5.2200系…京阪電鉄の「第2世代」高性能電車
高度経済成長期、何処の私鉄の通勤電車も独特の「高性能電車」を売りにしていた。各社の事情に合わせた様々な通勤電車が、これまた各社毎に様々な独自技術を乗せて通勤輸送に従事していたのだ。これらにはロマンスカートはまた違う面白さがある。 それ等の歴史を見てみると、性能重視で特に加減速性能を上げることで優等列車から逃げ回るなどの理由で各駅停車のスジを立てることを使命付けられた第1世代、沿線の爆発的な人口増加で経済的な車両を大量建造することを迫られた第2世代、最新の電気技術を取り入れてメンテナンスフリーと省エネルギー化を追求した第3世代、メーカー主導の標準的車体とシステムを軸にして建造費やメンテナンスコスト低減を追求した第4世代という形で、高性能電車の歴史は語られるだろう。国鉄で言えば若干のテーマの違いはあれど順に101系、103系、201系、209系に当たる車両達だ。もちろん各社ともその通りにはなって無くて、各世代の中間に位置する車両があったり(国鉄で言えば205系)、西武鉄道のように上記の流れに当てはまらないところもある。 京阪電鉄も多分に漏れず、上記の流れにほぼ沿って高性能電車が作られてきたと言っていい。京阪電鉄の場合は第1世代に当たるのは「スーパーカー」こと2000系である。他社の初期高性能電車と同じくカルダン駆動を採用し、多段制御によって高加減速性能を追求しただけでなく、分巻界磁制御の採用で平坦線用車両としてははじめて回生ブレーキを実現して省エネが考えられていた先進的な電車であった。この2000系は1500V昇圧対応が困難だったため、1982年までに全車廃車されて車体が2600系に流用された。 その2000系に続く第2世代に当たる高性能電車がこの2200系となる。2000系が各駅停車や区間急行など、優等列車から逃げ回る性能に特化していたため、急行や準急などある程度高速運転をする列車に不向きであった。また2000系の先進的なシステムは当然のように建造費が嵩み、また全動力車編成が前提のため保守経費がかかるという難点も抱えていた。そこで急行や準急に使うための高速性能と、建造費や保守費を下げる経済性を重視した通勤電車として1964年から長きにわたって活躍している電車である。 その後、1970年代には1500V昇圧対応工事と同時に冷房改造が施工され、この時点で現在の姿に近い形になった。昇圧後の1984年から更新工事が行われ、先頭車同志の連結運転に備えた幌が消えると同時に前面扉が外開きの非常扉に改められて現在の形になった。1985年になって中間車だけが増備され、1500V昇圧によって最大7両編成という制限から開放された京阪電車にとって最初の8両編成電車に抜擢された。既に更新工事が必要な程古かった2200系にこの役が回ってきたのは、当時はまだ京都市内の地下化が完成しておらず新型の6000系などを8両にしてしまうと、折角の新型が全線走れなくなるという判断があったためだった。 現在は全編成が7両編成に戻され、本線の普通から急行まで幅広く使用されている。だが既に車齢が45年を越え、今や京阪電鉄では最も古い(2600系に車体だけより古い車両はあるが)形式となってしまった。7両編成になった際に中間車が廃車になり、最近では編成単位での廃車も始まったようだ。 さて、この2200系に限らず京阪電鉄の通勤電車でも、もっとも「らしい」形である「卵形断面で正面貫通3枚窓」の通勤電車は鉄道模型での製品化は恵まれて来なかった。80年代にグリーンマックスがキット形式での発売予告だけはしたものの実現せず、その後は6000系や9000系など「二枚窓」系統の通勤電車ばかりがキット形式で販売されるだけであった(これらも欲しいんだけど)。 そんな中、破竹の勢いのマイクロエースからこの2200系とほぼ同一車体の2600系が相次いで発売された。待ちに待った製品化だが発売当時は私の財布が寒くて断念、数年を経てからネットオークションで安く仕入れた。 模型を手にしての感想であるが、大目玉にシールドビームをはめ込んだ独特のライトを表現できなかったのはやむを得なかったとしても…なんか顔が違うような気がする。テールライト兼標識灯のモールドが薄いのも気になるが、「顔」のバランスが少し悪いような気がする。ただ2600系と同じ顔にはせず、テールライト兼標識灯の形状、ワイパーの向き、外開きの貫通扉など「違い」を明確にしているのはとても嬉しい。 また前面とは違い側面や中間妻部などはうまく再現していると思う。これらは「京阪電車」の一般的な表情をうまく再現していると思うのだ。まさに京阪電鉄の客となったときに感ずる情緒を、脳裏に思い起こさせてくれると感じた。 私は購して最初に悩んだのが正面の行き先ステッカーの張り方だ。最初は行き先表示器のガラスパーツの裏側に貼ってみたが、このパーツが厚いせいか他の理由があるのかは解らないがとにかく行き先も種別も見えなくなってしまった。仕方なく表面側に直接張り直したが、「ガラスの内側」感は無くなってしまったがこっちの方が「らしく」なってしまったからそれで良いと思う。 この車両について、今後の課題はテールランプ兼標識灯の標識灯としての機能を殺すこと。この製品は前進時に標識灯が両方とも点くという「臨時特急」にして遊びたい人向けの仕様にされている。標識灯消灯で運行される普通電車(行き先も「普通 出町柳」にしている)にしたい私としては非常に困るわけで、今はその方法を検討中といったところだ。同じ悩みはやはりマイクロエースの西武701系にもある。 私としては京阪の通勤電車というと、6000系や7000系などの「二枚窓」のグループよりもこっちの顔の電車に乗った経験の方が多い。「二枚窓」の電車も面白い車両で特に最初に6000系を見た時の衝撃は忘れないが、京阪電車の旅情として強く印象に残っているのはこちらの3枚窓の電車達だ。 でもやっぱ次は9000系が欲しいなぁ。それと6000系も手に入ればってところだけど、グリーンマックスの2400系も欲しいなぁ。でも新塗装はまだいいや。
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6.5000系…「多扉車」の元祖
1990年代前半、関東地方の各路線でブームのように「多扉車」が登場した。JR東日本の山手線や横浜線に投入された205系6扉車を皮切りに、営団地下鉄日比谷線03系5扉車、京王帝都電鉄6000系5扉車だけでなく、扉を増やすのでなく拡げる「ワイドドア」車が小田急電鉄や営団地下鉄に登場した。
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