…トカーガ星域に「アルカディア」号討伐のためのイルミダスの大艦隊が迫る。地球へ帰ろうとすればこの艦体と正面からぶつかる事になり、避けようとすればプロミネンスの火の河を突破するしかない。「アルカディア」号は「宇宙のスタンレー」と呼ばれるこの火の河を超えることを決意する。 |
名台詞 |
「みんなよく聞け、トカーガ最後の女性は今死んだ。子供を産んでくれる女性は、もう1人もいない。トカーガ人類は、滅びたのだ。忘れまい、ハーロック達はトカーガのために生命を賭けて戦ってくれた。」
(老トカーガ兵) |
名台詞度
★★★★ |
プロミネンスの火の河を突破すべく難航している最中に、ゾルの妹ミラが遂に絶命する。それを見たトカーガ兵らは医務室を出て廊下に並ぶと、そのリーダー格である地球から動向の老トカーガ兵が若い兵士らにこう語る。
ミラの死という事実は彼らにとって星が消えた以上の衝撃であったはずだ。故郷が無くなっても自分達が生きていれば、いつか何処かで再起出来る。だがミラの死という事実はその「自分達が生きていれば」という希望を奪い去った。最後まで唯一生き残っていた女性の死は、自分達種族の「絶滅」を意味し、自分達が生き残っていてももうそれを言い伝えるべき子孫が存在し得ないという現実である。その「自分達は滅びるしかない」という重い現実を前に、最後に自分達が何をすべきかを語る。それは自分達の故郷のために戦ったハーロックを無事に地球に帰す事だ。この一言により、これは「艦から飛び降りる」という形で実行され、生体反応を引き寄せる性質があるというプロミネンスの河を突破する決定打となる。
しかし、トカーガ人も地球人と同じように男女の別があるようだ。もちろん性的な点まで同じと考えて良いだろう。だが本作の世界観では「ヤマト」と違い異星人との交配は不可能と考えるべきだ。でないとこのカッコイイ台詞が意味を成さなくなる。純血のトカーガ人はいなくなっても混血して生きて行くという事になってしまうからだ。
それともう一つ、この老トカーガ兵のキャラクター名は何処を調べても解らない…。 |
名場面 |
「宇宙のスタンレー」 |
名場面度
★★★ |
「アルカディア」号は「宇宙のスタンレー」とも言われる難所に挑む。火の河の中を苦労しながら進む「アルカディア」号の様子は、戦闘シーン以外では最大の見どころかも知れない。宇宙空間なのに炎が燃える音が聞こえるはずがないと突っ込んではいけない。それはそこに何らかの大気があるから聞こえるのだと解釈すべきだ。
この大迫力シーンは、子供の頃に映画館で見たのをハッキリ覚えている。そして「アルカディア」号がどうやってこの難所を切り抜けるのかと、手に汗握って見たものだ。この迫力は私の稚拙な文章では伝えきれないので、興味のある方はDVDを買うなり借りるなりして、出来ればなるべく大きな画面のテレビで観て頂きたい。 |
研究 |
・「宇宙のスタンレー」 ここで「アルカディア」号は宇宙最大の難所とも言える火の河に難儀する。ここは二重太陽ベスベラスに掛かる5つの炎の河と、トチローが説明する。別名は「宇宙のスタンレー」。
この場所について自然に考えれば狭い範囲に恒星がふたつあって、その間を炎(プロミネンス)が行き交っていると言うところだろう。この炎が強大で多くの宇宙船がこの星域で難破したと考えればいい。そしてトチローの話では、ここには生体反応を吸い寄せる効果があるため生物は全て吸い込まれてしまう場所のようだ。これがどんな原理かは解らないが、想像するに人間などの動物が持つ脳波の周波数と共鳴するような電磁波が出ているのかも知れない。
この炎は劇中の様子からすると、太陽のプロミネンスと同じ色をしているのでだいたい6000℃くらいと見て良いだろう。つまり「アルカディア」号が地球上のどんな金属で作られていたとしても溶けるのみならず蒸発する温度だ。トチローは「アルカディア」号の耐熱装置は「クイーンエメラルダス」号より優れていると言うが、どんな耐熱装置でもその耐熱装置自体が蒸発してなくなってしまう温度だ。う〜ん、これは困った。「アルカディア」号がこの炎の河を渡れないじゃないか…。
「宇宙のスタンレー」という俗称は、もちろん地球人が地球のスタンレー山脈にあやかって付けたものだろう。つまり劇中世界では地球人は既に、太陽系外の恒星系にたどり着いていると考える事が出来る。恐らくイルミダスに占領される前は地球とトカーガの間に交易があったのかも知れない。だからこそ地球とトカーガの直線上から僅から逸れた位置にあるこの空域が地球人の間でも「難所」として恐れられているのだろう。もちろん、宇宙気象の問題(宇宙放射線などの嵐が想定される)によってこちらを迂回せねばならないこともあったのだろう。そして多くの宇宙船がここで難破したと見るべきだ。 |