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 南リアス線開通区間を一往復して吉浜に戻ってきた私は、今度は「撮り鉄」しながら南下することとした。
 たった今乗ってきた「キットずっと号」が折り返し盛へ向かう。吉浜駅は半島に挟まれた位置にあり、ここから見る海の景色が「三陸」らしくて良い。
 上記の「キットずっと号」を愛車で追いかける。南リアス線は三陸駅と吉浜駅の間の半島を長大トンネルでぶち抜いているが、国道45号は九十九折りで標高を稼いで比較的短いトンネルで峠を越えるので、自動車で追いかけるのは不利だ。
 だが、南リアス線列車は前ページで紹介した閉塞手続きのため数分間の停車がある。そのおかげで追い付くことが可能だ。
 そしてその目論見通り、三陸駅で停車中の「キットずっと号」に追い付き、私は三陸駅近くのこの場所でカメラを構え、出発を待った。そうして撮影したのがこの列車だ。
 上記列車の撮影後、訪れてみたのは一昨年、去年と立て続けに訪れた甫嶺駅だ。外から見たら駅の雰囲気が随分変わってる。
 これは一昨年、震災から僅か2ヶ月の甫嶺駅。駅前には瓦礫が積もっていて、駅に近付くことすら出来なかった。駅ホームに上がるのに盛側の築堤をよじ登ったのはここだけの話。
 今年の写真に戻ろう。
 もちろん、今はその瓦礫は影も形もない。去年の段階できれいサッパリ消えていたけど。
 駅の柵などはペンキが塗り直されて、とてもきれいだ。。
 駅ホームの様子だが、甫嶺駅の光景を強く印象付けていた桜の木が無くなっている。今年、「列車と桜」の写真を撮ろうと楽しみにしていたのに…。
 甫嶺駅で「撮り鉄」の予定だったのを、変更して恋し浜駅にしたのは、桜の木が消えていたショックだ。
 これが昨年の甫嶺駅ホームの様子だ。こんなに見事な桜の木だったのに…築堤の補強に支障したのだろう。
 この駅では、毎年このカットの写真を撮っている。今年レールもしっかり敷かれていて、築堤も補強されているだけでなく、手前右側の家も再建されている。
 場所を移していきなりトンネルから顔を出す列車。「キットずっと号」のヘッドマークも上手く写っている。この写真を撮った場所は…。
…南リアス線の名物駅のひとつ、恋し浜駅だ。この日もこの駅名に惹かれて、この駅で下車した観光客が多かった。
 私はここで列車を見送り。「キットずっと号」の後ろ姿を見送る。この車両、今は桜のラッピングだが夏には夏の花に変わるのだそうだ。
 トンネルの中へと消えて行く「キットずっと号」、こんな後ろ姿もたまにはいいかと。

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