DISC1−5 「ぶりぶりざえもんの冒険 風雲妖怪城1」 |
名台詞 |
「えーっやだーっ。きれいな娘をさらってハーレムー? 信じらんない〜。どうしよう、みさえもさらわれちゃう〜。あなた、私を守ってー。」
(みさえ) |
名台詞度
★★★ |
妖怪王ゲロゲロの手下が茶屋にいる「若い娘」(もちろん、みさえではなく茶屋の若女房のことだ)を誘拐に来た。その企みが「若い娘を集めてハーレムを作るため」と聞いて、しんのすけとひろしは口を揃えて「許せない、けどうらやましい」と答える。みさえはこの言葉に対しげんこつを返したと思うと、かわいこぶりっこな声でこう語っていた。
この台詞で、次話にまたがる今エピソードでのみさえの「ネタ」が決まったと言って良いだろう。短気女や、万年便秘女など様々なレパートリーの「ネタ」を持つみさえが今回使うのは、「自分が若いと信じて疑わない女」である。そんなみさえは「妖怪が若い娘をさらいに来た」と聞いて、自分のことに違いないと信じて疑わない。茶屋にもっと若い若女房がいるのも構わずだ。そしてそれを実現させるため、無理にでも誘拐されるという展開がここで見えてくるだろう。面倒な女だが、みさえというのは典型的な臼井儀人先生作品の女性であるといっても過言ではない。
もちろん、しんのすけやひろしはこれをネタに徹底的にツッコミ、同時にみさえに鉄拳制裁で返される役回りだ。この辺りの黄金コンビは完成されていると言って良いだろう。
この台詞に対するしんのすけとひろしのツッコミは、ヤレヤレポーズで「若いきれいな娘って言ってるじゃん、おばさん」である。もちろん、この後は鉄拳制裁だ。 |
名場面 |
ぶりぶりざえもん登場シーン |
名場面度
★★★★ |
誘拐された茶屋の若女房と、勝手についていったみさえが、「妖怪板ち男」とともに姿を消すと、空からマラカスが降ってくる。このマラカスを鳴らすとぶりぶりざえもんが登場、「救いのヒーロー」と名乗ると茶屋の主人(どうみてもじーさん)が「私の妻を妖怪王ゲロゲロが救い出してください」と助けを乞う。ぶりぶりざえもんは落ち着いた声で「ヤダ。私はばーさんを助ける趣味はない」と言い切る。だがしんのすけとひろしが「このおじいさんの奥さん、若いゾ」「そそ、まだ十代」と口を挟む。視聴者はこれでぶりぶりざえもんが助ける気になったと思うところだが、ぶりぶりざえもんは「何?十代?」を聞き返し、返事を聞くまもなく「天誅!」と叫んで茶屋の主人を張り倒す。ぶりぶりざえもんが張り倒された主人を見て「ふっ、正義は勝つ」と呟くと、ひろしが「気持ちがわかるが…」と呟き、しんのすけがこれに頷く。
さらわれた若女房が、茶屋の老主人の妻だという設定を聞いた男達の気持ちを代弁してくれた見事なぶりぶりざえもんの活躍。アッパレじゃ…と思った人は多いだろう。アニメの話とは言え、なんであんな若い娘の夫があんなじじいなんだ? もちろん物語り展開上その必要性は全く無く、ただのギャグであることは言うまでも無い。ギャグだからこそこのじーさんは成敗されなきゃならない、ぶりぶりざえもんがこういう形で活躍して視聴者の期待通りとなった唯一のシーンだと私は思う。 |
感想 |
今話と次話の2話で決着を付けねばならない話なのに、今話は前置きだけで終わっているが、こののんびりさが好きな話だ。前半ではみさえをネタにして徹底的にいじくり回し、後半では大江戸特別捜査隊の隊員を名乗るもみじという女との出会いを上手く描く。
そしてそれぞれの物語に現る妖怪はサブタイトルに偽りなし、しかもその姿や形は「クレヨンしんちゃん」らしいギャグと来ている。妖怪「板ち男」も妖怪「扇風回転機」も、その姿を現すまで引っ張る引っ張る。あそこは引っ張るからこそギャグとして面白いのだ。
そしてぶりぶりざえもんは名場面欄で徹底的に印象に残る。出てくる時間が僅かなのに本当に強烈に印象に残ったシーンだからこそ、敢えて名場面欄シーンで紹介した。じーさんなのに妻は十代、たしかにそりゃ許せんわ。 |