「あにめの記憶」過去作品・24

「クレヨンしんちゃん(DVD)
 ぶりぶりざえもん ほぼこんぷりーと」

・「クレヨンしんちゃん」の名物キャラ
 当サイトでは「クレヨンしんちゃん」連載開始時期から、原作者の臼井儀人さんの命日が含まれる今の時期は毎年「クレヨンしんちゃん」を取り上げている。今年もその例に漏れず約2ヶ月ほどの考察連載にお付き合い願いたい。
 これまでは当サイトでアニメの「クレヨンしんちゃん」を取り上げる場合は劇場版から選んで考察を書いてきたが、今年は指向を変えてテレビアニメ版の「クレヨンしんちゃん」を取り上げようと考えた。だが既に放映開始から20年以上経っていて、さらにまだ放映が続いている当作品を、テレビアニメ第一話から順に考察したのではいつまでも終わらなくなってしまうので、テレビアニメ版の作品をひとつのテーマで収録したDVDを取り上げるかたちとした。

 こうして今年、当サイトをご覧の皆さんに紹介したい「クレヨンしんちゃん」は、当作品随一の名物キャラ「ぶりぶりざえもん」の登場回を集めたDVDである。これを通じてテレビアニメ版の「クレヨンしんちゃん」を紹介することで、原作者の臼井儀人さんが遺していったこの作品の面白さに迫りたい。

 「ぶりぶりざえもん」とは、「クレヨンしんちゃん」に登場する豚をモチーフにしたキャラクターである。元々は主人公・しんのすけが「自分で作った絵本」に描かれるだけの存在であり、設定上もしんのすけが作ったキャラと言うことになっている。ところが原作漫画・テレビアニメ共にこのキャラクターが時間をかけて一人歩きを始め、最初は「しんのすけが見た夢」の中に無言で登場、それから「クレヨンしんちゃん」がヒットして世界観が広がる過程で「外伝」という使い捨て設定が生まれ、この中でのキャラクターとして成立することになる。そのキャラクター性はしんのすけの性格をさらに強烈にしたものとなり、「ギャグだから許される性格の悪さ」「肝心な所で役に立たない」「かつ自分が最も活躍したような顔をする」という悪役ギャグキャラクターの三本柱の性格をうまく植え付けた。それだけでなく主人公との名コンビぶりを強調し、常に主人公勢力の足を引っ張っている構図が活きるのは、そのギャグキャラクターとしての性格付けが上手く行っているからだろう。
 本DVDは、このぶりぶりざえもんの登場回をほぽ収録しているというものだ。「ほぼ」であるのは、著作権の関係で現在は再放映やメディア化が困難なものが「音声なしでダイジェスト収録」となっているからだとされている。

 このぶりぶりざえもんは本作でも人気のキャラとなったが、現在の「クレヨンしんちゃん」アニメ作品では殆ど登場しない。それは声を担当していた塩沢兼人さんが2000年に亡くなったためであり、当時のアニメ製作スタッフが「ぶりぶりざえもんの声に代役は考えられない」として、代役を立てずに登場させなくなったためだ。
 ただし、ぶりぶりざえもんは全く登場しないという訳では無く、声が出せない(声を出す必要がない)設定を前提にした上での出演はある。たとえば仮面ライダーシリーズとのタイアップ作品である「仮面ライダー電王+しん王」では、「声を出そうとすると消滅する伝説のイマジン(敵怪獣)」として登場したのは印象的だ。また別の外伝シリーズでは外見は似ているが違うキャラが声入りで登場している。劇場版でも「紙に書かれた存在だから声が出せない」と言う設定で2005年作品「伝説を呼ぶブリブリ 3分ポッキリ大進撃」に登場、その前の2003年作品「嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード」では、世の中全ての生物の外観がぶりぶりざえもんになるという強烈なシーンが描かれた。その場にいる百数十人の人物の姿が全てぶりぶりざえもんになり、画面に溢れるというある意味怖いシーンだ。
 今回はこのぶりぶりざえもんという、臼井儀人さんのキャラクターらしい登場人物の面白さにも迫ってみたい。

・サブタイトルリスト

 当コーナーでは、話の筋を解りやすくするために「映像特典」→「Disc1」→「Disc2」の順で考察する。これはぶりぶりざえもんというキャラクターの登場順になるからだ。「映像特典」はぶりぶりざえもんの「前史」的なものだ。

映像特典 Disc1 Disc2 
またまた本屋さんだゾ ぶりぶりざえもんの冒険 雷鳴編 クレヨン大忠臣蔵 桜の巻
コタツはあったかいゾ ぶりぶりざえもんの冒険 風雲編 クレヨン大忠臣蔵 雪の巻
ブリブリざえもんのボーケンだゾ ぶりぶりざえもんの冒険 飛翔編 オラたち三匹の子豚だゾ 第一話
夢の世界の大ボーケンだゾ ぶりぶりざえもんの冒険 電光編 オラたち三匹の子豚だゾ 最終話
オラの本はベストセラーだゾ ぶりぶりざえもんの冒険 風雲妖怪城1 ひまわりはオラの子分だゾ
  ぶりぶりざえもんの冒険 風雲妖怪城2 野原刑事の事件簿 アイドル暗殺計画
  オラは孫悟空だゾ 野原刑事の事件簿 暗殺団潜入捜査
  オールスター夢のコント祭りだゾ ぶりぶりざえもんの冒険
 ゴールドフィンガー銀ちゃん 前篇
  野原刑事の事件簿2だゾ
  野原刑事の事件簿3だゾ ぶりぶりざえもんの冒険
 ゴールドフィンガー銀ちゃん 後篇
  赤ズキンと紫ズキンだゾ
  オラの家にクーラーが付いたゾ 大河時代劇スペシャル! 春日部黄門
  クレヨンウォーズ1  
  クレヨンウォーズ2  
  クレヨンウォーズ3  

・「クレヨンしんちゃん ぶりぶりざえもんほぼこんぷりーと」の登場人物

今回の主人公
ぶりぶりざえもん 劇中ではしんのすけが考えたとされる豚がモチーフの「救いのヒーロー」、しんのすけに輪をかけた特異なキャラだ。
 …平気で敵に寝返ったり、何もしてないのに多額の謝礼を要求したりと勝手なキャラだが、何処か面白く憎めないのは不思議だ。
野原家
野原 ひろし 野原家の大黒柱で35歳、髭面と臭い足が特徴でこれらを武器として使うこと多し。
 …「野原刑事の事件簿」シリーズでは主役を取るが、妻や子供に先に出世されてしまう悲しさをうまく演じている。
野原 みさえ しんのすけの母で29歳、胸が小さく尻がでかいことでいつもしんのすけにからかわれる。
 …風雲妖怪城編で必死に若さを訴えるのが彼女らしくて良い。でもまだ二十代なんだから実際若いんだぞー。
野原 しんのすけ 皆さんお馴染みの主人公で5歳、その性格から「嵐を呼ぶ園児」だ。
 …ぶりぶりざえもん登場回は「外伝」が多いので、水戸のご老公様から大石内蔵助まで幅広い役を演じることに。
野原 ひまわり しんのすけの妹で乳児、乳児とは思えない行動で活躍するがよく見ると寝ている時間の方が長い。
 …たいや!
シロ ある日しんのすけが拾って来た野原家の飼い犬、外伝では出番少ない。
 …やっぱりしゃべるとなれなれしい。「クレヨンウォーズ」シリーズではロボットを演じる。
野原 銀之助 秋田県に住むしんのすけの父方の祖父、しんのすけの性格はこのじじいから受け継いだ設定になっている。
 …本DVDでは「クレヨンウォーズ」「ゴールドフィンガー銀ちゃん」シリーズで登場、後者では強烈なツッコミキャラに。
かすかべ防衛隊
風間 トオル 幼稚園でしんのすけと同じクラスの秀才、だがしんのすけらにのせられる事も多い「いじられ役」も兼ねている。
 …本DVDでは「かすかべ防衛隊」の中で登場回数が最も多い。「三匹の子豚」ではぶりぶりざえもんにもいじられる。
桜田 ネネ 幼稚園でしんのすけと同じクラスでかすかべ防衛隊の紅一点、イライラするとウサギのぬいぐるみを取り出し…。
 …本DVDでは最近ではやってくれない「いつものママじゃなーい!」をやってくれる。「がさつな赤ずきん」も好印象。
佐藤 マサオ 幼稚園でしんのすけと同じクラスの臆病な子、しんのすけやネネに振り回されてばかり。
 …紫ズキンの話では土方歳三を演じるが、そのアンバランスがこれまたサイコー。
ボーちゃん 幼稚園でしんのすけと同じクラスにいる謎の子、丸い顔に鼻水がトレードマークだ。
 …大忠臣蔵で太鼓を叩く姿が印象的だなー。四十七士の衣装が妙にはまってた。
周囲の大人達
高倉 文太
(園長先生)
しんのすけが通う幼稚園の組長園長先生、幼稚園で働いているとは思えない程の怖い顔だが優しい人だ。
 …本DVDでは園長としての登場は無し、ナレーターとしての活躍が目立つ。
吉永 みどり
(よしなが先生)
幼稚園ではしんのすけの担任、可愛い顔をしているが気が短いのが欠点。
 …先生としての出番は無し、夢の世界の冒険での妖精役がとても面白かった。
まつざか 梅
(まつざか先生)
幼稚園でばら組を担当する先生、対抗心が強く性格はキツイのだが…。
 …先生としての出番は無し、大忠臣蔵でのリポーターが彼女らしくて面白く、専用BGMも登場。
部長 しんのすけの父、ひろしの会社の上司、本作に出てくる数少ない「まともな人」だ。
 …上司としての出番無し、「野原刑事」シリーズで刑事部長として登場。ギャグがあっても淡々と物語を進める。

9月21日 総評はこちらから

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