第34話「忘れられない一日」 |
名台詞 |
「ブノア君、あの娘をしばらく通訳として使うことにする。そのように手配するように。手当ての方も余分に出すようにしてくれたまえ。」
(ビルフラン) |
名台詞度
★★ |
通訳として「オーレリィ」を呼んだビルフランはその仕事ぶりに感心しただけでなく、「オーレリィ」がかつて自分を気遣う言葉を掛けてくれた少女であることに気付く。そんなビルフランが、「オーレリィ」の通訳としての働きぶりを眺めながら、そばにいたサン・ピポア工場の工場長であるブノアにこう語る。
今話の結論部分がこの台詞であるのは確かだ、ペリーヌの働きぶりがビルフランに認められるだけでなく、気に入られるという結果を得るのがこの台詞だ。ペリーヌのサクセスストーリーが立ち上がるのはまさにこの台詞であり、この台詞をきっかけにペリーヌはビルフランに直接仕える仕事を得て出世を始める。
この台詞に至るシーンを見ていると、ビルフランがペリーヌに「何か」を感じたのは確かだろう。それは仕事のことだけでなく、過去のビルフランに対するペリーヌの気遣いから、まだ小さいけど「愛」を感じていたのは確かだろう。だがそれが「愛」であることにはまだビルフランは気付かず、彼女に感じた「何か」を知るために彼女をそばに置こうとしたのかも知れない。その上で仕事ぶりが良かったことや、社内に他に通訳が出来る人間がいないことを考慮すれば、彼女をそばに置いておく格好の理由ができたという見方も出来るだろう。
同時にペリーヌは、またもビルフランからお給料upを言い渡されるのだ。 |
名場面 |
ペリーヌVSタルエル |
名場面度
★★★ |
タルエルに呼び出されたペリーヌは、工場長室を訪れる。部屋に入ったところで思わず立ち止まってしまう「オーレリィ」に、タルエルは自分の机のところまでくるように命じる。そしてタルエルはペリーヌに英語ができるかどうかを高圧的に聞き、それが間違いない事実であると知ったタルエルは「今日はトロッコ押しの仕事は打ち切りだ」と「オーレリィ」に宣告する。ところがペリーヌはその「打ち切り」という言葉を「クビになる」という意味で受け取ってしまい、「やっぱりバロンのことだったんですね、それだけは勘弁して下さい」と必死になって訴える。「バロン? そいつは何者だ?」と聞き返すタルエルに、「私の友達です。変な顔をした犬ですが…」と訴えるペリーヌ。「お前? 気は確かか?」と前置きを置くと、「黙れ! もうそのバロンとか言う奴の話はやめろ、お前は今すぐサン・ピポア村に行くんだ! お前はそこでビルフラン様に会うんだ」とタルエルが怒鳴り散らす。ペリーヌは「ビルフラン様に? 私が?」と返すと、今度はうっとりした表情で「おじい様が…」と呟いてしまうペリーヌ。「ビルフラン様は私に何の御用があるのでしょうか?」とペリーヌがタルエルに問うと、「行けば解る」と怒鳴り返されてしまう。
ここはとても面白いシーンだと見る度に思う。最初はタルエルとペリーヌはごく普通に「英語がわかるか?」という話題について語り合っているのだが、タルエルの「打ち切り」の一言で瞬時に二人の会話がかみ合わなくなる。誰かが一言を選び間違えたがために、会話がかみ合わなくなることは実生活でもよくあるが、それがうまく再現されているのが面白い。タルエルも「今日の仕事内容は変更」というような言い方をすれば良かったのに、短く事をすまそうとしてわざわざ誤解を与えかねない単語を選んでしまっている。そしてペリーヌは「バロンが原因で自分がクビになる」と勘違いして、そうならないように懇願してしまうから話がややこしくなる。この懇願の演技が真に迫っていることがこの面白さに拍車を掛ける。
それもタルエルが怒鳴ることで解決したかに見えるが、よく見るとその内容にペリーヌが大人しくなるキーワードが入っていただけの話であった。それが「ビルフランが呼んでいる」という趣旨の言葉である。その後のペリーヌの「うっとり」と、それを見たタルエルの表情の対比はこれまて見ていて面白い。
そんなこんながあって、タルエルはペリーヌに本題を伝えられないというオチがつく。タルエルは完全にペリーヌのペースに乗せられてしまい、自分のペースを乱されたタルエルのイライラが上手く描かれている。そのイライラによって「彼女が何をしに行くか」という本題を語るのをやめてしまっているのだ。その後のシーンで、ペリーヌとギョームがペリーヌが何をしに行くか知らないまま馬車に乗ったことを話題にするが、その原因は実はペリーヌが作っていたという面白いシーンとなるのだ。
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今回の
迷犬バロン |

やっぱ今話は、工場で乱入騒ぎを起こすバロンだろう。製品におしっこを掛けるようでは弁明の余地はない。このシーンのおかげで、飼い主ペリーヌは自分が工場をクビになると勘違い。 |
気まぐれ度
★★★★ |
感想 |
いよいよサクセスストーリーの幕が上がる。前話までは様々な設定を確立させる話が進んでいたが、今話でついにペリーヌはビルフランの前で仕事ぶりをアピールする機会が与えられる。そしてそれが認められてビルフランのそばでの仕事を確保するに至る。つまり今回はペリーヌがビルフランに接近する「きっかけ」だ。
しかし、最初はそんな雰囲気を全く感じさせない展開だ。ペリーヌが働く「工場の日常」から物語が始まり、そこにバロンが乱入騒ぎを起こすという本題とは全く無関係のシーンが描かれる。バロンの乱入騒ぎはあくまでも名場面欄シーンにおいてペリーヌが「工場をクビになる」と勘違いして話を面白くさせるためのスパイスに過ぎない、万人受けせねばならないアニメでなかったら不要なシーンであるのは言うまでもないだろう。だがここでペリーヌの勘違いは、このシーンでタルエルが事務的に用件を伝えるより、何倍も面白いシーンに仕上がったのは誰も否定しないだろう。
そして後半はサン・ピポア工場に舞台が移る。そこで映し出される現実は、ビルフランが呼び出したのは「オーレリィ」個人ではなく「英語を理解出来る人間」であったことだ。同時にこの事実はペリーヌに失敗が許されないという「現実」を突きつける事になり、視聴者と主人公を不安にさせる要素だ。ここで「お前は英語ができるんだな」と詰め寄るビルフランに、「日常会話は解るが機械や商売上の専門用語は解らない」とペリーヌが正直に申し出るシーンは、人によっては不安を煽られるし、また人によっては「こいつなら大丈夫」と感じるという、人によって感じ方が変わるシーンだろう。私は前者であったが。
そして工場での翻訳シーンでは、登場人物達はフランス語で会話するときは日本語で再現され、英語はそのまま英語という描かれ方をされる。その中でペリーヌがちゃんと実績を上げたこと、その途中でビルフランが「オーレリィ」という少女は自分を気遣ってくれる少女だと解る点は重要だ。この2点はビルフランにとってポイントが高い点であり、ペリーヌがのし上がるために有利かつ避けては通れない要素であっただろう。
もしここでペリーヌが通訳に失敗したら…ペリーヌが祖父に接近する機会は永遠に来なかったかも知れない。

今話もペリーヌはトロッコを…あれ、あれれ…

楽しそう! |
研究 |
・パンダボアヌ工場3
さて、今話もパンダボアヌ工場の研究だ。今話ではビルフランが経営する会社には、マロクール工場の他にサン・ピポア工場というもうひとつの工場が出てくる。この工場は劇中の台詞から存在は示唆されていたが今話で始めて画面に登場し、その規模はマロクールの工場より一回り小さく描かれている。そしてブノアという工場長が存在する事が確認されている。
このブノアの存在からやっと見えてくるのは、この会社の体制が見えてくる。これまで多くの社員や役員が劇中に描かれていたが、これらがどのように配置されているかがやっと見えてくるのだ。
トップにビルフランがいるのは当然として、そのすぐ下がどうなっているかという問題がある。劇中ではナンバー2争いをタルエルやテオドールがしていることが解るが、彼らが人事的にどのような位置にいるのか、という点も見えてくる。
タルエルであるが、彼は「マロクール工場の工場長」という立場で、社内に立派な部屋を持っている。この部屋は社長の居室がある建物にあり、詳細を後述するテオドールも同じ建物に出勤していることを考えれば、本社機能がある建物であるのは明白だ。タルエルが本社内に居室を持っているとすれば、「工場長」以外に兼務している役職があると考えられる。恐らく「マロクール工場工場長」は「製造管理部門」の部長を兼ねているのだろう。そうすれば彼が工員の人事権や給与決定権を持つのも見えてくるし、ブノアの待遇と比べて明らかに上位に描かれているのも納得がいく。彼はマロクール工場だけでなく、全工場に対する指揮権を持った「製造管理部長」であり、サン・ピポア工場に対する指揮権も持っていると考えられる。ブノアは同じ「工場長」でありながら、「製造管理部長」のタルエルの下でサン・ピポア工場の管理と運営を任されていると言ったところだろう。そうすればブノアがビルフランの後継者争いに出てこないのも納得出来るだろう。ちなみにオヌーはタルエルの配下で、職場長みたいな役職に就いていると考えられる。
続いてテオドールであるが、前話でのファブリとの会話からすると、彼が工場での「予算」を握っているのは明白だ。また、次話でテオドールの専門が「経営」であることもハッキリする。つまりテオドールは総務部門の長であり、会計や給与管理等を主に「金」に関することを担当していると思われる。そんな重要なポストにあんな奴が就いているなんて…多分部下が優秀なのだろう。
ファブリやベンディット、それにモンブールなどの「技師」はタルエル配下のように思われるが実は違う。それは前話のシーン、ファブリが老朽化した機械装置の買い換えをテオドールに訴えている事から判明する。もし技師が製造管理部の下にいれば、その仕事はタルエルの仕事になるはずだ。また彼らがマロクール工場とサン・ピポア工場を跨いで活動しているのも気になる。
だから、「技師」はタルエルの製造管理部門でもないしテオドールの総務部門でもないのは明白だ。技術開発部門が別にあって、その配下で仕事をしていると見るべきだろう。前話の機械装置の話については、タルエルから「技師」に話があり、「技師」が検査の結果交換が必要になるとその話がタルエルと「金」を握っているテオドールの双方に話が上がることになる。その中でテオドールに話が持って行かれた部分だけが劇中に再現された、そう見るのが妥当だろう。
この技術部門の長が誰かは描かれていない。49話辺りで重役会議が描かれるが、この中にそれに該当すると思われる人物も出ていない。それどころかビルフランが直接ファブリに命令している…つまり技術部門の長は社長、ビルフランが兼務しているのだ。そう考えれば、後継者争いに技術部門の長が出てこないことも納得出来る。
こう考えると会社の組織は大きく3部門に分かれ、そのトップがそれぞれタルエル・テオドール・ビルフランという構成であることは見えてくるだろう。そしてさらに言うと、この3人が取締役で会社の運営方針決定権を全部持っていることも確かであろう。だからナンバー2争いかつ後継者争いは、タルエルのテオドールの2者間で起きるということなのだ。 |