第12話 「アデレードの夜」 |
名台詞 |
「あのなベン、その…酒はすぐにはやめられそうもないが、患者は真面目に診ることはここで誓ってもいいよ。いや、ハッキリここで誓うよ、ベン。」
(デイトン) |
名台詞度
★★★★ |
居留地の樽の中でベンとデイトンが語り合う。ベンはデイトンを見ていて医者になろうという気力が下がってしまったことを告白し、デイトンに「酒を呑みすぎだ」と批判する。「生意気を言ってごめん」というベンに、デイトンは力強くこの台詞を吐く。
デイトンは酒好きなだけでなく、どこかに不真面目な要素もあると自覚していたのだろう。それを何とかしなきゃならないという思いもあったに違いない。それをベンに直接批判されるとそれに腹を立てるでなく、ここでしっかりしなければならないという決意となる。
さらにこれはベンに真面目になると誓っただけでなく、オーストラリアという見ず知らずの土地でやっていくという決意の表れでもあるだろう。この語のデイトン、しばらくは酒に溺れるが徐々に真面目な医師として変化するのである。そんなデイトンの視点でこの物語を見るのも悪くないだろう。 |
(次点というか…)「私、この服気に入ってるの!」(ルーシー)
…うん、余程気に入ってるようだね! いつも同じ服着ているし! |
名場面 |
アーサーVSペティウェル第二戦。 |
名場面度
★★ |
ペティウェルが向かいがポップルの家だと知ってつかつかと歩いてくる。アーサーが出て行くとありきたりの挨拶で始まるが、無論この二人の会話が近所になった挨拶で済むわけがない。
まずペティウェルが小屋について散々言った後、「組み立て式の住宅を売ったことを悔やんでいるようだな」と聞く、「別にそんなこと考えてもいませんよ」というアーサーの言葉には負け惜しみも悔しさも微塵も感じられない。だがこの後のペティウェルの言葉にアーサーも視聴者もあたま来る事になる。「目に前に建てなきゃならないので心を痛めていたと」白々しく言うのだ。さらに「家を建ててもらえないか」だなんてふざけるのもいい加減にしろと答えたい気分、いや、テレビの前の視聴者はペティウェルに向かってそう叫んだ者もいるだろう。もちろんアーサーは断る。足しよう語気が荒くはなっているもののつとめて冷静に「お断りします」というアーサーに「男」であり「父親」を感じるシーンなのだ。
さらに金で解決させようとしたり、召使いを馬鹿呼ばわりまでしてアーサーに頼もうとするペティウェルを見てもうムカムカムカムカムカムカ…それでも負けないアーサーは凄い。これで一発殴りでもしたら負けだもんね。
自分だったら、ブチギレして何を言っているか分からなくなりそう。
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(次点というか…)ケイトからヤギが子供を生むと聞いたルーシーが家から飛び出す
…「世界名作劇場」歴代主人公の貴重なヌードシーンとして有名…だけど色気0%!
ちなみにルーシーの着替えシーンは今回だけではない。「世界名作劇場」歴代女の子の主人公で、最も肌の露出度か高いかも?(全て色気ナシ!)
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登場動物 |
飼われているもの→モッシュ・ステッキー・マックさん家の鶏
野生のもの→ |
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感想 |
ルーシー危機一髪、でもあっけなく原住民に助けられて「なぁんだ」と思ったらアーサーが勘違いして原住民に怒りをぶつける。言葉通じなくてよかったね!と当時は考えながら見ていた。
そんな感じで前半は余談で過ぎる、トヴが消えたと思ったらマックさん家の鶏小屋で寝ていた件や、羊の移動に四苦八苦するケイトや、ルーシーのヌード(笑)など、特に話を左右するような重大な事件は起こらず、家族が右往左往している光景が冷静に描かれている。
後半は少し重みが出てくる。ペティウェルのあの態度はやっぱあり得ないだろう。「世界名作劇場」でこれほど見ていてムカつく人間はいるだろうか? 主人公に意地悪する人間はそれなりに理由があるのだが、ペティウェルにはそれが感じられずそういうレベルの低い人間にしか見えない。そしてベンとデイトン、デイトンがハッキリ決意するシーンがあるが、ここではまだすぐに決意したとおりの人間にはなれないのがこの物語の良いところ。デイトンもこれから何度か酒が原因の騒動を起こし、その中少しずつ変わって行くのであって、決意して宣言したからとすぐには変われない人間くささを的確に描いている。
こんなところも「世界名作劇場」最高傑作に私が推す一因である。 |
研究 |
・ルーシーの服装
今回はアニメオリジナルの話である。原作ではアデレードに到着したその日は、雨が降って荷物を慌てて片付けて一日が終わってる。ただしルーシーが川に流されて助けられるシーンは、ハラハラドキドキ要素として万人受けが必要なアニメでは絶対必要なシーンだろう。
さて、今回のテーマは主人公の服である。ルーシーはいつも赤のワンピースにピンクの前掛けという衣装で出てくるが、なぜそうなのかは本人が「気に入っている」からと言うことが今回の話で明らかになる…そんな事はどうでもよくて、アニメのキャラクターというのは作画の関係上どうしても着たきりになってしまうことが多く、「南の虹のルーシー」でも基本は皆同じ服で出てくる。「小公女セーラ」のように状況に応じて着替える方が珍しく、以外の作品では稀に視聴者サービス的に違う服を着せる程度である。
だがルーシーは「世界名作劇場」主人公では服装のバリエーションが多い方の部類に入る。ハイジやアンネットのように途中で年齢が変わっても全く同じ服を着ているという例が多い中で、ルーシーは年齢が変わったときに服も替わるし、それを差し引いても色んな服装で出てきて視聴者の目を楽しませてくれる。
ルーシーもここまでの12話で色々な服装をしている。基本形以外では夜や早朝のシーンに欠かせない寝間着姿、上陸時に海に落ちた関係で出てきた下着姿…そして今回出てきたのは一気に2通り、上半身裸(これを服装と呼べるのか?)と今回限りの黄色いワンピース姿である。しかしこの黄色い服、ハッキリ言って似合わない…。
また小さな子供が見てわかりやすくするためか、ポップル一家の服も丁寧に色分けされている。32話まではアーサーは白、アーニーは薄紫、クララは青、ベンは水色のベスト着用、ケイトは黄緑、ルーシーは赤、トヴは黄色と色分けされていて緊急的に着替えた場合を除いてこの色分けで固定されるのが面白い。33話以降はクララが水色でベンが青、トヴだけは違った系統の服になってしまう。なんか戦隊シリーズみたいだなぁ。 |