・Soldier Summit Route
 デンバー・アンド・リオグランデ・ウェスタン鉄道(D&RGW):Provo(プロボ)~Helper(ヘルパー)

峠道を行き交う貨物列車

・収録車両
 SD40T-2 D&RGW
 GP9 D&RGW
 F40PH Amtrak Phase III “California Zephyr”
 (その他、関連の貨車および客車)

・購入済みアドオン車両
・FP7 California Zephyr
 RIO GRANDE ELECTRO-MOTIVE F9
 Rio Grande Zephyr cars

・経由地
 Provo(プロボ)~Springville(スプリングビル)~Thistle Junction(シスル ジャンクション)~Tucker(タッカー)~Soldier Summit(ソルジャー サミット)~Colton(コルトン)~Castle Gate(キャッスル ゲート)~Martin(マーティン)~Helper(ヘルパー)



 アメリカ合衆国は西部の内陸にあるユタ州、2002年に冬期オリンピックが開かれた州都ソルトレイクシティから南へ80キロのユタ湖のほとりの人口約10万のプロボという街が今回の始発駅だ。ここからワサッチ山脈を越え、景勝地であるブライスキャニオン国立公園を通過してブライス川沿いのヘルパーまでの区間が、今回紹介する「Soldier Summit Route」だ。このルートはユタ州とコロラド州を結ぶ峠である「ソルジャー峠」が控えている区間だ。

 プロボは前述したように、湖の畔に拡がる平地に位置している街だ。ここを出発した列車は上下線が大きく離れた平地をしばらく走るが、この区間の前方に山脈が迫ってくる風景は本ゲームでは迫力があって好きな風景だ。やがて平地が途切れるとソルジャー川の渓谷に入って行くとともに路線も急勾配になって行く。ディーゼル機関車のエンジンを吹かしつつ少しずつ標高を上げて行く。
 やがてタッカーを過ぎると周囲の地形はさらに険しくなり、この地形を乗り越えるためのヘアピンカーブを繰り返す。その後は直線的な線路に高原的な景色になると、標高2279メートルのソルジャー峠に到達する。ここからは急勾配でブライス川の渓谷へ向け下って行く。
 急勾配をしばらく下って行くと、周囲にアメリカ大陸らしい堆積岩の浸食による角張った山々が見えるようになってくる。ここがブライスキャニオンと呼ばれる渓谷で、ここが本マップのハイライトと言えよう。この角張った山々を見上げながら走るうちに、やがて周囲が開けてくると小さな街であるヘルパーに到着する。
 本マップは全線複線区間で、クイックドライブシナリオでも他列車とのすれ違いが再現されていて気軽に楽しめるマップであるが、ちょっと難なのは少し「重たい」ことだ。特にプロボやヘルパーの操車場で他列車が表示されていると処理が落ちてしまう、多少パワーのあるPCでないと快適にプレイできないかも知れない。だがそんな欠点をしても、ブライスキャニオンの景色は本ゲームのアメリカのマップでも有数の絶景だと思われる。

 同梱車両は貨物用機関車2種類と関連貨車と、「ドナー峠」の時は別売車両として紹介した旅客列車「カリフォルニア・ゼファー」が付録されている。これらの列車から見る渓谷風景は何度見ても飽きないと思う。本マップの全長は69マイル(約110キロ)だが、多くの区間で時速30~40マイルの速度制限が入るので全線走ると2時間位掛かる。やはり保存しながら2日がかり位でプレイするのがアメリカのマップなんだなー。

 以下のスクリーンショット紹介では、主にブライスキャニオンの区間を中心にした美しい風景を見て頂こう。


・世界の車窓から
 
まずは本マップ標準のディーゼル機関車のひとつ、SD40T-2だ。
SD40T-2の「T」はトンネルのTで、長大トンネルに対応してラジエーター等を改良したタイプだ。この機関車は「ドナー峠」でも色違いが登場している。
ソルジャー峠のプロボ側は、ヘアピンカーブを繰り返しながら標高を稼ぐ。
ヘアピンカーブを行く列車。貨車の編成が長いと、このように列車の進行方向に後部車両が見える。日本離れした光景だ。
ヘアピンカーブの全景を見る。180度以上のカーブだ。
こんな鉄道模型のような光景が実際に見られるのが、アメリカのでっかい鉄道風景だ。
こちらのヘアピンなんか、渓谷の向こうにこれから行く線路が見える。もちろん向こうに見える機関車はこの列車の先頭だ。
ヘアピンカーブを越えても急勾配が続く、上りではエンジン音の咆吼が響き、下りではエンジンブレーキの唸りが迫力がある。
ここからはGP9牽引の貨物列車だ。そしてこの風景がブライスキャニオンだ。
アメリカらしい浸食した堆積岩の山を背景に行く。このプライスキャニオンの景色は本作のは依頼しだ。
ブライス川に沿った大カーブを行く。このGP9も「ドナー峠」の時に紹介した。
今回はもちろん色違い、D&RGWの黒に黄色いロゴが印象的だ。
ブライスキャニオンを行く、渓谷と切り立った山のコントラストがとても良い。
D&RGW(デンバー・アンド・リオグランデ・ウェスタン鉄道)は1980年代まで名を馳せた鉄道会社であったが、1988年にサザンパシフィック鉄道を買収した際に買収したサザンパシフィック鉄道を名乗るようになって名前が消えた。
そして1996年にユニオンパシフィック鉄道に売却されて、今は会社そのものもない。
もちろん本マップはD&RGWが健在だった時代設定で再現されている。
今は会社がなくなったD&RGWであるが、この鉄道を買収したユニオンパシフィック鉄道がこの塗装の機関車を走らせているという。日本の鉄道で最近流行のリバイバルカラーみたいなものだ。
これは1980年代までアメリカの貨物列車の再後尾に連結されていた車掌車(Caboose)。車内視点も設定されていて、ハイデッキの監視窓から外を見ることも可能。
続いての登場は、「ドナー峠」ではアドオンだった旅客列車「カリフォルニア・ゼファー」だ。
もちろん客車もダブルデッカーの「スーパーライナー」だ。車側灯の灯りの再現が美しい。
アメリカの大陸横断旅客列車の顔とも言えるベストセラー機で、ゲーム上でも軽くてとても扱いやすい機関車だ。
スーパーライナー客車を従えて走る。シルバーに赤・白・青のストライプがアメリカンだ。
ソルジャー川の渓谷に沿ったカーブを行く。車内の様子は「ドナー峠」の時に紹介したので割愛する。
ブライスキャニオンの風景を背景に行くスーパーライナー客車。視点を客車に設定して景色を楽しみながら運転するのも楽しいマップだ。
最後に紹介するのは別売「FP7 California Zephyr」に同梱のF9機関車と「リオグランデ・ゼファー」客車だ。
名機F9が、Bユニット2機と「リオグランデ・ゼファー」客車を従えて、ブライスキャニオンを背景に走る。
この犬みたいな顔が、アメリカの鉄道史を築いたのは事実。昔、大型掲示板「2ちゃんねる」によく書き込まれた、AA列車「ぞぬ」を思い出す…。
遮断機も警報器もない寂れた踏切と堆積岩の山の組み合わせという、アメリカンな景色の中を行く。
この「リオグランデ・ゼファー」は、かつてはシカゴとオークランドを結んでいた「カリフォルニア・ゼファー」だった。
しかし1970年代、共同運航していた他社が旅客列車をアムトラックに移行させたが、D&RGWだけは列車名を「リオグランデ・ゼファー」に改めて、ソルトレイクシティ~デンバー間に1983年まで運航していた。

かつての「カリフォルニア・ゼファー」は、実用性より豪華感を売りにした、アメリカ大陸横断列車の代名詞のひとつだった。
F9機関車は補機をふたつ付けて三重連だ。
アメリカのディーゼル機関車は、運転台のついた本務機用の「Aユニット」と、運転台のない補機線用の「Bユニット」があり、これを組み合わせて運用されている。
前述のGP9にも運転台がない「Bユニット」が存在した。
続いては客車の紹介だ。通称“Silver Lady”と呼ばれたこの客車は、日本の東急電鉄7000系でおなじみのバッド社の手によるステンレス製の客車だ。

この客車は末期の客車「リオグランデ・ゼファー」の姿。本アドオンでは「カリフォルニア・ゼファー」時代の姿も再現しているが、マップの方の時代設定に合わせると「リオグランデ・ゼファー」が正しくなる。
後部は流れるような展望車、尾灯の配置が独特で印象的で、日本にはない独自のスタイルだ。
そして屋根の上にも展望室が付いているのがおわかり頂けるだろう。
これは「ビスタドーム」と呼ばれ、日本の近畿日本鉄道がこれを参考に「ビスタカー」を製造したのは有名な話。
そのビスタドームが、この客車の車内視点に設定されている。
この視点で列車を走らせるのはとても楽しい。実物に乗ってみたかったなー。
再後尾車の展望室の内部はこんな感じ。日本にあった展望車とはかなり雰囲気が違うようだ。
こちらは食堂車、アメリカの西部だからステーキ料理が中心だったのかなぁ…というのは日本人の偏見か?
これは座席車で、一等車かな…。
こちらは二等車らしい。これとは別に寝台車もあって室内も再現されているが、個室が狭くてスクショが採れないので省略した。


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