・South Wales Coastal Route
 南ウェールズ本線:Bristol Temple Meads(ブリストル・テンプル・ミーズ)~Cardiff Central(カーディフ中央)

セヴァーントンネルを抜ける Class158

・収録車両
 Arriva Trains Wales Class 175 ‘Coradia’(一般型気動車)
 Great Western Railways Class 43(HST:高速特急気動車)
 Freightliner Class 70(貨物用ディーゼル機関車および関連の貨車)

・購入済みアドオン車両
・Arriva Trains Wales DMU Pack
 Arriva Trains Wales Class 158(一般型気動車)
 Arriva Trains Wales Class 143 ‘Pacer’(レールバス)

・経由地
 Bristol Temple Meads(ブリストル・テンプル・ミーズ)~Lawrence Hill(ローレンス ヒル)~Stapleton Road(ステープルトン ロード)~Filton Abbey Wood(フィルトン アビー ウッド)~Patchway(パッチウェイ)~Pilning(ピルニング)~Severn Tunnel Junction(セヴァーントンネル ジャンクション)~Newport(ニューポート)~Cardiff Central (カーディフ中央)
(その他、関連支線も収録)



 いよいよ当サイトにもウエールズの路線が登場だ。
 イギリスを構成する4つの国のうちグレートブリテン島西部にあたるのがウェールズ、このウェールズ最大の都市でかつ首都であるカーディフへ向かう鉄路が今回の主役だ。
 ロンドン・パディントン駅からグレートウエスタン本線を西へ向かってカーディフを目指す列車は、途中のスウィンドン駅でブリストルへ向かう本線と分かれてサウスウェールズ本線へ入る。そしてブリストルの郊外を経て列車は長いトンネルをくぐってウェールズに入り、ニューポートを経てカーディフに到着する。今回紹介するマップはここで出てきた水底トンネルである「セヴァーントンネル」を中心とした、ブリストルとカーディフを結ぶ区間だ。

 セヴァーントンネルは南西イングランドとウエールズを隔てるセヴァーン川の川底を結んでいる全長7008メートル(4マイル624ヤード)の水底トンネル、全長のうち約3.8キロがセヴァーン川の水底部となっている。このトンネルは1873年に着工、幾多の出水事故を経て1885年1月にトンネルが完成、同年9月からは貨物列車が、翌年12月から旅客列車の運行を開始。イギリス南西部とカーディフの間だけでなく、これまでグロスター経由だったロンドンからカーディフ間についても大幅に移動時間が短縮できた。

 本マップの起点はブリストルの中心駅であるブリストル テンプル ミース駅であり、ブリストルと南ウェールズ本線を結ぶ支線区間も収録されている。ブリストル テンプル ミース駅ははグレートウエスタン本線の終点で、駅舎側のホームを覆う大きな屋根が特徴的だ。この大屋根については下のキャプ画をご覧戴きたい。
 ブリストル テンプル ミース駅を東方向へ出た列車は、すぐにグレートウエスタン本線と分かれて左に大きくカーブして北へ進路を取る。ブリストルの市街を抜けると丘陵地にさしかかり急勾配を上り、その上り詰めたところがフィルトン アビー ウッド駅。ここでブリストル郊外のターミナル駅であるブリストル パークウェイ駅への短絡線が分岐、この短絡線とブリストル パークウェイ駅も本マップではキチンと再現されている。
 短絡線を分岐すると勾配は下りに転じ、パッチウェイ駅を過ぎると下り急勾配のトンネルに入る。トンネルを抜けると「たすき掛け」式の増線方による複線区間で丘陵から平原に下り、列車はピルニング駅に着く。ここは旅客駅は平原のど真ん中にポツンとある小さなローカル駅だが、長大トンネルを前にして貨物列車の待避線など設備が整っている。
 ピルニング駅を出発するとさらに下り勾配を下る、平原平面から切り通しへと下ると前方に信号機に守られたトンネルが迫る。これが本マップの主役とも言えるセヴァーントンネルだ。
 セヴァーントンネルは複線断面トンネル、上下線ともそれぞれトンネルを1閉塞区間として複数の列車が同時に進入しないようになっている。上下線のすれ違いはあるが、危険物搭載列車が走行する場合のみ反対側線路も閉塞することで事故防止を図っている。
 トンネルでは中央部まで10~11‰の勾配で下り、中央部で僅かな水平部を経た後同じ勾配で上ってゆく。トンネル最深部の勾配の変わり目には青い標識灯が設置されていて、下り勾配が水平になるところでは青が1灯、水平が上り勾配になるところでは青が2灯という具合だ。
 セヴァーントンネルを抜け、そのままの上り勾配で平原平面まで上ったところがセヴァーントンネルジャンクション駅だ。ここでグロスターからの路線を分岐するため、駅は3面4線の立派なジャンクション駅だ。だが駅の回りは何処までも続く平原で、「乗り換え客以外に利用者いるの?」と問い詰めたくなる光景だ。
 ここからは路線は複々線になる、複々線のまま平原に続く路線を最高速度時速90マイルで疾駆すると、やがて前方に港町の風情がある市街地が見えてくる。この市街地に入ったところがニューポート駅だ。人口約14万人の街の中心駅に相応しい長いホーム3本と、貨物列車用の通過線も備えた立派な駅だ。
 ニューポート駅を出ると列車はすぐにトンネルに入る。丘陵地にある市街地をトンネルで抜けると車両基地やヤードがある区間を過ぎると、後はひたすら平原に伸びる複々線を走る。途中に駅もなく、たまに貨物の引き込み線がある程度だ。やがて前方から市街地が迫り、列車はカーディフ中央駅に入る。長いホームを4本備えた大きな駅だが、駅の一部が勾配に掛かっていて駅構内の低速運転での速度制御が難しい。
 さらに先にはカーディフのヤードや車両基地が再現されていて、スイッチバックして折り返す形でカーディフの中心市街にあるカーディフ クィーンストリート駅までの線路と沿線風景も再現されている。

 この路線は大河に挟まれた二つの都市を結ぶ路線としてストーリー性もあって、プレイしていてけっこう楽しい路線だ。またローカルや貨物列車や高速列車などシナリオも様々だし、路線もそんなに長くないのでシナリオを自作してみても楽しい路線だ。水底トンネルということで、個人的にはClass175を走らせて「気分は快速海峡」などとアホな事を言って愉しんでいるのは私だけだろうか?

 ちなみに、Train Simulator 2016の路線で水底トンネルは初めてではない。「London-Faversham High Speed Route」において、イギリスの高速新線がテムズ川の川底をくぐるトンネルが再現済みであることを明記しておこう。


・世界の車窓から
 
まずは本マップ標準でついてくる、Class175から紹介しよう。
Class175は2000年に名門アルストムによって建造された長距離対応の一般型気動車。最高速度は時速100マイル(160km/h)。
ブリストル テンプル ミース駅に停車中のClass175。
この駅はキャプ画にあ大型の上屋が特徴的だ。
セヴァーントンネルのブリストル側の坑口、約7キロの川底トンネルで長らくイギリス最長のトンネルだった。
運転扱い上では、このトンネルで1つの閉塞区間となっているため、トンネル内には信号機はない。
夜明けのセヴァーントンネルジャンクション駅、ここはグロスターへ向かうニューポート・グロスター線と分岐するジャンクションだ。
ニューポート駅に到着したClass175、この駅は貨物列車用の通過線を持つ典型的な途中駅形ターミナルだ。
こちらは未明のニューポート駅の様子、この雰囲気がとても臨場感があって良い。
そして終点のカーディフ中央駅。大都市ターミナルらしい立派な駅だが、一部が勾配に掛かっていて運転が難しい。
続いて紹介する本マップ標準装備車両は、HSTのGreat Western Railwaysの塗装だ。
このHSTは深緑の車体に、黄色の全面警戒塗装が印象的だ。
天候設定を霧にすると、悪天候下の旅行の雰囲気が良く出る。
このHSTとすれ違う車両が、もう一つの本マップ標準装備の車両だ。
もう一つの本マップ標準車両は貨物用ディーゼル機関車Class70、これが長編成のコンテナ貨物やホッパ車を牽引して川底トンネルを往来する。
ゆるいカーブを行くClass70牽引の貨物列車、日本の鉄道シミュレーターゲームでは、こういうシーンを再現できないんだよな…
ここはピルニング駅の東側、このように上下線で段差があるのは「たすき掛け式」と呼ばれる増線方法だ。
元々急勾配の路線に、土盛りや切り通しで作った勾配の緩い路線を「登坂用の線路」として増線するものだ。
日本では東北本線などでよく見られる光景だ。
続いて登場は、別売となるアドオンの車両達だ。「Arriva Trains Wales DMU Pack」に収録されているものだ。
Class158は1989年からイギリス各地で活躍する、長距離対応の一般型気動車だ。最高速度は時速90マイル(145km/h)。
ブリストル テンプル ミース駅の大屋根を背景に発車を待つ。
ゲーム上でのこの大屋根は、フレーム1本までしっかり再現されているように見える。
セヴァーントンネルのブリストル側にあるピルニング駅。貨物列車が旅客列車を待避するための設備がある。
セヴァーントンネルを挟んで反対側の、セヴァーントンネルジャンクション駅の全景はこんな感じ。
セヴァーントンネルのカーディフ側の坑口から顔を出す。後に続く車両の車内の灯りが見えるだろうか?
Class158の運転台からセヴァーントンネルの内部を見る。川底最深部の勾配が変わる箇所にこのように青い標識灯が光ってる。

ちなみに、トンネル内の勾配は日本風に言えば10~11‰だ…う~ん、気分は青函トンネル。
アドオンのもう一つはClass143「Pacer」の「Arriva Trains Wales」塗装。
Class143自体は「The Riviera Line: Exeter-Paignton Route」を紹介した際に出てきた。
ニューポートからカーディフへ向かうClass143。この区間はこのように複々線区間になっている。
このマップはトンネルが多いのも一つの特徴。ニューポート駅の南側には市街に小高い丘があり、これを複々線のトンネルでくぐり抜ける。
Class143の車内、リヴィエラ線のものと内装の違いは再現されているが、乗っている乗客は同じ…。
(マウスポインタを画像に合わせてください)
おまけ

ニューポート駅が大混雑ですごいことに、おかげで発車が30秒遅れた。
だけど同じシナリオをプレイしてみても、この光景が再現できず…。


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