本記事の模型車両撮影に使った貸しレイアウト 東京都西多摩郡瑞穂町「ファインクラフト」さんです。 (JR八高線箱根ヶ崎駅徒歩20分・駐車場完備) |
追加3.60000系・MSE車
「21世紀のSE車」とも言える50000系VSE車が鮮烈にデビューした興奮からさめやらぬ2005年5月、小田急電鉄から早くも次の「ロマンスカー」の発表があった。その驚くべき内容は通勤電車の相互乗り入れ運転を行っている地下鉄千代田線に、今度は「ロマンスカー」を乗り入れさせるというもので、これに合わせて前面に非常扉を持ち、地下鉄に対応した狭い車体幅の「ロマンスカー」を開発するというものであった。 そしてその実現が近づくと、車両についての詳細が発表された。これまでの「ロマンスカー」にない青い車体、EXEと同じ6+4で分割可能な10両編成、インテリアはEXEのように落ち着きがありかつVSE車で好評だったドーム天井とした。当初は平日ラッシュ時は千代田線に乗り入れ、休日は新宿から箱根への「ロマンスカー」としてマルチに活躍するとされ、車両のネーミングも「Multi Super Express」を略してMSE車とされた。のちに平日の昼や休日は千代田線と箱根を結ぶ「ロマンスカー」として使い、季節によっては有楽町線にも乗り入れて東京ディズニーリゾート等へのアクセス列車としても使用するとされた。 そして2008年春、この青い「ロマンスカー」は地下鉄と箱根を直結する列車として運行を開始した。その後の増備によって箱根特急にも運用され、さらにRSE車に代わって御殿場線乗り入れの「あさぎり」にも運用されることとなった。「マルチ」の名の通り様々な使用方法がされることとなった。後にホームドア設置の問題から有楽町線乗り入れは廃止となる。 このMSE車、Nゲージ鉄道模型では小田急「ロマンスカー」の中では最後の穴となっていた。その最大の理由は今のところ最後に出た「ロマンスカー」だからと言うが最も大きいと思うが、独特の前照灯位置やメタリックブルーの塗装など再現が難しい点が多かったという理由もあると思う。そんな中でこのMSE車製品化に挑んだのがマイクロエースだ。EXEをうまく完成させたマイクロエースが、小田急電鉄の監修付きという条件であれば間違いないと踏んで安心して予約できた。発売予定の直後には試作品がイベント発表されたが、様々な事情で発売は製品化発表から1年弱を要してしまった。 これも箱を開けた感想はEXEと同じ、あまりの美しさに感動した。ただこの模型には苦しまされたのも事実。6両セットと4両セットの双方を購入したが、6両セットがいわゆる「大当たり」で普通の人ならメーカーに突き返して交換を要求するレベルだ。 その内容は1に6号車連結面側に標準装備のはずのアーノルトカプラーが無かったこと、2に貫通型先頭車の扉開状態再現パーツが欠品していたこと(固定用の両面テープだけが袋に入っていた)、3に6号車の貫通型先頭車の前照灯が点かなかったことである。まさにサッカーで言えば「ハットトラック」となる不良のオンパレードだ。 だが、1についてはこれはどちらにしろボディマウントタイプのTNカプラーに取り替えてしまうのだから不要なので問題なく、2についても頻繁に6両単独で使う事が想定されるのでこのパーツは使うつもりがなかったので問題はない。問題は3だ、最初は点灯しなかったのが一度車体を切り離して再組み立てしたら何とか点くようになったが、今度は愛称表示が煌々と光っているのに前灯が光っていない、尾灯も点かない、試しに部屋を真っ暗にしたらゃっと光っているのが見える…それじゃだめだ。これは分解して色々検討した上で、原因は座席パーツに「反り」があるからと言うことが解り、単独での賞が少ないと思われる4両セットの貫通先頭車のライトがちゃんと光っているので、問題の座席パーツを入れ替えることとした。これで4両編成の貫通型先頭車はライトが暗くなったが、6両セットの方はちゃんと光るようになって一件落着ということとした。 だが、マイクロエースには製品の検査などを徹底して欲しいとお願いしたい。今回欠品の2点はたまたまそのパーツを使用しない私が購入した偶然により問題が無かったのであり、特に1の方はカプラーの交換を考えていない大多数のユーザに当たったら致命的なミスだ、なんてったって連結器が欠品していることで説明書通りの編成すら組めない、この6両セット単独で使えないのだから…。2についても、10両編成しか組まないからどうしてもこのパーツが必要というユーザに当たれば致命的なはずだ。特に2のパーツは「売り」の一つなんだからしっかりして欲しい。でもそれを固定する両面テープだけはちゃんと入っているなんて…これは笑った。 ヘッドサインについては、6両セットには「あさぎり」を、4両セットは「えのしま」を入れた。これもEXEで内部のレンズに直接シールを貼ったらズレてまともに見られなかったという教訓を活かし、非貫通先頭車ではシールを薄い塩ビ板に一度貼ったものを両面テープでレンズ部分に張るという貼り方をし、貫通型先頭車ではシールの裏貼りをしてフロントガラスの裏側に直接貼った。これでどの文字もきれいに見えるようになった。 全車両カプラーをボディマウントタイプのTNカプラーに変更、貫通型先頭車も付属のマイクロカプラーでなくTNカプラーにしている。このためにTNカプラーの胴受け部分をカットしてスカートに収まるように加工している。おかげで貫通先頭車同士の連結は実感的な連結間隔で連結できている。 写真はファインクラフトに初めて持ち込んで行った試運転時の模様である。個人的には愛称シールの貼り付けは非常に上手く行ったと思っている。ネット上にはなんか凄く難しい事をして貼り付け位置を合わせているところがあったが、物事はもっと単純に考えれば良いということである。
|
追加の撮影会1 「あさぎり」大集合!
MSE車が我が家に入線したことで、「ロマンスカー」コンプリートと同時に「あさぎり」の歴史をも模型で再現できるようになった。ここではMSE車と歴代「あさぎり」の並び写真でこれを紹介しよう。
|
追加の撮影会2 MSEとその仲間 MSE車と他の「ロマンスカー」のラインナップをも並べてみた。これが現在の小田急「ロマンスカー」である。
|