心象鉄道22.我が家の豪華寝台列車
「♪夕闇迫る 街角で〜」(意味不明)

(KATO・トミックス・マイクロエース Nゲージスケール)


夢のトワイライトエクスプレスのすれ違い!

本記事の模型車両撮影に使った貸しレイアウト
東京都西多摩郡瑞穂町「ファインクラフト」さんです。
(JR八高線箱根ヶ崎駅徒歩20分・駐車場完備)

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みんなのあこがれ 寝台列車

 鉄道の長い歴史の中で、いつの頃からか人々のあこがれとなった列車は寝台列車だろう。戦後の歴史を見てみても、20系をはじめとするいわゆる「ブルートレイン」がその座につき、これが様々な形に姿を変えながら日本の鉄道史を支えてきたのは確かだ。
 だが本来、寝台列車というのは効率的に昼間に移動できずにやむなく夜行で移動する場合の乗り物だったはずだ。だから昔の寝台列車は決して「豪華」などではなく、列車に別料金のベッドがあるだけという存在だったはず。
 だがいつの頃からかその寝台列車に「豪華」が求められるようになった。最初は個室寝台、そして個室が広くなり、ツインベッドの個室となり、シャワーがつき、凄いのなると列車の最後尾を独占したり…このようなかたちで「豪華」が実現してゆくと、寝台列車はこれまでとは違う新たな「あこがれ」の列車へと変化していった。一時は絶滅寸前だった寝台列車は、現在は新たなかたちで復活した。
 今回はそんな「豪華寝台列車」たちを紹介していきたい。

 最初に紹介するのは、2017年にJR西日本が自信を持って世に送り出した寝台列車「Twilight Express 瑞風」だ。
 JR九州の「ななつ星」を発端に全国に広がった寝台クルーズ列車のひとつだ。
 今回、トミックスが満を持してこの模型を出した。寝台クルーズ列車の模型をひとつ持ちたいと思っていたし、持つならこの「瑞風」だと決めていたので購入(これで今年度一杯は模型に金を使えない…)。
 九州の「ななつ星」は車体に書いてあるいろんな文字がどうも性に合わないし、東日本の「四季島」はあの窓だらけの側面がどうも性に合わない。この「瑞風」は斬新さはないが、落ち着いたデザインでまとめてきて私が一目ぼれした列車のひとつだ。
 まだ実物は見たことないが、模型はとても美しく仕上がっている。車内灯の灯りがとても良い雰囲気を出しているんだ。

ちなみに、寝台クルーズ列車の中で実物を見たことがあるのは、今のところ「四季島」だけだ。やっぱりあの「窓だらけ」の側面をみて「これはちょっと…」と思った。
 「瑞風」で気に入ったのは、この前面デザインだ。オープンデッキと昔の特急電車を思わせる運転席周り。このちょっと古くささが良いが、その古くささの中にオープンデッキの手すりから続く金色のラインが斬新だ。
 さすがにこのオープンデッキは先頭車になった時は立ち入りできないが、最後尾になった時はここで景色を楽しめるという。模型は最後尾になった時の照明が光るようになっている。芸が細かい。
 走らせてみた。この模型は足回りに色がさしてあるのが実感的で良い。屋根周りのパーツも細かく再現されていて、走行音が聞こえてきそう。
 模型としての足回りとして、通電カプラーが装備されているので走りに「引っかかり」がなくてとても気持ちよい。もちろん室内灯もちらつかない。
 今度は夜間の夜行列車タイムに持ち込んで走らせたいな。
 先頭車は運転席背後に展望スペースと、後は非営業のスタッフルームになっているらしい。展望室の室内灯が実感的なのは良いが、デッキが真っ暗なのはちょっと萎えるなぁ。
 この車両には「瑞風」編成の中でも最上級個室「ザ・スイート」がある。なんと1両で1部屋という超豪華クラス、定員は最大4名…こんな車両、海外を探してもなかなかないと思う。
 ただ1両1室にするだけでなく、ダブルデッカー車の車体構造を採用して通路を階下に回し、車幅一杯の個室になっていることも特徴だ。
 リビングルームのシャンデリアや、寝室の間接照明までうまく再現して光らせている。車内のバスタブつきのシャワールームも再現されている、走っている列車で湯舟の湯に浸かる…鉄ヲタとしては永遠の夢だと思っていたのに…。
 流し撮りでなく普通に撮影した「ザ・スイート」車。この角度だとダブルデッカー車と同一の車体構造であることが分かり易いだろう。
 私はこの列車を、「夕食後、寝るには早い時間帯」を再現している。寝台列車で旅をしていて一番楽しい時間が、この「夕食後、寝るには早い時間帯」だと思っているからだ。
 だから個室の扉や壁を閉めるパーツは全部使っているし、「ザ・スイート」の風呂場もこのようにカーテンを閉めた状態にしている。さすがにこのカーテンを開けたまま風呂に入る人はいないだろうと思ったからだ。
 「Twilight Express 瑞風」と、先輩の「トワイライトエクスプレス」を並べてみた。
 「トワイライトエクスプレス」は大阪と札幌を結ぶ寝台特急だったが、寝台列車を「豪華」路線に完全に切り替えてしまった列車であったことは、誰でも認めるところだろう。
 その前の「北斗星」までは開放寝台主体で、まだ前時代の「ブルートレイン」の流れを引きずっていたが、この「トワイライトエクスプレス」でほぼ完全に個室寝台になったことで、「ブルートレイン」と決別したと私は考えている。

 我が家の「トワイライトエクスプレス」は、1990年頃に購入したトミックスの最初期の製品だ。食堂車だけはランプシェードが点灯する新製品と入れ換えたが、後はLED室内灯を装備しただけで当時のまま使っている。

 我が家ではこの「トワイライトエクスプレス」も、大阪〜札幌間を結んでいた時代の編成のまま、いつまでも走り続けるだろう。この古い製品そのままで…
 機関車はKATOのEF81、ラウンドハウスのブランドで一時期限定発売されたトワイライト色を使っている…確か当時はまだKATOから「トワイライトエクスプレス」の客車は出ていなかったんで。
 この機関車が非力で、うちの「トワイライトエクスプレス」を牽いてファインクラフトの5・6番線の勾配を登れないのだ。それとも客車が古すぎるのがいけないのかな…。
 実は私は「トワイライトエクスプレス」には乗ったことはない。車両は何度も見ているのだが。
 だって東京に住んでいて、北海道に行くのでは普通に考えたら全く使い道がないでしょう。
…と言いつつも、寝台特急「日本海」には、大阪〜青森間で乗ったことがあるんですよ。大阪発着のブルートレインと言えば、「つるぎ」にも乗ったことがあるぞー。
 駅で並ぶ「Twilight Express 瑞風」と「トワイライトエクスプレス」。奥には次に紹介の「カシオペア」もいて、模型ならではの「豪華寝台列車」の並びだ。
 続いての登場はJR東日本の「カシオペア」だ。JR化後初の客車としてデビューし、東京〜札幌間を隔日で結んでいた。
 北海道新幹線開業と同時に寝台クルーズ列車へ転用され、「四季島」登場までのつなぎとして活躍。その後は団体ツアー専用列車として東日本各地を走り回っている。そして今は、引退の噂も流れている。
 「トワイライトエクスプレス」に続いて登場したこの「カシオペア」から、本格的に豪華路線に振ってきた。B寝台は全廃され、全車A寝台となって私の財布事情で乗るのは困難になってしまった。

 JR化後の新造客車は、今ではJR九州の「ななつ星」と、JR西日本の「やまぐち」号用35系が続いている。
 この模型はKATOのもので、2003年頃に購入したものだ。専用室内灯が品薄で手に入らず、長い間室内灯なしで走らせていたが、昨年にテールランプや食堂車ランプシェードのLED化と同時に、LED化された専用室内灯を装備した。
 ダブルデッカー車12両編成はとても迫力があり、このようにたびたび貸しレへ持って行って走らせている。
 この列車であこがれの部屋は、最後尾を独占するスイートルームではなく、メゾネットタイプのスイートなんだよなぁ。
 牽引機は、昨年のランプ類のLED化整備と同時に、EF510のカシオペア色を調達。ネットオークションで中古品とても安く出ていた(3000円で釣りが出た)から落札したら…片方の運転台のステップが欠落していた。
 その他、ED79に牽引させたり、DD51重連に牽かせることもある。「北斗星」が家にあるから牽引機には苦労しない。
 ジョークモードでEF55やEF58に牽かせたりすることもあって、なかなかアンバランスで面白い。。
 「カシオペア」の側面を見てみる。この列車を初めて見たとき、アメリカの「スーパーライナー」客車に似ていると思ったのは私だけではないと思うが。
 その「スーパーライナー」も一度乗ってみたいが、トレインシミュレータで我慢している。
 食堂車を流し撮りしてみた。ランプシェードの灯りがとても良い感じを出している。前述したようにこれは自分でLED化改造したもの…といっても、ネットオークションに出ていた個人製作のパーツを取り付けただけだが。
 次の登場はJR東日本、24系「夢空間」。1989年の横浜博覧会出品用に造られ、しばらくホテルとして営業した後に本線上に載せられ、臨時「北斗星」などで活躍した。
 豪華な個室寝台車、ラウンジ車、食堂車の3両で構成され、食堂車は最後尾で展望車になっている。
 個室寝台は2人用が3部屋、うち1部屋はバスタブ付きのシャワールームが当時話題になった。
 これが個室寝台車だ。偶然なのか必然なのか、「瑞風」と配置がとてもよく似ている。
 「夢空間」は引退後、食堂車とラウンジ車はショッピングモールのフードコートに置かれ、個室寝台車は宿泊施設として使われていると聞く。
 模型ならではの並びとして、「夢空間」と「瑞風」を並べてみた。
 我が家の「夢空間」はマイクロエースのものだ。トミックスからも発売されたが、私はマイクロエースので満足していて買い直す必要はないと判断して見送っている。
 これにトミックスの室内灯を付けたのだが、この取り付けが難しいこと…。
 ちなみにマイクロエースの「夢空間」は塗装にエラーがあって大騒ぎになったが、私が持っているのはこれが修正された改良再生産品の方。
 最後に登場するのはEF64-1000が重連で牽引する「オリエントエクスプレス'88」。
 模型は2008年頃に突如KATOから発売、私もこれを購入した。牽引機は今回の撮影ではEF64-1000重連だが、他にもED75オリエントサルーン指定機や、ED79重連、EF81一般色などをこの「オリエントエクスプレス'88」のために購入した。

 この列車は日本を走った豪華寝台列車の最高峰で、最初の寝台クルーズ列車だったと言って良いだろう。分割民営から間もない頃だったから、この列車が日本全国を走ることができたんだろうなぁ。
 この「オリエントエクスプレス」が来日のは、私が高校3年生だった秋。同級生と一緒に品川駅へ見に行ったのは今でも覚えている。日本の列車とはレベルが違う質感を感じ、感動した記憶は今も胸の中にある。
 品川駅では「オリエントエクスプレス」をちょうどこんな角度で見ていたんだよな…。
 中でも私が、当時一目見て気に入った車両はこれ。1両だけ色違いで目立ったというのもあるが、車内の豪華そうなこと…。
 この車両は「プルマン・カー」と呼ばれていることは、中学生の頃から何故か知っていた。座席車として製造されたが、大きなテーブルとゆったりした座席間隔から、この列車では「第二食堂」として使われていた。2人連れの客が対面して食事ができるのだ。
 この車両は現在は引退、再度来日して現在は箱根の美術館でレストランとして使用されているという。一度再会したい。
 この車両も覚えている。バー・サロン車、当時は友人と「ロビーカーだ」って話していた。
 内装の赤が実車でもよく目立っていた。模型でもそれを上手く再現している。車内のピアノも再現されている。
 「プルマン・カー」を流し撮りしてみた。ランプシェードの灯りがきれいなのは、他の寝台列車の模型と共通だ。
 この模型は購入と同時にLED室内灯を装備、実車は連結面間隔がとても広いので、編成両端以外はアーノルトカプラーのままだ。
 この模型もたまに貸しレへ持って行っては、走らせて高校生のあの頃を思い出している。
 1990年代からJRの寝台列車が豪華になっていったのは、この「オリエントエクスプレス」来日がきっかけだったのは言うまでもない。「瑞風」「ななつ星」「四季島」といった列車も、この列車の来日があったから今存在しているのだと思う。
 ただ寝台列車の豪華化、列車定員の低下を引き起こして「北斗星」「カシオペア」「トワイライトエクスプレス」では採算が取れていたとは考えにくい。一般列車として運行する以上は客から取れる料金にも限りがあるため、豪華にして定員が減った列車では収入が少なすぎてやっていけないのは明白、廃止になったのは仕方のない話と受け止められる。
 そして現在は採算が取れるように高い料金設定ができるツアー企画として、それに見合ったさらに豪華個室を伴った寝台クルーズ列車が君臨しているのだ。これらの列車が長続きすることを願って、このコーナーを終わりにしたい。

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