後に事故を起こしたと考えれば良い。
 列車は試験走行の列車で、新技術などのテストをしていたようだ。劇中で「エンジニアしか乗っていない」という情報があるが、画面にはその「エンジニア」が出てこないのも不思議だ。恐らく「エンジニア」は劇中には出てこない客室などに乗っているのだろう。だけど運転室でブレインズが制御系をいじりだせば、「何勝手なことをやってるんだ!」と飛び込んできても良さそうだが…まさか運転士のことを「エンジニア」って言ってるんじゃないだろうな? 運転士は運転士であって技術者ではないぞ。
 で、この暴走事故であるが、解決方法はごく簡単だったはずだ。それはブレインズが「危険だ」としてやめさせた送電のオフを実行すれば良かっただけだ。そうすれば制御系のコンピュータにも電力は行かなくなり、問題の人工知能が介さない形で列車の緊急ブレーキが掛かり停止しただけの話だ。慣性の法則がある以上、送電が止まったら瞬時に速度がゼロになるわけではない。勉強が必要なのはアランじゃなくて、スコットやブレインズじゃないのか?
 そして怖かったのは、サンダーバード5号が列車指令システムを乗っ取って勝手に信号やポイントを制御していることだ。いくら救助のためとはいえ、あんな簡単に制御を奪える鉄道って正直怖いぞ。ここはやっぱり鉄道職員を通じて信号やポイントを制御して欲しかったな。これのせいでリアルさが完全に失われてしまった…。
 まだまだ言いたいことは沢山ある。最初はテスト用路線だと言っていたのに、突然通勤電車が現れたり、閉塞の概念がなかったり、あり得ない減速率での停止などなど…これらのツッコミどころは全部「日本の鉄道だから」というツッコミではない。鉄道システムそのものを制作者が誤解しているとしか考えられない。5話でも航空関係のツッコミは多かったが、あれを大きく上回るひどさだ。半世紀前の昔のサンダーバードの時代とは違って、ちょっと調べれば情報に溢れている時代なんだからもうちょっと考証をしっかりやって5話のように「最低限見られるレベル」には仕上げて欲しい。その思いは日本もイギリスも変わらないと思うんだけどなー。

第8話「人工知能の反乱」英名:EOS
名台詞 「ウイルスという呼ばれ方は心外だけど、まさにあなたの言う通り。私はあなたが作ったコードから生まれ、あなたの理解を超えるところまで進化した。」
(EOS)
名台詞度
★★★★
 サンダーバード5号にトラブル発生、これを受けてジョンは船外活動で故障修理を行おうとする。だが故障は発生しておらず、ジョンは5号のシステムを乗っ取った人工知能プログラムによって船外に閉め出されてしまう。人工知能プログラムがハッチの監視カメラとして正体を現すと、まずジョンはそれが「5号を乗っ取った何者か」と疑うが、実は5号を乗っ取ったのは前話で日本の高速列車を乗っ取った人工知能であり、ジョンが作ったプログラムコードから生まれたものであった。ジョンが「君は5号のプログラムを乗っ取ったウイルスだ」と人工知能に突きつけると、人工知能はこのように返すのだ。
 まさか「ウイルス」の側の気持ちに立った台詞が聞けるとは…そう、ウイルスって自分を「病原体」とか「毒」だと思っていないだろう。自分は単なる生物であり、他の大型の生物の中で暮らしている、または暮らそうとしているだけの存在だ。その過程で自分が住む生物が病気になったり死んでしまうことは、ウイルスにとっては無関係のはずだ。
 これはコンピューターウイルスにも同じ事が言える。もちろん最初から悪意を持って作られたウイルスもあるはずだが、最初はプログラムのバグ等から発生したと考えるのが普通だろう。いずれにしてもそのようなプログラムだって、他のコンピュータのデータを破壊することだけが目的で生まれたわけでなかったはずで、自分が病原体のように言われることを心外だと感じていることだろう。
 こう考えると、人間が地球にとってのウイルスかも知れないという説も説得力を持っている。人間は地球に誕生した生物の進化の到達点の一つであり、この生物は積極的に地球の資源を採掘してエネルギーを得るという活動を行う。これが地球を破壊しているという説だ。言われてみれば多くの人間は、自分がウイルスなんて考えたことはないだろう。こう考えると、地球的規模で物を考えさせられる凄い台詞だと思ったので当欄で紹介することにした。
名場面 決着 名場面度
★★★★
 3号に助けられたジョンは、3号アランの協力を経て5号への潜入に成功する。だが潜入時にEOSら発見され、人工重力システムの回転速度を上げられて行動が困難になる。これを3号が止めるが、EOSは3号に攻撃を行う。その間、ジョンは5号のシステムをシャットダウンするボタンへ走る。「あなたは私を追い詰め、消し去ろうとするハンターだ」とEOSはジョンに対して攻撃的な言葉を吐く。ジョンはシャットダウンボタンの準備をしながら「僕は君を消そうとしているのではない、君が心配だった。君は他にない特別な存在だし、強い力を持っているけど、独りぼっちだ」と返すと、「私は誰の手も借りずこの世に生まれた、誰も私の存在を受け入れない、そして生まれたときのように消えるときもきっとまた、孤独だろう」とEOSは本心を吐く。ジョンは「君をシャットダウンしたくない、でも悪い奴の手に渡れば、君は利用され、人を傷つけるだろう」とシャットダウンせねばならない理由を語ると「あなたが悪い人間じゃないとなぜ解る?」とEOSが反論、するとジョンは宇宙服のヘルメットを脱ぎ「僕の生命は君次第だ、僕が信用できないならエアロックを開けて僕を宇宙へ吹き飛ばせ」と叫ぶ。しばらく訪れる空白の時、ジョンの異常を最初に掴んだペネロープ号、状況をモニターしていた1号と2号、そしてトレーシー島のおばあちゃんとブレインズの姿が流れる。やがてEOSは3号への攻撃をやめ、「私はこのステーションのシステムコントロールを手放し、あなたに渡す」と宣言する。「そんな必要はないよ、仲間が欲しい、友達がね」とジョンが優しく語ると関係者一同が安堵する様子が流れる。「私は感情を持って以来、今始めて危機感が欠如している状態を味わっている」とEOSが語るとジョンは「安心ってやつだ。ホッとしたのは君だけじゃない、僕もだよ」と言いながらシャットダウンボタンを収納する。「僕と一緒を二ここにいよう、守ってあげるし、世界がどんな面白いか見せてあげるよ」「そうしよう、ジョン」。
 一次はどうなるかと思ったジョンといわば自作プログラムの対決。人工知能EOSはジョンの「信頼」を受け取ることでジョンを「味方」と判断して仲間にするという決着を見たのだ。その過程で「思わぬ形で生まれてしまった強力な欠陥プログラム」の気持ちというのを強調し、この作品では「コンピュータやロボットに心があるのか?」という現在の人間が持つ問題に、「心はある」というひとつの回答を示しているように感じる。特に人工知能は「意思」を持っている上、本作のEOSというのはひとつのプログラムコードが進化して人間のプログラミングとは無関係に発生した物だ。これはもう「個」があると言っていいものだ。
 そんな複雑怪奇ないわば「生物」と化したプログラムは、様々なシステムを乗っ取って人間の制御を及ばないようにしてしまう。これは悪人にとって都合の良い武器になるはずで、ジョンの立場としてはそれを阻止するために自分で作ったプログラムを消すしかない。だが彼は自分が作ったプログラムが可愛く、消せない。だから自分が前任であることを訴え、最後はシャットダウンボタンから手を外し、無防備になって「信用できないなら好きにしろ」と丸腰で会話していることを訴えるのだ。この「丸腰」が人工知能に伝わったのだから凄い。
 こうして恐らくは、5号のシステムの一部になるであろうOSであるEOSが誕生したのである。このプログラムがどのように物語に絡んでくるのが、今後の注目的の一つだ。
感想  もう、前話がアレだったから、今話は正直期待していなかった。本作の考察をやめることも考えたくらい、前話が酷かったとしか言いようがない。期待せずに見てみたら…ものすごく面白い話だったので正直驚いた。良い意味で驚いた。今話がダメダメだった前話と続き物になっていることが信じられないくらい、今話はよかった。
 まず5号の平穏が崩れるまで、ジョンの日常がキチンと描かれるのが面白い。ジョンが宇宙から地球を見下ろして感慨に耽ったり、食事をしたりするシーンがキチンと描かれる。その中で故障を発見して、そのメンテナンスというのも彼の日常業務なのだろう。そこに突然落とし穴が現れ、瞬時にジョンが生命を失う危機に陥る。同時に前話の列車暴走トラブルを引き起こしたプログラムコードが人格を持って登場し、5号を乗っ取ってジョンを消すことを宣告するという展開は、正直いい展開だと思った。
 そしてジョンがあらゆる手段を使ってなんとか地上に連絡を取ろうとするのも面白い展開だった。自分で作ったプログラムだから、隙が何処にあるか解るんだったらそれで中には入れよ…というツッコミはダメなんだ。だって中に入ったことがバレたら何をされるか解らない。ペネロープに画像のみのメールを送ったら…勘違いされるというギャグも面白い、ジョンがそんな場合ではないからこそ面白い。
 これでトレーシー島でも5号の異常に気付き、3号が5号をレスキューするという展開は旧作になかった要素だったと思う。そして案の定3号も巻き込まれるピンチを描いてから、満を持して名場面欄で解決…ツッコミどころはあっても物語のテンポがとても良く、画面から目が離せないシーンが続いて本当に面白い物語を見せられたと思う。
 しかし宇宙ステーションで食事がベーグルというのはどうかと思う。そのベーグルが無尽蔵に出てくるのはギャグとして面白い。しかもそれが投げつけるように出てくる機能なんか、宇宙ステーションにはいらないはずなのに…本作はギャグとしても面白い。もう前話のダメダメ感をたった1話で取り戻したと言って良いだろう。
研究 ・ 
 。

第9話「小惑星からのSOS」英名:Slingshot
名台詞 「ふたつ言わせて。ひとつ、アランは若いけど私は生命を預ける。ふたつ、鉢植えからの命令は受けない。無事に帰りたければ余計な口は出さないで。わかった?」
(ケーヨ)
名台詞度
★★★
 小惑星の鉱山技術者をサンダーバード3号に収容、鉱山にあった爆発物を使って小惑星を太陽衝突コースから外したが、今度は小惑星が太陽周回軌道に乗れていないことが判明する。鉱山技術者は「すぐに小惑星を捨てて地球への飛行を開始しよう」と進言するが、アランは3号の燃料枯渇を理由にこれに応じず「手を考えているから時間をくれ」と返す。これを聞いた技術者がまだ少年の域を出ないアランの判断を信用できないと、鉢植えの花もそう言っているとして激しく反論する。これに横でやりとりを見ていたケーヨが反論したのがこの台詞だ。
 どんなフネでもやはり指揮命令形は一本に絞らねばならない、この基本を上手く視聴者と劇中の技術者に伝える台詞だったと思う。ケーヨはまだ若いアランを「サンダーバード3号の船長」として認識しているのだろう、だからアランの判断と命令は絶対であって自分は口出しできる立場にないことを知っている。もちろん、アランが間違った判断をしようとしていれば意見具申する権利は持っているが命令は出来ない。この立場を明確にしてケーヨはアランと3号に乗り込んでいるのだ。
 だが3号に助けられた技術者にとっては、助けに来てくれたフネの船長が年端のいかない少年だったことは納得が出来ないだろう。その少年の知り合いでも何でもなく、その見た目だけで「自分は助かるのだろうか?」という不安を持つのは当然と言えば当然だ。しかも彼はオートメーション化が進んだ小惑星の鉱山に一人で常駐してきた経験がある。それは全てを自分で判断して自分で行動せねばならないという厳しい現場だったはずだ。だからこそ3号の体制に不安を感じ、ついその指揮命令に口出ししてしまう気持ちは理解できる。
 だがそれを放置すればそれこそ「船頭多くして船山に上る」という事になってしまう。これでは助かるものも助からなくなってしまう。そんな論理をケーヨがしっかりと口にして、しっかりと演じたのだ。
 この台詞を聞いた技術者は、「わかりましたよ〜」と返事をして大人しくジャンプシートに座る。彼もまたアランが船長であることを認識し、自分の言いすぎに気付いたのだと解釈すべきだ。
名場面 小惑星から離脱 名場面度
★★
 小惑星は太陽周回軌道を外れ、このままだと地球軌道を通り越して太陽から離れる一方になってしまう。かといって地球へ動力飛行するには燃料が足りない。このピンチから脱出するべくアランが採用したアイデアは、爆発物の爆風をブースターにして加速時の燃料を節約するというものであった。地球ではブレインズが3号の軌道計算を行って、そのための発射時刻が送られて来た。打ち上げ窓は非常に小さく誤差3秒以内、しかも二度目の打ち上げ窓はないという厳しい条件をブレインズが突きつけてくる。これにアランが了解すると、技術者がなんか喋ろうとするのをアランとケーヨが「ダメ」と制止するシーンを挟み、いよいよ秒読みだ。ケーヨが3秒前からカウントダウンを開始し、これに合わせて正確に爆発物が爆破されてサンダーバード3号は小惑星を離脱する。同時にスロットルも上げられて3号は無事に地球帰還軌道を取ることになった。
 毎度だが、これも文章で説明してもつまらないシーンだが、実際にそのシーンを見ているととても緊迫感があって好きだ。その緊迫感の中でネタキャラに成り下がっている要救助者であった技術者が口を挟もうとしたり、シートベルトも付けずにコックピット内を浮遊したりと、様々なネタを定期要してくれるのも面白い。今話の設定やキャラクターが見事に自分の役割に徹していてミッションの集成大といって差し支えないよう上手く出来ているからこそ、このような緊迫感溢れるシーンになったのだと思う。
感想  う〜ん、今回もツッコミどころ満載だなー。多分ロケットや宇宙船に詳しい人が見たら、前々話の私の感想のように見るに堪えないものと感じたと思う。これは事故を起こした小惑星にも言えるし、サンダーバード3号にも言えることなんだけど…真っ直ぐ太陽を目指すなよー。
 それがなければ、面白い話であるとは思う。宇宙でのミッションなんだから別にスコットやバージルを不在にさせる必要は無いと思うんだけど…いや、彼らが助言できないという状況(3号と通信途絶)が先に起きているんだから、1号や゜2号が別の現場へ行っているなんて説明的な事をいう必要は無かったと思うんだよなー。
 そうそう、5話以降ケーヨの存在をずっと忘れてた。これ、制作者に描き忘れられていたんじゃないかなー。アランが出動シーンにケーヨが出てきた時、「こいつ誰だったっけ?」って一瞬感じてしまったから。既に一度名台詞欄シーンにでているほどのキャラを忘れるなんて、ケーヨ不在の3話はそこまで印象的な話が多かったということだ。まぁ7話は悪い方で印象に残ったけど。
 とにかく今回は、助けに来た3号の船長が若いという設定を上手く使っている。そのあたりは名台詞欄に書いた通りで、アランに対する技術者の不信があるからこそ今回の話がうまく回ったのは確かだ。
 そして今回、アランの登場とラストシーンが同じようなシーンなのは物語を上手く落としたと感心する。しかしラストシーンのアラン、何処へ出動していったんだろう?
研究 ・今回のサンダーバード3号の航跡
…これを調べると、サンダーバード3号の性能がとんでもなく凄いことが解る。なんてったって地球から、太陽周回軌道と直角に真っ直ぐ太陽を目指すんだから。これは凄い話だ、地球は太陽の周りをだいたい10万km/hの速度で周回している、これに対して地球軌道と直角に太陽を目指すには地球の公転方向とは逆に瞬時に10万km/h分減速したことになる。これではエネルギーの無駄遣いだ。
 一般的な宇宙船や探査機なら、まっすぐ目的地に向かうようなことはしない。まず東に向かって打ち上げられて地球の周回軌道に乗るはずだ。続いて地球の昼間側の面を飛行中にエンジンを噴かせば、宇宙船は減速する(厳密に言えば地球に対しては加速するけど、太陽に対して減速するということ)。この減速度を調整して、水星軌道の内側を近日点(太陽に最も近付く位置)にした楕円軌道に乗る。この楕円軌道に沿って宇宙船は公転する地球から取り残される形で、かつらせんを描く形で太陽へ向かうはず。こうして金星軌道を越え、水星軌道に達するまで約110日、件の小惑星は水星軌道よりさらに内側にあるから、120日位掛かるはずだ。ありゃ、これじゃあの鉱山技術者は太陽に墜落してしまう。間に合わない!
 ちなみに件の小惑星からの帰りも120日前後かかるはずだ(小惑星が太陽系外へ出てしまう楕円軌道を描いていたとしても、原虫に描かれた程度の時間では太陽までの距離は大して変わらないはずだ)。そこを3時間で戻ったんだからサンダーバード3号はとんでもなく速いんだ。そうだ、ワープしたに違いない!
 結論、数日単位では水星軌道より内側へは往復できないと言うことだ。
(なお、本欄の検証には「Space Flight Simulator」を使用しました)

第10話「ピラミッドの呪い」英名:Tunnels of Time
名台詞 「これで分かったわ、謎のままの方が良いものもあるのよ。」
(ペネロープ)
名台詞度
★★★★
 名場面欄シーンを受けて、無事救出されたペネロープがこのピラミッドにいた考古学者に、ピラミッドが崩壊して秘宝が失われた事実を語る。同時にピラミッド発掘員からこの学者を外すことまでその場で決定してしまい、落ち込む学者の後ろ姿を見送った後に、ペネロープが呟くように語る台詞がこれだ。
 もちろん、この台詞は本来は秘宝のことを言っていて、普通なら何ともない台詞だ。名場面欄シーンがあったことを前提に置くと、この台詞はとても奥が深くなる。もちろん、名場面欄シーンでゴードンが言いかけた「何か」だ。これはゴードンが語りかけた台詞に対するペネロープの返事でもあるのだ。
 もちろん、その内容は「無事助かった以上は聞かなくてよかった」というものだ。これを悪戯っぽく言うのだから、ペネロープという女性のキャラクター性が上手く出ている。
 この台詞に対し、ゴードンは「そうだね、君と僕じゃどう考えても…」と言いかけることで、名場面欄の台詞の答えを出してしまうのだから面白い。多分ゴードンに限らず、トレーシー兄弟はみんなペネロープが好きなんだと思う。旧作ではペネロープとスコットが同い年で他の兄弟もそんなに年が離れていない設定だったが、本作ではペネロープの設定年齢は今のところ解らないが、トレーシー兄弟のバージル以下はみんな10代の設定に変更されている。日本人で言えばゴードンは高校生、アランにいたっては中学生だぞ。
名場面 最奥の部屋 名場面度
★★★
 ピラミッドの中に迷い込んだゴードン・ペネロープ・パーカーの3人は、秘宝が眠るピラミッド最奥の部屋に到達する。だが到達した直後に部屋の床が崩れ始め、3人は最終的に秘宝の上に逃げるがそこも崩れようとしていた。絶体絶命のピンチにペネロープが「ゴードン、どうしよう?」とついに不安の言葉を口に出す。ゴードンはペネロープの手を取り「あともう数秒間しかない、だから今を逃したら…」と重要な告白を言いかける。だがその瞬間、この部屋の天井を塞いでいた岩にサンダーバード2号の爪が抜けて出てくる。ゴードンは「やった、助かったよ!」と叫んで自分の腕に仕込まれていたロープをこの爪に射出して、二人につかまるように命ずる。すると3人はゴードンのロープとサンダーバード2号のつり上げによって、間一髪で部屋から抜け出すことに成功する。
 もうこのシーンは、ゴードンが言いかけた「何か」に尽きるところだ。もちろん、ここで言いかけたゴードンの言葉は愛の告白だろう。これは最期の時が迫っているからこそ言えるのであって、助かる見込みが出来たら言うわけに行かない。そんな台詞だ。なんてったってペネロープは旧作通りの設定であれば貴族の娘、かんたんに愛を告白して良い相手ではない。まずそんなゴードンの感情を上手く描いたのが第一。
 そして、土壇場に追い込まれた3人の救出劇が、あまりにも大胆で強引なやり口だった点も印象的なところだ。このシーンに達するまでにキチンとスコットとバージルの到着を描き、何らかの形で二人が救出されるストーリーをちゃんと組み立てておき、かつ一度は救いの手が来てゴードンが二人の到着を知っていたからこそ、このシーンが活きるのである。これが唐突にサンダーバード2号の登場となった場合、ゴードンはこの大事な言葉を切らなかったかも知れない。それでは物語が白けてしまう。
 いずれにしてもゴードンとペネロープの関係と、大胆な救出劇が同時に演じられたことで、今話で最も印象的なシーンになったのは確かだ。
感想  今回は途中まではゴードンとペネロープとパーカーの珍道中って感じで、正直言って退屈な展開だった。確か3人が歩いたピラミッドに色々と仕掛けがあったのは面白かったけど、それで大きなピンチに陥ったのは一度だけ、しかもゴードンが担いできた大荷物が殆ど役に立っていない(役に立ったのは背負っていた小さなリュックだけ)というもので、なんか印象に残りにくい話だった。
 でもそのテンポで欠伸が出そうなまま終わるかと思ったら、名場面欄以降が妙に奥深くて面白かった。やっぱりゴードンが何か言いかけてから、ペネロープがオチを付けるまでの展開が面白かった。昔のサンダーバードに恋愛感情って入ってたかなぁ。
 今回も懐かしいメカが一つ出てきた、ジェットブルドーザーが本話の冒頭の救助シーンに出てきたのだ。でもこれって、火災現場の救出で出てこなかったかな…記憶が曖昧だ。
研究 ・ 
 。

前ページ「あにめの記憶」トップへ次ページ