第9話「回転防禦!! アステロイドベルト!!」 |
名台詞 |
「全艦隊に告ぐ! ヤマトはここから一歩も外に出すわけにはいかん。最後の決着をつけるのだ。諸君、長いようで短い付き合いだった、これよりヤマトへの体当たりを敢行する、それ以外に活路はないのだ! 諸君の未来に栄光あれ! 冥王星前線基地の勇士達よ、覚えておきたまえ、我らの前に勇士無く、我らの後に勇士無しだ! さあ行くぞ! 全艦突撃開始!」
(シュルツ) |
名台詞度
★★★★★ |
「ヤマト」をきっかけに宇宙を舞台にしたSFアニメは「戦争」を舞台にした路線へと転向したのは皆さんご存じの通りだろう。それらの物語の中で敵味方関係なくその戦場のトップにある者が名演説をすることが多い。ガンダムのギレンを例に出すまでもなく、多くの人々の中にその記憶が名台詞として残っているだろう。
このシュルツの台詞は私が知る限りでは、SFアニメでそのような敵将が行った最初の名演説である。ヤマトのアステロイドベルト作戦による完璧な防御に、シュルツ艦隊は手も足も出ない。エネルギー粒子砲を打っても回転するアステロイドベルトに跳ね返されてしまうのだ。シュルツはヤマトがこの防御の間に傷ついた艦を修理し、修理が終われば波動砲で一網打尽にされると判断した。するとヤマトを叩くにはこの防御で粘っている間しかない、粒子砲が仕えないとなると…特攻しかないわけだ。
覚悟を決めたシュルツは副官のガンツを説得、ガンツの「何処までもお供します」の言葉に当時もじーんと来た。そして全艦乗組員に対してこの名演説…小学生の頃に見たときは寒気がきたもんだ。
これまでのSFアニメでは敵から「人間性」を抹消し、正義のヒーローが非人間を倒すストーリーに作ることによって戦いの「暗」の部分を消していたが、このシュルツの演説はアニメで「宇宙戦争」をしっかり描き、人の死や特攻という「暗」をキチンと取り上げ、その上で敵を宇宙人とはいえ「人間」として描いた最初のものである。この演説は日本のアニメを変えた、日本アニメ史上革命的な演説なのだ。 |
(次点というかそりゃないよ…)「シュルツに伝えてやれ、親衛隊を派遣しようか、とな。」(デスラー)
…親衛隊派遣と言うことは反逆者扱いでございますかぁ…ヤマトのレーダー反応が消えたからどこかへワープしてないか確認しただけなのに、そんなあんまりです。総統様ぁ、お許しくださいまし、きっとヤマトを叩いて見せますです(「小公女セーラ」のベッキーの声で読もう)。 |
名場面 |
宇宙遊泳しながら酒を呑む佐渡先生。 |
名場面度
★★★ |
何度見ても面白い。宇宙服のヘルメット部分に酒呑み用の穴があるのがまたまたいい。恐らく一升瓶持って酒を呑みながら下駄履きで宇宙遊泳した最初の人物として歴史に残るだろう。調子に乗って艦長室まで行くと中で沖田がニヤリとし、敵艦が襲ってくるとアナライザーにロープを引っ張られて無理矢理帰還させられるのも滑稽でいい。
「ヤマト」はこの手の遊びがたまにあるから好きだ。物語の緊張を解してくれる漫画的なシーンが…ガンダムではカツ・レツ・キッカの3人組がこの役割を担当していたね。 |
人類滅亡まで |
あと 338日 |
感想 |
まずはガミラス冥王星基地司令官シュルツに、敬礼!
この話はガミラス冥王星艦体全滅…ひいてはガミラスが太陽系攻略の術を全て失うという歴史的事実があるにもかかわらず、戦勝したときにヤマトのクルーはあまり喜んでいなかったような。それはともより、シュルツの名演説は子供の頃にもなんかアツいものを感じた。そして敵は必ずしも悪者ではないという「戦争」というものを教わったと同時に、このアニメが単なる勧善懲悪ではないと思い知らされたものだ。つまりそれまでのSFアニメは「いいもん」「わるもん」という概念で見ていたが、ヤマトにはそれは通じないと悟った。シュルツがいなかったらガンダムにも入っていけなかったかも。
このシュルツが最後に見せた人間性と、軍人としての誇りを自分があの立場だったら持てただろうか? これは一生のテーマかも? |
研究 |
・アステロイドシップ
いよいよヤマトに真田パワーが炸裂する日が来た。艦体の修理中を敵艦隊に発見されたヤマトはアステロイドベルト帯(劇中では第十惑星のなり損ないと言われていたがエッジワース・カイパーベルト帯のことか?)の小惑星に紛れ込み、敵のレーダーの影に隠れる。そこで修理を続行しようとするが、そこで真田が提案したのがアステロイドシップ計画である。
これは小惑星で艦体を覆うことによって艦体をカモフラージュし、さらに艦体を覆う岩石の中で艦体修理をしようというもの。真田は古代と協力して周囲の小惑星に誘導装置を埋め込み、これによって周囲の小惑星を自由に操作してまずは艦体を岩石で包んだ。
これによって敵艦は黙視によるヤマト発見も難しくなり、その分時間を稼ぐ事が出来た。そして敵艦に発見されるとこの小惑星をヤマトの周囲で高速回転させながら粒子砲が飛んでくる方向に動かし、敵の攻撃を避けられるという優れた防御兵器である。ガミラス艦はこの防御を破れず、やむなくヤマトに特攻という非常手段に訴えるしか方法が無くなるのだ。
しかし、当時第十惑星って事は現在の規程で換算し直せば第九惑星ということか、「冥王星」が惑星の定義から外されたのはこのようなSFでは痛いなぁ。 |