・Arosa Line:Chur-Arosa Route
 レーティッシュ鉄道(スイス) アローザ線:Chur(クール)~Arosa(アローザ)

コンクリートアーチ橋を行く登山電車

・収録車両
 ABe 8/12 Electric Multiple Unit(一般型電車「アレグラ」号)
 その他、関連貨車

・購入済みアドオン車両
 RhB Enhancement Pack 02

・経由地
 Chur(クール)~Chur Stadt(クールシュタット)~Lüen-Castiel(リェン-カスティール)~St. Peter-Molinis(ザンクト ペーター-モリニス)~Peist(パイスト)~Langwies(ラングヴィース)~Litzirüti(リツィリュティ)~Arosa(アローザ)



 スイス東部に路線網を拡げるレーティシュ鉄道、以前にも本コーナーで取り上げた通り世界的な有名な山岳鉄道で、「氷河急行」など世界に名だたる観光列車を運行していることでも有名だ。日本からも多くの観光客が行っているだけでなく、神奈川県の箱根登山鉄道と姉妹提携を結んでいるため知名度も高い。箱根登山鉄道には「ベルニナ」「サンモリッツ」といったレーティシュ鉄道の路線名や駅名を冠した車両が現存するし、レーティシュ鉄道には日本語で「箱根登山鉄道」の文字を入れた機関車がかつてあったほどだ。

 本ゲームのアドオンでレーティシュ鉄道アルブラ線があり、以前本コーナーで紹介した。2017年8月、Train Simulator 2017 にレーティシュ鉄道のアドオン第二弾として「アローザ線」が加わったので紹介しよう。

 アローザ線はスイス東部の都市であるクールから東へ向かって山の中へ分け入り、ローザー・ヴァイスホルン山 (2653m) の麓にある観光都市アローザを結ぶ約25kmの路線だ。約25kmの短い路線でありつつも、起点のクール駅は標高584メートル、終点のアローザ駅は標高1739メートルと、その標高差は1100メートルを超える急峻な路線で、最急勾配は60‰と本格的な登山鉄道と言って良いだろう。

 起点のクールはアルプスの山々に囲まれた谷間にある都市で、人口は約3万5千。アローザ線のクール駅はスイス国鉄やレーティシュ鉄道のクール駅とは別に駅前広場の路面に設置されており、アローザ線はここから併用軌道でクールの街中を進む。2kmほど併用軌道を走るとあっという間に左右から険しい山々が迫ってきて、列車は唐突に険しいプレスール川の渓谷に沿った60‰勾配の山岳路線に放り出される。この併用軌道が途切れてからリェン-カスティール駅付近までが最も地形的に険しく、急勾配だけでなくトンネルや大小の橋梁を繰り返して渓谷沿いの急斜面を上ってゆく。
 ラングヴィース駅付近では景色が多少開けてくるが、急勾配は相変わらずだ。ラングヴィース駅の少し先に本路線最大のハイライトとも言えるラングヴィース橋を渡る。全長287メートル、中央径間92メートル、高さ62メートルの巨大なコンクリートアーチ橋だ。
 この名所を過ぎても相変わらずの急勾配で、リツィリュティ駅の先には複雑なヘアピンカーブを描く。やがて列車はアローザ市街をトンネルで抜け、オーバー湖の畔にある終点アローザ駅に到着する。本ゲームではこの先で線路がトンネルに入ってまだ続いているように見えるが、実物はここで終点である。
 アローザは標高1700メートルを超える高地にある観光都市で、人口は約3千2百、日本の富山県南砺市と姉妹提携を結んでいる。観光としては主に冬のスキーが盛んで、ローザー・ヴァイスホルン山の斜面には数多くのゴンドラリフトが設置されていてゲレンデも多数ある。またローザー・ヴァイスホルン山山頂付近に通じるロープウェイがあって、夏はトレッキングなどの夏山リゾート地ともなる。

 本マップに付属している車両は、レーティシュ鉄道のABe8/12 3501-3515形電車だ。2009年からレーティッシュ鉄道の各路線に投入された3両編成の電車で、インバータ制御で最大2600kwの高出力を誇る。アローザ線ではこの電車単独だけではなく、貨車や荷物車(自転車輸送)を牽引して活躍する光景も見られる。また多客期の増結時は客車を牽引する。
 もちろん、本電車が活躍するのはアローザ線だけでなくレーティッシュ鉄道の各路線に及ぶ。本ゲームのアドオンとして発売済みのアルブラ線でも活躍しており、本電車(3両編成)が客車(5両編成)を牽引してベルニナ線に直通する「ベルニナ急行」としてもアルブラ線を走っている。もちろん、本ゲームでも本電車をアルブラ線で走らせることは可能だ(クイックドライブシナリオを使うも良し、シナリオを自作するも良し)。
 そういう意味でもTrain Simulator 2017にABe8/12 3501-3515形電車の登場は、まさに待望の登場だったと言える。続いてはアローザ線で見られる青塗装の制御客車が出てくれると嬉しいんだけどなー。

 以下、本ゲームのスクリーンショットをアルバム形式で見ていこう。

・プレイ動画
 レーティシュ鉄道アローザ線 クールからアローザへ(2019年6月3日公開)


・世界の車窓から
 
クール駅で発車を待つ電車、クール駅のアローザ線のりばは駅前広場で路面電車然としたかたちだ。
こちらはアローザから山を下ってきた電車がクール駅に進入する様子。併用軌道をゴロゴロと走ってくる登山電車というのも不思議だ。
クールの市街地を行く、クルマと一緒にゴロゴロ走るのは併用軌道の楽しいところ。
市街地の広場を時計台をバックに行く、最後尾の貨車が違和感があって面白い。
いよいよ市街地を後にして山岳部へ…。
併用軌道が終わると唐突に急勾配の山岳区間に放り出される。
ここの景色の急変は本当にダイナミックだ…ああ、実物の風景を見てみたい。
渓谷に沿った斜面にへばりつくように走る。既に60‰連続勾配だ。
コース前半はトンネルも多く、景色もあまり望めない。けど登山電車の緊張感が伝わってくる。
そしてトンネルとトンネルの合間には、背の高い橋梁で深い谷間を渡る。
スノーセットもあって冬の厳しさを垣間見ることが出来る。冬になったら季節設定を冬にしてプレイだ。
スイスの山岳鉄道らしい石積みアーチも多く見られる。
こちらは小さな石積みアーチ橋、大小のアーチ橋を沢山渡る。
急勾配を一生懸命登る電車の姿が健気だなぁと思うシーン。
そして斜面にへばりつく線路を行く。災害も多いんだろうなぁ。
ラングヴィース駅が近付くとコンクリートアーチで一気に谷間を渡るシーンが出てくる。このアーチ橋でも凄いと思うが…。
ここが本路線最大の名所であるラングヴィース橋(Langwies Viaduct)だ。
目のくらむような高さで、日本語で言うところの本谷を一気に渡る。
長さ287メートル、中央径間92メートル、高さ62メートル、完成は1914年とのこと。ゲームでもここからの景色は素晴らしいです。
60‰勾配を上る電車を真横から見てみた。
終点のひとつ手前、リツィリュティ駅を出ると、こんな複雑なヘアピンカーブを描く。
終点アローザ駅に到着、片道1時間程度の手軽な登山電車の旅だ。
クイックドライブでも他列車が表示されるので、手軽にプレイできる。
ここからは車両の紹介。レーティッシュ鉄道ABe8/12 3501-3515形電車。
まさに待望の登場だ。
この電車は日本の電車と違い、機関車的な使われ方をすることがある。この用に貨車を数両繋げたり、客車を何両も牽引することもある。日本の電車では見られない光景だ。
これは2等車の車内の様子、この電車の特徴は低床化によるバリアフリー対応で、車内は狭い区画に分かれている。
こちらは1等車、運転台背後の区画がこれに充てられている。
ここからはABe8/12 3501-3515形電車をアルブラ線で走らせてみたスクリーンショットをご覧戴こう。
ただ走るのでなく、「氷河急行」客車を連結して「ベルニナ急行」の気分だけ味わっている。
ベルギューン駅付近の急カーブを行く。「ベルニナ急行」用の赤一色の客車が欲しいなぁ。
ベルギューン駅近くのヘアピンカーブを行く。
こうなると今度は、もっと古いタイプの電車や機関車、それに推進運転用の制御客車が欲しくなる。今後のシリーズ展開に期待。
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