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DISC2−1 「クレヨン大忠臣蔵 桜の巻」
名台詞 「風さそう 花よりもなを 我がおまた ぞうさんまるだし ああはづかしや」
(風間)
名台詞度
★★
 名場面欄で語る「松の廊下事件」によって、風間内匠頭トオルは切腹となる。その辞世の句がこれだ。
 これも浅野内匠頭の辞世の句を上手くパロったと感心した。「我はまた」の「は」を「が」に変えただけで、こんなに下の句が上手く流れるなんて…。でもこの句、「花よりもなを」ではなく「花よりもなほ」と書くべきでないのかな?
名場面 松の廊下 名場面度
★★★
 「忠臣蔵」のパロディである今話の盛り上がりどころは、なんと言っても「松の廊下」だろう。えど城に参じた風間内匠頭トオルの袴の裾を、「松の廊下」で吉良上野介ぶりぶりざえもんが踏んだ事から事が始まる。風間君がこれに抗議すると、ぶりぶりざえもんは謝るわけがなく風間君が子供だからと反論する。これを聞いた風間君は思わず刀に手をかけるが、「その手でいったいなにをするおつもりかな?」「この場所で刀を抜いたらどういうことになろうか、解っておるだろうが!」と問い詰めるぶりぶりざえもんの迫力に目を覚まし、一度は「取り乱しました、申し訳ない」と身を引く風間君。だがこれを受けてのぶりぶりざえもんは、風間君の抗議が言いがかりだと言い切る。風間君は「先程の件は言いがかりでござらん」と、ぶりぶりざえもんの足跡が付いた袴を突きつけ「謝って頂こう」と突きつける。これを聞いたぶりぶりざえもんが刀を抜いたかに見えたので、風間君も刀を抜く。城の役人が止めに入るが、「向こうだって刀を抜いている」と訴える風間君にぶりぶりざえもんは「これは刀じゃなくて千歳飴だもんねー」と言って刀に見えた物体を舐め始める。「この卑怯者…」叫ぶ風間君に、ぶりぶりざえもんは「悔しかったら掛かってこい」とたき付け、「このブタ」と罵られれば「私がブタならお前はチキンだ、この腰抜けガキ侍」と言い返した上に屁を掛ける。「おのれ、許さん」風間君が刀を上げて叫ぶが、直後に転倒して袴が脱げてしまう。風間君が「ぞうさん」丸出しで倒れているのを見たぶりぶりざえもんは「この狼藉者! 出合え!」と叫ぶと、風間君はあっという間に沢山の侍に囲まれてしまい、城の外に出されてしまう。
 有名な「松の廊下」事件も、ぶりぶりざえもんの手に掛かれば刃傷沙汰ではなくぞうさん丸出し事件に変化してしまう。だがこの過程が面白い、風間君の怒りはごもっともだが、それに反論するぶりぶりざえもんの言葉の一つ一つが「火に油を注ぐ」という結果になるよう上手く考えられているのだ。う〜ん、「クレヨンしんちゃん」キャラで「忠臣蔵」をやるなら、吉良役はぶりぶりざえもんを置いて他にないと思わせてくれるシーンだ。
感想  「クレヨンしんちゃん」キャラクターによる忠臣蔵、浅野内匠頭を風間君が、吉良上野介をぶりぶりざえもんが、大石内蔵助をしんのすけがえんじるというだけでむちゃくちゃな展開になりそうな予感。そしてその予感通りに「松の廊下」からもうむちゃくちゃだ。まぁ、前半については名場面欄や名台詞欄で語ったからもう良いだろう。
 そして後半は、いよいよしんのすけ演じる大石内蔵助に話が行く。風間内匠頭が切腹したというのに、大石内蔵助と四十七士(といっても4人しかいないが)はコタツに入って「誰だっけ?」とやる気の無い様子。これを見て「これじゃ話が進まん」と不安になった頃合いを見計らって、風間内匠頭が化けて出てきて仇討ちを強く命ずる展開は面白いと思った。結局、本人が化けて出りゃ終わりなのに…と思わずにはいられない。
 だが物語は進まず、大石内蔵助が仇討ちを実行するか否かで迷う展開となる。奴として出てきたななこによって説得されるかと思いきや、彼女は仇討ちをやめるように訴える始末。そしてアクション仮面が「多数決」を採って「仇討ち中止」に決定で本話が終わる。大丈夫かいな…ちゃんと忠臣蔵になるのか?これ?と不安を抱かずにいられない。
 劇中に出てきたよしなが先生とまつざか先生のニュース番組は面白かった。「梅って呼ぶな!」のまつざか先生の台詞が聞けたし、何よりあのシーン中ずっとまつざか先生専用のBGMが掛かっていたのが良い。チョイ役なのに一番目立ってやんの…だがこれでこそ我らが「まつざか 梅」だ。
 ラストの風間君の台詞も良かったなぁ、「化けて出てやるっ!」って、もう出てるやん。

DISC2−2 「クレヨン大忠臣蔵 雪の巻」
名台詞 「私の名を略すな。ふんっ! 飼い犬に手を噛まれるとはこのことだ。この私に逆らおうとは、100億万年早いわっ! ふんっ!」
(ぶりぶりざえもん)
名台詞度
★★★
 討ち入りにきた大石しんのすけに対し、家臣2名(アクション仮面とカンタムロボ)を率いて戦っていた吉良上野介をぶりぶりざえもんだったが、自身の失言で家臣の二人が大石しんのすけに寝返ってしまう。寝返ったカンタムロボとアクション仮面が「見てわからんのか? 寝返ったのだ!」「覚悟しろ、ぶりざえ!」との宣言に対し、ぶりぶりざえもんは刀(千歳飴)を華麗に振り回しながら力強くこう答える。
 この台詞の語り口調と迫力はもうサイコー。塩沢兼人さんの演技力で素晴らしい気迫溢れる台詞になったことは確かで、その気迫は私の文章ではお伝えすることは不可能だ。そしてこの台詞がその内容に応じた気迫のある演技で演じられたからこそ、この次のシーンでの「おやくそく」が強烈なギャグとして生きる。最後の「ふんっ!」で刀を振り回したとき、ぶりぶりざえもんも振り返って誰もいない方向に刀を振り回しているという「おやくそく」だ。もちろんそこに敵の姿はなく、「戦わずして勝つ、これにて一件落着」と涼しい顔で語るぶりぶりざえもんと、これに容赦なく攻撃を加える他の登場人物達だ。
名場面 寝返り 名場面度
★★★
 屋敷の庭にあった豚小屋に隠れていた吉良上野介をぶりぶりざえもんと家臣の二人だが、大石しんのすけにみつかってあっけなく追い詰められる。風間内匠頭が「しんのすけ行け」と命ずるが、「仇討ちは復讐であり憎しみを生むだけ」とアクション仮面が制止。しんのすけはこれに「一理ありますな」と答えるが、野次馬の女の子達の応援とぶりぶりざえもんに対するヤジを聞いて「よーしやるぞ」と気合いを入れて刀を上げる。「早まるな、殿にも良いところがあるんだ」とアクション仮面がさらに制止するが、結局は「良いところ」が思いつかないというギャグとなる。これに怒ったぶりぶりざえもんが「良いから戦え、適当に戦ってやられてこぬか。その間に私は逃げる」と宣言。「そんな」と声を上げるアクション仮面とカンタムロボに対してさらに続ける「私にとってへっぽこ改造人間やポンコツロボの1匹や2匹、死んだところで痛くもかゆくもないからなぁ」…。もちろんこれでアクション仮面とカンタムロボはブチ切れ、大石しんのすけへ寝返ることになる。
 このシーンは今話で描かれた戦いで、形勢が180度転換してしんのすけ優位になるという大事なシーンだが、もちろんそれは「クレヨンしんちゃん」のぶりぶりざえもんらしいシーンとして描かれた。ぶりぶりざえもんの台詞もそこに至るまでの過程も、上手く皆の言動が選ばれていて「このメンバーで赤穂浪士打ち入れを再現すればこうなる」と誰もが納得する内容だったとも言える。特にぶりぶりざえもんの「小物感」と、そこから派生した発言ミスが家臣二人を寝返らせてしまうという流れは、よくやったと思った。ぶりぶりざえもんが首を取られるなら、こういう展開しかないだろう。
感想  いよいよ「クレヨンしんちゃん」キャラによる「忠臣蔵」は、あの討ち入りへと物語を進める。吉良上野介をぶりぶりざえもんによって「消費税85%」という大増税が決行された結果、悪政に苦しむ声を受けて大石しんのすけが立ち上がったという展開は面白く、その過程でよしなが先生とまつざか先生によるニュース番組が再度流されたのも嬉しい。同時に吉良上野介ぶりぶりざえもんの家臣二人が寝返るための伏線を張り出す。そしてあれよあれよという間に討ち入りの日となり、山鹿流陣太鼓ではなく鼓笛パレードで浪士達は吉良邸に討ち入る。
 最初は真面目な討ち入りシーンが流れるが、風間内匠頭がぶりぶりざえもんのパラパラアニメが描かれた襖に腹を立てる辺りから様相が変わってくる。庭に突然現れる豚小屋、そこで3人の影が見えてくればもう展開は「決着」へと流れ始め、名場面欄シーン、名台詞欄シーンへと続く。
 最終的にはしんのすけらが勝ち、アクション仮面とカンタムロボを加えてさに強力になった鼓笛パレードで屋敷から出てきたのは面白い。そして最後のオチは、ビームとミサイルで黒焦げになったぶりぶりざえもんに、しんのすけが醤油を掛けて「いいにおい」だから、予測通りとは言えサイコーウニ面白いオチだった。

DISC2−3 「オラたち三匹の子豚だゾ 第一話」
名台詞 「書いたゾ、ほうせきてん!」
(しんのすけ)
名台詞度
★★★
 三匹の子豚が母親に与えられたミッションは、「海へ行って真珠をもらってくること」。所持金が3000円しかない彼らはヒッチハイクで行くしかないが、車は停まってくれない。そこで三男(風間)が「行きたい地名を看板に書いて掲げれば良い」と提案、早速これを実行に移すことにして次男(しんのすけ)に「真珠がありそうな地名を書いてくれ」と命ずる。次男が紙とペンを持つこと数分、自信たっぷりに答えた返事がこれだ。
 なんかやらかしてくれると思ったらやっばりやってくれたって感じのところだろう。しんのすけに「行き先」を書かせればズレた返答が帰ってくるのはおやくそく。どんな形でおやくそくを実行するか、とぼけて山岳地帯でも書くのではないかと視聴者が想像するタイミングを見計らって「宝石店」だもんな…間違っちゃいないけどさ。
 また長男(ぶりぶりざえもん)がこれによって宝石店泥棒と理解するのも面白い。いずれにしてもこの二人の「間」が「クレヨンしんちゃん」らしくて好きなところだ。
名場面 作戦 名場面度
★★
 三人が協力できるようミッションをこなすまで家に帰ってきてはならないと、母親に追い出されてしまった三匹の子豚は途方に暮れる。「どうしたら良いんだ…」と泣く三男の胸ぐらを掴んで長男は「えいっ、メソメソしてんじゃねぇ! こうなったらやることはひとつしかねぇだろうが!」と力説する。「こいつ…いざとなると男らしいな」という三男の心の呟きを挟むと、「こうなったら! も一回ママに土下座して家にいれてもらお」と続ける長男。「おおっ 男らしい!」とこれを称える次男。「さて、そうと決まったら変えるか」とすまして歩く長男を三男が制止する。「ダメだ、やっぱりヒッチハイクしかない」と訴える三男に、長男はオカマ声で「いやーん、やだー、こわーい」と返す。「かわいいなぁ」と頬を赤らめる次男、呆れる三男。
 このやりとりで、この「三匹の子豚」のそれぞれのキャラクター性がハッキリしたと言って良いだろう。長男はいつものぶりぶりざえもんをさらに強烈にし、三男はいつもの風間君の真面目な部分を強調して使い、次男はその間でマイペースに動くというしんのすけらしいものだ。だがこの配置ではしんのすけが目立たなくなってしまい、ぶりぶりざえもんがボケ、風間君がツッコミという印象で強く残る。
 実は風間君とぶりぶりざえもんの直接のやりとりというのはあまりなかったのだが、この「三匹の子豚」ではこれが中心になる。その物語が本格展開する前にこの二人によるボケとツッコミをキチンと印象付けておく事で、「これもとんでもない物語になりそうだ」という期待と不安をうまく視聴者植え付けるから面白い。
感想  長男はぶりぶりざえもん、次男がしんのすけ、三男が風間君という「三匹の子豚」シリーズの第一話。童話の「三匹の子豚」とは設定からして大きく違い、これを全く踏襲しないのは子豚の母親が出てきたところでだいたい想像が付く。そしてその物語は「三匹の子豚が修行の旅に出る」というこれまたとんでもない展開だ。
 まず子豚の母親がいいキャラをしていて好きだ。三本の矢を子供達に例えて語るのは良いが、いつの間にかぶりぶりざえもんのペースに乗せられてしまっているところで「単なる母親キャラか」と思うところだが、子供達を送り出すところで機関銃をぶっ放すことでイメージがガラリと変わる。しすし機関銃のシーンでは薬莢が散らばるところを敢えて省略しなかったのは好きだ。薬莢が散らばる殺伐とした光景の中であの母親が子を思う台詞を吐いても、説得力が無いから面白い。
 そして今回、子豚たちは旅に出るものの結局は旅に出たところで躓いているだけだ。ヒッチハイクをしようにも車は停まってくれない、そうこうしているうちにしんのすけの一言で脱線してゆくという繰り返しだけだ。しかし、後半で出てきたタコ焼き屋のシーン、あのタコ焼きが本当に美味しそうに描かれていて感心した。なんか匂いが漂ってきそうなシーンだった。あれじゃぶりぶりざえもんがふらふらーって行ってしまうのも無理はない。タコ焼きを焼いているワンカットなんか、画面が微妙に揺れているのがとても良い。

DISC2−4 「オラたち三匹の子豚だゾ 最終話」
名台詞 「でも、こいつら二人はよく頑張ったんだ。ママ、こいつらだけでも家に入れてやってくれ。頼む…。」
(ぶりぶりざえもん)
名台詞度
★★★
 このぶりぶりざえもん特集とも言えるDVDで、初めてぶりぶりざえもんの「真面目な台詞(ノーギャグ)」を見たなぁ。だってこれまでのぶりぶりざえもんの台詞って、必ず何かのギャグと繋がっていたもんなぁ。前話名場面欄参照。
 ぶりぶりざえもんはこのDVDを通じて真面目な台詞はこれだけ。という訳で彼の意外な一面根見えてくる。それはこの物語のこのシーンの通り、何処か恨めないだけでなくいざって時には結構頼りになる存在だと言うことだ。
名場面 トラックの車内にて 名場面度
★★★★
 ヒッチハイクで最初に停車した車は風間がぶりぶりざえもんのギャグに乗せられてしまったことで逃げられてしまい、2台目の車は美しい女性の強盗で所持金を全て奪われてしまう。そして迎えた3台目はトラック、ぶりぶりざえもんが「よし、絶対に乗せてもらうぞ」と意気込んで運転席のドアを開ける、「おーい、頼む、海まで乗せてくれって…あのねぇ」と途中で声がしぼんでしまったのは、その運転者が顔に傷を持ったとても怖い顔の男だからだ。3匹を乗せてトラックが走り出すと「誰か話しかけろ」とぶりぶりざえもんが促したことで、しんのすけが「今まで何人殺しましたか?」と声を掛ける。青ざめるぶりぶりざえもんと風間君。運転者は「3人」と答えるが、2匹が怖がったところで「ジョークだよ」と付け加える。「ほうほう、イタリアンジョークですな」としんのすけと続けると、「わかる? 君とは話が合いそうだな」と運転者が続けて3匹にサンドイッチと飲み物を提供する。これを喜んで食べるぶりぶりざえもんと風間君だが、「オラ達を太らせて食べる気だな」としんのすけが口を挟むと運転者が「その通り」と返す。風間君が震えながら「今のも、イタリアンジョークですよね?」と問えば「そっちの兄ちゃんも解ってきたじゃねえか」と運転者は笑う。青ざめた顔で笑う二人。
 ここのやりとりは大好きだ。まず強面の運転者が臼井儀人先生の4コマ漫画に出てくるヤクザそのまんまなのが笑った。そしてしんのすけの「何人殺しましたか?」は、そのような強面が出てくる臼井先生の4コマ漫画のおやくそく。確か組長先生初登場でもしんのすけがこう聞いていた記憶があるぞ。もちろんこの展開ならそれは「質の悪いギャグ」として帰ってくるのも当然だろう。ここではしんのすけが一人で強面の運転者と意気投合し、残った二人が怖い思いをしているという対比もこれまた面白く、「三匹の子豚」シリーズで一番印象に残ったシーンとなった。
感想  「三匹の子豚」シリーズ、前回が「第一話」だったから何話まであるのかと思ったら、第一話と最終話の2話構成とは…まずこれでずっこけた。
 前回はヒッチハイクが上手く行かない展開だったが、今回は逆にヒッチハイクが上手く行く展開に変わる。最初の車では三男が包丁を持たされただけでああなっちゃうとはなぁ…ギャグ漫画とは恐ろしい。そして2台目はこちらから積極的なアピールがないのに停車する車、しかも乗っているのは美女が二人。こんなうまい話はあり得ないと思ったところで有り金を全て強奪されるが、この時に出てきた拳銃型ライターも臼井先生のおやくそくだ。
 そして3台目が名場面欄であり、これで一行は海に着くが…ここで真珠が手に入らないという展開を手短にしたのは良い。だって、ここではギャグを入れられないからね。でも「家へ帰ってママに謝ろう」でしんのすけが「死んでお詫びを」というギャグは自然に入っていた。そして名台詞欄に示したように、ぶりぶりざえもんですらギャグを言えない真面目なシーンで物語は終わり…と思ったら最後はみんなで自分の「ぞうさん」を見ているもんなー。やっぱりギャグ漫画は怖い。

DISC2−5 「ひまわりはオラの子分だゾ」
名台詞 「ダメよ〜、ディカプリオ…」
(みさえ)
名台詞度
★★★★
 原作漫画でもよく出てくるみさえの寝言だが、どんな夢を見ているんだろう…?
名場面 おパンツ部隊 名場面度
★★
 ひまわりを子分としたしんのすけの「桃太郎ごっこ」はだんだんエスカレートしてゆく。昼寝しているみさえ(名台詞欄参照)を「鬼退治」と称して攻撃した後、タンスの中にある下着を散らかし放題。そのパンツの一枚が昼寝中のみさえの頭に乗ると「ナイトキャップでオシャレ」としんのすけが語り、自らは女物のパンツをかぶって「オラもオシャレー」と叫ぶ。そしてひまわりには「子分には特別にオラのアクション仮面おパンツを貸してやるぞ」と自分のパンツをかぶらせる。そして兄妹はパンツをかぶって「おパンツ部隊出発!」と叫んで部屋中を歩き回る。
 このシーン、バカバカしくて好き。それにしてもひまわりは女の子なのに、無残にも男物のパンツをかぶらされてしまうとは…こんなんじゃお嫁に行けないぞ、まぁもう18年位赤ん坊やっているから関係ないか。
感想  久々の「外伝設定」から外れたエピソードだ。ぶりぶりざえもんは当初の設定通り「しんのすけ自作の物語の主人公」になって桃太郎に扮している、それが冒頭で出てくるだけだ。
 そして自作の物語の中でぶりぶりざえもんを桃太郎にしただけでは飽き足らず、今度は自分が桃太郎になって家の中をかけずり回るというお話。きびだんごの代わりにフルーツゼリーでひまわりを古文にするが、もちろん赤ん坊のひまわりが思うように動いてくれない…と思いきや、しんのすけは最後のオチまでひまわりという赤ん坊を完全に制御してしまう。こうしてサブタイトル通り、ひまわりがしんのすけの子分となるのだ。
 名台詞欄に登場したみさえは、ずっと昼寝しているだけで実は殆ど台詞もないどころか動かない。だが原作漫画でもよく描かれる「ディカプリオの夢を見ているみさえ」は何度見ても面白いし、かわいいと感じてしまう。そして今話では、その夢を見て寝ているみさえを担当のならはしみきさんがうまく演じたので、ずっと寝ているだけにもかかわらず強烈な存在感があるから面白い。まぁ、見ている方も「いつみさえが目を覚まして大目玉を食らうか」と思いながら見ているというせいもあるんだけど…結局みさえが目を覚まさず、オチは別のところにある点がこの物語の面白いところだ。
 語りどころが少ない回ではあるが、この話はしんのすけとひまわりのキャラクター性というものも存分に活かされているので見ていて愉しい一話だ。たいした内容ではないのだけど、また見たくなるのが不思議なんだな。

DISC2−6 「野原刑事の事件簿 アイドル暗殺計画」
名台詞 「ああーん、挟まっちゃった。大きすぎるのも問題よね。」
(ヨーコ)
名台詞度
★★★
 今回、ぶりぶりざえもんが扮するイタリア人刑事(名前は面倒だから省略)に「通訳」としてつけられた女性刑事の習志野ヨーコが登場する。日本語を普通にしゃべっているぶりぶりざえもんに通訳が必要かどうかは置いておいて…。
 夜、レミがついに襲われる。レミを襲ったのは「くどい顔」で有名な国際テロリストのラベンダー増尾(これも原作漫画通り)。増尾を追いかけた一行は発信器付きの巨大な洗濯ばさみ型ミサイルに蹂躙される。その発信器は最初はひろしの額に張り付き、ひろしがこれを剥がして適当に投げるとヨーコの「胸の谷間」に挟まる。このときにヨーコが胸元の発信器を外しながら語るのがこの台詞だ。
 この台詞でヨーコのキャラクター性が決定したと思う。ここまで真面目なキャラなのか、それともギャグ要員のネタキャラなのか、彼女の立場は明確にされていなかった。ただそのとぼけた声の演技がどう考えても真面目なキャラに見えないという位だった。ヨーコはここでその容姿…つまり「巨乳」という要素を突然自己主張し始めた。もちろんこれはこの次のシーンでこの発信器がみさえの胸元に入るが、胸が小さいため素通りするというギャグにつなぐ台詞である。このギャグへつなぐためにこの台詞を吐いたことで、彼女がギャグを作る立場になったと見えるシーンだ。
 だがヨーコが面白くなるのは今話ではない、ネタキャラとしてのその力を発揮して印象に残るのは次話でのことだ。
名場面 嫌がらせ 名場面度
★★★★
 アイドルの三郷レミの警護を依頼されたかすかべ警察署一行は、レミが受けた嫌がらせの内容を報告される。その内容は「無言FAX」に始まり、「明日の3時に」とだけ書かれた手紙や、選択肢だけが書かれていて問題の無いクイズが送られてきたり、プロダクションが取っている新聞に連載されている4コマ漫画のオチだけが切り取られる…という嫌がらせ被害を受けているというものだ。
 実はこれ、原作漫画のまんまの内容である。だがその受けた嫌がらせの内容が臼井先生らしい発想で大笑いした記憶がある。本作はアニメ化に当たって設定などが大幅に変更されているが、それでもこの部分が原作漫画まんまに再現されたからとても嬉しい部分だ。
 しかし、一つ残念何なのは「新聞の4コマ漫画」のくだりだ。原作では新聞が読売新聞になっていて、切り取られているのも「コボちゃんの4コマ目」と明記されている。さすがにテレビ朝日でそれをまんまやるわけに行かなかったんだろうな…これを見たときだけ「クレヨンしんちゃん」が日本テレビ系列だったら良かったのに…と思った。
感想  久々の「野原刑事の事件簿」シリーズ。今回はアイドル暗殺事件という原作にもある話だが、一部のギャグを利用しているだけで内容は設定からして全く別物である。だが原作から引っ張り出したギャグは臼井先生らしくて大笑いできるものばかりで、原作が好きな人ははまりやすい作品であると思われる。
 今回はぶりぶりざえもんの登場が前シリーズと同じだが、これをヨーコが出てきたことで「同じ事の繰り返し」にならないようにうまく処理したことは感心した。だがこのシーンから名台詞欄シーンまでヨーコの存在感はなく、次話であれほど印象に残るキャラになるとは誰も思わないところだ。その間のプロダクション会社シーンではぶりぶりざえもんが機関銃を乱射したり、レミの生足写真を撮って出版社に売り込もうとするなどもうメチャクチャな事ばかりで笑える。
 そしてレミの家の警護シーンで、今回は徹底的にみさえが「いぢられ役」になっているのもポイントだ。レミの身代わりに襲われればヨーコに「バケモノ」と言われ、名台詞欄シーンの直後では「胸が小さい」というおやくそくでいじられる。でもみさえがいじられてこその「クレヨンしんちゃん」と思うのは私だけではないはずだ。

DISC2−7 「野原刑事の事件簿 暗殺団潜入捜査」
名台詞 「こらっ! この店は豚の毛が入った物を食べさせる気か! ごめんで済んだら警察いらねぇんだよ! インターポールをなめんな…いけない。ブヒッ…ブヒッ…。」
(ぶりぶりざえもん)
名台詞度
★★★★
 暗殺団のアジトでもある飲食店で、しんのすけ・ぶりぶりざえもん・ヨーコはとにかく食べまくる。食事を終えるとしんのすけとぶりぶりざえもんがひろしに支払いをするよう命ずるが、ひろしの財布には必要な金額がなかった。警察官という設定だから食い逃げをする訳にもいかず、ひろしが悩んでいると、ぶりぶりざえもんが「私にまかせておけ」というと自分の体毛を飲みかけのスープに入れ、店員を呼んでこう叫ぶ。
 いかにも「小物」が考えそうな場の取り繕い方であるが、なによりもここで面白いのはぶりぶりざえもんが自分の体毛を利用してこのような行為に及ぶことと、調子に乗ったぶりぶりざえもんがついうっかり口を滑られて自分たちの正体をバラしてしまうことだろう。ここに「長期的視野」で物事を見ていないぶりぶりざえもんの性格が良く出ている。同時に自分の失敗に気付いた後の「変わり身」は見事であり、四つん這いになってブタになりきる調子の良さは、まさにぶりぶりざえもんらしくて好きだ。
 特にこの台詞は調子こいてクレームを付けるぶりぶりざえもんと、失敗に気付いた後のぶりぶりざえもんの「落差」をうまく演じている塩沢兼人さんの演技も光っている。これまでの平和なギャグシーンから、敵の暗殺団に捕らえられるという物語の暗転を面白おかしく素晴らしい演技で上手くつないだと感心だ。
名場面 イタリアの首都は? 名場面度
★★★★★
 捜査活動もせず食ってばかりのぶりぶりざえもんに、ひろしが食って掛かる。これにぶりぶりざえもんが「静かにしろ! イタリア人は食事の時間を一番大切にするのだ」と力説。これにひろしが「いらリアの首都は何処か言ってみろ!」と返すと、ぶりぶりざえもんは冷や汗マークを出してフリーズする。そのぶりぶりざえもんにヨーコが耳打ちした後、ぶりぶりざえもんは自信たっぷりに「スペイン!」と答える。ひろしが「やっぱりインチキじゃねーか」と叫ぶ。
 この予想外のあり得ない返答を堂々と答えるぶりぶりざえもんも好きだが、ここはそう答えることを教えたと見られるヨーコが面白い。「この女、どこまで本気で何処までギャグなんだ」と思わずにいられず、彼女がとても印象に残ったところだ。
 このヨーコというキャラは、本話では無口ながらもとても印象に残る活躍をする。このシーンでの耳打ちで一気に存在感を増し、正体かがバレてボスのところへ連れて行かれても一人落ち着いてコーヒーを飲んでいたりする。ぶりぶりざえもんと一緒にギャグをやったと思えば、敵に寝返ろうとするぶりぶりざえもんをギャグで制止したりと、その行動が一定でないところがこの女性の面白く、印象に残った点だ。
感想  本DVD収録の「野原刑事の事件簿」シリーズで一番好きな話。名場面欄シーンにも書いたが、この回は習志野ヨーコちゃんの動きが面白すぎる。ギャグだけでなく、フライパンを使ったアクションシーンも格好良かったし…何よりも事件そのもののオチと、物語全体のオチの双方を彼女が締めるところも強印象点であるだろう。前者はガス漏れしている部屋でタバコを吸おうとしたぶりぶりざえもんに、ひろしとみさえが制止するより先に火を差し出してガス爆発を誘発するし、後者ではかすかべ湾(?)で泳ぎながらの「ニューヨークで入浴」だもんなぁ。本話の制作者にヨーコちゃんがお気に入りの人がいると私は見ているのだが。
 その他の点も今話はテンポが良くて好きだ。冒頭でひまわりが前話で捕まえたラベンダー増尾を取り調べているのも笑った。この時のひまわりの演技も大好き、で結局は上手く「吐かせる」ことに成功するという展開は、「言葉が通じない、ダメだ…」みたいなベタな展開より面白い。
 「寝返り」というぶりぶりざえもんの専売特許を、暗殺団のボスが使ってしまうところも面白い。あのギャグは色んな人が使うからこそ面白いのだと思う。もちろんその前にぶりぶりざえもんがしつこくやるから、他の人が使うときにギャグとして活きてくるんだと思う。そういう様々な面白い要素があるから、好きなんだこの話。

DISC2−8 「ぶりぶりざえもんの冒険 ゴールドフィンガー銀ちゃん 前篇」
名台詞 「黙れ、このトンカツ2日前!」
(銀之介)
名台詞度
★★★★★
 今話と次話は本来の設定ならしんのすけの祖父である銀之助が寿司職人となって活躍する回だけあって、早速名台詞欄にも銀之助の名が上がった…という訳ではない。銀之助のボディガードを頼まれたぶりぶりざえもんが「この小汚いじじいの何処にそれだけの価値があるのだ?」と問うた返事が、げんこつとこの台詞であるのだが、この短い台詞は臼井儀人先生ならではのセンスだと思う。ブタを罵るのに「トンカツ2日前」って…旨そうじゃないか!
 このネタは原作漫画でもあって大笑いしたギャグだ。このセンスをそのままアニメで再現した製作会社に乾杯!
名場面 魔の手 名場面度
★★★
 しんのすけとぶりぶりざえもんに寿司を食べさせた銀之助は、「魚河岸へ行ってくる」と言って店を出る。「おいっ、じじい、生命狙われているんだから大人しく家に居ろってえの」とぶりぶりざえもんが制止するが、「寿司屋が河岸行かねぇでどうするだ?」と反論して家を出て行く。だがその影には、既に銀之助を狙う男の姿が描かれている。タバコをくわえながらなぜかバッグからゴルフクラブを出す男をよそに、河岸へ行くか行かないかで激論している銀之助とぶりぶりざえもんの会話が挟まる。その銀之助の横顔にスコープが現れる、そして銀之助の生命を奪う武器は…ゴルフクラブとゴルフボール、ご丁寧に地面にはティまで打ってある。男か「死ねぇぇぇぇ!」と叫びながらゴルフクラブを振り上げるが、しんのすけがこれに気付いて「危ない!」と声を上げる。クラブがボールを打ったところで、物語は「つづく」だ。
 冒頭で最初の銀之介暗殺シーンが描かれていたとはいえ、そのシーンはしんのすけの立ちションによりあっけなくギャグシーンへ変化してしまっている。だからこの二度目の暗殺シーンは、銀之助と孫娘のおみねに迫り来る「魔の手」を上手く再現していて物語が盛り上がるところだ。この盛り上がりどころをノーギャグで流して、「つづく」にするあたりはうまく視聴者の関心を物語に引いていると思った。またしんのすけだけが銀之助のピンチに気付いている点は、物語を盛り上げる要素だ。
 これをみた視聴者は続きが気になって物語に引き込まれると同時にこう思うことだろう、「続きではこれをどうやってギャグとして処理するのか?」と。「クレヨンしんちゃん」というギャグアニメだからこその視聴者の引きつけ方だ。
感想  久々の「ぶりぶりざえもんの冒険」、そして今話は本来ならばしんのすけの祖父である銀之助を巡る物語だが、外伝設定のため「しんのすけの祖父」という設定は一時的に消されている。代わりに銀之助には「おみね」というどこかで見たような孫娘が設定され、銀之助はぶりぶりざえもんに対するツッコミ役として、おみねは「天然」役として物語を進める。
 物語は冒頭から銀之助の暗殺シーンが描かれるが、それを超えてしまえば次回へ向けての物語構築と伏線設定だけでほぼ1話を消費する。正しく言えばラストシーンである名場面欄シーンだけが今話で物語が前進する箇所だ。そこまでの展開はしんのすけとぶりぶりざえもんの掛け合いで始まり、すぐにおみねがトイレットペーパー片手に崖をよじ登ってくるという奇想天外な展開へと進み、銀之助とぶりぶりざえもんの軽快なボケ・ツッコミを挟みながら寿司屋の物語へと流れてゆく。冷静に書けばそれだけだが、その間の各者の会話がいちいち面白いのがこの物語のポイントだ。
 しかし、銀之助とぶりぶりざえもんってどこか似ているところがあるのに、本当に合わないよなーと思わせてくれる話だ。ぶりぶりざえもんは基本的に「じじい」をバカにしているし、銀之助はぶりぶりざえもんを「ブタ」だとして信用していない。この構図を次回も含めて最後まで崩さないからこそ、この2話シリーズは面白いんだなぁ。
 さぁ、名場面欄の続きは如何に?

DISC2−9 「ぶりぶりざえもんの冒険 ゴールドフィンガー銀ちゃん 後篇」
名台詞 「でもオラ、自由という風に吹かれていたいから…。」
(しんのすけ)
名台詞度
★★
 物語のラスト、おみねに「一緒に寿司職人をやろう」と誘われたしんのすけは、この台詞を残して銀之助とおみねと分かれて旅に出る。
 う〜ん、似合わない。しんのすけが吐く台詞ではないのだが、ここはこういう柄にない台詞を言ってあっさり分かれるからこそいいシーンになる。しんのすけはこの直前で頬を赤らめて、おみねと一緒に寿司職人という道も想像するが、そういう「いつものしんのすけ」を見せた後だから活きる台詞だ。
 でもしんのすけって、何処でも自由気ままにやっているよな…。
名場面 爆弾処理 名場面度
★★★★
 本エピソード後篇で、最も印象に残るギャグシーンは中盤のこのシーンだ。トイレで用を足していた銀之助が「助けてくれー」と声を上げる。おみねがトイレのドアを開けると、銀之助は便器に座ったまま「これを見ろ」とトイレットペーパーを指さす。トイレットペーパーには爆弾が仕掛けられていることと、動くと爆発する事が書かれていた。ところがぶりぶりざえもんは誇らしげに「こんなこともあろうかと、私は爆弾処理の免許を持っている。しかも2級!」と豪語し、トイレの中を調べはじめる。信用できない顔でその様子を見守る銀之介、おみねは「そんな免許、何処でくれるの?」とハッキリ不信を口にする。「これは!」とぶりぶりざえもんが声を上げる皆が反応すると、「おしり洗浄機能付きだ」とボケるのはおやくそく。その後にぶりぶりざえもんが起爆装置を見つけ「奴がいた」と叫びを上げる。それはレーザー光線で便器に座った人の動きを感知する起爆装置で、赤と青のコードが露出していた。「だが心配するな、この私のひづめニッパーでこの赤と青のコードのうち青い方を切れば…」とぶりぶりざえもんが語る。ひづめが青いコードに掛かって切れようかという瞬間、「緊張するなぁ」といって作業を一時サボる。銀之助に殴られたぶりぶりざえもんは再度ひづめを青いコードに伸ばすが、しんのすけが「赤じゃないの?」と言うと吊られて赤いコードを切断してしまう。「なんということを!」叫びかけたぶりぶりざえもんだが、起爆装置は爆発しない。「あれ?…私の的確な判断が爆発を防いだか」と豪語するぶりぶりざえもんに、銀之助が鉄拳制裁を喰らわすが、その弾みでぶりぶりざえもんが青いコードも切ってしまい、起爆装置が作動して爆発…という展開だ。
 ここはぶりぶりざえもんの言動がいちいち大袈裟で、かつ真面目にやっているから面白い。ぶりぶりざえもんが真面目にやれば真面目にやるほど面白く、その面白くなった頃合いを見計らってギャグを入れてくる。だからとても印象に残るギャグシーンだ。
 またツッコミどころ満載なのもこのシーンの良いところ。本話は江戸時代が舞台のはずだが、トイレの入り口には「トイレ」とカタカナで書かれており(考察文はこの表記に従った)、銀之助が座っている便器は当時はないはずの洋式便器、しかもウォシュレット付きだ。もちろん江戸時代にトイレットペーパーなんかあるはずもない。だがこのようなツッコミどころのせいで最も重大なツッコミどころが忘れ去られるシーンでもある、それは脅迫相手がどうやって家の中でもことさら密室度の高いトイレに忍び込んで爆破装置を仕掛けたかという点だ。しかも脅迫文はトイレットペーパーだが、トイレットペーパーを丸ごと交換したんだろうなぁ。
感想  「ゴールドフィンガー銀ちゃん」シリーズの決着話。この話ではぶりぶりざえもんの活躍は殆ど無い。冒頭と、名場面欄シーンと、最後のオチだけだ。まぁ肝心な部分でぶりぶりざえもんが出てきたら、物語を破壊されてしまうのは確かだから、本筋部分ではその存在を忘れておくのがベストだろう。
 前話名場面欄シーンの続きはあっけなくギャグで流される。ぶりぶりざえもんが銀之助を庇おうとしたら、その勢いでゴルフボールが銀之助の眉間に当たるというものだ。この時のぶりぶりざえもんの「おじいちゃん!」は味があって好きだ。これで銀之助は倒れるが、「よくもおじいちゃんを…」と怒りに燃えるぶりぶりざえもんを見てすぐ起き上がり「なにがおじいちゃんだ」と殴るシーンも大好きだ。
 後は名場面欄シーンで銀之助が怪我をして寿司を握れなくなり、代わりにおみねが寿司を握ると言うベタな展開なのだが、このベタな展開で感心したのは前話で張った伏線を全部回収している点だ。銀之助の店に居着いている野良猫の存在、その野良猫がおみねの寿司の周りを回る習性など、前話の展開を一つも無駄にしていない。どっかの某長い旅の制作者に見本として見せてやりたいよ。
 そしてオチは「回転寿司」につながり、ハッピーエンドののちしんのすけがどこかへ旅立つというのは「ぶりぶりざえもんの冒険」シリーズの定番。もちろんぶりぶりざえもんは残って助けた相手に「お助け料」を請求している。でもそんな「ぶりぶりざえもんの冒険」シリーズも、これが最後とは…残念。

DISC2−10 「大河時代劇スペシャル! 春日部黄門」
名台詞 「旅にでます。わたしを探さないで下さい。」
(ぶりぶりざえもん)
名台詞度
★★★
 悪代官らの企みがバレて、ここにかすかべ将軍に乗り込まれる。悪代官らは早速用心棒の手を借りようとぶりぶりざえもんを呼ぶが、彼は置き手紙を残して姿を消していた。その置き手紙の内容としてぶりぶりざえもんの声で読み上げられるのがこの台詞である。
 物語がぱーっと盛り上がったところで、出鼻をくじくとはまさにこのことだろう。肝心なときに小物らしくしっかり逃げている点は、何処まで行っても、どんな設定の外伝でも、ぶりぶりざえもんはぶりぶりざえもんでしかないと言うことだ。しかもこの台詞に上手く抑揚を付けず、淡々と読み上げている辺りがとても良い。「逃げる」という感じではないからここがギャグとして活きる。
 そして旅に出たはずのぶりぶりざえもんが、かすかべ将軍が印籠を出せば「ただいま」って言って簡単に帰ってくるからこれまた面白い。本DVDの最後の最後で、ぶりぶりざえもんらしいシーンを見せてもらったわ。
名場面 はらぐろ屋 名場面度
★★★
 今話の冒頭は、悪代官と悪巧みをする悪徳商人の会話からスタートする。「蕎麦屋を潰して健康ランドを建てる」という企みを実行するに辺り、悪徳商人が「奥の手」の用心棒としてぶりぶりざえもんを紹介する。ぶりぶりざえもんは悪代官に良いところを見せるべく、剣術でろうそくの火を消そうとするが…これに失敗して口で吹き消してる。そのやりとりの後、悪徳商人の背後にボーちゃんが居るのが見える、以降悪徳商人と悪代官の会話中、ずっとボーちゃんが商人の背後に居るのだ。
 このシーン、何処が良いってやはりボーちゃんだ。こういう地味な役に最も適している彼のキャラクター性が見事に出ている。なんてったってなにも語らないのに、そこにいるだけで存在感が大きいのだ。その上でそのシーンに必要な「気配を消す」という動作も忘れていない、まるで彼は森に生えている木のようにそこに自然といるのだ。
 これと、いつも通り小物ぶりを発揮しているぶりぶりざえもんとの対比は、今話で一番の見所かも知れない。
感想  最後は「水戸黄門」のパロディだ。悪役はオリジナルキャラクターだが、そこに用心棒としてぶりぶりざえもんが加わる。そして助さん格さんに風間とマサオが、「風車の弥七」ならぬ「乳母車のボー七」にはボーちゃんが、助けられる蕎麦屋の女将にネネが、そして黄門様はしんのすけという配役だ。だがこの中の多くが目立った活躍がなく、終わってみると印象に残るのがぶりぶりざえもんとボーちゃんだけという、予想外の結末を迎える。ネネなんか何のために出てきたかよくわからんし。
 しかし「乳母車のボー七」って良いよなぁ。隠密通信のために乳母車をガラガラ転がしたら目立ってしょうがないぞ。しかも夜道でスポットライトに照らされているのはもっと笑った。この話、ボーちゃんの回だよね、絶対に。

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