DISC2−7 「野原刑事の事件簿 暗殺団潜入捜査」 |
名台詞 |
「こらっ! この店は豚の毛が入った物を食べさせる気か! ごめんで済んだら警察いらねぇんだよ! インターポールをなめんな…いけない。ブヒッ…ブヒッ…。」
(ぶりぶりざえもん) |
名台詞度
★★★★ |
暗殺団のアジトでもある飲食店で、しんのすけ・ぶりぶりざえもん・ヨーコはとにかく食べまくる。食事を終えるとしんのすけとぶりぶりざえもんがひろしに支払いをするよう命ずるが、ひろしの財布には必要な金額がなかった。警察官という設定だから食い逃げをする訳にもいかず、ひろしが悩んでいると、ぶりぶりざえもんが「私にまかせておけ」というと自分の体毛を飲みかけのスープに入れ、店員を呼んでこう叫ぶ。
いかにも「小物」が考えそうな場の取り繕い方であるが、なによりもここで面白いのはぶりぶりざえもんが自分の体毛を利用してこのような行為に及ぶことと、調子に乗ったぶりぶりざえもんがついうっかり口を滑られて自分たちの正体をバラしてしまうことだろう。ここに「長期的視野」で物事を見ていないぶりぶりざえもんの性格が良く出ている。同時に自分の失敗に気付いた後の「変わり身」は見事であり、四つん這いになってブタになりきる調子の良さは、まさにぶりぶりざえもんらしくて好きだ。
特にこの台詞は調子こいてクレームを付けるぶりぶりざえもんと、失敗に気付いた後のぶりぶりざえもんの「落差」をうまく演じている塩沢兼人さんの演技も光っている。これまでの平和なギャグシーンから、敵の暗殺団に捕らえられるという物語の暗転を面白おかしく素晴らしい演技で上手くつないだと感心だ。 |
名場面 |
イタリアの首都は? |
名場面度
★★★★★ |
捜査活動もせず食ってばかりのぶりぶりざえもんに、ひろしが食って掛かる。これにぶりぶりざえもんが「静かにしろ! イタリア人は食事の時間を一番大切にするのだ」と力説。これにひろしが「いらリアの首都は何処か言ってみろ!」と返すと、ぶりぶりざえもんは冷や汗マークを出してフリーズする。そのぶりぶりざえもんにヨーコが耳打ちした後、ぶりぶりざえもんは自信たっぷりに「スペイン!」と答える。ひろしが「やっぱりインチキじゃねーか」と叫ぶ。
この予想外のあり得ない返答を堂々と答えるぶりぶりざえもんも好きだが、ここはそう答えることを教えたと見られるヨーコが面白い。「この女、どこまで本気で何処までギャグなんだ」と思わずにいられず、彼女がとても印象に残ったところだ。
このヨーコというキャラは、本話では無口ながらもとても印象に残る活躍をする。このシーンでの耳打ちで一気に存在感を増し、正体かがバレてボスのところへ連れて行かれても一人落ち着いてコーヒーを飲んでいたりする。ぶりぶりざえもんと一緒にギャグをやったと思えば、敵に寝返ろうとするぶりぶりざえもんをギャグで制止したりと、その行動が一定でないところがこの女性の面白く、印象に残った点だ。 |
感想 |
本DVD収録の「野原刑事の事件簿」シリーズで一番好きな話。名場面欄シーンにも書いたが、この回は習志野ヨーコちゃんの動きが面白すぎる。ギャグだけでなく、フライパンを使ったアクションシーンも格好良かったし…何よりも事件そのもののオチと、物語全体のオチの双方を彼女が締めるところも強印象点であるだろう。前者はガス漏れしている部屋でタバコを吸おうとしたぶりぶりざえもんに、ひろしとみさえが制止するより先に火を差し出してガス爆発を誘発するし、後者ではかすかべ湾(?)で泳ぎながらの「ニューヨークで入浴」だもんなぁ。本話の制作者にヨーコちゃんがお気に入りの人がいると私は見ているのだが。
その他の点も今話はテンポが良くて好きだ。冒頭でひまわりが前話で捕まえたラベンダー増尾を取り調べているのも笑った。この時のひまわりの演技も大好き、で結局は上手く「吐かせる」ことに成功するという展開は、「言葉が通じない、ダメだ…」みたいなベタな展開より面白い。
「寝返り」というぶりぶりざえもんの専売特許を、暗殺団のボスが使ってしまうところも面白い。あのギャグは色んな人が使うからこそ面白いのだと思う。もちろんその前にぶりぶりざえもんがしつこくやるから、他の人が使うときにギャグとして活きてくるんだと思う。そういう様々な面白い要素があるから、好きなんだこの話。 |