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 4月30日の夜が明けた、まずは南リアス線の「撮り鉄」から始めよう。
 盛から始発列車が北上した来た。車両運用上、朝の2往復は新型車両、昼の2往復は「キットずっと号」での運行が予告されているので旧型車両のはず…そう思っていたらその通り、新型車が来た。

 この築堤は津波で土盛を流されてしまい、それによりその上のレールも焼失してしまった区間だ。近くで流された住宅の二階部分だけが築堤に乗り上げるなど、驚くべき被災状況も見られた区間だ。
 始発列車が現在の終着駅である吉浜まで行って帰って来た。今のダイヤは途中ですれ違いなどなく、1本の列車が純粋に往復するだけである。
 朝の美しい海の風景を背景に走る。上の写真とワンセットの写真なのは言うまでも無いだろう。
 このような美しい海を背景に撮影出来るのが、南リアス線の良いところ。
 朝の一往復を「撮り鉄」した後は、いよいよ吉浜駅へ向かい盛までの一往復の「乗り鉄」だ。
吉浜駅から釜石駅方向を見る、ここだけ見ていればこっち側からも列車が来てもおかしくないように見えるだろう。観光バスでやってきたツアー客が、「どっちから列車が来るの?」と話し合っていたほどだ。
 だが上記写真と同じカットで望遠を効かせると、そこに車止めと終端標識があるのが見えてくる。
 この先、南リアス線は長大トンネルを挟んで唐丹駅へ北上するが、その唐丹駅の手前で橋梁が津波に破壊されているのでここまで、という事は当サイトの過去の三陸鉄道訪問記をご覧になった方には理解出来ていることであろう。

 この先にある長大トンネルには、震災発生時に走行中の列車があった。乗務員の奮闘により2名の乗客が無事脱出出来たのは有名なエピソードだろう。
 駅で待っていると、盛方面から汽笛の音が聞こえてきた。新型の36-700型がゆっくりゆっくり吉浜駅に近付いてきた。
 この36-700型は今年4月の南リアス線一部運転再開に合わせて、クウェートからの支援で導入された。
 震災当日、盛駅の車両基地に待機していた3両が津波の影響で冠水、修復不能と判断されて廃車となった。その代替として3両が導入されたのだ。
 この日の運用はトップナンバーの、36-701。
 列車が到着すると、観光バスでやってきたツアー客が待ってましたとばかりに扉の所に行列を作る。「こりゃ満席だな」と覚悟を決めた。いずれにしても最初から座る気など無く、「かぶりつき」のつもりだったが。
 扉が開くと、予想通り車内はあっという間に満席に。地元客に座席が殆ど残らなかったのは同じ観光客として申し訳ない気分で一杯だ。
 後から乗ってきた地元客が、車内の様子を見て「これは貸し切り列車で後から来るんですよね?」と乗務員に尋ねるほど。

 車内はまだ発車前だというのに、アテンダントによるグッズ販売などが行われていた。

(この写真は一部加工しています)

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