地球防衛事業部2.地球連邦軍 ペガサス級強襲揚陸艦 SCV−70・「ホワイトベース」
(バンダイ「ガンダムコレクション」・1/400スケール)
メガ粒子砲スタンバっておけ!(意味不明)


日本のアニメにおいて「ヤマト」と並ぶ名艦

連動企画 あにめの記憶「機動戦士ガンダム(劇場版)」


 「石神井急行旅客鉄道・地球防衛事業部」の第1弾は「宇宙戦艦ヤマト」、これに続く第2弾として「機動戦士ガンダム」から物語の舞台となった強襲揚陸艦「ホワイトベース」を取り上げる。この2隻があればどんな敵に襲われても地球は大丈夫だ(笑)。
 日本のSFアニメにおいて空前のブームを巻き起こした「宇宙戦艦ヤマト」の主役艦「ヤマト」とこの「ホワイトベース」は、日本のアニメにおける二大名艦だと私は信じている。どちらも「メカ同士の戦い」という部分だけでなく、「戦場における人間同士の物語」という面に重きを置いて独特の世界観を作り出したのは皆さんご存じの通りだろう。その物語の中核が常に「宇宙戦艦ヤマト」であれば「ヤマト」だったし、「機動戦士ガンダム」であれば「ホワイトベース」だったわけだ。

 今回は我が家にある「ホワイトベース」の模型を取り上げ、その詳細を紹介すると共に「ホワイトベース」そのものの考察を入れてみようと思う(「あにめの記憶」本編は他の考察が忙しくそれどころではなかったんで)。


左舷側・ジオンが「木馬」と名付けたのが頷けるスタイル


左舷側(後方より見る)・こうして見ると主翼が意外に大きいことが分かる


右舷側・ちなみに塗装は別パーツ以外の所はステッカー表現


右舷側(後方より見る)・主翼の後ろの安定翼の存在に模型を手にするまで気付かなかった…

 ここまでで4方向からじっくり見て頂いた。やはり特徴的なのは4本脚の動物のようなスタイルである。
 前脚はモビルスーツデッキ、後ろ脚は機関で、これらはブロック化されて他用途艦に設計を流用しやすくしているのだろう。またブロック化することで機関部の切り離しも可能で、機関被弾の際には大事になる前に機関を捨てるという運用も劇中ではされた。
 空力的、または力学的に考えるととても飛ぶようには見えないが、飛行システムは現在の航空機とは違う概念である。「ガンダム」世界の魔法の粉、ミノフスキー粒子によって重力に抗い、後部の機関は推進のみを受け持つようだ。
 主翼や安定翼、機関横の補助翼は機体を安定させることと、大気圏下での舵取りのために存在すると考えられる。
 しかし、これらの写真でこの模型が放つ「重量感」を感じ取って頂けるだろうか? 大きさのせいかプラモデルとは思えない迫力がある。


鳥の首のような美しい艦橋部・下側の機体最前部はランバ・ラル部隊が激戦を演じた第二艦橋

 この模型では透明パーツを使っていないので、艦橋部のガラス部分は黄色のパーツとして中の照明が点灯しているイメージとしたようだ。
 劇中での描写だと、艦橋のすぐ後ろにエレベーターがあるが、あの位置がこの形状と一致しないのは永遠の謎だ。
 乗員の居住区や食堂などの居住設備は本体中央部に集中していると考えられる。ミライやセイラがサービスシーンを繰り広げた浴場や、捕虜や脱走した直後のアムロを閉じ込めた独房もここにあるのだろう。お風呂と言えばセイラは何の問題もなく無重力空間でお風呂に入っていたが、あれってどうなっているんだろう? 多分これが「ホワイトベース」最大の謎だと思う。


前部のモビルスーツデッキは実物同様前方ハッチが開くのみならず 側面を開いて中を見ることができる


モビルスーツデッキの側面を開く 中には「ガンダム」「ガンキャノン」「ガンタンク」の姿がある

 模型でも実物同様、同縮尺のモビルスーツを積載できる構造になっている。
 ここだけではない、機体本体の前部デッキや後部デッキ、挙げ句は機関部にも積載可能だ。
 というのは、この模型自体が「ガンダムコレクション」と呼ばれる1/400縮尺のモビルスーツ模型を収納する箱として機能するのだ。
 しかし、その例の写真として説明書には、「ホワイトベース」の中に「ズゴック」や「ドム」が鎮座しているのはちょっと…。
 ちなみに実物の場合、モビルスーツ搭載数は左右のデッキに3機ずつ、前後に2機ずつだと考えられる。


艦橋前の二連装580ミリ機銃は実物同様収納式になっている


側面の円盤状の部分には主砲であるメガ粒子砲がある 劇場版ではジャブローで改修され形状が変わる

 「ホワイトベース」の目立つ武装はこれくらいだが、劇中では側面や底面に数多くの機銃が描かれている。
 ちなみにこの580ミリ機銃や、メガ粒子砲は艦橋からの遠隔操作で発射できるようだが、他の機銃は砲兵要員が必要のようだ。
 それでも武装は少ない方だと思われるが、「強襲揚陸艦」(=特定の機体を敵地に揚陸させて攻撃を行う艦のこと)ということもあって空母的な運用をされるのが前提なのだと考えられる。そのため「宇宙戦艦」とは違い火力は低いものの、搭載機の戦力まで考えればかなりのものになるのではないかと思われる。
 また余談ではあるが、底部には収納式の着陸装置(航空機でいうランディングギア)も取り付けられているが、車輪式ではない。


上方から見る 木馬というより白鳥が翼を広げたようにも見える


劇中ではこういう角度の描写はなかったような気がする

 色彩は白を基調に赤・黄・青・黒でアクセントを付けられており、そのデザインはとても戦艦とは思えない。迷彩性に欠けるが、これは軍事条約によるものと私は解釈している(「あにめの記憶」の「機動戦士ガンダム」本文参照)。代わりに所属軍や国籍を示すマーキングやナンバリングはない。機体本体後部の安定翼の下辺りに、縁取りで「WHITE BASE」と書かれているのでは、と個人的に思っている(平仮名で「ほわいとべえす」とか)。でないと同型艦がひとつの基地に並んだときに困るだろう。
 なお「ホワイトベース」は「ペガサス級強襲揚陸艦」という形式にもあるように、同型艦が他の「ガンダム」シリーズ各作品で描かれているとのこと。「ホワイトベース」は2番艦で、1番艦「ペガサス」も設定上存在しているとのことである。船舶で製造順と完成順が違うことはよくあることで、鉄道界でも大正時代に青函連絡船「翔鳳丸(しょうほうまる)形客載車両渡船」で、2番船の「飛鸞丸(ひらんまる)」より先に3番船「津軽丸」と4番船「松前丸」が就航したという歴史がある。これに限らず災害や設計変更による工事の遅れで竣工順が変わることはよくあることなのだ(「ホワイトベース」は設定上の問題、前述の青函連絡船の場合は災害によるもの)。


地球連邦軍・ペガサス級強襲揚陸艦 SCV−70 「ホワイトベース」
竣工日・宇宙世紀0079年9月1日(ジャブロー宇宙船ドッグ建造)
就役日・宇宙世紀0079年9月15日(サイド7へ新型モビルスーツ受領ミッション)
退役日・宇宙世紀0079年12月31日(ア・バオア・クー攻略戦にて大破炎上)
除籍日等不明
ジオン公国側呼称・「木馬」
全長 250m・全幅 108m・全高 97m
重量 68000t・出力 550000hp
(スペックは模型付属の説明書記載の数値で、これらには諸説あり)


 「ヤマト」と「ホワイトベース」を比較すると、「ヤマト」は戦艦らしい無骨なデザイン、「ホワイトベース」は戦艦らしからぬ美しさをデザインしたという違いがある。まるで四肢を持った動物にも見えるその姿から、艦名を知らぬ敵であるジオン公国からは「木馬」と呼ばれることとなる。また側面の黄色い盾のような部分が特徴的で、これに類するデザインの艦は他に類を見ない。
 以上、「機動戦士ガンダム」の「ホワイトベース」について紹介したが、ガンダム関連の模型は他にもいろいろ作ってみたいと思う。子供の頃に「シャア専用ゲルググ」を作ったことはあるが…やっぱカッコイイのは「ザク」(一般型)だよなー。
前のページに戻る