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701系(赤電)
待望の非冷房701系が…まさかKATOから
 701系は1962年から西武鉄道で活躍する、601系に続く高性能電車だ。その実車の詳細は黄色電連シリーズのページで紹介済みなのでここでは割愛するが、当初は旧型電車と同じ赤電塗装で登場し、1975年から冷房改造とブレーキ系統の改造が行われ、さらに塗装も黄色一色となり、主に新宿線で活躍していた。

 模型の方では10年以上前にマイクロエースから1975年以降の冷房改造後のモデルが発売されていた。まずは黄色一色塗装、続いて赤電塗装のまま冷房改造された車両が製品化されて、私は黄色一色の方のみを購入して我が家の西武新宿線のラインナップの主力として使用していた。
 そして黄色い701系があれば、昔の赤い非冷房時代の701系が欲しくなるのは西武電車ファンなら当然の流れだ。これもじきにマイクロエースから出るんじゃないかと期待していたが、いっこうに出てこないのでここ数年は「赤電冷房車から冷房装置を外す改造をするか?」とか考え始めていた。
 その間、鉄道模型における西武電車を取り巻く状況が変化していた。老舗KATOから101系や5000系「レッドアロー」が発売される、いずれもバリエーション展開がされると西武電車ファンからはKATOから他の西武電車の発売を待望する声が大きくなっていたのは確かだ。
 そんな状況の2016年にKATOからの発売の発表があったのが701系、しかもマイクロエースにラインナップがなかった赤電非冷房時代を再現というものであった。もちろんこの情報を聞いた私は某模型屋のサイトへ行って予約釦を「ポチッとな」したのは言うまでも無い。

 そして2月に入ってすぐ、このKATOの701系が我が家にも届いた。KATOからは基本4両セットと動力の無い増結4両セットが発売されたが、私が購入したのは基本セットのみである。箱を開けてやはりうっとり、701系の特徴を上手く捉えている。
 車体は1745編成以前の前期車とされた点はマイクロエースの701系と同じ…もしKATOが701系冷房車をバリエーション展開したらマイクロエースと完全に被るわけだ。時代設定は1970年代前半までの列車無線アンテナが着く前の時代とされ、先頭車の台車は無骨な旧型電車用の台車を履いていた時代だ。行き先方向幕ステッカーもこの時代のものに合わせてあり、「拝島・多摩湖」「狭山湖」などの旧駅名や、「玉川上水・多摩湖」といったその後の運行体型変化で消えた幕や、登場時の種別入りの行き先などが収録されている。ステッカーの字体も昔の西武電車の方向幕のものに合わせてあって、特徴的な「西」「石」の字もキチンと再現されている。
 我が家の元に来たKATOの701系は、試運転を前に一点だけ改造を行った。それは先頭部のカプラーの交換で、製品付属のKATOの密着連結器を外して密連型TNカプラーに変更した。これは既に我が家にある赤電が全てTNカプラーで統一されているためで、これによってこの701系は鉄道コレクションの451系や551系などと混結使用が可能となった。

 以下、アルバム形式でこのKATOの701系を紹介しよう。
今回購入したKATOの701系、模型としての基本構成は以前発売された101系に準じている。
プロトタイプは701系の前期車。先頭車の台車は旧式のイコライザ台車、足回りも冷房構えの自動ブレーキだった時代が忠実に再現されている。台車も他形式のものをそのまま流用したのでなく、西武用にわざわざ新しい型を起こしたものだそうだ。
レイアウトのカーブを行く701系非冷房車。冷房がなく通風機がズラーッと並ぶだけのスッキリした屋根は、以前紹介した601系と同じだ。
橋梁を行く701系、何度も言うが実際の西武鉄道ではこういう景色はあまりない。
この写真からは先頭車の自動ブレーキ時代の床下機器類配置がお分かり頂けると思う。
この701系は我が家に来ると初走行前に色々と手を加えられた。
その最大のものは先頭部のカプラーをTNカプラーに変更したことだ。そのためにカプラー土台と干渉する先頭側のブレーキシューを泣く泣くカットした。じゃないとカーブを曲がれないのよ。
行き先ステッカーは、我が家の西武新宿線車両としてお決まりの「上石神井」を入れている。我が家での決まりというのもあるが、この行き先なら独特の字体がアピール出来るのも良い。
TNカプラーをセットしたことで、我が家で既存の「鉄道コレクション」シリーズの451系と併結可能となった。今回の試運転でもこの併結運転を試している。
2連と繋げて6両編成、という使い方をするから今回は増結セットの購入は見送った。
701系と451系を連結した6連を編成で見てみる。私が小学生低学年の頃、こういう6両編成をよく見たのを覚えている。あの頃は6連と言えば急行や準急だった記憶もあるが。
上記と同じ編成を反対から見てみる。カルダン車とツリカケ車の併結が奏でる独特の走行音が、今も耳の奥に残っていてそれを思い出した。
こうなると451系だけでなく、411系やクハ1411系も欲しくなる…この701系を黄色く塗るんじゃなくて、併結相手の方をKATOさんにお願いしたいですね。でもバリエーションで「台車交換後(FS372仕様)」とか、後期形とか期待しちゃうね。黄色くするのはマイクロエースに任せてね。
いつものカーブで451系と並べてみた。こうしてみるとKATOと鉄道コレクションの色合いの違いも解るだろう。KATOはちょっと明るめに表現している。
しかし、西武の赤電を模型の完成品でここまで再現出来る時代になったかと感慨ひとしおだ。
続いて鉄道コレクション改造の551系と並べてみた。この551系とKATOは色合いが少し似ている。
551系は4連末期に時代設定を合わせて改造したので、厳密にはこの並びはおかしいが雰囲気は良いだろう。
さらに鉄道コレクション改造の601系と並べてみた。西武の初期高性能車を並べて遊べるなんて、良い世の中になったもんだ…それは601系を作った人だけの話か。
今度はKATOが放った傑作、101系と並べてみる。基本的には同じ顔だが、101系と701系の微妙な違いを作り分けているのには恐れ入った。
101系に行き先されなきゃなぁ。
小学生低学年の頃、こんな鉄道シーンを何度も見ている。まさに私にとっての「鉄道の原風景」のワンシーンだ。

ちなみに私にとって701系の最も古い記憶は、まだ西武線沿線に引っ越す以前の幼稚園時代のこと。
5歳になる前後の秋、幼稚園の遠足で701系4連を貸し切って奥武蔵のどこかの山へ「栗拾い」&「川遊び」に出掛けたのが最も古い記憶だ。その時に見たこの正面二枚窓の電車の顔は、今でも記憶の片隅に残っている。
KATOの701系も、101系と同様に乗務員室の梯子などが再現されている。だがダミーカプラーの用意が無いので、101系についているあの雰囲気の良いダミーカプラーは付属しない。
今度はKATOのレッドアローと並べてみた。我が家では5000系のヘッドサインは「おくむさし」が定位なので、かつての「休日の新宿線」のワンシーンで、これも私にとっての「鉄道の原風景」だ。
だけど我が家のレッドアローは1980年代の姿にしてしまっているので、これも厳密にはおかしい。でもKATOから701系とレッドアローなんて、すごい時代になったもんだ。
マイクロエースの701系と並べてみた。マイクロエースは冷房改造して黄色くなった701系で、いまのところKATOとは被っていない。
このマイクロエースの701系の顔も悪くないと思うが、KATOから101系が出ると「無骨」と感じるようになった。KATOはこの顔を軽快感を持って演出している。
後退角や、行き先方向幕部分の出っ張りなどはKATOの方が大きいが、実際にはマイクロエースの再現でも大きすぎる程だ。だが双方の共通点は、あえてそこを大袈裟に表現してこの顔を「らしく」再現していることだ。
前期車の特徴である乗務員室入口の手すりも、双方とも同様の再現をしている。
前面の手すりの配置は…私の記憶ではマイクロエースの方が正しいのだが。だからマイクロエースのこの顔も悪くないと思うのだ。
マイクロエースから701系が発売されたとき、一部の西武電車ファンから「701系の客室窓はこんなに角張っていない」と批判されたが、私はそれは違うと思っている。701系の客室窓のRは意外にキツくて、模型サイズにしたら分からなくなってしまうほどのはずだ。
現にKATOも同じくらい角張った再現をしている。

しかし、赤と黄色の701系を完成品で並ばせることが出来るなんて、やっぱりすごい時代になったもんだ。
この赤い701系も大事に使いたい車両だ。これがどんなバリエーション展開するのかな…?

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